野村不動産が初進出するホテル業のコンセプト

野村不動産が初進出するホテル業のコンセプト

2018.05.15

デベロッパーは、オフィスビルを中心に開発を行う。そのほか、グループ企業によりレジデンスやショッピングセンター、ホテル&リゾートなども手がけている。

なかでも注目したいのはホテル事業だ。たとえば三井不動産なら三井不動産ホテルマネジメントによる三井ガーデンホテル、セレスティンホテル運営。三菱地所ならロイヤルパークホテルズアンドリゾーツによるロイヤルパークホテル。東急電鉄もグループ企業により、エクセルホテル東急やセルリアンタワー 東急ホテルなどを運営する。

では、なぜホテルが注目なのか。それは観光客の増加だ。インバンド観光客は増え続け、2017年には2,869万人が訪日、さらに政府は2020年には4,000万人の訪日客を目指すとしてる。民泊やクルーズ船などを活用するとしても、ホテル客室数が不足するのではないかとの懸念が出ている。

そんな状況に対応しようと、本格的にホテル事業に乗り出したのが野村不動産だ。新たに野村不動産ホテルズというグループ会社を立ち上げ、ホテル業に本格参入する。

ショップ&レストラン以外のレジャー施設を

意外なことだが、野村不動産はショップ&レストランからなる商業施設は多く運営しているが、ホテル業は脆弱だった。いや、皆無といってよい。つまり今回、野村不動産ホテルズを設立したことは、事実上、ホテル業への初参入ということになる。

そのホテルの新ブランドは「NOHGA HOTEL UENO」(ノーガホテル上野)。名前のとおり東京・上野に建てられたホテルで、開業は11月1日となっている。

まだ一部にシートはかかっているが、外観はほぼ完成している感じだ。防音壁には上野の日常を切り取った写真が印刷されている

実は5月10日、ノーガホテル上野の予約が開始された。それに合わせ、ホテルの至近にあるイベントスペースで、野村ホテルズ関係者とメディアが意見交換を行えるラウンドテーブルが実施された。ラウンドテーブルとはいっても、語気鋭く意見交換するのではなく和気藹々としたもの。というのも、ホテルで提供される予定の料理とワインを囲んでの場だったからだ。

メディアに提供された料理。左上:新玉葱のブランマンジェ、グリーンピースのソース。右上:47℃で火を入れた信州サーモンのコンフィ、ヴェルモットのクリームとレモンの香り。左下:鹿児島黒豚ばら肉キャラメリゼ、山椒風味・春豆と玄米のリゾット。右下:料理の説明をする金折有香 支配人

ラウンドテーブル開始の冒頭、野村不動産ホテルズ 代表取締役社長 塚崎敏英氏が挨拶を行った。

塚崎氏はノーガホテルのコンセプトを「明日につながる街作り」だとした。どういうことかというと、地域密着型のホテル運営を行うことで、街を活性化させるのがねらいだとしている。また、「快適な目覚めを味わっていただく空間にしたい」と力を込めた。

観光資源豊富な上野という街

ホテルといえば、海外や遠方の方が泊まりにくるイメージだが、なぜ地域密着につながるのか。それは、台東区・上野という土地柄にある。

上野といえば、上野恩賜公園が最大の観光資源だ。パンダを飼育する動物園や、世界文化遺産に指定された国立西洋美術館などがある。また、藤堂高虎と天海僧正が築いた上野東照宮があり、高虎の墓もある。つまり、家族連れから美術好き、歴史好きまでが楽しめるところなのだ。ちなみに上野という地名は、高虎が治めた伊賀上野(三重県)から採られたともいわれている。そして、成田空港からの東京の玄関口の役割もある。

これらの観光資源は、山手線・上野駅の西側に集中している。上野公園も動物園も東照宮も京成上野駅もすべて西側だ。一方、ノーガホテルは東側の昭和通りのさらに向こう側にある。観光資源の豊富さを考えれば西側が有利なのだろうが、なぜ東側なのか。

実はここに地域密着型をうたう理由がある。昭和通りの東側は、西側のような華々しい観光資源はない。むしろ、家屋が密集した下町風情の雰囲気が漂う街並みだ。

だが、この地域には職人や工房といった“もの作り”の気質が色濃く残っている。ノーガホテルでは、こうした工房で作られたハンガーや靴べらといったアメニティを用意する。さらに、ホテル内のショップでは近隣の工房で作られた製品を販売。ギャラリーも用意され、地域のアートやプロダクトを中心に出展する。つまり、もの作りの街として上野を捉え、そうした工房などと連携を深めるのがねらいなのだ。

