化粧品最大手「資生堂」ならではのド派手な入社式

化粧品最大手「資生堂」ならではのド派手な入社式

2018.04.04

4月2日、新年度がスタートし、多くの企業で新卒者を社員に迎えたことだろう。それにともない、入社式を実施した企業も相当数にのぼるはずだ。

近年は売り手市場といわれるほど、企業が人を集めている。言い換えると、求人活動を行っても人が集まりにくい状況にある。そんななか、700名以上の新入社員を確保し、ド派手な入社式を行った企業がある。化粧品最大手の資生堂だ。

資生堂といえば、常に就活生からの人気が高い企業だ。「マイナビ2019」の文系総合ランキングでは11位だが、女子からの人気が高く、文系女子では第4位、理系女子では1位という結果となっている。化粧品をメインに扱っていることを考えれば、女子学生からの人気が高いことは至極当然だろう。

そんな資生堂が入社式を行った。一般的に入社式のような社内行事にメディアが呼ばれることはあまりないのだが、2年続けて入社式に招待されたので、今年の様子をレポートしよう。会場となったのは、舞浜アンフィシアター。2,100以上もの客席と、客席との一体感を演出できる舞台を備えたシアターだ。ちなみに昨年も500人以上の新入社員を迎え、この場所で入社式が行われた。

舞浜アンファーシアターのステージ。空いている客席は、これから新入社員が座るところだ

入社式会場は、新入社員の熱気であふれていた。何しろ700名以上が集り、入場するために長蛇の列ができていた。その列を横目で見ながら会場に入ると、すでに多くの方々が入場していたが、彼らは新入社員ではなく、先輩社員だということだ。グループ連結で約46,000人を数える資生堂だが、これから同僚となる社員の入社を祝おうという社員が1,000人以上も集まったというから、同社の社風が伝わってくる。

入社式は新入社員の入場から始まった。この際、代表取締役 執行役員社長 兼 CEO 魚谷雅彦氏が通路に立ち、一人一人とハイタッチしていく。何しろ700人以上とのハイタッチだ。魚谷社長は手のひらが痛くなったであろうが、新入社員にとっては、いきなりトップとのコミュニケーションだ。この瞬間を心に刻んだに違いない。

その後、舞台に立った魚谷社長からプレゼンテーションとなった。それによると、資生堂は業績を拡大させ、2017年はついに1兆円超の売り上げになったという。さらに2020年までには1兆2,000億円の売り上げを目指すとした。そのための成長戦略として「ブランド事業のさらなる選択と集中」「デジタライゼーションの加速・新事業開発」「イノベーションによる新価値創造」「世界で勝つ、人材・組織の強化:“PEOPLE FIRST”」「グローバル経営体制のさらなる進化」の5本を進めていくという。

左:続々と入場してくる新入社員。右:新入社員とハイタッチを交わす魚谷社長

グローバル戦略に注力する資生堂

プレゼンを行う魚谷社長

なかでも力がこもっているなと思ったのがグローバルに対する姿勢だ。まずはアジアで「Made in Japan」のコスメティクス・パーソナルケアブランドとしての地位を築き、2030年に向けて、資生堂を世界で最も信頼される会社にしていきたい考えだ。

今回、入社式に参加した新入社員にもその意識が見て取れた。というのも、魚谷社長はプレゼン中に、「グローバルな舞台で戦ってみたい方は?」という問いかけをしたところ、新入社員の4割ぐらいが挙手をした。グローバルで活躍したいという、新入社員の熱気が伝わってきた。

その後、ますますド派手さが増していく。まずステージの真ん中がせり上がり、和太鼓が登場。そしてフラッグセレモニーが和太鼓を中心に展開された。こじつけかもしれないが、和太鼓が日本、そしてフラッグがグローバルを表しているのかもしれない。和太鼓を中心にフラッグが取り囲む様は、Made in Japanをグローバルに広げるという表現のように思えた。

ステージから和太鼓がせりあがり、フラッグセレモニーが囲んだ

資生堂のCMに出演するモデルも登場

会場の熱気が最高潮に達したのは、資生堂のCMを務めるモデルらが登場したとき。「マキアージュ」のCMに出演する白石麻衣さん、「エリクシール ルフレ」のCMに出演する吉岡里帆さん、「シーブリーズ」のCMに出演する中川大志さんがそろって姿を見せると、会場からはひときわ高い歓声が上がった。

そして、新入社員全員が一人5秒という短い時間ながら、抱負を語っていく。スラスラと語る方もいれば、緊張を隠し切れていない方もいて、初々しさを感じた。

左:資生堂のCMに出演するモデル。右:一人5秒ずつで抱負を語る

さて、資生堂がこれほど派手な入社式を行った理由を考えてみた。もちろん、新入社員の士気高揚というのが第一義だろうが、「よい企業」という印象を新入社員に植え付ける意味もあったと思う。前述したとおり、人手不足が深刻になりつつある。屈指の人気企業である資生堂ならば今後も就活生が集まるだろうが、入社式の様子を大学OB・OGから話を聞いた学生は、より一層、資生堂に興味を持つのではないか。

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2019.06.17

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放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu