フラッペとラテで勝負、ファミマのおいしい戦略

フラッペとラテで勝負、ファミマのおいしい戦略

2016.06.20

コンビニを巡るホットな話題。そのひとつにカウンターコーヒーがある。セブン-イレブンをはじめ各社はレジ回りにコーヒーマシーンを導入し、コンビニコーヒーのイメージを変え、市場を築いた。そのコーヒーマシーンを活用してさらなる売上拡大を図ろうとしているのがファミリーマートだ。好調のフラッペに新味を投入、コーヒーではアイスカフェラテをリニューアルし、売上増に結び付けたい考えた。フラッペとアイスカフェラテには、つながりが見えないが、そこには共通の狙いがあるのだ。

アイスカフェラテとフラッペに共通する狙いとは

コンビニのコーヒー市場

コンビニのコーヒーと言えばかつては缶コーヒーだった。それが今ではカウンターコーヒーを指すといっても過言ではないだろう。それほどまでにカウンターコーヒーを買う姿が日常的になり、コンビニにおける存在感も増しているように思われる。

存在感の大きさは数値にも表れる。国内のコーヒー市場は約1兆5,000億円。コンビニのカウンターコーヒーはそのうちの13%程度、約2,000億円というのがファミリーマートの見立てだ。2015年度におけるコンビニ大手5社のコンビニコーヒーの販売計画は前年度比約3割増の約19億杯。国民一人当たり年間15杯を消費するとんでもない量になっている。

カウンターコーヒー市場は一気に膨らんだが、今後はどうなるのか。少なくともファミマは、まだまだ拡大の余地ありと見ている。

そのために同社が行ったのが、アイスカフェラテのリニューアル。見た目ではわからないが、6月6日からファミマのアイスカフェラテにはある変化が起きている。

専門店の配合に近づけたというアイスカフェラテ

新作では、使用するコーヒー豆を増量、お湯の量を減らしてミルクを約30%増量させた。これにより牛乳とコーヒーの割合は従来の牛乳62%、コーヒー38%から、新作では牛乳80%、コーヒー20%という比率に変わった。

なぜ、配合比率を変えたのか。それは、大手カフェチェーンの配合比率に近づけることで、カフェ専門店のニーズを取り込めると見ているからだ。

配合比率の変更だけではない。味にもこだわりを見せるのがファミマ流だ。「生乳100%の使用ミルクを使用して"本物"を提供できるのがファミマのカウンターコーヒーのよさ。大手カフェチェーンでは加工乳を使うところもありますが、フレッシュな素材をプラスするおいしさにこだわっています」(島田奈奈 商品本部ファストフーズ部長)とする。

品質、値段で勝負というのがファミマのアイスカフェラテの戦略だ。そして、それは、新たにコンビニの定番メニュー化しつつあるフラッペにも受け継がれている。

新作フラッペで売上増なるか

フラッペは、細かく砕いた氷にシロップなどをかけた、かき氷のような食べ物のこと。ファミマは、2014年にカフェフラッペを販売開始。昨年から抹茶フラッペ、マンゴー&オレンジフラッペをメニューに追加した。売れ行き好調で生産が追いつかなくなったこともあるほどの人気商品となっている。

フラッペはコーヒーマシーンの有効利用を図るために販売された。写真はファミマのコーヒーマシン

ご存知の人も多いだろうが、このフラッペ、カウンターコーヒーのマシンを使って、氷にミルクをかける。発売までの経緯も「専門店からお客さんを呼び込むことを考えたことがきっかけ。コーヒーショップで品揃えをしているのは何かという発想から、コーヒーマシンを活用して商品展開ができるのではないかと考えた」(同氏)とする。

人気のフラッペだが、品質にも力を入れている。氷部分はクシュっと崩れるのが特徴だ。氷は、ガリガリ君で有名な赤城乳業に製造を委託、同社のノウハウを取り入れ、コーヒーやミルクを注いだ際に、適切な粒度になるように調整されている。容器には空洞があり、すぐにコーヒーやミルクが全体になじむように設計されている。これが柔らかい氷をすぐに食べられるようにする秘密だ。

価格面でも抜かりはない。コーヒーチェーンのフラッペは300円後半から700円するような価格設定で、大人でも気軽には手を出しにくいが、ファミマは税込260円からと手頃。高校生でも手を出せるような価格設定にしている。品質、価格がウケたというわけだ。

そのフラッペだが、3つの期間限定商品を投入。今年はストロベリーフラッペ、ミルクティーフラッペ、ピーチフラッペで勝負をかける。

6月26日発売のミルクティーフラッペ
7月31日発売のピーチフラッペ

各商品にはこだわりがあり、ストロベリーフラッペは果肉入り。甘み酸味の強さ、しっかりした食感、色合いから総合的に見てカマロッサ種のいちごを採用した。ミルクティーフラッペには、スリランカ産茶葉を微粉砕したものを混ぜ、香りにこだわった。ピーチフラッペにも果肉が入っており、ほのかな甘みと柔らかな食感を実現するために国産のももを使用、さらに乳酸菌飲料を少量入れることで飲み後の口当たりをすっきりさせた。

