経営戦略説明会で語られた三菱電機のビジョン

経営戦略説明会で語られた三菱電機のビジョン

2018.05.24

三菱電機 執行役社長の杉山武史氏

三菱電機の杉山武史社長は、2018年5月21日、「2018年度 経営戦略説明会」を行い、「2020年度までの成長目標達成に向けて、もう一段高いレベルの成長に取り組む。さらに、2020年度以降の成長持続に向けて投資成果を最大化する」などとした。

同社は中期経営計画として、創業100周年を迎える2020年度までに達成すべき成長目標として、「連結売上高5兆円以上」、「営業利益率8%以上」を掲げているほか、継続的に達成すべき経営指標として「ROE10%以上」、「借入金比率15%以下」に向けた取り組みを行っている。

先頃発表した2017年度の連結業績は、売上高が前年比4.5%増の4兆4311億円、営業利益は18.0%増の3186億円、税引前利益は23.1%増の3645億円、当期純利益は29.2%増の2718億円となった。営業利益率は7.2%。売上高および営業利益は過去最高となっている。

また、2018年度連結業績見通しは、新たにIFRSを採用するため2017年度の実績値とは直接比較はできないが、売上高は前年比1%増の4兆5000億円、営業利益は4%減の3150億円、税引前利益は2%減の3450億円、当期純利益は5%減2450億円を目指す(前年比はIFRSベースから算出)。杉山社長は、「為替影響を除くと、売上高では3%増、営業利益では6%増になる」とした。

技術・事業シナジーの発揮を拡大

これまでの実績を振り返りながら、杉山社長は、「成長牽引事業群を中心とした積極投資と事業ポートフォリオの強化に続き、刈り取りの最大化、目標に到達しない低収益事業の改善のほか、技術シナジーおよび事業シナジーの発揮を拡大し、2020年度移行の成長持続に向けた投資を行っていく」と、今後の基本姿勢を述べた。

2020年度には5兆円以上の売上高を目指す

欧米や中国に加えて、インドやASEANなどの新興国市場への事業拡大、電力や交通、ビルでのアフターサービス事業の強化、自動車機器やパワーテバイスなどの車両電動化対応機器の拡大のほか、IoT活用による製造コストの改善、業務効率の向上などにも取り組む。

また、「強い事業をより強くしていくことが大切であり、成長牽引事業群における価値創出に取り組む」と発言。具体的には、電力システム事業では、発電、送変電から配電まで、電力の安定供給に貢献する高効率・低環境負荷の機器やシステムの提供に注力。交通システムでは、走る、止まる、制御するといったことを1社で実現する製品、システム群の強みを生かした鉄道エネルギー全体の最適化を目指す。ビルシテスムでは、安全性と信頼性の高い製品力とフィールド技術力をベースに、新設、保守、リニューアルまでのトータルサポートを提供。空調冷熱システム事業では、高性能や高効率デバイスと高度な制御技術で各地域固有の省エネニーズに対応するという。

広範な成長牽引事業群

また、FAシステム事業では、FA-IT統合ソリューション「e-F@ctory」の進化による最適なものづくりの提案を推進。自動車機器事業では、電動パワートレインシステムを含めた幅広い高効率機器群および高度制御技術の連携、統合による環境配慮、安心・安全、快適性の実現に取り組むという。さらに、宇宙システム事業では、幅広い分野にまたがる衛星システム製品群により、グローバルな社会インフラ構築に貢献。パワーデバイス事業では、顧客ニーズの先行取り込みにより、最先端のパワー半導体技術に基づく省エネのキーデバイスを供給するとした。

社長就任後、初の会見

今回の会見は、杉山氏が2018年4月に社長に就任してから、初の会見となった。杉山社長は、社長就任の抱負として、「変えてはならないのは、三菱のDNAともいえる三綱領の精神の実践と、『成長性』、『収益性・効率性』、『健全性』の3つの視点によるバランス経営である。そして、変えていくべきものは、時代の変化や技術の変化にあわせて、事業モデルを常に見直す『事業の変革』と、働き方改革のさらなる推進により、業務の質を高め、従業員が成長しながらいきいきと夢を持つことができる『業務の変革』になる」とした。

その一方で、三菱電機の強みについても言及。次のように語った。「三菱電機の強みは、制御やパワーエレクトロニクスなどの広範にわたる強い技術資産を持っていること、事業特性の異なる複数の事業群による事業活動の展開ができること、生産、品質管理、販売、サービスなどのすべての現場に定着した改善文化にある」とし、「既存事業を磨き上げるとともに、異なる事業部の製品をつなぐことで、新たなシナジーを生んでいきたい」とする。

