携帯大手3社が出す「+メッセージ」はLINE対抗に育つのか

携帯大手3社が出す「+メッセージ」はLINE対抗に育つのか

2018.04.11

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手MNO3社は共同で記者会見を開催し、SMSの発展的サービスとして3社共通の仕様を採用し、相互互換性のある「+メッセージ」を5月9日から各社のスマートフォン・タブレット向けに開始することを発表した。一部で「LINE対抗」とも言われるサービスだが、果たして前評判通りにLINEの牙城を崩すことはできるのだろうか。

左からNTTドコモの藤間良樹部長、KDDIの金山由美子部長、ソフトバンクの千葉芳紀部長。外部主催などのイベントを除き、3社の代表が揃い踏みするというのは、長年取材している筆者でもほとんど覚えがない

SMSよりはるかに高い表現力を持つ「+メッセージ」

スマートフォンにおいて、メッセージングサービスはもはや、電子メールよりも多用されるコミュニケーション手段だ。LINEやFacebook Messanger、TwitterのDMといった独立系のサービスや、iOSの「iMessage」やGoogleの「Androidメッセージ」といったプラットフォーマーがOSに標準搭載するサービスなどもあるが、電話番号をキーに送信できる「SMS」(ショートメッセージサービス)は、最も古いが、各種サービスの二段階認証に使われるなど、キャリアやプラットフォームを超えたコミュニケーション手段として広く使われてきた歴史がある。

とはいえ、SMSには文字数の制限も厳しく、画像やファイルも添付できないなど、現代のメッセージングサービスとしては表現力や使い勝手に大きな難がある。これを拡張して表現力を高めたものとしては、ソフトバンクが採用した「MMS」(マルチメディアメッセージサービス)もあるが、ドコモなどはこれを採用しなかったため、キャリア間の「共通言語」はSMSのままだった。

そこで、SMSを置き換えるリッチなコミュニケーションサービスとして開発されたのが「RCS」(リッチコミュニケーションサービス)だ。RCSはSMSのように電話番号に紐づけることができるが、同時に動画や画像(スタンプ含む)、位置情報、ファイルなども添付することができる。GoogleもRCSをAndroidでサポートすることを表明しており、すでに40近い国・地域のキャリアが採用している、次期国際標準としての期待を集めている。

今回発表された「+メッセージ」は、まさにこの「RCS」を使ったサービスだ。当初はLINE対抗という表現が先走ったが、見た目や表現力は確かにLINEに匹敵するものがある。SMSが1通あたりいくら、という課金方式であったのに対し、+メッセージは基本料金無料で、1通の送信にかかるコストはパケット代のみとなる。またLINEなどと異なり、電話番号に紐づいているため、利用にはアカウント登録やパスワード入力といった手間がかからない。

アプリの外見(チャット画面) 基本的な見た目は「LINE」やiOSの「メッセージ」でおなじみの対話形式UI。複数人のグループも容易に組める。無料で500種類以上のスタンプが用意されるが、デザインなどに非常にLINEを意識した様子が伺える
+メッセージアプリ内では電話帳に登録されたユーザーが+メッセージを利用できるかどうかが(インストールしているかどうか)がアイコンで判別でき、非登録ユーザーにもSMSで勧誘メッセージを送信できる。キャリアのネットワーク側で+メッセージの利用ステータスを管理し、アプリに通知する仕組みがあるようだ
RCSのアカウントは電話番号に紐づいており、IDやパスワードは必要ない。MNPが当たり前になった現在、電話番号は個人認証の意味も深まっているが、電話番号の持ち主が変わった場合やMNPしたときの処理については不明な点も多い

当面はMNO3社間でのみ送受信できるサービスとなるが、国際標準規格ということもあり、将来的には海外のキャリアとも送受信できるようになる予定。また、LINEのように企業などのアカウントを設置し、自社の登録ユーザーに向けてリコール情報の配信やサポート窓口としてチャットサービスなどへの活用も期待されている。

