意外なコラボ発足! サントリーとスノーピークが目指すもの

意外なコラボ発足! サントリーとスノーピークが目指すもの

2018.04.25

サントリー 南アルプススパークリング

2018年4月24日、サントリー食品インターナショナル(以下、サントリー)から「南アルプススパークリング」が発売された。ご存じのとおり、「南アルプスの天然水」は、サントリーの主力商品だ。

その主力商品に炭酸タイプが加わった。それが「南アルプススパークリング」。炭酸飲料は2000年代前半、勢いを失っていた。ところが2010年頃から再び復権し、現在大きな伸びをみせている。

一時、失速した炭酸飲料

失速の原因は、健康被害がささやかれたことだろう。糖分が高いということ、炭酸が骨を生成するカルシウムを溶解するという情報が広まったことに起因する。だが、これはあくまで飲み過ぎた場合のハナシ。甘味料の入った炭酸飲料を過剰摂取することは、肥満や満腹感による食欲低下につながることがある。

だが、メリットもある。その第一が爽快感を得られること。ストレス社会といわれる現代、リフレッシュできる飲料の存在は重要だ。南アルプススパークリングは、無糖であくまでもプレーンな炭酸水。しかも強炭酸による刺激で爽快感を演出する。

まあ、商品どうのこうのよりも、意外なコラボレーションのほうに目を向けたい。サントリーのソフトドリンクといえば、南アルプスの天然水のほか、コーヒーの「BOSS」、コーラの「PEPSI」が主力だ。だが、メッセージ性が高いものが南アルプスの天然水。「水と生きる」というキャッチで“自然派”というイメージを醸成してきた。

南アルプススパークリングは、さらにこのイメージを加速させている。というのも、アウトドア用具で有名なスノーピークと共同開発されたからだ。飲料メーカーとアウトドアメーカーが共同開発というとなんとも唐突だが、代表取締役社長 山井太氏がサントリーで講演を行ったのが、そもそものきっかけだったという。

サントリー食品インターナショナル 執行役員 ジャパン事業本部 ブランド開発第一事業部長 沖中直人氏

サントリー食品インターナショナル 執行役員 沖中直人氏は、「天然水は人間が作れないもの。20年以上の歳月をかけて自然が生み出す」と前置きした。そして、それをユーザーに届けるのがわれわれの仕事と胸を張った。さらに、現代のストレス社会でバランスを失った方々に、飲料で健康を取り戻していただきたいと続けた。

刺激でリフレッシュを提供

発売された強炭酸の南アルプススパークリングは、ある意味チャレンジだ。これまで、ビジネスパーソンのリフレッシュを考えた飲料は、ある程度の甘味があった。ブラックはのぞき、コーヒーもスポーツ飲料も甘味料が加えられている。糖分は脳の活動の栄養素として、リフレッシュに効果があるのは確かだが、南アルプススパークリングは、強炭酸という刺激をリフレッシュの主体にしている。そこで、アウトドア用具の老舗、スノーピークと組んで、リフレッシュできる飲料を共同開発したのだ。

今回、メッセージも新たに加えられた。それは「山のむこう」というもの。このメッセージに込められているのは「人間性の回復」だという。スノーピークの施策にしばしば取材に訪れたが、人間性の回復という表現はよく聞く。パソコンやスマホといったデバイスに縛られることなく、人間として自然と向き合う、あるいは人と人との交流を楽しむといったことだろう。

沖中氏は、「水は日常で飲むもの、キャンプは非日常。だが、どちらも人間性の回復という意味では同じ方向を向いている。今回、共同でこの商品を開発したのは、そういう背景がある」と語った。

2001年、1,700万ケースだった南アルプスの天然水は、2012年、6,200万ケースとなった。そして昨年は1億800万ケースまで拡大。今回の炭酸水でさらなる飛躍を目指したい考えだ。

左:発売以来、順調に伸ばしている。主力は2リットルといった大容量(グラフ青)だが、小容量(グラフ水色)やフレーバータイプ(グラフ橙)が人気を伸ばしている。右:飲料ブランドトップの他社コーヒーが1億1,300万ケースなので、射程圏内に捉えたといえる

