第一線現場でのMRによる支援・高度化の共同研究開始

第一線現場でのMRによる支援・高度化の共同研究開始

2018.05.23

工場やインフラ施設で必ず必要になるのが、設備の監視、点検だ。最近ではIoT機器を組み込むことで状態や異常を検知する設備が多くなっている。だが、やはり人の目視によるチェックは欠かせない。組み込んだIoT機器すら障害が発生する可能性があるからだ。

目視によるチェックは姿を変えてきた。古くは紙の仕様書やチェック項目を列記した書類を持ち、それに従って点検してきた。近年はパソコンになり、そしてタブレット端末に移行している。ただ、これらには難がある。紙書類やタブレットでは、片手がふさがってしまい、作業がしにくいという点だ。

目視によるチェックに変革

そうした作業に終止符を打つ機器が注目され始めた。「Mixed Reality」(複合現実、以下、MR)という技術を使った機器だ。

VR(仮想現実)やAR(拡張現実)といった語句なら聞いたことがあるだろう。しかし、MRはあまり聞き慣れない言葉だ。MRは、ARをさらに発展させたものといえるだろう。「Pokémon GO」を楽しんだことがある方ならわかるだろうが、ARの場合、スマホに移った現実世界にポケモンの姿が現れる。つまり、スマホの中でしか拡張現実は展開されない。

記者発表会が行われた東京電力本社

一方、MRは自分が目視している視界に拡張現実を投影できる。たとえば、MR対応のヘッドマウントディスプレを使えば、実際の視界のなかに各種情報が映し出される。SF映画やアニメなどでたびたび出てくるような、近未来的なシステムだ。

そうしたMR技術を用いて、インフラ設備の点検・整備に活用しようという企業がある。東京電力だ。

ただ、東京電力1社だけの研究・開発ではない。ポケット・クエリーズという企業との共同研究となる。

東京電力はいわずと知れたエネルギー企業の巨人。一方、ポケット・クエリーズは「ゲームのちから」や「ファイナルファンタジー」の拡張パックを手がける。ただ、それだけでなく、VRを活用した災害統合システムや、英会話をVRで学習できるアプリなどを手がけている。

そして今回、東京電力と共同研究を行っているのが、MRソリューション「QuantuMR」(クアンタムアール)だ。

QuantuMR。第一線現場で使うため、ヘルメットと組み合わせてある。デモを行うポケット・クエリーズ 代表取締役 佐々木宣彦氏

これはどういうものかというと、第一線現場の支援・高度化に向けたソリューション。第一線現場というとわかりにくいが、“製造現場の最前線”といえば伝わりやすい。つまり工場といった設備監視システムやマニュアル、ノウハウといったことが含まれる。QuantuMRは、こうした設備の点検・異常予兆を判断する際のサポートになる。

五感をフル活用する作業をサポート

具体的にいうと、ヘッドマウントディスプレイ上にマニュアルや仕様書を映しだし、作業員がそれを確認しながら点検ができるようになる。ヘッドマウントディスプレイなので両手が使えるというのがポイントだ。さらに点検時は、機械だけに頼るだけではなく、視覚や聴覚、触覚といった人間の持つ五感も必要になってくる。両手でチェックできるほか、自分の視覚が妨げられるわけではないので、そうした五感を駆使できる。

プロジェクターに映されたデモ画面。現実のテーブルとパネルが混在している。右はQuantuMRのホームページに掲載されている動画から。プラントとその情報を映すパネルからなっている

ここに東京電力のねらいがある。電力会社の根幹をなすのは、各建築物の使用電力量を把握するシステム、送電網、そして発電所がある。この発電所の点検整備に活用するため、共同研究に参画しているのだ。

指でアイコンを押すところ

気になる操作方法は、ディスプレイに映し出されたアイコンやパネルに指で触れるイメージだ。もちろん、ディスプレイに直接触れるわけではない。腕を伸ばして操作したいアイコンやパネル部分に指を持って行けば、センサが指を感知して操作できる。

