黒船来航でハンバーガー戦争勃発! 迎え撃つ老舗モスバーガーの戦略は

黒船来航でハンバーガー戦争勃発! 迎え撃つ老舗モスバーガーの戦略は

2016.06.20

日本マクドナルドが業績不振に陥る一方で、シェイクシャックやカールスジュニアといった海外の専門店が次々に上陸を果たす日本のハンバーガー業界。老舗と新興勢力が顧客獲得でしのぎを削る有様は、“ハンバーガー戦争”とでも形容したくなるほどだ。風雲急を告げる業界にあって、日本勢はどのような戦略を描いているのだろうか。モスバーガーを運営するモスフードサービスで話を聞いた。

成熟市場ならではの混戦模様

なぜ今、日本でハンバーガー戦争が起こっているのか。その背景として、“食”に関する成熟した市場の存在を挙げるのは、モスフードサービス執行役員・総合企画室長の千原一晃氏だ。

モスフードサービスの千原氏とモスバーガーのマスコットキャラクターであるモッさん

モスの1号店がオープンした1970年代には、まだ珍しい食べ物だったであろうハンバーガー。マックとモスが競い合うように店舗網を拡大した結果、いつしかハンバーガーは当たり前のメニューとなり、ある意味でありふれた存在となっていった。その成熟市場に商機ありとみたのが、続々と乗り込んできている海外グルメバーガー勢力だと千原氏は分析する。

味、素材、ボリューム、バーガーショップの雰囲気など、ハンバーガーが持つ本質的な価値に焦点を当て、その魅力を再認識させるような戦略で日本市場に打って出たグルメバーガー勢力。商品の値段は総じて高めだが、その価格設定の裏には「既存のハンバーガーとは違う」という自信が透けて見える。日本の成熟市場は、高級・高品質路線のハンバーガーを展開する海外勢の出店に敏感に反応した。

高品質バーガーの市場は「決してニッチではない」

グルメバーガー勢の日本事業は総じて好調な様子。ニューヨーク発のバーガーショップであるシェイクシャックとベアバーガーは、両社とも2016年に入って日本2号店を開業した。2016年3月に秋葉原に1号店をオープンし、18年ぶりの日本再上陸を果たしたカールスジュニアは、今後10年で150店舗まで事業を拡大するという方針を打ち出している。

従来のハンバーガーに飽き足らず、もう少しプレミア感があり、ボリュームのある商品を望む層はかなりいるとの見方を示すカールスジュニアジャパンの渡邉氏。(2016年5月10日のAKB48ブランド大使就任式にて撮影)

以前お話をうかがったカールスジュニアジャパンの渡邉雅人代表取締役社長は、日本におけるグルメバーガー市場を「決してニッチとは呼べない」大きさだと表現した。マックとモスが拡大に努めたてきたハンバーガー市場は、多種多様なメニューが存在する日本の外食業界にあっても、品目別に見ると最大級の規模だ。高価格のグルメバーガーに手を伸ばすのが一部のバーガーファンに限られるとしても、分母が大きいぶん、その顧客層は市場規模としてみた場合決して小さくないというのが同氏の見立てだ。

グルメバーガー勢の侵攻を日本の老舗企業はどう捉えているのだろうか。前出の千原氏は、市場の活性化につながる昨今の動きは「脅威というより大歓迎」と話す。仮に品質にこだわらない激安バーガーショップが海外から乗り込んできたのであれば、日本におけるハンバーガーのブランド価値は低下し、既存バーガーチェーンにも悪影響が及ぶおそれがあった。高級店の上陸とともにグルメバーガーブームが到来し、ハンバーガーの魅力が見直されるような流れは、品質重視の姿勢を堅持してきたモスにとっても歓迎すべき事象だったのだ。

モスの強みはぶれない姿勢

注文を受けてから商品を調理する「アフターオーダー方式」や、国内の協力農家で農薬や化学肥料に極力頼らない栽培方法で育てる「モスの生野菜」など、品質重視の取り組みがモスの特徴だ。コストと手間がかかっても品質を優先する同社の姿勢を千原氏は「愚直」と表現する。効率や価格ではマックに差をつけられ、結果的に売上高や店舗数といった面でも同社の独走を許しているモスだが、安易な価格競争に走らず、品質重視を貫いたことが、結果的に他社との差別化につながり、顧客からの評価に結び付いているという側面がありそうだ。

