マンホール型の基地局をドコモが開発、5G見据えた新基地局のメリット

マンホール型の基地局をドコモが開発、5G見据えた新基地局のメリット

2018.04.12

NTTドコモは4月11日、LTEネットワークの高速化や5Gのネットワーク運用の方向性、現在実証実験中のマンホール型基地局のメリットなどを解説した。

LTEのさらなる高速化で1Gbpsも目前に

まずは現在の主力であるLTE-Advancedから2020年度に控える5G化を見据えたネットワークの高度化について説明が行われた。同社の「PREMIUM 4G」は現在最大で下り788Mbps、上り50Mbpsになっているが、2018年度は、夏に下り988Mbpsの実現を予定。2018年度以降には最大1Gbps超の通信を計画しているという。また今年夏に上り75Mbps、2018年度以降で上り100Mbps超が計画されている。なお、高速化は今後販売される対応端末でのみ利用できる。

LTE網では年内に1Gbpsへリーチがかかる。通信速度だけは5Gを先取りして体験できることになりそうだ

5Gについては現在のLTEの帯域に加え、「サブ6」と呼ばれる6GHz未満の帯域、具体的には3.7GHz帯と4.5GHz帯、それに6GHz以上の帯域として28GHz帯を利用する計画だ。このうちサブ6はやや広いエリアを、28GHz帯は非常に短い距離しか飛ばないため、スポット的にトラフィックの高いエリアで利用するという。LTEの帯域は制御信号などに使用するとのことだ。

3.7GHzと4.5GHzという「サブ6」帯が当面の5Gのメイン帯域ということになりそうだ。28GHz帯はかなり限定された距離での利用が中心になると思われる

また、5Gの基地局は既存LTE基地局のソフトウェアアップデートや一部機器交換で対応し、将来的に5G単独の基地局と次世代交換機の組み合わせで運用するとのこと。4G LTEが主流になっても3Gの基地局がまだまだたくさん残っているように、5Gになっても当面は4Gとの共存ということになるようだ。

マンホール型の新型基地局を披露

こうした基地局の運営に関し、現在は数km程度の大きなエリアをカバーする通常基地局に加え、数百メートル程度の狭いエリアをカバーするスモールセル基地局をそのエリア内に複数設置して、特にトラフィックの高いエリアを重点的にカバーする方針がとられている。この際、スモールセル基地局はビルの屋上や壁面に設置されるのだが、ビルの外観を損ねたり、清掃や点検の際に邪魔になるなど、年々設置が難しくなっているという状況がある。

そこで現在NTTドコモが開発中なのが、マンホール型の基地局だ。地面に70cmほどの穴を掘り、そこに小型の基地局を設置するというものだ。海外ではスイステレコムに採用事例があるというが、日本では初となる。3月から札幌で実証実験が行われており、スモールセル基地局と同等の半径90m程度をカバーし、積雪45cmの雪の下からも問題なく通信できることが確認されたという。

マンホール型の基地局
マンホールの下に設置される基地局は両手で持ち歩けるほどの小型なもの。一応屋外で雨などに濡れても利用できるが、完全に浸水してしまった場合、どれだけ使えるかはこれから検証するという

マンホールの蓋にあたる部分はFRP製で、通常の黒い見かけだけでなく、レンガや石畳といった模様を施すこともできる。耐荷重量は25tと、マンホールの蓋でも最上級のものと同等の性能があるとのこと。ただし上に自動車が停まったりすると、電波が遮られて通信しにくくなるため、実際の運用では車道ではなく歩道に設置することになるという。

また既存のマンホールを活用するのではなく、新規に穴を掘って基地局を設置することになるとのことで、トータルでの費用は1箇所あたり1000万円弱になるという。これでも通常基地局を設置するよりは大幅に安い(スモールセル基地局よりは高い)。

蓋の部分には模様を施すことでカモフラージュが可能。マンホールを目立たせたくない地域でも、景観を崩すことなく設置できる

駅前などのトラフィックが集中するエリアや、公園やテーマパークといった無電柱エリア、歴史的な街並みで基地局を目立たせにくい場所などでの活用が期待される。マンホール型基地局はこのあと、沖縄と東京での実証実験を経て2018年度内に導入される見込み。将来的には5Gの基盤としても活用される予定だ。

3大キャリアを取り巻く情勢は大きく変化しているが、やはり携帯電話会社としては、基盤となるネットワーク設備こそが重要な財産であり、会社の実力を示すバロメーターでもある。NTTドコモのネットワーク計画はここ数年、計画通りか、若干前倒しで実現するほど順調に推移しており、5Gに向けて着実に歩を進めていることが伺える。特にマンホール型基地局は、設置エリアの自由度が高まり、比較的低コストで密なネットワークを実現できる手段として今後、大きな威力を発揮することになりそうだ。

関連記事
メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

2019.03.22

ネットの学校「N高」の卒業式に潜入

開校時に入学したN高1期生が卒業した

世間の注目を浴び続けた生徒は、何を想う?