台東区の工房で作られた製品の一部。左:1931年創業の木本硝子の江戸切り子とグラス。右:江戸末期から続く技を継承した日伸貴金属の製品

ディープな上野を知るのに最適な土地柄

塚崎社長は「宿泊客の方にディープな上野を知っていただきたい」と話す。特に外国人にとっては珍しいプロダクツとなるだろう。以前、「爆買い」というのが話題になったが、これは家電製品を中心としたもの。今は落ち着いており、むしろ日本でしか購入できない工芸品などを手に取る外国人観光客がジワジワと増えている。

ただ、遅きに失した感もある。東京・京都・大阪は、初来日したインバウンドが立ち寄る都市だが、リピーターは地方都市に散らばり始めている。上野周辺の観光資源や浅草に近いという立地をいかに生かせるかが、外国人観光客を取り込むカギになりそうだ。ちなみに野村不動産ホテルズの担当者は「欧米の観光客に注目していただきたい」と話す。欧米の方は長期滞在する傾向が強いので、この層をターゲットにするのはありだろう。

最後に、ノーガホテルの概要に触れよう。客室は130室で、22~24平方メートルのダブルやツインが主力だという。また、価格は1泊2~3万円ほど。ビジネスホテルよりかは高額だが、シティホテルよりも安価という設定だ。なお、場所は明かさなかったが、これからもノーガホテルを増やしていくとのことだ。

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

2019.01.22

低温加熱式のJTがライバルと直接競合する高温加熱式に参入

専用リフィルも異なる3種類の製品で広範に網を張るプルーム・テック

海外市場でも兆し見えた加熱式たばこ、日本での成功がより重要に

日本たばこ産業(JT)が加熱式たばこの新製品、「プルーム・テック・プラス (Ploom TECH+)」「プルーム・エス (Ploom S)」の2製品を発表した。シェアトップのiQOSを追撃したいJTだが、ライバルに先行を許している今、どのような戦略を描いているのか。

JTが発表した加熱式たばこの新製品、プルーム・テック・プラス(左)とプルーム・エス

新たに高温加熱式に参入、ライバルと直接競合へ

新製品は、従来のプルーム・テックを改良したプルーム・テック・プラスと、シェアを争う「iQOS」(フィリップ・モリス)や「glo」(BAT)と同様の加熱方式を採用したプルーム・エスの2つ。iQOSとgloが高温加熱式であるのに対し、もともとプルーム・テックは低温加熱式と呼ばれる方式をとっていた。30度という低温で発生させた蒸気をたばこカプセルを通して吸うため、においが少ない一方、吸いごたえに乏しいともいわれていた。

低温加熱式で吸いごたえを追加したプルーム・テック・プラスと、高温加熱式のシェア奪取を狙ったプルーム・エスを投入

そこで、たばこ葉を増やすなどして吸いごたえを高めたのがプルーム・テック・プラスだ。その結果、本体が太く大きくなり、加熱温度も40度と少しだけ高くなったが、においの少なさはそのままに、吸いごたえをアップさせたことをアピールする。

プルーム・エスは高温加熱式を採用し、iQOSやgloと同様の吸いごたえを目指した。こうした高温加熱式は、たばこ葉を高温で蒸すことで蒸気を発生させるため、従来のたばことも異なる独特のにおいを発生させる。

JT副社長・たばこ事業本部長の岩井睦雄氏は、この独特の「におい」のせいでたばこの味わいに違和感を覚える喫煙者が多かったと話す。そのため、「満足度を高めるのは味わい」として、このにおいの低減に取り組んだという。

プルーム・エスでは、たばこ葉を熱する温度を200度に抑えた。これはiQOSの300度、gloの240度に比べて低く、これによって特有のにおいを抑えたという。

吸いごたえや加熱方式が異なる3製品をそろえる意味

JTは新製品投入後も既存製品の取り扱いを継続する。つまり、プルーム・テックのラインアップは3種類となる。iQOSも複数の製品があるが、こちらは機能の違いによって3種類に分けられており、プルーム・テックはそれに対して、吸いごたえや加熱方式によって異なる製品を用意したかっこうだ。

3つの製品を投入することで、選択肢を提供する

岩井副社長は「温度で選ぶ時代」と表現し、低温のプルーム・テック/プルーム・テック・プラスと、高温のプルーム・エスという選択肢によって「好みや生活環境、ライフステージの変化に合わせて、いつでも最適な選択ができる」ことを狙ったとしている。

たばこ事業本部長の岩井睦雄副社長

たばこ部分に互換性がないという問題はありそうだが、現在でも、においの少なさを重視して自宅ではプルーム・テックを吸いつつ、味わいを求めて喫煙所では高温加熱式の加熱式たばこ、と双方を使い分けている人が少なくない。そうしたユーザーに対して、「それぞれで求められるニーズを高いレベルで満たし、両方を提供するのが顧客満足度の最大化に繋がる」(岩井副社長)と判断し、製品開発に取り組んだ。