なお、研究で得られた知見は、QuantuMRに反映し、いずれは東京電力グループのさまざまな現場で水平展開したい考えだ。また、それだけではなく、他産業での活用もにらんでいる。最初は第一線現場での活用だが、技術が確立されれば、アプリ次第で販売店の在庫管理やテレビやエアコンの集中管理、もちろんゲームにも応用できるだろう。ただ、Pokémon GOのように、フィールドサーチ型のゲームに採用されたら、このヘッドマウントディスプレイをかぶって歩くのは、少し気恥ずかしい……。

総務省施策が追い風に? 携帯分離の「歴史的チャンス」狙うファーウェイ

総務省施策が追い風に? 携帯分離の「歴史的チャンス」狙うファーウェイ

2019.03.20

モバイル業界を変える「携帯値下げ議論」が過熱

ファーウェイは日本を取り巻く環境を「歴史的チャンス」と発言

コスパ高いミッドレンジ端末でシェア拡大を目指す

20日、NTTドコモが特定の端末の購入を条件に通信料金を割り引く「docomo with」、購入する端末に応じて通信料金を割り引く「月々サポート」を終了する方針を固めたという報道が話題となっている。

国内のモバイル業界では携帯電話料金見直しが進んでおり、3月5日には総務省が中心に進めてきた端末代金と通信料金の分離が閣議決定された。NTTドコモは分離プランを軸とした新料金プランを4月に発表する見込みだ。

日本のモバイル市場を大きく変えるこの動きを「歴史的チャンス」と見ているのがファーウェイだ。2018年末から米中対立が加速する中、ファーウェイが打ち出すメッセージも語気を強めている。果たして日本市場でシェアを拡大できるのだろうか。

逆風吹けども、依然として業績は好調

今年に入り、ファーウェイの周辺が騒がしい。3月7日には、ファーウェイは米国政府を相手取って訴訟を起こした

さらにその内容をFacebookでライブ配信するなど、米国以外の世界市場に向けたメッセージにもしており、そのメッセージをまとめたウェブサイト「Huawei Facts」は、わざわざ日本語版も用意している。

2018年末から続く米中対立を巡る報道は、ファーウェイの業績にどのような影響を与えたのか。MWC19でインタビューに応じたファーウェイ・ジャパンの呉波氏は、「一部の消費者は影響を受けたが、2019年に入ってから売上は大幅に伸びている」と語った。

ファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波(ゴ・ハ)氏

話題の「折りたたみスマホ」でもファーウェイは先行する。

ファーウェイに先立って折り畳みスマホを発表したサムスンだが、こちらはMWCではガラスケース内での「展示」のみにとどまったのに対し、ファーウェイは「Mate X」の実機を用いて報道関係者に折り曲げを試させるなど、製品化で一歩先を行っていることをアピールした。

ファーウェイの折りたたみスマホ「Mate X」。報道陣には手に取って折り曲げてみる機会も用意された

Mate Xは次世代移動通信の「5G」にも対応しており、日本では5Gサービスの開始を待って投入時期を見極める方針だという。

ちなみに3月26日に発表予定のフラグシップ機「HUAWEI P30」シリーズは、例年通りのタイミングで日本市場に投入するようだ。SIMフリーでの発売だけでなく、ドコモが採用した「HUAWEI P20 Pro」のように大手キャリアによる採用があるかどうかも注目したい。

分離プランを「歴史的チャンス」と捉えるワケ

一方、2019年の国内モバイル市場で話題となっているのが携帯料金における「分離プラン」の導入だ。KDDIとソフトバンクはすでに導入済みだが、NTTドコモは4月に発表する新料金プランから本格導入するとみられている。

分離プランの特徴は、NTTドコモの「月々サポート」のように回線契約と紐付けた端末の割引が禁止される点だ。端末の割引自体が禁止されるわけではないというものの、大幅な割引は難しくなる。その結果、10万円を超えるようなハイエンド機ではなく、3〜4万円で一括購入しやすいミッドレンジ機の需要が高まるとの見方が有力だ。

この動きをファーウェイはどう見ているのか。

呉氏は「非常に重要視している。スマホが登場したときや、SIMフリー市場が始まったときのインパクトに引けを取らない、歴史的な瞬間になる」と興奮気味に語る。

日本のSIMフリー市場でベストセラーとなった「HUAWEI P20 lite」を始め、ファーウェイのミッドレンジ機のラインアップは厚い。モデルによってはフラグシップと同じCPUでミッドハイの価格を実現するなど、コスパの高さも特徴だ。大手キャリア向けにさまざまな提案ができる体制といえる。