ちなみに3社から2018年5月以降に販売されるAndroid端末についてはプリインストール、それ以前の端末については、KDDIとソフトバンクはSMS/MMSアプリのアップデートで対応、ドコモは自社ウェブサイトから専用アプリを配信する。iOS向けにはApp Storeで専用アプリが配信されるという。またAndroidを採用したフィーチャーフォン(いわゆるガラホ)については、将来のアップデートでの対応が検討されている。

メッセージングサービスとしては一般的ではあるものの、SMSと比べると格段に強力な表現力が大きな武器となる。将来的には少額決済や送金などの仕組みも取り入れたいとしている

中心となる組織の不在は不安

世界標準規格であり、Googleらのサポートもあるとあって、RCS自体は今後世界的に広まる気配が濃厚だ。それでは「+メッセージ」も無事普及し、LINEなどと競合するサービスに育っていくかということになると、なかなか難しい点がある。というのは、現時点では「とりあえず一緒にサービスを発表した」という段階で、将来の未定要素が多すぎるのだ。

たとえばSMSであればMVNOも利用可能なところが多いが、+メッセージ(RCS)については規格さえ同じであればいいというものではなく、各社のネットワークに接続するために設備面での準備が必要だという。同様の理由で、サービス開始時には海外の既存RCSとも接続できないため、せっかくの国際規格である強みが活かせない。

企業などを対象としたビジネスユースをかなり意識しているが、そのための土台作りが追いついていない様子であり、企業側も具体的に動きづらいのではなかろうか

そもそもMVNOであれ企業アカウントであれ、構想はあるが実際にどうするかは何も決まっていない段階のものが多い。たとえば仮に「+メッセージマイナビ公式アカウント」を作りたいとして、3社のどこに連絡すればいいのかが決まっていないわけだ。MVNOも同様で、ネットワークを借りているMNOにのみ接続すればいいのか、ほかのMNOとも接続しなければならないのかなど、不明な点が多い。

MNO3社が共同で記者会見を開催するということ自体は非常に稀であり、それだけ+メッセージが重要なサービスであることは間違いないのだが、実体としては「とりあえず歩み寄ってはみたものの……」という感じが否めない。これならいっそ、RCSのアカウント管理や接続を管理する専用の会社を共同で設立したほうがよかったのではないだろうか。

LINEを本気で追撃するには速度感が足りない

現在日本で最も広く使われているメッセージングサービスであるLINEは、「LINE公式アカウント」や「LINE@」といった法人向けサービスが順調に利用数を増やしており、サポート窓口や各種キャンペーンの告知などが日常的に広く使われている。企業アカウント向けに、リコール情報などを流す「通知サービス」も実装されたばかりであり、ますます社会インフラとしての位置を確立している。

+メッセージは、発表会では「LINE対抗ではない」と明言されてはいたものの、実際には個人間のコミュニケーション手段としての利用は当然として、やはり企業などのアカウントを扱いたい側面は否めないだろう。RCSはSMSと同様、インターネットに接続されていない独立したサービスであることから、2段階認証のパスフレーズの送信など、信用性やセキュリティを重視する用途には欠かせない存在だ。このセキュアさや信頼性の高さを生かして、企業や省庁、自治体などの需要を一括して担い、現在LINEが担っている役割を置き換えるだけのパフォーマンスはある。

だが、前述したように、中心となって決定権を持った存在が不在であるため、新しいサービスは決めなければならないことも多く、変更も多数施さねばならないケースが多いが、その度に3社間で調整するのでは決定に時間がかかりすぎる。本気でLINE対抗を考えるのであれば、変化・変更を恐れず、意思決定のスピードを高めて取り掛かる必要があるだろう。ユーザーはそうした「本気度」に敏感なため、下手をすれば、せっかく導入したのに誰も使わないサービスになってしまう恐れもある。MNO3社がどの程度本気で「+メッセージ」に取りかかるのか、非常に興味深い。