一方、スノーピークの代表取締役社長 山井太氏も今回の施策に積極的だ。同社は売り上げの85%がキャンピングに関わるもの。前述したとおり、キャンプは非日常で、アウトドアブームが戻ってきているとはいえ、爆発的な売り上げ伸びは期待できない。

これからは、人間性の回復をテーマに、日常にもスノーピークの製品を浸透させたい考えなのだろう。特に同社は、キャンプ場に本社を建て、社員がのびのびと仕事ができる環境を構築した会社。3年前には、もっとも快適なオフィスに認定されたという。

左:スノーピーク 代表取締役社長 山井太氏。右:テント内で南アルプススパークリングを楽しむイメージ。そのまま飲むのもよいが、個人的にはバーボンの割材にし、たき火を囲んでの談笑にもピッタリだと思った

サントリーのサポートで水源地にキャンプ場を

ただ、日常でのスノーピークの存在感を高めるだけではなく、キャンプにもさらなる力を込めるとしている。サントリーのサポートを受け、阿蘇か大山、南アルプスといった水源地で、キャンプ場なのかグランピング施設なのかを仕掛けたい考えだ。

いずれにせよ、飲料大手がアウトドアを前面に押し出す戦略をとってきた。以前から、アウトドア人気再燃の記事を執筆してきたが、飲料大手の参戦はブームが本物という証といえる。

さて、ハナシは変わるが、スノーピークという社名は同社が本拠を置く新潟県の名峰、谷川岳に由来しているという。この谷川岳の天然水を商品にしている企業もあるが、そこではなく南アルプスの天然水と組んだというのが面白い。もっとも、谷川岳の天然水は、鉄道施設のためのトンネル工事で、偶然水脈を当ててしまったというハナシだが……。

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

2018.11.16

シャープが新スマホ「AQUOS R2 compact」を発表

大画面化の波に逆らい、「片手ポケット族」が増加傾向に

iPhone不在の「小型スマホ」市場を狙う

11月15日、シャープがAndroidスマートフォンの新製品「AQUOS R2 compact」を発表した。名前に「compact」と付いている通り、最近のスマホ市場では選択肢が減っている小型モデルであることが特徴だ。

小型スマホの需要を取り込む「AQUOS R2 compact」

コンパクトな見た目とは裏腹に、中身にはハイエンドである「AQUOS R」シリーズのスペックを詰め込んでいる。世界的にスマホの大画面化がトレンドとなっている中で、あえて時代に逆行するシャープの狙いはどこにあるのだろうか。

スマホを片手で持ち、ポケットに入れて使う人が増加

世界のスマホ市場では、6.5インチの「iPhone XS Max」に代表される大画面モデルが人気を博している。だが、日本では通勤電車などの利用シーンにおいて、片手で使う人が多いといわれている。シャープによれば、スマホを片手で持つ人は64% 、服のポケットに入れて持ち運ぶ人は49% に達しており、その割合は上昇傾向にあるという。

片手で持ち、ポケットに入れて持ち歩く「片手ポケット族」が多いという

その背景として、シャープはスマホの「インフラ化」を指摘する。SNSやコンテンツを楽しむだけでなく、サービスの利用やモバイル決済にスマホは欠かせない存在になっており、日常生活でスマホを取り出す場面が増えている。

AQUOS R2 compactは、日本人の手のサイズを念頭に置いた「横幅64mm」のボディに、できるだけ高性能な部品を詰め込んだハイエンドコンパクト機になっている。プロセッサは最新のSnapdragon 845、メモリは4GBを搭載しているが、これは大画面モデルのAQUOS R2と同等だ。

ポケットに入れやすいサイズに高性能を詰め込んだ

スマホ本体を小型化する一方、画面は前モデルの「AQUOS R compact」より大型化した。このためにシャープは画面の上下に切り欠き(ノッチ)を持つIGZOディスプレイを開発。インカメラと指紋センサを搭載しつつ、表示領域を上下に広げてきた。

前モデル(左)と比べて新モデル(右)は表示領域が広がった

「iPhone不在」の小型スマホ市場を直撃

シャープによれば、小型スマホを求める人は全体の3割程度という。スマホ市場では残りの7割に向けた大画面モデルが幅を利かせており、最新のiPhoneでは6.5インチのXS Maxに加え、一般向けモデルの「iPhone XR」も6.1インチとなっている。

