スバルが新型フォレスターを日本公開、基幹車種の何が変わったのか

スバルが新型フォレスターを日本公開、基幹車種の何が変わったのか

2018.04.09

SUBARU(スバル)がSUV「フォレスター」の新型(米国仕様)を日本で初公開した。世界で最も売れるスバル車でもあるフォレスターだけに、フルモデルチェンジで何が変わったのかは気になるところ。開発責任者の話と共に新モデルの特徴を見ていきたい。

スバルが新型「フォレスター」(米国仕様)を日本で初めて公開した

スバル販売台数の3分の1は「フォレスター」

スバルは年間約100万台のクルマを販売しているが、フォレスターはその約3分の1を占める同社の基幹車種だ。得意とする米国市場では、「アウトバック」と「フォレスター」が約18万台ずつの販売台数でスバル車の双璧をなす。日本ではモデル末期となった2017年(暦年)こそ1万9,000台弱という販売台数だったが、現行モデルが登場した後の2013年は約3万5,000台が売れて、その後の3年間も平均すると年間2万5,000台前後の売れ行きを示していた。

「フォレスター」のグローバル販売台数

スバルは先頃、ニューヨークモーターショーで新型「フォレスター」を世界初公開(2018年3月28日、現地時間)し、このほど日本でメディア向けのお披露目会を開催した。1997年に登場したフォレスターは約5年ごとにフルモデルチェンジを繰り返し、今回の新型で5代目となる。

5代目となった「フォレスター」

新型フォレスターの世界初公開からスバルには、顧客の声として、現行モデルからの変更点が見えにくいとの意見も届いているという。確かにガラリと姿を変えてはいないフォレスターだが、現行モデルのビッグマイナーチェンジからフォレスターの開発責任者を務めているスバル商品企画本部の布目智之プロジェクトゼネラルマネージャーによれば、新型モデルは「確実な進歩」を実現すべく開発を進めたという。

基本的な価値は「踏襲」

スバルがフォレスターで提供する価値の基本は「どこにでも行ける、どんな場所でも使える」というもの。布目氏は基本的な価値を踏襲しつつ、そこに何を加えられるかを考えて新型モデルを開発したという。

開発にあたってスバルが調べたのは、顧客がSUVにどのような情緒的な価値を求めているかということ。それは「心の中の冒険心を後押ししてくれる走行性能・デザイン」であり、「同乗者まで楽しめる快適な室内空間」であったと布目氏は語る。

スバルは顧客がSUVに求める「情緒的価値」を考えて新型「フォレスター」を作った

SUV“らしさ”を前面に打ち出す「フォレスター」

その観点で新型フォレスターを見ていくと、まずデザインはスクエアながらフェンダーが張り出しており、SUVらしい力強さが感じられる。サイドからピラー(ウィンドウを縦に区切る柱のような部分)につながる削ぎ落としたような硬質な面では、SUVの躍動感も表現しているという。SUVが世界的に流行しているだけに、最近は輸入車勢を含め新型モデルを目にする機会が多いが、どちらかというと「都会的」な印象のクロスオーバーSUVが市場に増える中、スバルの「フォレスター」はいかにもSUVらしい形をしているといった感じだ。

スバルはデザインのテーマとして「ダイナミック」と「ソリッド」を打ち出しているが、「フォレスター」の造形はテーマに忠実な印象を受ける。走りの部分では、フロアの上下振動を押さえるなど、現行モデルに比べ進化を感じられる仕上がりになっているそうだ

寸法を見ると、ホイールベース(前輪と後輪の中心を結んだ長さ)は現行モデルに比べ30ミリ長くなっているが、その延長分は前席と後席の距離を広げるのに使った。これで後席足元の快適性が向上するという。幅も20ミリ広くなっているが、これも助手席と運転席の間を広げるのに使い、室内の「広さ感」を引き上げたそうだ。こういった設計を布目氏は「ヒト中心の寸法設定」と表現する。

ヒト中心の寸法設定

「冒険心」とは出掛けたくなる気持ちのことだと考えられるが、その部分で注目したいのは荷室の使い勝手だ。荷物を積んでキャンプやゴルフに出掛けるという用途がフォレスターにはありそうだが、新型のリヤゲートは開口最大幅が現行モデルに比べ134ミリも広い1,300ミリとなっている。これでゴルフバックは真横にして積み下ろしができるそうだ。新型モデルではリヤゲートを電動で開閉する機能を刷新し、よりスムーズな(素早い)挙動を実現。ルーフレールには荷物をくくりつけるひもを通す穴(タイダウンホール)を設けている。