総務省施策が追い風に? 携帯分離の「歴史的チャンス」狙うファーウェイ

総務省施策が追い風に? 携帯分離の「歴史的チャンス」狙うファーウェイ

2019.03.20

モバイル業界を変える「携帯値下げ議論」が過熱

ファーウェイは日本を取り巻く環境を「歴史的チャンス」と発言

コスパ高いミッドレンジ端末でシェア拡大を目指す

20日、NTTドコモが特定の端末の購入を条件に通信料金を割り引く「docomo with」、購入する端末に応じて通信料金を割り引く「月々サポート」を終了する方針を固めたという報道が話題となっている。

国内のモバイル業界では携帯電話料金見直しが進んでおり、3月5日には総務省が中心に進めてきた端末代金と通信料金の分離が閣議決定された。NTTドコモは分離プランを軸とした新料金プランを4月に発表する見込みだ。

日本のモバイル市場を大きく変えるこの動きを「歴史的チャンス」と見ているのがファーウェイだ。2018年末から米中対立が加速する中、ファーウェイが打ち出すメッセージも語気を強めている。果たして日本市場でシェアを拡大できるのだろうか。

逆風吹けども、依然として業績は好調

今年に入り、ファーウェイの周辺が騒がしい。3月7日には、ファーウェイは米国政府を相手取って訴訟を起こした

さらにその内容をFacebookでライブ配信するなど、米国以外の世界市場に向けたメッセージにもしており、そのメッセージをまとめたウェブサイト「Huawei Facts」は、わざわざ日本語版も用意している。

2018年末から続く米中対立を巡る報道は、ファーウェイの業績にどのような影響を与えたのか。MWC19でインタビューに応じたファーウェイ・ジャパンの呉波氏は、「一部の消費者は影響を受けたが、2019年に入ってから売上は大幅に伸びている」と語った。

ファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波(ゴ・ハ)氏

話題の「折りたたみスマホ」でもファーウェイは先行する。

ファーウェイに先立って折り畳みスマホを発表したサムスンだが、こちらはMWCではガラスケース内での「展示」のみにとどまったのに対し、ファーウェイは「Mate X」の実機を用いて報道関係者に折り曲げを試させるなど、製品化で一歩先を行っていることをアピールした。

ファーウェイの折りたたみスマホ「Mate X」。報道陣には手に取って折り曲げてみる機会も用意された

Mate Xは次世代移動通信の「5G」にも対応しており、日本では5Gサービスの開始を待って投入時期を見極める方針だという。

ちなみに3月26日に発表予定のフラグシップ機「HUAWEI P30」シリーズは、例年通りのタイミングで日本市場に投入するようだ。SIMフリーでの発売だけでなく、ドコモが採用した「HUAWEI P20 Pro」のように大手キャリアによる採用があるかどうかも注目したい。

分離プランを「歴史的チャンス」と捉えるワケ

一方、2019年の国内モバイル市場で話題となっているのが携帯料金における「分離プラン」の導入だ。KDDIとソフトバンクはすでに導入済みだが、NTTドコモは4月に発表する新料金プランから本格導入するとみられている。

分離プランの特徴は、NTTドコモの「月々サポート」のように回線契約と紐付けた端末の割引が禁止される点だ。端末の割引自体が禁止されるわけではないというものの、大幅な割引は難しくなる。その結果、10万円を超えるようなハイエンド機ではなく、3〜4万円で一括購入しやすいミッドレンジ機の需要が高まるとの見方が有力だ。

この動きをファーウェイはどう見ているのか。

呉氏は「非常に重要視している。スマホが登場したときや、SIMフリー市場が始まったときのインパクトに引けを取らない、歴史的な瞬間になる」と興奮気味に語る。

日本のSIMフリー市場でベストセラーとなった「HUAWEI P20 lite」を始め、ファーウェイのミッドレンジ機のラインアップは厚い。モデルによってはフラグシップと同じCPUでミッドハイの価格を実現するなど、コスパの高さも特徴だ。大手キャリア向けにさまざまな提案ができる体制といえる。