こうしたこだわりの新味の投入で、フラッペの販売目標は前年度比35%増の3300万杯、売上100億円を目指していくという。

コンビニが抱える長年の課題

専門店のニーズをコンビニに引き込むための商品として、アイスカフェラテ、フラッペがある。そして、そこにはもうひとつ、共通の狙いがある。カウンターコーヒーとは違った客層の取り込み、特に女性客を引き寄せたいという思いがあるのだ。

ファミマに限らないが、コンビニの中心客層はまだまだ男性であり、女性客の利用拡大をいかにして進めるかが長年の課題。その緩和策として、アイスカフェラテとフラッペに期待が集まる。ミルクメニューは女性が好んで買う傾向にあり、フラッペ20歳前後の若者と女性に好まれているからだ。

ただし、過度な期待も禁物のようだ。「女性は様々な商品を買って試したいという傾向が強い。そのため商品開発が追いつかない」(同氏)というのが実情で、変化をつけていかないと勢いのあるフラッペでも、安定的に女性客の引き込み続けるのは難しいかもしれない。とはいえ、同一のマシーンを活用しながら、専門店のニーズを取り込むことができ、女性客の呼び込みに一役買うアイスカフェラテとフラッペは、今のところファミマにとっておいしい戦略になっているといえるのではないだろうか。

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

2019.01.22

低温加熱式のJTがライバルと直接競合する高温加熱式に参入

専用リフィルも異なる3種類の製品で広範に網を張るプルーム・テック

海外市場でも兆し見えた加熱式たばこ、日本での成功がより重要に

日本たばこ産業(JT)が加熱式たばこの新製品、「プルーム・テック・プラス (Ploom TECH+)」「プルーム・エス (Ploom S)」の2製品を発表した。シェアトップのiQOSを追撃したいJTだが、ライバルに先行を許している今、どのような戦略を描いているのか。

JTが発表した加熱式たばこの新製品、プルーム・テック・プラス(左)とプルーム・エス

新たに高温加熱式に参入、ライバルと直接競合へ

新製品は、従来のプルーム・テックを改良したプルーム・テック・プラスと、シェアを争う「iQOS」(フィリップ・モリス)や「glo」(BAT)と同様の加熱方式を採用したプルーム・エスの2つ。iQOSとgloが高温加熱式であるのに対し、もともとプルーム・テックは低温加熱式と呼ばれる方式をとっていた。30度という低温で発生させた蒸気をたばこカプセルを通して吸うため、においが少ない一方、吸いごたえに乏しいともいわれていた。

低温加熱式で吸いごたえを追加したプルーム・テック・プラスと、高温加熱式のシェア奪取を狙ったプルーム・エスを投入

そこで、たばこ葉を増やすなどして吸いごたえを高めたのがプルーム・テック・プラスだ。その結果、本体が太く大きくなり、加熱温度も40度と少しだけ高くなったが、においの少なさはそのままに、吸いごたえをアップさせたことをアピールする。

プルーム・エスは高温加熱式を採用し、iQOSやgloと同様の吸いごたえを目指した。こうした高温加熱式は、たばこ葉を高温で蒸すことで蒸気を発生させるため、従来のたばことも異なる独特のにおいを発生させる。

JT副社長・たばこ事業本部長の岩井睦雄氏は、この独特の「におい」のせいでたばこの味わいに違和感を覚える喫煙者が多かったと話す。そのため、「満足度を高めるのは味わい」として、このにおいの低減に取り組んだという。

プルーム・エスでは、たばこ葉を熱する温度を200度に抑えた。これはiQOSの300度、gloの240度に比べて低く、これによって特有のにおいを抑えたという。

吸いごたえや加熱方式が異なる3製品をそろえる意味

JTは新製品投入後も既存製品の取り扱いを継続する。つまり、プルーム・テックのラインアップは3種類となる。iQOSも複数の製品があるが、こちらは機能の違いによって3種類に分けられており、プルーム・テックはそれに対して、吸いごたえや加熱方式によって異なる製品を用意したかっこうだ。

3つの製品を投入することで、選択肢を提供する

岩井副社長は「温度で選ぶ時代」と表現し、低温のプルーム・テック/プルーム・テック・プラスと、高温のプルーム・エスという選択肢によって「好みや生活環境、ライフステージの変化に合わせて、いつでも最適な選択ができる」ことを狙ったとしている。