つまり、三菱電機の強みは、家庭電器から人工衛星までという幅広い事業領域と、その事業シナジーおよび技術シナジーにあるというわけだ。

「量産製品のように景気変動に敏感な事業もあり、社会インフラのように景気に変動しない事業もある。これらを組み合わせることで、事業を安定化させることができると考えている」

三菱電機もかつては、DRAM事業の売却や携帯電話端末事業からの撤退といった荒療治を行い、さらにはPC事業や洗濯機事業からも撤退した。最近では、粒子線治療システム事業を日立製作所に売却するといった動きもある。だが、強い領域に投資を続けながら、幅広い間口を持った戦略を維持し続けているのは三菱電機の大きな特徴だ。

杉山社長は、「これからも、将来の成長が見込めないものは整理していくことになるが、総合電機メーカーとしてのポジションは維持していく姿勢に変わりはない。三菱電機の特徴は、強い複数の事業群を持っていること。これによって、新たな事業展開につなげられる。家電事業も維持していくことになる」と述べた。

実は、中期経営計画の5兆円以上という連結売上げ目標のなかにも、M&Aの要素は含まれていない。もともと派手さはないが、過去最高の売上高、営業利益を達成したとはいえ、堅実な経営ぶりが先行し、どうしても「守り」の印象が強いことが否めない。

三菱電機は、4年サイクルで定期的に社長が交代し、着実に売上げ、利益を拡大。電機大手のなかでは、安定した営業利益率を確保している。これもなぜか、「守り」の印象につながってしまうから不思議だ。

杉山社長は、「メディアの方々にとっては、三菱電機の経営は全体的には面白くないと感じるのかもしれないが」としながら、「中期経営計画で掲げた売上高5兆円以上というのは、決してたやすい目標ではなく、個々の事業において、しっかりと利益を伴った成長をしてなくはならない」と語る。そして、「さらに大切なのは、2020年度以降も成長していけるかどうかである」とする。

2020年度以降の指針については、「2020年度の方向が見えた段階で公表するが、いまから、ネタを仕込み、成長の枠組みを作らなければならないと考えている。組織のあり方や、研究開発の力をどこに注ぐのかといったことも考えていく」とする。

EV市場拡大の時期を捉える

そして、2020年度以降の成長において、懸念事項としてあげたのが、「EV(電気自動車)が立ち上がる時期に、しっかりとそれを捉えることができるかどうか。それにあわせて、パワー半導体などの製造ラインにどう大きな投資をしていけるのかが重要である。もし、そのタイミングを見誤って、遅い投資になれば、当然、大きな機会損失を生む。EVの市場拡大は、機会でもあるが、リスクでもある」とする。

ここでは、自動運転の本格到来などを見込んで、部門横断型で事業を創出するための組織を2018年度中に新設する考えも明らかにした。

杉山社長の任期も4年だとすれば、2020年度の中期経営計画を超え、EV時代を見据えた大きな成長機会を捉えた次の一手までを担うことになる。言い換えれば、いよいよ「守り」から「攻め」への転換を担うことになるのは明らかだ。

SNSでバズを起こせ! メルカリ流 “違和感”マーケティング

SNSでバズを起こせ! メルカリ流 “違和感”マーケティング

2019.01.24

フリマアプリを運営するメルカリが新聞折り込みチラシを配布

なぜリアル店舗のようなチラシ広告を出したのか

理由を聞いていくなかで同社のマーケティング戦略が見えてきた

問:次のアイテムのなかから、フリマアプリ「メルカリ」で販売されたことのあるものを選びなさい。

・ダウンジャケット
・ヒト型ロボット
・トイレットペーパーの芯
・クルマ
・イヤホンの左側

おわかりいただけただろうか。答えは「すべて」である。現時点では売り切れかもしれないが、上記はすべてメルカリで販売された実績のあるアイテムだ。

さまざまな商品が売買されているメルカリとはいえ、まさか「トイレットペーパーの芯」が売られているとは、よほどのヘビーユーザーでなければ知らないのではないだろうか。

もちろん筆者も知らなかったが、2018年12月12日に配布された1枚の新聞折り込みチラシが、その事実を教えてくれた。それは、メルカリが北海道と愛知県で計192万部配布した広告チラシだ。

