一体なぜ? LINEの1Q決算が17億円超の赤字に転落したワケ

一体なぜ? LINEの1Q決算が17億円超の赤字に転落したワケ

2018.04.25

LINEは25日、2018年第1四半期連結決算を公表した。売上収益487億3600万円で前年同期比19.9%増となったものの、四半期利益は17億7000万円の赤字だった。前年同期の16億3200万円の黒字から大きく数値を落とした形だ。

なぜ赤字に転落したのか

赤字に転落したのは、戦略事業への投資を加速させたためと見られる。戦略事業として、フィンテックのLINE Pay、AIのClova、コマースのLINE ショッピング、LINE デリマ、LINE FIRENDS、その他事業としてLINEモバイルなどがある。

戦略事業の営業利益に注目。前年同期に比べ数値を大きく落としている(出典:LINE決算説明資料、以下同)

戦略事業における営業費用は前年同期比2.2倍の132億円と増えており、収益事業となるコア事業の伸びではカバーしきれなかった。細かくは把握できないものの、過去5四半期における戦略事業の営業費用は急増していることが資料からも読み取れる。

営業費用が大幅に増大。2018年第1四半期は前年同期比2.2倍の132億円に

対して、コア事業は広告を中心に業績を拡大。広告の売上収益は前年同期比38%増の252億円で全体の半数を占めた。スタンプや着せ替え、ゲーム、マンガ、ミュージック等のコミュニケーションおよびコンテンツの売上収益は175億円で同8.6%減となっている。

コア事業の広告は順調に成長

LINEの今後は?

LINEの今後については、コア事業の広告の収益拡大と戦略事業の早期収益化が課題となりそうだ。戦略事業においては、LINE証券やLINEテーマ投資、LINE保険などの金融サービスの開始に向けて準備を進めており、各種サービスの展開が収益拡大の可能性を秘めている。また、アナリストを対象にした決算コールでLINEの出澤剛社長は、戦略事業について、いくつかの考えを示している。

LINE Payについては、「アクティブに利用してもらうことを目指している。(普及を図ることで)金融サービスのベースになると認識している。広告事業の効果を上げることも可能。さらなるユーザー拡大に向けていきたい」(出澤社長)としており、投資を継続する考えを示している。

AI事業については、収益化まで時間がかかりそうだ。「(収益化まで)4-5年スパンの投資になる。スマホの次は音声インタフェースの時代、音声、AI領域への投資は重要だと考えている。広告にも貢献する」(同氏)としており、人材の獲得とそれに伴う人件費の増大はやむなしといったところになりそうだ。

なお、LINEの月間アクティブユーザー数は、日本、台湾、タイ、インドネシアの主要4カ国の合計が1億6500万人となり、2017年第4四半期に比べて300万人減少した。日本国内でのユーザー数は増えたものの、インドネシアでのユーザー減が響いた形。アクティブユーザーは収益基盤となるだけに、インドネシアの減少は多少気がかりなところだ。

月間アクティブユーザー数の推移
進化を続ける観光列車、ローカル路線で活きる「短編成」戦略とは?

進化を続ける観光列車、ローカル路線で活きる「短編成」戦略とは?

2018.09.26

高級クルージングトレインとは異なる観光列車

個人旅行の活況に沿った新たな魅力を提案

ローリスクを狙った各社戦略と、地元利害が一致

国鉄末期からJRの初期にかけて、「ジョイフルトレイン」と通称された観光向けの特別な仕様の車両が数多く登場した。昭和40年代から走り人気があった「お座敷列車」の発展のような形で、2~6両程度の1編成を1つの団体で貸し切って旅行してもらうというのが、基本的な販売方法である。

しかし、バブル景気の崩壊を経て約30年が経過した今日では、こうしたスタイルの団体専用車両は、大半が姿を消してしまった。代わって人気を得ているのが、「ななつ星in九州」「TRAIN SUITE 四季島」「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の3本がある超ハイクラスの「クルージングトレイン」。そして2~3両程度の短い編成で、家族連れや小グループを主な対象とした、貸切ではない観光列車である。