3月、角川ドワンゴ学園「N高等学校」の卒業式が東京・お台場にて開催された。

「ネットの高校」として、3年前に設立したN高。この日、2016年の開校時に入学した第1期生と、途中転入・編入した生徒をあわせ、計1593名が卒業した。3年前、『VR入学式』で世間を賑わせたこの学校を巣立つ卒業生たちは、N高での日々をどう捉え、今後はどのようなキャリアを描いていくのだろうか。

卒業式は2019年3月20日、お台場にて行われた

卒業式を彩る最新テクノロジー

N高は、ドワンゴとKADOKAWAの経営統合で誕生したカドカワが設立母体となり、2016年4月に開校された通信制高校だ。同校は開校後、2年次編入なども受け入れてきたため、これまでも卒業生を排出してきてはいたが、「1年生~3年生をN高で過ごした生徒」が卒業するのは、初めてのことだ。

卒業式には多くの報道陣も参加した。生徒にとって、「卒業式に記者がいる」「自分たちが卒業する様子がテレビやWebで取り上げられる」というのは不思議な感覚だろう。とはいえ、もう「VR入学式」に「ニコニコ超会議」へのブース出展(N高ではそれを「文化祭」と表現)などの経験を経て、メディアへの露出には慣れてしまっているのかもしれない。

そして、今回の卒業式も例によって独特だった。

卒業式は任意参加で、会場には袴や制服に身を包んだ生徒が集まる一方、その様子をライブ配信することで、会場に来られない生徒生徒も参加できる仕組みになっていた。会場のスクリーン上にはニコニコ生放送さながら、リアルタイムでコメントが表示されており、こうした演出は「N高らしい」といった印象を受けた。

卒業式の様子。オンライン参加者のコメントがスクリーンを流れる

中でも印象深かったのは、当日来られなかった生徒を代表して、米シリコンバレーに留学中の佐々木雅斗さんが「ロボット」に自分の顔を映して卒業証書を受け取ったシーンだ。

使用したのは、ANAが“未来の移動手段”として開発する、視覚・聴覚・触覚などを備えた、ユーザーの分身となるロボット「ANA AVATAR」。同校ではこのロボットを試験的に授業にも導入しているそうで、こういった最新のテクノロジーを使うあたりもN高らしい。

遠隔操作ロボット「ANA AVATAR(Beam Pro)」を用いて卒業証書を受け取った佐々木さん

と、テクノロジーにばかり目が行きがちではあるが、そもそも「高校生がシリコンバレーに留学している」という事実も驚くべき点だ。高校に通いながらも、シリコンバレーでビジネスを学ぶ――、というキャリアを選べるのは、学校という場所の制約を受けない、ネットの高校のメリットと言えるだろう。

卒業式にはほかにも「異色のキャリア」を持つ生徒たちが集まり、特に活躍した卒業生に対する特別表彰も行われた。

表彰を受けたのは、東京から鹿児島県に移住し、農業や水産業を手伝い地域活性化に貢献する白鳥優季さん、第18回アジア競技大会ジャカルタ・パレンバン「ウイニングイレブン 2018」eスポーツ 金メダリストの相原翼さん、N高のプログラムを最大限に活用し、スタンフォード大学やオックスフォード大学のサマープログラムに参加した冨樫真凜さんなど。その活躍の幅は広い。

さまざまな分野で活躍したN高生に対しては、特別表彰が行われ、記念品としてクリスタルトロフィーが贈呈された

メディア露出が多いがゆえに高まる期待値

N高を卒業した個性豊かな面々は、今後は大学進学、就職とさまざまなキャリアを歩む。

日本初で唯一N高にのみ実在するという「起業部」に所属し、かつ起業第一号として「Easy Go」という会社を創業している、鈴木颯人さんと山田陽大さんから「N高で過ごした時間」についてコメントをもらった。

「元々は地元の進学校に通っていたのですが、『自分が好きなことをしたい』『起業したい』という想いがあり、N高に入学しました。年齢や場所に縛られず、多くの人とコミュニケーションを取れ、充実した3年を過ごせました」(鈴木さん)

「以前通っていた学校が自分と合わず、ネットで見つけたN高で『ここだったら新しいことができるかも』と入学を決意しました。今振り返ってみて、やはり『この学校に来てよかった』と思います」(山田さん)

Easy Go代表取締役の鈴木颯人さん(左)と取締役の山田陽大さん(右)

2人に限らず、卒業生のコメントを聞いていくと「この場所で挑戦してみたい」という想いの元、N高を選んでいる生徒が多い印象だ。

普通の高校とは違い、メディアに露出する機会の多いN高での生活は、良くも悪くも、世間からの注目を浴びる。まだ高校生の彼らにとっては、その視線が時に辛く感じることもあっただろう。ただ、その一方で鈴木さんは「初めて会う方とお話しする際、『N高出身です』と言うだけで、会話が広がることがよくあります」とその知名度を好意的に捉えている。

若くして、覚悟を持ってN高という環境に飛び込んだ生徒たちは、周囲の視線を浴びつつ、たくましく成長してきたことだろう。「N高出身」というキャリアは、彼らにとって1つの大きな武器になりそうだ。

カドカワは新たに2019年4月から、「N中等部」も開校する予定だ。「ネットの学校」という、世間の注目が集まる新しいコンセプトの学校だからこそ、在校生・卒業生の動向は、今後もしばらくは注目され続けそうだ。

関連記事
スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

2019.03.22

中国スマホメーカーのOPPOが独自のカメラ技術を説明

開発競争が続くスマホカメラ、トレンドは「望遠」へ

高倍率ズームスマホの登場で、デジカメの優位性に危機?