筋の通ったぶれないメニュー開発からもモスの独自性が感じられる。2016年4月、「アボカドチリバーガー」などの新商品発表会に登壇した同社商品本部長の太田恒有氏が、商品開発のポイントの1つとして挙げたのが「医食同源」というキーワード。ハンバーガーのパティを大豆でできたものに変更できる「ソイパティ」、バンズの代わりにレタスを使用した「菜摘」、そしてアボカドを用いた商品といったように、モスが提示してくる新商品群は、栄養バランスへの強いこだわりを感じさせるものばかりだ。

ソイパティのモス野菜バーガー(写真左)と菜摘(写真右)。定番バーガーをカスタマイズし、医食同源の考え方を落とし込んだ商品展開だ(以下、写真提供はモスフードサービス)

品質重視の姿勢こそ不変だが、顧客の嗜好が変わってきたとみれば定番メニューに手を加えることもいとわない。主力商品「モスバーガー」などに使用されているミートソースであっても、味は時代に合わせて変えている。モスフードサービス広報・IRグループの森野美奈子氏によれば、創業当時のレシピで作ったミートソースは今よりも塩気が強く、現代の顧客の好みにはマッチしない味なのだという。

定番のモスバーガー。おなじみのミートソースも時代に合わせて味が変化している

季節によって野菜の仕入先が変わるため、時期によっても味が微妙に変化するモスの商品群。味の変化は顧客を飽きさせず、リピーターをつなぎとめるという結果も生んでいると千原氏は語る。

グルメバーガー勢は競合相手にあらず

品質を重視する姿勢はグルメバーガー勢も前面に打ち出しているところ。ターゲット層がバッティングするモスバーガーと海外勢の間では、激しい顧客争いが起こっているものと想像していると、千原氏から聞くことができたのは意外な現状分析だった。

「(これから食事に行く人が)今日はモスにする?シェイクシャックにする?とは言わない」。千原氏はシェイクシャックら海外勢を非日常、モスを日常と分類したうえで、両者の間に激しい顧客の奪い合いは起こらないとの考え方を示した。店舗数、利用シーン、利用者の属性など、両者の間には様々な違いがあるため、顧客を食い合うような自体は起こりにくいのだという。品質重視は一緒でも、「モスは日常のなかの高品質を目指す」(千原氏)というのが同社の基本姿勢だ。

グルメバーガーブームに呼応する上位ライン展開

それでは、モスは「グルメバーガー勢を相手にせず」と高をくくっているのだろうか。その問いに対する答えとなりそうなのが、2015年11月に東京の千駄ヶ谷でオープンした「モスクラシック」の存在だ。

「大人のためのハンバーガーレストラン」を標榜するモスクラシックは、1個1,000円を超えるハンバーガーやアルコールなどを取り揃えるモスの新業態。モスは以前、この手の店舗を神楽坂に出店したことがあるが、当時のテナントは面積が狭く、大きなグリドル(鉄板)を中心とするオープンキッチン型の店舗作りには不向きだったことから、テナント契約を更新せず、別物件への移転を検討していたという経緯がある。今回の再出店は、グルメバーガーブームを捉えた素早い対応だといえる。

日本発祥のバーガーショップであるモスに、高価格帯の上位ラインを求める声は株主からも上がっていたという。神楽坂のモスクラシックを知る顧客からも、もう一度食べてみたいという意見は出ていたそうだ。千原氏によると、千駄ヶ谷店の手応えは上々の様子。地元住民を含む幅広い客層を獲得できており、「(ランチタイムのみならず)夕方から再びピーク」がくるという、ファーストフード店とは違った盛り上がりもみせているそうだ。千駄ヶ谷店の反応を見つつ、6大都市への展開も考えるという方針にも変わりはないようだ。

総武線の千駄ヶ谷駅から徒歩3分のモスクラシック(外観は写真左)。店内はゆったりと座れるソファと落ち着いた照明が特徴だ(写真右)。席についてから注文し、帰りに会計を済ませるレストラン形式の店舗で、顧客に「くつろいでもらえる空間」(森野氏)を提供することを目指している

外食戦争に巻き込まれるハンバーガー業界

日常のモスバーガーと非日常のモスクラシックで2正面作戦を展開するモスフードサービスだが、主戦場となるのはやはり日常の部分だろう。そうなると、モスの競合相手として強力なのは、他のバーガーショップというよりもむしろ他の外食産業だ。

ラーメンやうどんはもちろんのこと、最近では低価格の回転寿司チェーンなども勢力を拡大している。コンビニエンスストアをはじめとする中食ビジネスの伸張も脅威だ。海外勢の上陸により、日本で勃発したハンバーガー戦争も、実際のところは“外食戦争”という大きな流れのなかで起きた局地戦に過ぎないのかもしれない。