紙面上では、トイレットペーパーの芯やクルマがメルカリで売られていたことを紹介していたのだが、東京在住の筆者は配られたチラシを直接見たわけではない。「メルカリが新聞折り込みチラシを配布している」という意外性がSNSで話題を呼び、仕事中Twitterをいじくりまわして遊んでいた筆者の元にも情報が届いたのである。

はたして、アプリ上でサービスを展開するメルカリが、なぜリアル店舗のような折り込みチラシを配布したのだろうか。

メルカリが配布した新聞折り込みチラシの例。まるでアパレル広告のようだ
裏面には、初心者でも使えるようにアプリのマニュアルが紹介されている

「スタンダードからいかに離れるか」が、おもしろさを生む

「端的に言えば“お茶の間の会話”を増やしたいと考えたためですね」

株式会社メルカリ 執行役員 CMOの村田雅行氏は、新聞折り込みチラシを配布した理由について、そう話す。

株式会社メルカリ 執行役員 CMOの村田雅行氏

2013年7月にサービスを開始したメルカリのアプリダウンロード数は、世界合計で1億超。また、累計流通額は1兆円を超えており、全国レベルでその名を轟かせている。

「ただ、月間のユニークユーザー数は1100万程度。ダウンロード数を考えるとまだまだ伸びしろがあるはずなのです。そのため、まだ取り切れていない、シニアを中心とするユーザーを取り込むためのアプローチを実施することに決めました」

アプリの存在は知っているが、普段からメルカリを使っているわけではない。そんな、シニアをはじめとする“お茶の間ユーザー”を取り込むべく企画されたのが「新聞折り込みチラシ」だった。さまざまなマーケティングを行っている同社ではあるが、新聞折り込みチラシの配布は今回が初めて。そのため、まずはテストマーケティングとして、限られたエリアでの配布が行われた。

だが、シニアへのアプローチは何も折り込みチラシに限らない。テレビCMはもちろん、街頭配布やポスティングなど、ほかにも宣伝手法はあったはずだ。なぜ折り込みチラシにこだわったのだろうか。

「1つのコンテンツとして完結しているところがポイントでした。新聞は、自ら購読して情報を取得する非常にポジティブな媒体。毎日目にするそのコンテンツにメルカリの折り込みチラシを入れることで、“違和感”を生み出したかったのです」

また村田氏は、チラシだからこそ違和感を生み出せたのだと話す。

「今の時代、いかにSNSで話題にしてもらえるかが大事です。そのためには普通とは違うことをやらなければなりません。違和感は、多くの人が認識する“スタンダード”がなければ作れないと考えています。いかに基準から大きな振れ幅があるか。それが驚きやおもしろさにつながるのではないでしょうか。そういう意味で、折り込みチラシには基準があります。『医薬品系だったらこんなチラシ』『スーパーのチラシはこんなもの』というイメージが、多くの人のなかで醸成されているからこそ、イメージからかけ離れたクリエイティブは一層際立つはずだと、新聞の折り込みチラシを実施したのです」

例えば街頭配布であれば、コスプレをしたり、奇抜な宣伝車で商品サンプルを配ったり、アメニティを同封したりと、工夫されているものが多く、普遍的な基準のようなものが思い浮かびにくい。あえて一般的な街頭配布の例を挙げるとすれば、ポケットティッシュと答える人が多いだろうか。だが、ポケットティッシュ以外のものを配っていたら、それだけで大きな話題を呼ぶかと言えば、おそらく難しいはずだ。

つまり、スタンダードがあるからこそ、違和感を与えて記憶に残るような手法を実施できると、数あるアプローチのなかから村田氏は折り込みチラシを選んだというわけだ。

そもそも、実店舗を持たないメルカリが折り込みチラシを配布するというだけで、1つの違和感を与えられるだろう。そして「徒歩0分! スマホの中でオープン!」といった目を引く謳い文句が、違和感をますます際立たせる。

「違和感を与えるために、コピーや商品ラインアップは工夫しましたね。今回、3タイプのチラシを作成したのですが、“メルカリだからこそできるラインアップ”をあえて出すようにしました。例えば、意外性のあるものでは、トイレットペーパーの芯やクルマ。実際にメルカリで売られていたことがあるんです」

今回作成されたチラシは「ファッション」「家電」「スーパー」の3タイプ。意外性のある商品ラインアップに加えて、北海道では日本ハムファイターズのユニフォーム、愛知県では中日ドラゴンズのユニフォームなど、地域に根付いた商品も掲載しており、そのような遊び心も、SNSで話題になるために必要なのかもしれない。