中国のスマホメーカーとしてシェアを急拡大するOPPOが独自に新開発したカメラ技術、「10倍ハイブリッドズーム」が面白い。実際に2019年の新機種からスマホへの搭載を進め、日本市場へも製品を投入するという。

OPPOが「10倍ハイブリッドズーム」技術を紹介

メーカー間の開発競争が続くスマホカメラだが、「望遠」が次のトレンドになりつつある。デジタルカメラに匹敵する10倍もの高倍率ズームを、OPPOはどのように実現したのだろうか。

1年で7機種を投入、気付いた「日本市場の難しさ」

OPPOは世界のスマホ市場で熾烈な4位争いを繰り広げている。サムスン、アップル、ファーウェイのトップ3社に続く集団の中で、2018年は中国Xiaomiに僅差で迫る5位になった(IDC調べ)。

OPPOは2018年、日本市場で7機種のスマホを発売した。OPPO日本法人の鄧宇辰社長は、これまでに国内販売チャネルを12に拡大し、あわせて認定修理店を全国に展開したことを挙げ、「日本のSIMフリー市場でいち早く成長するブランドになった」と振り返る。

オッポジャパン 代表取締役社長の鄧宇辰氏
2018年の1年間にスマホを7機種投入

2019年は国内展開をさらに加速する。日本の消費者に向けたコミットメントとして、件の「10倍ハイブリッドズーム」機能を備えたスマホや、FeliCa・防水対応のスマホ、新たに立ち上げたブランド「Reno」シリーズの市場投入を約束する。

また、話題の「5Gスマホ」の市場投入も急ぐ。日本では5Gの周波数がまだキャリアに割り当てられていないものの、ドコモ、KDDI、ソフトバンクを含む世界の事業者と標準化に向けて連携しており、準備を整えていることを強調する。

MWC19のQualcommブースではOPPOが5Gスマホを実演

一方で鄧社長は、日本市場の難しさについて、「1年の経験を通して、日本市場は他の国と違うことに気付いた。消費の習慣や求めるレベルも高い。グローバルのやり方を日本に持ってきても通用しない」とも述べている。日本市場における品質やサービスの要求水準の高さは、多くのメーカーが直面してきた課題だが、OPPOも同じ壁にぶつかったといえそうだ。

スマホカメラ、次のトレンドは「望遠」に

そのOPPOが市場攻略にあたり、特に注力をしはじめたのが「カメラ」だ。その中でも、業界では次の進化ポイントとして「望遠」技術に注目が集まっている。

そもそもスマホはデジカメと違い本体が薄いため、搭載できるレンズに物理的な制約がある。このレンズの制約から、スマホのカメラはどうしても焦点距離の狭さが弱点になってしまっていた。そこで最近はスマホに複数のカメラを内蔵し、それぞれで広角や望遠を使い分けることで、この弱点を克服しようと進化している。

OPPOの「10倍ハイブリッドズーム」技術は、この弱点に対し異なるアプローチで挑む。プリズムを使って光を屈曲させるペリスコープ(屈曲光学)構造をカメラモジュールに採用することで、レンズを従来の垂直方向ではなく水平に配置できるようにした。これにより、薄型のスマホであっても、光学レンズでは従来不可能だった高倍率ズームが搭載できる。

光を曲げるペリスコープ構造を採用

ただ、35mm換算での焦点距離は16~160mmの10倍となっており、一般的なコンデジの感覚では5倍ズーム程度の性能だ。8.1倍以上はデジタル処理を組み合わせた「ハイブリッドズーム」としているなど、いくつか注意点はある。とは言え、これまでにない望遠レンズをスマホで扱えるのは面白い。

10倍ハイブリッドズームによる画角の違い

OPPOは既に報道陣に向けて、この10倍ハイブリッドズーム技術を搭載するスマホの開発デモ機を公開している。2019年の第2四半期には製品化する計画で、日本市場へも2019年中に投入する見込みだ。

10倍ハイブリッドズームのデモ機。5Gにも対応できるという

特にカジュアルなカメラ需要の受け皿としてスマホに押されがちなデジタルカメラだが、高倍率ズームはスマホには無い、デジカメに残された得意分野のひとつだった。だが望遠もスマホで十分撮れるとなれば、いよいよその優位性も危うくなる。今回のズーム技術は、デジカメ市場をもう一段縮小させてしまう可能性を秘めているのだ。

最大のライバルであるファーウェイも「HUAWEI P30」シリーズで望遠カメラを搭載するとみられており、今後は各メーカーが高倍率ズームで競い合うことは間違いなさそうだ。

関連記事