加熱式たばこ最大市場の日本から、海外市場を見据える

岩井副社長は新製品でiQOSからシェアを奪取し、「中長期的にはRRPカテゴリでもシェアナンバーワンを目指す」と意気込みを語る。

「RRP」とは「リスク低減製品」のこと。「喫煙にともなう健康へのリスクを低減させる可能性がある」と位置づけられる製品だ。

日本では法律上、液体にニコチンを含ませて販売することはできない。電子たばこは、このニコチンを含む液体を蒸気化させるため日本で販売できず、結果、加熱式たばこが普及したという背景もある。加熱式たばこの市場規模では日本が世界最大だが、iQOSが韓国や欧州の一部で販売を強化しており、グローバルでの市場拡大を狙っている。

JTは海外ではlogicブランドで電子たばこを販売している。海外での電子たばこ事業はありつつも、まずは製品の国内ラインナップを拡大して加熱式たばこのシェア拡大を図るとともに、紙巻きたばこを含むすべての製品の価値を向上させることで、市場の拡大に繋げたい考えだ。「日本での成功がグローバルでの成功につながる」と岩井副社長は強調する。

紙巻きたばことRRP製品の双方を拡充する
日本では加熱式、海外では電子たばこを提供中

紙巻きからの移行、数年以内に大きな山場

2018年は加熱式たばこが踊り場を迎えたと言われた。日本ではここ数年で急激に加熱式たばこの普及が進んだが、市場シェアが20%を越えたところでユーザー需要は一巡したとみられる。

ただ、プルーム・テックの全国販売の開始や、他社では直近のiQOSの新モデル投入などを経て、その動向から、需要の伸びは「足踏みしていたが、止まったわけではない」(岩井副社長)との認識にあるという。加えて、紙巻きたばこによる健康懸念の高まりや、オリンピックによる喫煙場所の規制といった外的要因もあり、「必ずシガレット(紙巻きたばこ)からRRPに移ってくる」(同)という見通しだ。

課題は、紙巻きたばことは異なり、デバイスを購入しなければならないというハードルの高さだ。一度購入した後、他社のデバイスへ移行しづらいという難題につながる。

他社の後追いとなった高温加熱式では、「差別化のポイントをしっかりと伝えていく」ことで買い替えを促進する。JTが主導する低温加熱式では、「若干下方修正したが、手応えも感じている」と岩井副社長は説明する。今後は製品の良さをアピールするために、喫煙者に直接説明をする営業スタイルを重視していく方針をとるそうだ。

JTは日本市場で紙巻き、加熱式のいずれでもシェアトップを目指す

JTは1社で複数の選択肢の製品を用意することで、消費者のニーズの受け皿を最大化しようと目論んでいる。この先にグローバルで展開する上で、ユーザーからどのような示唆が得られるのかを検証していき、海外での加熱式たばこの市場拡大にも乗り出していきたいと考えているようだ。

加熱式たばこは間もなく、国内市場シェアだけでなく、海外市場の争奪戦の行方も左右する正念場を迎える。

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

2019.01.22

セブン、ローソンに続きファミマも成人誌を販売中止

インバウンドの増加、オリンピックの開催も影響か

コンビニ最大手のセブン-イレブンと業界3位のローソンが成人向け雑誌の販売中止を発表したのに続き、業界2位のファミリーマートも同様の方針を打ち出した。大手3社の足並みがそろい、日本国内のほとんどのコンビニ店頭から成人誌が消える。

国内のセブン-イレブン店舗数は2万店を超え、ローソンとファミマが1万5,000店前後でこれに続く。それぞれ今年の8月末までに取り扱いを原則中止するという。これまで一部店舗で成人誌の販売を中止していた例はあったが、今回は各社全店舗で取り扱いを中止する。業界では昨年1月から、ミニストップが他社に先駆けて全店で取り扱いを中止していた。

もともと諸外国にくらべ、女性や子どもの目につきやすいコンビニ店頭などに成人誌が置かれている日本のゾーニングの現状は特殊であるとの批判があった。また、インバウンドで訪日外国人が増え、この論調に拍車がかかっていたほか、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、イメージ低下を防ぐ要請が強まっていたという背景がある。

コンビニでの成人誌の購買層は近年、高齢男性に偏るとともに売り上げの減少も顕著であったといい、ゾーニングの問題が取り扱い中止の大義名分になったという見方もある。ある出版関係者は、「一部では電子版などネット展開を強化している流れはあるが、今でもコンビニは重要な販路なので、相当な混乱があるだろう」と話す。どちらにせよ、日本の成人誌は岐路に立たされることになる。