マクドナルドが失った売上高は業界内で還流せず

日本マクドナルドの業績をみると、2011年12月期から2015年12月期までの5年間で全店売上高が1,600億円弱の減少となっている。この5年でマックが失った巨額のハンバーガー代は、いったいどこへ消えたのだろうか。モスフードサービスの業績をみると、2011年度からの5年間はおおむね右肩上がりに売上高を伸ばしているものの、増加額は100億円弱に過ぎない。マックの受け皿はモスだけではないが、マックから離れた1,000億円を超えるハンバーガー代が、全て同業に流れたとは考えにくい。「マック離れ」を起こした顧客の多くは、おそらく他の外食産業に流れているのだろう。

マクドナルドの全店売上高は急激に減少。モスバーガーは右肩上がりだ(グラフは両社の発表資料から筆者作成)

日本フードサービス協会の調べによると、外食産業市場は2011年から2014年にかけて右肩上がりで拡大している。一方、日本フランチャイズチェーン協会の調査によれば、ここ数年でハンバーガーチェーン全体の売上高は大きく減少している。

もちろんハンバーガーを取り扱っている個人商店も多いので、チェーン店に限った調査結果を使っても正確な分析は困難なのだが、こうして2つの統計を比較してみると、消えたハンバーガー代が他の外食産業に取り込まれているとの推測もあながち間違っていないような気がしてくる。モスフードサービスの千原氏が、「(昔のマックと)同じような(家族連れがシェアして食事するという)光景を某うどんチェーン店で見かけるようになった」と感想を漏らしていたのも印象的だった。

外食産業の市場規模が徐々に拡大しているのに対し、ハンバーガーチェーン全体のの売上高は落ちている(グラフは日本フードサービス協会と日本フランチャイズチェーン協会の発表資料から筆者作成)

ハンバーガー再評価のチャンス、試されるモスの愚直な姿勢

日本マクドナルドの業績不振により、外食戦争では厳しい戦いを強いられているハンバーガー業界だが、海外勢の参入が相次ぎ、グルメバーガーブームが起こっている現在の状況は、業界を活性化させる大きなチャンスでもある。「道ばたのバーガースタンド」を志向するシェイクシャック、「セクシーでエッジー」というブランドイメージを打ち出し、若いバーガーファンの需要を開拓しようと目論むカールスジュニア、「BurgerLove」(バーガーラブ)路線で再びヒット商品を連発し始めたマックなど、多様なプレイヤーが独自のカラーを打ち出して勝負している現状は、ありふれたメニューになりつつあったハンバーガーの復権を図る好機だ。

ぶれないメニュー開発と品質へのこだわりから感じられるモスの「愚直さ」は、群雄割拠のハンバーガー市場において同社最大の武器となる。作り置きをしないことや、1つ1つの野菜を店舗で仕込むといった一見すると非効率的な手法こそ、業界の中で同社を特別な存在にしている要因だ。「思いつきで変わった商品を出すのが差別化だとは考えていない」という千原氏の言葉が、同社の考え方を端的に表している。グルメバーガーブームのなかにあっても、品質重視の愚直な姿勢を貫いていくことこそがモスバーガーの戦略だといえるだろう。

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

2019.03.22

ネットの学校「N高」の卒業式に潜入

開校時に入学したN高1期生が卒業した

世間の注目を浴び続けた生徒は、何を想う?

3月、角川ドワンゴ学園「N高等学校」の卒業式が東京・お台場にて開催された。

「ネットの高校」として、3年前に設立したN高。この日、2016年の開校時に入学した第1期生と、途中転入・編入した生徒をあわせ、計1593名が卒業した。3年前、『VR入学式』で世間を賑わせたこの学校を巣立つ卒業生たちは、N高での日々をどう捉え、今後はどのようなキャリアを描いていくのだろうか。

卒業式は2019年3月20日、お台場にて行われた

卒業式を彩る最新テクノロジー

N高は、ドワンゴとKADOKAWAの経営統合で誕生したカドカワが設立母体となり、2016年4月に開校された通信制高校だ。同校は開校後、2年次編入なども受け入れてきたため、これまでも卒業生を排出してきてはいたが、「1年生~3年生をN高で過ごした生徒」が卒業するのは、初めてのことだ。

卒業式には多くの報道陣も参加した。生徒にとって、「卒業式に記者がいる」「自分たちが卒業する様子がテレビやWebで取り上げられる」というのは不思議な感覚だろう。とはいえ、もう「VR入学式」に「ニコニコ超会議」へのブース出展(N高ではそれを「文化祭」と表現)などの経験を経て、メディアへの露出には慣れてしまっているのかもしれない。