家電パターンのチラシ。「徒歩0分! ~」のコピーが目立つ
「トイレットペーパーの芯」を掲載したパターンのチラシ。2つのチラシをよく見比べると、ユニフォームで使われている写真が違う。なお、北海道と愛知県を選んだ理由は、「地場新聞の影響力が強いエリア」だからだという

結果として、違和感を覚えた消費者は、Twitterにチラシの画像を投稿。狙い通り、SNSでバズらせることに成功した。

しかし、SNSで話題になっても、ターゲットにしているシニア層にはあまり関係がないのではないだろうか。

「シニアや中高年の方々でSNSをやっている人は意外と多いんですよ。積極的に発信をしている人はあまり多くないですが、情報収集として活用している人は少なくないですね」

ちなみに、肝心の折り込みチラシの効果は、「すべての数字の集計が終わっているわけではありませんが、チラシを投下したエリアでは、いい成果が出ています」とのこと。データとしても、チラシの影響を確認できたという様子だった。

攻める姿勢が生み出したもう1つの広告

今回のようなアプローチは、SNSが普及した今だからこそ可能な新しいマーケティングだ。そして、メルカリではSNSでのバズを狙った取り組みがもう1つ。2019年1月1日からスタートした『#はじメル』だ。

はじメルは、「三日坊主でもいいから、とにかく新しいことをはじめる人を応援する」というコンセプトで展開しているキャンペーン。特設サイトを開設し、1月3日には新聞の一面広告を、1月5日からはテレビCMを放送開始した。

そのなかで、一体なにがSNSで話題になったのかというと、これまたアナログな「新聞広告」である。

「一般的に1つのクリエイティブで進める新聞広告を、あえて3タイプ制作し、首都圏・東日本・西日本で分けて配布しました。3枚の新聞広告をつなげるとメルカリの『m』が浮かび上がるというデザインなのですが、1枚だけ見ても、“つなげたら何か起きそう”なデザインにすることで、それを発見した人がTwitterに思わず投稿したくなるような仕組みを作っています」

新聞広告を3枚並べると「m」の文字が浮かび上がる

思わせぶりなデザインにするという“ヒント”を提供しておき、あとは何も言わずにユーザーの反応を待つ。離れたエリアの新聞を手に入れるのは難しいので、ほかのデザインが気になった場合は、自然とオンライン上での情報収集が開始されるだろう。そうして、SNSで活発なやり取りが発生するというわけだ。

「最初はもっと控えめのデザインだったのですが、それじゃダメだと言いましたね」

穏やかな口調ではあったが、村田氏の言葉からはクリエイティブに対してのこだわりを強く感じた。

「折り込みチラシのときもそうですが、守りに入ったら企業は終わると考えているので、常に攻め続けたいと考えています」

クリエイティブに対して攻めの姿勢を崩さない村田氏。それを象徴するエピソードとして、折り込みチラシのプロジェクトのキックオフ時には、「私をクビにする覚悟で仕事をしてほしい」とメンバーに伝えたのだという。

「もちろん、ほんとうにヤバいときは止めますよ。ただ、メンバーがリスクを考えてしまうと、どうしても“置きにいく”ようなアイデアになりがちです。責任なら私が取るので、どんどん攻めてほしいというメッセージですね」

置きにいくクリエイティブでは、SNSでバズらない。メンバーが自由にアイデアを出せる環境整備こそ、尖ったクリエイティブを生み出すのに必要なことなのだろう。

2019年はメルカリの内面を伝える年に

今回、折り込みチラシと新聞一面広告で、SNSでバズらせるマーケティングを実施したメルカリ。折り込みチラシに関していえば、まだテストマーケティングが終わった段階である。今後は全国的に折り込みチラシの配布を行うのだろうか。

「明確な方針はまだ決まっていませんが、折り込みチラシについては、読み物としてお客さまから期待されるコンテンツにしていきたいと考えています」

ただし、「今日は○○が特売」「○○が新発売」といったように、新聞チラシは日々情報が更新されるから読み物として成立する。タイムリーな情報をチラシで打ち出せないメルカリは、どのようなコンテンツにしていくのだろうか。

「今回折り込みチラシで意識したことの1つに、商品をたくさん入れるという点がありました。実際にメルカリで何が売られているかまでは知らない人が意外と多いんですね。そのような人からすると、トイレットペーパーの芯が売れることは1つの発見になるでしょうし、自分の家にある家電がいくらで売れるかということも新しい発見です。そのように、ほかにも、まだまだ知られていない情報があるので、継続的にチラシをやると決まったら、もっとメルカリの内側を知ってもらう情報を提供していきたいですね」