たばこ事業本部長の岩井睦雄副社長

たばこ部分に互換性がないという問題はありそうだが、現在でも、においの少なさを重視して自宅ではプルーム・テックを吸いつつ、味わいを求めて喫煙所では高温加熱式の加熱式たばこ、と双方を使い分けている人が少なくない。そうしたユーザーに対して、「それぞれで求められるニーズを高いレベルで満たし、両方を提供するのが顧客満足度の最大化に繋がる」(岩井副社長)と判断し、製品開発に取り組んだ。

加熱式たばこ最大市場の日本から、海外市場を見据える

岩井副社長は新製品でiQOSからシェアを奪取し、「中長期的にはRRPカテゴリでもシェアナンバーワンを目指す」と意気込みを語る。

「RRP」とは「リスク低減製品」のこと。「喫煙にともなう健康へのリスクを低減させる可能性がある」と位置づけられる製品だ。

日本では法律上、液体にニコチンを含ませて販売することはできない。電子たばこは、このニコチンを含む液体を蒸気化させるため日本で販売できず、結果、加熱式たばこが普及したという背景もある。加熱式たばこの市場規模では日本が世界最大だが、iQOSが韓国や欧州の一部で販売を強化しており、グローバルでの市場拡大を狙っている。

JTは海外ではlogicブランドで電子たばこを販売している。海外での電子たばこ事業はありつつも、まずは製品の国内ラインナップを拡大して加熱式たばこのシェア拡大を図るとともに、紙巻きたばこを含むすべての製品の価値を向上させることで、市場の拡大に繋げたい考えだ。「日本での成功がグローバルでの成功につながる」と岩井副社長は強調する。

紙巻きたばことRRP製品の双方を拡充する
日本では加熱式、海外では電子たばこを提供中

紙巻きからの移行、数年以内に大きな山場

2018年は加熱式たばこが踊り場を迎えたと言われた。日本ではここ数年で急激に加熱式たばこの普及が進んだが、市場シェアが20%を越えたところでユーザー需要は一巡したとみられる。

ただ、プルーム・テックの全国販売の開始や、他社では直近のiQOSの新モデル投入などを経て、その動向から、需要の伸びは「足踏みしていたが、止まったわけではない」(岩井副社長)との認識にあるという。加えて、紙巻きたばこによる健康懸念の高まりや、オリンピックによる喫煙場所の規制といった外的要因もあり、「必ずシガレット(紙巻きたばこ)からRRPに移ってくる」(同)という見通しだ。

課題は、紙巻きたばことは異なり、デバイスを購入しなければならないというハードルの高さだ。一度購入した後、他社のデバイスへ移行しづらいという難題につながる。

他社の後追いとなった高温加熱式では、「差別化のポイントをしっかりと伝えていく」ことで買い替えを促進する。JTが主導する低温加熱式では、「若干下方修正したが、手応えも感じている」と岩井副社長は説明する。今後は製品の良さをアピールするために、喫煙者に直接説明をする営業スタイルを重視していく方針をとるそうだ。

JTは日本市場で紙巻き、加熱式のいずれでもシェアトップを目指す

JTは1社で複数の選択肢の製品を用意することで、消費者のニーズの受け皿を最大化しようと目論んでいる。この先にグローバルで展開する上で、ユーザーからどのような示唆が得られるのかを検証していき、海外での加熱式たばこの市場拡大にも乗り出していきたいと考えているようだ。

加熱式たばこは間もなく、国内市場シェアだけでなく、海外市場の争奪戦の行方も左右する正念場を迎える。

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

2019.01.22

セブン、ローソンに続きファミマも成人誌を販売中止

インバウンドの増加、オリンピックの開催も影響か

コンビニ最大手のセブン-イレブンと業界3位のローソンが成人向け雑誌の販売中止を発表したのに続き、業界2位のファミリーマートも同様の方針を打ち出した。大手3社の足並みがそろい、日本国内のほとんどのコンビニ店頭から成人誌が消える。

国内のセブン-イレブン店舗数は2万店を超え、ローソンとファミマが1万5,000店前後でこれに続く。それぞれ今年の8月末までに取り扱いを原則中止するという。これまで一部店舗で成人誌の販売を中止していた例はあったが、今回は各社全店舗で取り扱いを中止する。業界では昨年1月から、ミニストップが他社に先駆けて全店で取り扱いを中止していた。

もともと諸外国にくらべ、女性や子どもの目につきやすいコンビニ店頭などに成人誌が置かれている日本のゾーニングの現状は特殊であるとの批判があった。また、インバウンドで訪日外国人が増え、この論調に拍車がかかっていたほか、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、イメージ低下を防ぐ要請が強まっていたという背景がある。

コンビニでの成人誌の購買層は近年、高齢男性に偏るとともに売り上げの減少も顕著であったといい、ゾーニングの問題が取り扱い中止の大義名分になったという見方もある。ある出版関係者は、「一部では電子版などネット展開を強化している流れはあるが、今でもコンビニは重要な販路なので、相当な混乱があるだろう」と話す。どちらにせよ、日本の成人誌は岐路に立たされることになる。