フラグシップと同じ「Kirin 980」搭載でミッドハイ価格の「HONOR View 20」

また、5G対応も順調だ。

モバイルWi-Fiルーターに強みを持つファーウェイは、MWC19でも5G対応ルーターを多く出展していた。日本ではまだ周波数の割り当てが終わっていないものの、国内大手キャリアは2019年内にもプレサービスを始める動きがある。5Gスマホが普及するまでの間、5Gルーターの需要は高まる可能性がある。

5G対応のモバイルWi-Fiルーターも出展していた

ミッドレンジ市場の拡大を狙って、今年はシャープやサムスン以外にも、ソニーモバイルの参入も予想されている。

この価格帯が激戦区になることは間違いないが、ファーウェイはその中で高コスパの製品ラインアップや、国内での地道な販促活動やブランドメッセージの打ち出しによって対抗していく構えだ。

ヨドバシカメラ梅田店での販促イベントの様子
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2019.03.20

Googleが新しいゲームプラットフォームを発表

配信方式でゲーム機不要、「ゲーム機」の時代の終焉?

2019年内にローンチ、性能はプレステやXbox以上か

3月19日、米国で開催中のゲーム開発者会議「GDC 2019」の会場で、Googleがクラウドベースのゲーミングプラットフォーム「STADIA」を発表した。特定のゲーム機に縛られず、ネットに接続したスマホやパソコン、テレビを通してストリーミング(配信)形式でゲームをプレイできる。

この事業を担当するバイスプレジデントとして、STADIAを発表するフィル・ハリソン(Phil Harrison)氏。そもそも彼からして、元はソニーのプレイステーション立ち上げの主要メンバーで、その後Microsoftに移りXboxを担当したという経歴の持ち主

かねてより、MicrosoftのXbox事業のトップマネージャーを引き抜いた、ソニーでPlayStationのハード開発にかかわったエンジニアが転職したといった噂が頻繁に流れており、「Googleがゲーム市場に本格参入する」という憶測は強まっていた。実際に2018年には、Googleは「Project Stream」と呼ばれるストリーミング形式のゲーム基盤の計画を発表し、米国内でベータテスターを募って技術テストを行っていた。

STADIAは、Project Streamの延長線上にあるサービスと見られる。ユーザーは特定のゲーム機を持っている必要がなく、従来のゲーム機の役割をするのはGoogleの設置するデータセンターだ。簡単に言えばクラウドサービスのように、実際にゲームタイトルが動作しているのはデータセンター側で、ユーザーはインターネットを介してゲームを遠隔でプレイする。

STADIAのデータセンターから配信されたゲームをパソコンでプレイしている様子
パソコンで遊んでいたのと同じゲームを、タブレットやテレビでも同じように遊ぶことができる

このプラットフォームの特徴によって、例えばYouTubeで新作ゲームのトレーラー動画を見ていて気に入ったときには、そのページ内の「プレイする」ボタンを押すだけで、インストールすら不要で、動画を再生するかのようにそのゲームをプレイできるようになる。

そして、STADIAのデータセンターが持つゲーム機としてスペックは、サービス開始時のものとして、GPUの演算性能は10.7テラFlopsに達するといい、これはPlayStation 4 Proの4.2テラFlopsや、Xbox One Xの6.0テラFlopsを大きく上回る。映像品質も4K/60fpsのストリーミングに対応し、将来は8K/120fps対応も予定しているという。

STADIA用の「STADIAコントローラー」も販売する。SNSアップ用のボタンや、Googleアシスタントボタンが備わっている

Googleは2019年中にSTADIAをローンチする予定で、まずは米国、カナダ、欧州でサービスを開始すると説明している。発表を受けた翌20日の東京株式市場では、任天堂とソニーの株価が揃って大きく下落した。投資家たちが、GoogleのSTADIAによって、Nintendo SwitchやPlayStationのビジネスが脅かされると考えたからだ。

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