フルモデルチェンジは「あまり悩まず」

誕生から20年超の歴史を持つフォレスターだけに、ある程度は市場からの評価も確立しているはず。それをフルモデルチェンジする場合は、大きく変えるにしろ小さく変えるにしろ誰かの不満を買うことになりそうなので、開発責任者の苦労は多そうだ。そのあたりについて聞くと布目氏からは、「もともと技術畑なので、あまり悩んでいない」との意外な答えが返ってきた。

「お客様が評価してくれているポイントや、普段使っていて不便を感じないように改良できる部分などを、どこまで積み上げられるかだと思う。現時点で、これ以上はできないというところまで積み上げれば、それが商品の評価につながる」。技術開発が進んでいるので当然だが、スバルでは毎年、クルマに対して盛り込める要素が増えていく。それを最大限、新しいフォレスターに詰め込んだというのが布目氏の言葉の意味だろう。

広いリヤゲートの開口幅

進歩の一端が垣間見える顔認証システム

その進歩を物語るポイントとして布目氏は、新型フォレスターに搭載した「ドライバーモニタリングシステム」という機能を引き合いに出した。これは車内を見守るカメラとそれに関連するシステムのことで、例えばドライバーが脇見や居眠りをした場合、カメラがそれを捉え、早めに警報を出して注意を促す。

こういったシステムは他のメーカーのクルマにも搭載されているが、スバルでは同システムに顔認識技術を盛り込んだ。これによりシステムは最大5人の顔を覚えて、誰が運転席に座るかにより、シートポジションやディスプレイで表示する情報、エアコン設定、ドアミラーの傾きなどを調整する。つまり、ドライバーが各自の好みに合わせて新型フォレスターをパーソナライズできるのだ。「クルマとヒトの間のインターフェースは、もっと親密であってもいい。クルマが自分を認識してくれることが大事なのではと考えたので、若いエンジニアと一緒になって作ってみた」。そう布目氏は話す。

乗る人の顔を覚える新型「フォレスター」

新型フォレスターを買うのは父親だとしても、その子供が時々、このクルマを借りて乗るケースは大いにありそうだ。そんな時でも、クルマが自分を覚えていてくれるというのが、この機能の特徴だ。顔認証機能のついたスマートフォンや、別々のプレイヤーが各自のアカウントでサインインして遊ぶゲーム機などに慣れている世代であれば、この機能を面白がるかもしれない。

こんな機能も追加となった新型フォレスターだが、日本仕様の発表・発売は2018年の初夏になるそうだ。

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

2018.11.16

シャープが新スマホ「AQUOS R2 compact」を発表

大画面化の波に逆らい、「片手ポケット族」が増加傾向に

iPhone不在の「小型スマホ」市場を狙う

11月15日、シャープがAndroidスマートフォンの新製品「AQUOS R2 compact」を発表した。名前に「compact」と付いている通り、最近のスマホ市場では選択肢が減っている小型モデルであることが特徴だ。

小型スマホの需要を取り込む「AQUOS R2 compact」

コンパクトな見た目とは裏腹に、中身にはハイエンドである「AQUOS R」シリーズのスペックを詰め込んでいる。世界的にスマホの大画面化がトレンドとなっている中で、あえて時代に逆行するシャープの狙いはどこにあるのだろうか。

スマホを片手で持ち、ポケットに入れて使う人が増加

世界のスマホ市場では、6.5インチの「iPhone XS Max」に代表される大画面モデルが人気を博している。だが、日本では通勤電車などの利用シーンにおいて、片手で使う人が多いといわれている。シャープによれば、スマホを片手で持つ人は64% 、服のポケットに入れて持ち運ぶ人は49% に達しており、その割合は上昇傾向にあるという。

片手で持ち、ポケットに入れて持ち歩く「片手ポケット族」が多いという

その背景として、シャープはスマホの「インフラ化」を指摘する。SNSやコンテンツを楽しむだけでなく、サービスの利用やモバイル決済にスマホは欠かせない存在になっており、日常生活でスマホを取り出す場面が増えている。

AQUOS R2 compactは、日本人の手のサイズを念頭に置いた「横幅64mm」のボディに、できるだけ高性能な部品を詰め込んだハイエンドコンパクト機になっている。プロセッサは最新のSnapdragon 845、メモリは4GBを搭載しているが、これは大画面モデルのAQUOS R2と同等だ。