一方、小型モデルとして根強い人気のあった「iPhone SE」は、後継モデルが出ないまま販売が終了。中古市場では価格が上昇する騒ぎもあった。

日本で最大シェアを誇るiPhoneだが、小型スマホ市場では存在感が薄れつつある。ソニーモバイルはXperiaシリーズのコンパクト機を投入しているが、2018年夏モデルの「Xperia XZ2 Compact」と比較して、シャープ機は画面の大きさ、薄さ、軽さの面で圧倒している。

中国メーカーとして日本でも勢いを伸ばすファーウェイ、OPPOも世界市場において大画面化競争を繰り広げており、小型モデルに積極的な動きは見せていない。この点もシャープにとって有利に働いている状況だ。

また、AQUOS R2 compactは顔認証と指紋認証の両方に対応しているのも特徴。これは、iPhoneにもXperiaにもない機能だ。スマホをポケットから取り出し、顔の前に持ち上げるだけでロックを解除できる顔認証だが、卓上に置いている場合は使いにくい。だが指紋センサがあれば、指を置くだけで済む。

顔認証に加えて指紋認証にも対応

スマホの端末メーカーの多くはグローバル市場に目を向け、大画面化のトレンドを追いがちだ。だが、シャープは国内の需要をしっかりとらえた上で、日本のユーザーに刺さる製品作りを続けている。

依然としてiPhone人気が続いている中で、限られた市場であっても「不在」のチャンスをタイムリーに活かし、ユーザーを奪還する。国内に目配りできるシャープならではの戦い方に注目したい。

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第23回

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

2018.11.16

海外メーカーの台頭で日本にも大画面化の波が到来

大画面化と使いやすさの両立、各社の工夫の歴史

縦長スマホにとって代わるのは「折り畳み」スマホか

スマートフォンのディスプレイは年々大型化が進んでおり、かつては「大きすぎる」と言われた5インチディスプレイが、今や小さい部類に入ってしまうほどだ。一方で使いやすさを維持しながらディスプレイの大画面化を実現するため、メーカー各社はさまざまな工夫を重ねている。スマートフォンのディスプレイサイズはなぜ大きくなり、今後はどのように変化していくのだろうか。

海外メーカーの台頭で日本でも大画面化に拍車

スマートフォンにとってディスプレイは、単に情報を表示するだけでなく、タッチして操作するインタフェースも兼ねている非常に重要な存在だ。そのスマートフォンのディスプレイが、ここ10年ほどで最も大きく変化した要素が「サイズ」である。

どれくらい大きくなったのかというのは、新旧のスマートフォンのディスプレイサイズを比べてみれば一目瞭然だ。日本で最初に発売されたiPhoneである「iPhone 3G」のディスプレイサイズは3.5インチだった。一方、「iPhone X」や「iPhone XS」、「iPhone XR」といった最近のiPhoneのディスプレイサイズは6インチ級があたりまえ。1.7倍に以上に拡大しているのだ。

今やスマートフォンのディスプレイサイズは5インチ以上が一般的で、6インチも珍しくなくなった。画像の「iPhone X」のディスプレイサイズは5.85インチだ

さらに「iPhone XS Max」は6.5インチもあるし、他の大手メーカーでもサムスン電子の「Galaxy S9+」やファーウェイの「HUAWEI P20 Pro」のように、6インチを超えるディスプレイを採用した機種は増えている。なぜ、これほどまでにディスプレイサイズが大きくなったのかというと、それは大画面が欲しいというユーザーが多いため。スマートフォンの性能向上によって動画やコミック、ゲームなどのコンテンツを楽しむ人が増えていることから、ユーザーのニーズに応えるかたちで、大画面が求められるようになったといえよう。

だが日本国内の事情に目を向けてみると、公共交通機関での通勤・通学が多いのに加え、片手で文字入力ができる「フリック入力」が広く普及したこともあり、片手でスマートフォンを操作する傾向が強く、実は大画面に対するニーズはそこまで大きい訳ではない。実際日本では、4インチディスプレイの「iPhone SE」が人気を保っていたし、シャープの「AQUOS R Compact」やソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ2 Compact」などのように、4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトなスマートフォンも投入されている。