メルカリの内側を知ってほしいと話す村田氏。実は、はじメルにも同様の意図があったという。

「メルカリを使えば『新しい趣味を始める』ことへのハードルを下げられると伝えたかったのです。例えば、ゴルフを始めようと考えたら、ゴルフクラブのセットを購入する必要がありますよね。それが仮に10万円であれば、『ちょっとやってみようかな』程度に思っている人からすると、やはりハードルは高い。しかし、メルカリを使うことで、まずゴルフクラブを5万円で買える可能性があるのです。そのうえ、5万円で売られているのであれば、それに近い金額で売却できることも意味します」

5万円でゴルフクラブを買ってみたはいいものの「あまりおもしろくないな」と感じた場合、4万5000円で売却できれば、5000円の出費でゴルフを体験できるわけだ。

「また、メルカリにはバーコード出品と呼ばれる機能があって、バーコードを読み取るだけで商品情報を自動入力してくれるんです。値段も提案してくれるので出品が楽なのですが、最近では本を買うときにまずはバーコード出品を行う人が多いようですね。ちょうど読み終わったくらいに売却できて便利なんです。期限を決めることで、読まないといけないというプレッシャーにもなりますし、2000円の本を1500円で売却できれば、500円で本が読めるわけです」

何か買うときに、メルカリでまずいくらで売れるかをチェックする。そして、使わなかったり、一度使って満足したりすると、メルカリで売却するという消費行動が増えているのだ。その結果、購入のハードルが下がるので、二次流通が一時消費を活性化させる可能性もあるだろう。

「このような使い方の訴求は、継続してやっていきたいなと。そしてゆくゆくは、メルカリをライフインフラのようにしたいですね」

村田氏は展望を語る。

「認知はすでに獲得しました。次はメルカリの内面をもっと外に出していくフェーズです」

2018年には株式を上場し、気流に乗るメルカリ。決して“置きにいかない”同社のマーケティング戦略から、次はどんなアイデアが飛び出すのだろうか。2019年も同社の尖った広告が、SNSを騒がせるかもしれない。

上場後振るわぬソフトバンク、次は「行政指導」

上場後振るわぬソフトバンク、次は「行政指導」

2019.01.24

ソフトバンクの通信障害、総務省が行政指導へ

再発防止のためのさまざまな対策立案を支持

上場前後で「運がない」ソフトバンクに求められるもの

総務省は1月23日、昨年12月に大規模な通信障害を起こしたソフトバンクに対して行政指導を行った。

通信障害は、ソフトバンクのLTEに関する交換機の不具合が原因で起こったもの。それによって同社の4G LTE網に障害が発生し、音声・データ通信ともに圏外になる、もしくはつながりにくい状態が長時間続き、大きな話題になっていた。

通信障害は12月6日の13時39分頃発生し、その後同日18時4分頃まで、4時間25分に及び、約3060万人の利用者に影響を及ぼした (ソフトバンク ニュースリリース)

総務省は今回、同社の代表取締役取締役社長執行役員兼CEOの宮内謙氏宛に「電気通信事故に関する適切な対応及び報告について」と題した文書を提出。

ソフトバンクの宮内謙代表

文書では、ソフトバンクが2018年中に同件を含めて3回の重大事故を発生させていることを挙げ、「このような事故の発生は利用者の利益を大きく阻害するもの」とし、社内外の連携体制の改善や利用者への周知内容・周知方法の改善、通信業界内での教訓の共有等の実施を勧告。さらに、それぞれの具体的措置の内容を2月末までにまとめ、報告するよう義務付けた。

携帯電話は、通話やメッセージのやり取りはもちろん、決済サービスや災害時の情報収集ツールとして、今や国民のライフラインになっている。

総務省は同文書で「事故における教訓を業界全体で共有することが重要である」ともしており、今後の再発防止策等の詳細について、ほかの携帯電話事業者に説明し、情報共有する機会を設けることも求めた。

昨年末に鳴り物入りで上場したが、なかなか株価が振るわないソフトバンク。その背景には、通信障害や「PayPay」のクレジットカードの不正利用、さらには同社が通信設備を使用している中国・ファーウェイの米中対立やCFOの逮捕などの問題などが影響していることだろう。

ソフトバンクグループは昨年11月に行われた2018年度第2四半期決算説明会で、「RPA(Robotic Process Automation)の導入により通信事業の人員を削減し、新規事業に力を入れていく」としていたが、新規事業の前に、まずは逆風吹く通信事業の早急な立て直しが求められている。