ポケットに入れやすいサイズに高性能を詰め込んだ

スマホ本体を小型化する一方、画面は前モデルの「AQUOS R compact」より大型化した。このためにシャープは画面の上下に切り欠き(ノッチ)を持つIGZOディスプレイを開発。インカメラと指紋センサを搭載しつつ、表示領域を上下に広げてきた。

前モデル(左)と比べて新モデル(右)は表示領域が広がった

「iPhone不在」の小型スマホ市場を直撃

シャープによれば、小型スマホを求める人は全体の3割程度という。スマホ市場では残りの7割に向けた大画面モデルが幅を利かせており、最新のiPhoneでは6.5インチのXS Maxに加え、一般向けモデルの「iPhone XR」も6.1インチとなっている。

一方、小型モデルとして根強い人気のあった「iPhone SE」は、後継モデルが出ないまま販売が終了。中古市場では価格が上昇する騒ぎもあった。

日本で最大シェアを誇るiPhoneだが、小型スマホ市場では存在感が薄れつつある。ソニーモバイルはXperiaシリーズのコンパクト機を投入しているが、2018年夏モデルの「Xperia XZ2 Compact」と比較して、シャープ機は画面の大きさ、薄さ、軽さの面で圧倒している。

中国メーカーとして日本でも勢いを伸ばすファーウェイ、OPPOも世界市場において大画面化競争を繰り広げており、小型モデルに積極的な動きは見せていない。この点もシャープにとって有利に働いている状況だ。

また、AQUOS R2 compactは顔認証と指紋認証の両方に対応しているのも特徴。これは、iPhoneにもXperiaにもない機能だ。スマホをポケットから取り出し、顔の前に持ち上げるだけでロックを解除できる顔認証だが、卓上に置いている場合は使いにくい。だが指紋センサがあれば、指を置くだけで済む。

顔認証に加えて指紋認証にも対応

スマホの端末メーカーの多くはグローバル市場に目を向け、大画面化のトレンドを追いがちだ。だが、シャープは国内の需要をしっかりとらえた上で、日本のユーザーに刺さる製品作りを続けている。

依然としてiPhone人気が続いている中で、限られた市場であっても「不在」のチャンスをタイムリーに活かし、ユーザーを奪還する。国内に目配りできるシャープならではの戦い方に注目したい。

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第23回

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

2018.11.16

海外メーカーの台頭で日本にも大画面化の波が到来

大画面化と使いやすさの両立、各社の工夫の歴史

縦長スマホにとって代わるのは「折り畳み」スマホか

スマートフォンのディスプレイは年々大型化が進んでおり、かつては「大きすぎる」と言われた5インチディスプレイが、今や小さい部類に入ってしまうほどだ。一方で使いやすさを維持しながらディスプレイの大画面化を実現するため、メーカー各社はさまざまな工夫を重ねている。スマートフォンのディスプレイサイズはなぜ大きくなり、今後はどのように変化していくのだろうか。

海外メーカーの台頭で日本でも大画面化に拍車

スマートフォンにとってディスプレイは、単に情報を表示するだけでなく、タッチして操作するインタフェースも兼ねている非常に重要な存在だ。そのスマートフォンのディスプレイが、ここ10年ほどで最も大きく変化した要素が「サイズ」である。

どれくらい大きくなったのかというのは、新旧のスマートフォンのディスプレイサイズを比べてみれば一目瞭然だ。日本で最初に発売されたiPhoneである「iPhone 3G」のディスプレイサイズは3.5インチだった。一方、「iPhone X」や「iPhone XS」、「iPhone XR」といった最近のiPhoneのディスプレイサイズは6インチ級があたりまえ。1.7倍に以上に拡大しているのだ。

今やスマートフォンのディスプレイサイズは5インチ以上が一般的で、6インチも珍しくなくなった。画像の「iPhone X」のディスプレイサイズは5.85インチだ

さらに「iPhone XS Max」は6.5インチもあるし、他の大手メーカーでもサムスン電子の「Galaxy S9+」やファーウェイの「HUAWEI P20 Pro」のように、6インチを超えるディスプレイを採用した機種は増えている。なぜ、これほどまでにディスプレイサイズが大きくなったのかというと、それは大画面が欲しいというユーザーが多いため。スマートフォンの性能向上によって動画やコミック、ゲームなどのコンテンツを楽しむ人が増えていることから、ユーザーのニーズに応えるかたちで、大画面が求められるようになったといえよう。

だが日本国内の事情に目を向けてみると、公共交通機関での通勤・通学が多いのに加え、片手で文字入力ができる「フリック入力」が広く普及したこともあり、片手でスマートフォンを操作する傾向が強く、実は大画面に対するニーズはそこまで大きい訳ではない。実際日本では、4インチディスプレイの「iPhone SE」が人気を保っていたし、シャープの「AQUOS R Compact」やソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ2 Compact」などのように、4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトなスマートフォンも投入されている。

2018年の夏モデルとして販売されている「Xperia XZ2 Compact」は4.9インチと、最近では珍しくなった4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトモデルだ

にもかかわらず、日本でも大画面のスマートフォンが増えているのはなぜか。まずは国内のスマートフォンメーカーが減少したことで、市場に海外メーカー製のスマートフォンが増えているためだ。海外では移動手段の違いに加え、文字入力システムの違いからスマートフォンを両手で持って操作する機会も多く、片手操作に対するこだわりが弱いのだ。

新興国などでも、ディスプレイサイズが大きいほど人気が出る傾向が目立ち、大画面に対するニーズが強いのである。海外製スマートフォンが日本市場に入り込みやすくなったことが、日本国内においてもスマートフォンの大画面化を進めたといえる。

縦長スマホの元祖はアップルだった?

とはいえ、スマートフォンが大画面化するに従って、本体の横幅がひろがり、さすがに海外のユーザーからも「持ちづらい」という声が増えてきたようだ。そこで近年急速に増えているのが、従来の16:9比率ではなく、18:9や19:9といった縦長比率のディスプレイの採用である。

持ちづらさに影響する横幅をこれ以上広げることなく、ディスプレイを縦に伸ばすことで大画面化しようとしたのだ。この流れをけん引したのは韓国メーカーで、2017年にはLGエレクトロニクスが「LG G6」(日本未発売)、サムスン電子が「Galaxy S8/S8+」といったように、縦長比率のディスプレイを採用した機種を積極的に投入した。

2017年発売の「Galaxy S8」「Galaxy S8+」は、18.9:9と縦長比率の有機ELディスプレイ「インフィニティディスプレイ」を採用したことで大きな話題となった

この韓国の両メーカーとも、グループ内にディスプレイデバイスを開発する企業を持っている。それゆえ縦長比率のディスプレイが生み出されたのには、実は大画面化だけが目的ではない。自社のスマートフォンに新しいディスプレイをいち早く搭載し、トレンドを作り上げることで、グループ企業のディスプレイデバイス販売拡大につなげる狙いもあったといえる。

だが、縦長ディスプレイで大画面化するというアイデアを真っ先に実践したのは、実はアップルである。アップルはかつてディスプレイの大画面化に消極的で、2011年発売の「iPhone 4s」までは3.5インチのサイズにこだわっていた。だが大画面化を求めるユーザーの声を受け、2012年発売の「iPhone 5」でディスプレイサイズを4インチに拡大した際に、ディスプレイの横幅はそのままに、縦に長くするという手法をとったのである。ある意味、アップルは5年前に現在のトレンドを先取りしていた、といえるかもしれない。

スマートフォンのディスプレイを縦に伸ばして大画面化するというアイデアをいち早く実践したのは、アップルの「iPhone 5」だった

しかしながら、ディスプレイを縦に伸ばして画面サイズを大きくする工夫にも、いずれ物理的な限界が来ることは目に見えている。そこで、さらなる大画面化の追求で、いま注目されているのが折り畳み式ディスプレイだ。このアイデア自体は、NTTドコモが2013年の「MEDIAS W」(NECカシオ モバイルコミュニケーションズ製)、2018年の「M」(ZTE製)で既に実現しているものだが、いずれも2枚のディスプレイを用いていたため、どうしても画面の折り目に継ぎ目が発生してしまう弱みを抱えている。

折り畳みスマートフォンとして注目されたNTTドコモの「M」は、2枚のディスプレイを用いるスタイルであるため折り畳み部分に継ぎ目が発生してしまう

だが有機ELを用いれば、ディスプレイを折り曲げられる“真の”折り畳みスマートフォンが開発できると言われており、大手スマートフォンメーカーがその開発を進めているとの観測報道も幾度となくなされている。

これは折り畳みできるという意味の「フォルダブル」スマホなどと呼ばれ、先ごろはサムスン電子が、来年発表するというフォルダブルスマホ「Galaxy F」のプロトタイプを開発者向けに見せはじめたりしている。2019年は各社から製品が登場するのではないか? との声もあるようだが、いま確実に言えることは、真の折り畳みスマートフォンがいつ、どのメーカーが、どのような形で投入するのかが、大いに注目されているということだけである。