そして、今回の卒業式も例によって独特だった。

卒業式は任意参加で、会場には袴や制服に身を包んだ生徒が集まる一方、その様子をライブ配信することで、会場に来られない生徒生徒も参加できる仕組みになっていた。会場のスクリーン上にはニコニコ生放送さながら、リアルタイムでコメントが表示されており、こうした演出は「N高らしい」といった印象を受けた。

卒業式の様子。オンライン参加者のコメントがスクリーンを流れる

中でも印象深かったのは、当日来られなかった生徒を代表して、米シリコンバレーに留学中の佐々木雅斗さんが「ロボット」に自分の顔を映して卒業証書を受け取ったシーンだ。

使用したのは、ANAが“未来の移動手段”として開発する、視覚・聴覚・触覚などを備えた、ユーザーの分身となるロボット「ANA AVATAR」。同校ではこのロボットを試験的に授業にも導入しているそうで、こういった最新のテクノロジーを使うあたりもN高らしい。

遠隔操作ロボット「ANA AVATAR(Beam Pro)」を用いて卒業証書を受け取った佐々木さん

と、テクノロジーにばかり目が行きがちではあるが、そもそも「高校生がシリコンバレーに留学している」という事実も驚くべき点だ。高校に通いながらも、シリコンバレーでビジネスを学ぶ――、というキャリアを選べるのは、学校という場所の制約を受けない、ネットの高校のメリットと言えるだろう。

卒業式にはほかにも「異色のキャリア」を持つ生徒たちが集まり、特に活躍した卒業生に対する特別表彰も行われた。

表彰を受けたのは、東京から鹿児島県に移住し、農業や水産業を手伝い地域活性化に貢献する白鳥優季さん、第18回アジア競技大会ジャカルタ・パレンバン「ウイニングイレブン 2018」eスポーツ 金メダリストの相原翼さん、N高のプログラムを最大限に活用し、スタンフォード大学やオックスフォード大学のサマープログラムに参加した冨樫真凜さんなど。その活躍の幅は広い。

さまざまな分野で活躍したN高生に対しては、特別表彰が行われ、記念品としてクリスタルトロフィーが贈呈された

メディア露出が多いがゆえに高まる期待値

N高を卒業した個性豊かな面々は、今後は大学進学、就職とさまざまなキャリアを歩む。

日本初で唯一N高にのみ実在するという「起業部」に所属し、かつ起業第一号として「Easy Go」という会社を創業している、鈴木颯人さんと山田陽大さんから「N高で過ごした時間」についてコメントをもらった。

「元々は地元の進学校に通っていたのですが、『自分が好きなことをしたい』『起業したい』という想いがあり、N高に入学しました。年齢や場所に縛られず、多くの人とコミュニケーションを取れ、充実した3年を過ごせました」(鈴木さん)

「以前通っていた学校が自分と合わず、ネットで見つけたN高で『ここだったら新しいことができるかも』と入学を決意しました。今振り返ってみて、やはり『この学校に来てよかった』と思います」(山田さん)

Easy Go代表取締役の鈴木颯人さん(左)と取締役の山田陽大さん(右)

2人に限らず、卒業生のコメントを聞いていくと「この場所で挑戦してみたい」という想いの元、N高を選んでいる生徒が多い印象だ。

普通の高校とは違い、メディアに露出する機会の多いN高での生活は、良くも悪くも、世間からの注目を浴びる。まだ高校生の彼らにとっては、その視線が時に辛く感じることもあっただろう。ただ、その一方で鈴木さんは「初めて会う方とお話しする際、『N高出身です』と言うだけで、会話が広がることがよくあります」とその知名度を好意的に捉えている。

若くして、覚悟を持ってN高という環境に飛び込んだ生徒たちは、周囲の視線を浴びつつ、たくましく成長してきたことだろう。「N高出身」というキャリアは、彼らにとって1つの大きな武器になりそうだ。

カドカワは新たに2019年4月から、「N中等部」も開校する予定だ。「ネットの学校」という、世間の注目が集まる新しいコンセプトの学校だからこそ、在校生・卒業生の動向は、今後もしばらくは注目され続けそうだ。

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スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

2019.03.22

中国スマホメーカーのOPPOが独自のカメラ技術を説明

開発競争が続くスマホカメラ、トレンドは「望遠」へ

高倍率ズームスマホの登場で、デジカメの優位性に危機?