フラグシップと同じ「Kirin 980」搭載でミッドハイ価格の「HONOR View 20」

また、5G対応も順調だ。

モバイルWi-Fiルーターに強みを持つファーウェイは、MWC19でも5G対応ルーターを多く出展していた。日本ではまだ周波数の割り当てが終わっていないものの、国内大手キャリアは2019年内にもプレサービスを始める動きがある。5Gスマホが普及するまでの間、5Gルーターの需要は高まる可能性がある。

5G対応のモバイルWi-Fiルーターも出展していた

ミッドレンジ市場の拡大を狙って、今年はシャープやサムスン以外にも、ソニーモバイルの参入も予想されている。

この価格帯が激戦区になることは間違いないが、ファーウェイはその中で高コスパの製品ラインアップや、国内での地道な販促活動やブランドメッセージの打ち出しによって対抗していく構えだ。

ヨドバシカメラ梅田店での販促イベントの様子
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2019.03.20

Googleが新しいゲームプラットフォームを発表

配信方式でゲーム機不要、「ゲーム機」の時代の終焉?

2019年内にローンチ、性能はプレステやXbox以上か

3月19日、米国で開催中のゲーム開発者会議「GDC 2019」の会場で、Googleがクラウドベースのゲーミングプラットフォーム「STADIA」を発表した。特定のゲーム機に縛られず、ネットに接続したスマホやパソコン、テレビを通してストリーミング(配信)形式でゲームをプレイできる。

この事業を担当するバイスプレジデントとして、STADIAを発表するフィル・ハリソン(Phil Harrison)氏。そもそも彼からして、元はソニーのプレイステーション立ち上げの主要メンバーで、その後Microsoftに移りXboxを担当したという経歴の持ち主

かねてより、MicrosoftのXbox事業のトップマネージャーを引き抜いた、ソニーでPlayStationのハード開発にかかわったエンジニアが転職したといった噂が頻繁に流れており、「Googleがゲーム市場に本格参入する」という憶測は強まっていた。実際に2018年には、Googleは「Project Stream」と呼ばれるストリーミング形式のゲーム基盤の計画を発表し、米国内でベータテスターを募って技術テストを行っていた。

STADIAは、Project Streamの延長線上にあるサービスと見られる。ユーザーは特定のゲーム機を持っている必要がなく、従来のゲーム機の役割をするのはGoogleの設置するデータセンターだ。簡単に言えばクラウドサービスのように、実際にゲームタイトルが動作しているのはデータセンター側で、ユーザーはインターネットを介してゲームを遠隔でプレイする。

STADIAのデータセンターから配信されたゲームをパソコンでプレイしている様子
パソコンで遊んでいたのと同じゲームを、タブレットやテレビでも同じように遊ぶことができる

このプラットフォームの特徴によって、例えばYouTubeで新作ゲームのトレーラー動画を見ていて気に入ったときには、そのページ内の「プレイする」ボタンを押すだけで、インストールすら不要で、動画を再生するかのようにそのゲームをプレイできるようになる。

そして、STADIAのデータセンターが持つゲーム機としてスペックは、サービス開始時のものとして、GPUの演算性能は10.7テラFlopsに達するといい、これはPlayStation 4 Proの4.2テラFlopsや、Xbox One Xの6.0テラFlopsを大きく上回る。映像品質も4K/60fpsのストリーミングに対応し、将来は8K/120fps対応も予定しているという。

STADIA用の「STADIAコントローラー」も販売する。SNSアップ用のボタンや、Googleアシスタントボタンが備わっている

Googleは2019年中にSTADIAをローンチする予定で、まずは米国、カナダ、欧州でサービスを開始すると説明している。発表を受けた翌20日の東京株式市場では、任天堂とソニーの株価が揃って大きく下落した。投資家たちが、GoogleのSTADIAによって、Nintendo SwitchやPlayStationのビジネスが脅かされると考えたからだ。

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