2018年の夏モデルとして販売されている「Xperia XZ2 Compact」は4.9インチと、最近では珍しくなった4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトモデルだ

にもかかわらず、日本でも大画面のスマートフォンが増えているのはなぜか。まずは国内のスマートフォンメーカーが減少したことで、市場に海外メーカー製のスマートフォンが増えているためだ。海外では移動手段の違いに加え、文字入力システムの違いからスマートフォンを両手で持って操作する機会も多く、片手操作に対するこだわりが弱いのだ。

新興国などでも、ディスプレイサイズが大きいほど人気が出る傾向が目立ち、大画面に対するニーズが強いのである。海外製スマートフォンが日本市場に入り込みやすくなったことが、日本国内においてもスマートフォンの大画面化を進めたといえる。

縦長スマホの元祖はアップルだった?

とはいえ、スマートフォンが大画面化するに従って、本体の横幅がひろがり、さすがに海外のユーザーからも「持ちづらい」という声が増えてきたようだ。そこで近年急速に増えているのが、従来の16:9比率ではなく、18:9や19:9といった縦長比率のディスプレイの採用である。

持ちづらさに影響する横幅をこれ以上広げることなく、ディスプレイを縦に伸ばすことで大画面化しようとしたのだ。この流れをけん引したのは韓国メーカーで、2017年にはLGエレクトロニクスが「LG G6」(日本未発売)、サムスン電子が「Galaxy S8/S8+」といったように、縦長比率のディスプレイを採用した機種を積極的に投入した。

2017年発売の「Galaxy S8」「Galaxy S8+」は、18.9:9と縦長比率の有機ELディスプレイ「インフィニティディスプレイ」を採用したことで大きな話題となった

この韓国の両メーカーとも、グループ内にディスプレイデバイスを開発する企業を持っている。それゆえ縦長比率のディスプレイが生み出されたのには、実は大画面化だけが目的ではない。自社のスマートフォンに新しいディスプレイをいち早く搭載し、トレンドを作り上げることで、グループ企業のディスプレイデバイス販売拡大につなげる狙いもあったといえる。

だが、縦長ディスプレイで大画面化するというアイデアを真っ先に実践したのは、実はアップルである。アップルはかつてディスプレイの大画面化に消極的で、2011年発売の「iPhone 4s」までは3.5インチのサイズにこだわっていた。だが大画面化を求めるユーザーの声を受け、2012年発売の「iPhone 5」でディスプレイサイズを4インチに拡大した際に、ディスプレイの横幅はそのままに、縦に長くするという手法をとったのである。ある意味、アップルは5年前に現在のトレンドを先取りしていた、といえるかもしれない。

スマートフォンのディスプレイを縦に伸ばして大画面化するというアイデアをいち早く実践したのは、アップルの「iPhone 5」だった

しかしながら、ディスプレイを縦に伸ばして画面サイズを大きくする工夫にも、いずれ物理的な限界が来ることは目に見えている。そこで、さらなる大画面化の追求で、いま注目されているのが折り畳み式ディスプレイだ。このアイデア自体は、NTTドコモが2013年の「MEDIAS W」(NECカシオ モバイルコミュニケーションズ製)、2018年の「M」(ZTE製)で既に実現しているものだが、いずれも2枚のディスプレイを用いていたため、どうしても画面の折り目に継ぎ目が発生してしまう弱みを抱えている。

折り畳みスマートフォンとして注目されたNTTドコモの「M」は、2枚のディスプレイを用いるスタイルであるため折り畳み部分に継ぎ目が発生してしまう

だが有機ELを用いれば、ディスプレイを折り曲げられる“真の”折り畳みスマートフォンが開発できると言われており、大手スマートフォンメーカーがその開発を進めているとの観測報道も幾度となくなされている。

これは折り畳みできるという意味の「フォルダブル」スマホなどと呼ばれ、先ごろはサムスン電子が、来年発表するというフォルダブルスマホ「Galaxy F」のプロトタイプを開発者向けに見せはじめたりしている。2019年は各社から製品が登場するのではないか? との声もあるようだが、いま確実に言えることは、真の折り畳みスマートフォンがいつ、どのメーカーが、どのような形で投入するのかが、大いに注目されているということだけである。