中国のスマホメーカーとしてシェアを急拡大するOPPOが独自に新開発したカメラ技術、「10倍ハイブリッドズーム」が面白い。実際に2019年の新機種からスマホへの搭載を進め、日本市場へも製品を投入するという。

OPPOが「10倍ハイブリッドズーム」技術を紹介

メーカー間の開発競争が続くスマホカメラだが、「望遠」が次のトレンドになりつつある。デジタルカメラに匹敵する10倍もの高倍率ズームを、OPPOはどのように実現したのだろうか。

1年で7機種を投入、気付いた「日本市場の難しさ」

OPPOは世界のスマホ市場で熾烈な4位争いを繰り広げている。サムスン、アップル、ファーウェイのトップ3社に続く集団の中で、2018年は中国Xiaomiに僅差で迫る5位になった(IDC調べ)。

OPPOは2018年、日本市場で7機種のスマホを発売した。OPPO日本法人の鄧宇辰社長は、これまでに国内販売チャネルを12に拡大し、あわせて認定修理店を全国に展開したことを挙げ、「日本のSIMフリー市場でいち早く成長するブランドになった」と振り返る。

オッポジャパン 代表取締役社長の鄧宇辰氏
2018年の1年間にスマホを7機種投入

2019年は国内展開をさらに加速する。日本の消費者に向けたコミットメントとして、件の「10倍ハイブリッドズーム」機能を備えたスマホや、FeliCa・防水対応のスマホ、新たに立ち上げたブランド「Reno」シリーズの市場投入を約束する。

また、話題の「5Gスマホ」の市場投入も急ぐ。日本では5Gの周波数がまだキャリアに割り当てられていないものの、ドコモ、KDDI、ソフトバンクを含む世界の事業者と標準化に向けて連携しており、準備を整えていることを強調する。

MWC19のQualcommブースではOPPOが5Gスマホを実演

一方で鄧社長は、日本市場の難しさについて、「1年の経験を通して、日本市場は他の国と違うことに気付いた。消費の習慣や求めるレベルも高い。グローバルのやり方を日本に持ってきても通用しない」とも述べている。日本市場における品質やサービスの要求水準の高さは、多くのメーカーが直面してきた課題だが、OPPOも同じ壁にぶつかったといえそうだ。

スマホカメラ、次のトレンドは「望遠」に

そのOPPOが市場攻略にあたり、特に注力をしはじめたのが「カメラ」だ。その中でも、業界では次の進化ポイントとして「望遠」技術に注目が集まっている。

そもそもスマホはデジカメと違い本体が薄いため、搭載できるレンズに物理的な制約がある。このレンズの制約から、スマホのカメラはどうしても焦点距離の狭さが弱点になってしまっていた。そこで最近はスマホに複数のカメラを内蔵し、それぞれで広角や望遠を使い分けることで、この弱点を克服しようと進化している。

OPPOの「10倍ハイブリッドズーム」技術は、この弱点に対し異なるアプローチで挑む。プリズムを使って光を屈曲させるペリスコープ(屈曲光学)構造をカメラモジュールに採用することで、レンズを従来の垂直方向ではなく水平に配置できるようにした。これにより、薄型のスマホであっても、光学レンズでは従来不可能だった高倍率ズームが搭載できる。

光を曲げるペリスコープ構造を採用

ただ、35mm換算での焦点距離は16~160mmの10倍となっており、一般的なコンデジの感覚では5倍ズーム程度の性能だ。8.1倍以上はデジタル処理を組み合わせた「ハイブリッドズーム」としているなど、いくつか注意点はある。とは言え、これまでにない望遠レンズをスマホで扱えるのは面白い。

10倍ハイブリッドズームによる画角の違い

OPPOは既に報道陣に向けて、この10倍ハイブリッドズーム技術を搭載するスマホの開発デモ機を公開している。2019年の第2四半期には製品化する計画で、日本市場へも2019年中に投入する見込みだ。

10倍ハイブリッドズームのデモ機。5Gにも対応できるという

特にカジュアルなカメラ需要の受け皿としてスマホに押されがちなデジタルカメラだが、高倍率ズームはスマホには無い、デジカメに残された得意分野のひとつだった。だが望遠もスマホで十分撮れるとなれば、いよいよその優位性も危うくなる。今回のズーム技術は、デジカメ市場をもう一段縮小させてしまう可能性を秘めているのだ。

最大のライバルであるファーウェイも「HUAWEI P30」シリーズで望遠カメラを搭載するとみられており、今後は各メーカーが高倍率ズームで競い合うことは間違いなさそうだ。

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