いずれも、風光明媚な車窓風景や特徴のある沿線のグルメなどがアピールポイントだが、短編成の観光列車は、リーズナブルな値段かつ予約方法を簡便にして、誰でも気軽に乗車できることも特徴としている。社員旅行のように数カ月前から旅行代理店に手配を依頼する大規模な団体旅行がすたれ、思い立ったら吉日とばかりに出かける個人旅行が主流となった、大きな時代の流れに沿った施策だ。

こうした施策の実例を、2018年7月1日に最新の観光列車「あめつち」をデビューさせたJR西日本を例にみていこう。JR東日本の観光列車(例えば「フルーティア」)のように、個人でも申し込める、旅行代理店が販売する旅行商品(ツアー)の形を取っている会社もあるが、JR西日本では基本的に駅の窓口で乗車券と指定席券を購入すれば、簡単に観光列車に乗ることができる。

7月1日に運転を開始したばかりのJR西日本最新の観光列車「あめつち」
観光列車にふさわしいよう、完全に刷新された「あめつち」の車内

安くつくれる、既存車改造の観光列車

JR西日本に限らず、各地の観光列車は既存の車両を改造したものがほとんどである。一から新製した方が自由が効き、さまざまなアイデアの実現に対する制約も少なくなるが、そういう例は限られる。

実際に、独創的な設備を備える「クルージングトレイン」は、各社とも完全新製車だ。ただ、これは1人あたり数十万~100万円以上もの旅行料金を収受できる列車だからこそ、できること。鉄道車両を新製する場合、1両あたり一般的な車両で2億円ほど。特殊装備を持つ車両だと3億円やそれ以上かかる。投資の回収という意味で、新製は難しいのだ。

これが改造車だと車体やエンジン、台車といった、初期費用が大きくかかる部分をそのまま利用できる。インテリアや車内設備の刷新には、実はさほどの費用がかからない。家の新築とリフォームの違いと同じことだ。

JR西日本の観光列車は、2005年に呉線広島~三原間に登場した「瀬戸内マリンビュー」に始まり、2007年の山陰本線「みすゞ潮騒(現在の『○○のはなし』)」、2014年の七尾線「花嫁のれん」、2015年の城端・氷見線の「ベル・モンターニュ・エ・メール」と、キハ40系気動車(ディーゼルカー)を改造したものが、かなりの割合を占める。編成はいずれも1両ないし2両だ。

「あめつち」「○○のはなし」などの原形であるキハ47形気動車
萩など、山口県の日本海側の観光地と山陽新幹線新下関駅を結んで走る「○○のはなし」。「みすゞ潮騒」からの再改造車だ

鳥取~出雲市間を走る「あめつち」も2両編成で、キハ40系に属するキハ47形をリニューアルしたもの。改造の要点は、一部の乗降扉を埋めて室内スペースを広げ、内装を全面リフレッシュ。座席はゆったりした2・4人掛けシートと海側(宍道湖側)を向いた1人掛けシートに交換し、そのほか、販売・供食用のカウンターの設置、最新式トイレへの更新といったところだ。車内を見る限り、原形を想像することは難しい。

たがしかし、窓はほとんど改造されておらず、冷房装置も流用されている。原形と詳細に比べてみると、大規模な車体の変更が避けられているのがわかる。

ほかの観光列車もおおむね、こういう方針で改造されている。「○○のはなし」のように窓を大型化して眺望を改善したものや、「花嫁のれん」のように前面を大きく改造しイメージを変えた例もあるが、基本的にどれもキハ40系の面影は強く残っている。

こうした方針を採る理由はまず気軽に乗車してもらうため、特急の普通車指定席(「花嫁のれん」)や、快速のグリーン車(「あめつち」)あるいは普通車指定席(「○○のはなし」など)として、座席を販売していることがある。例えば、「あめつち」に鳥取~出雲市間で乗車するならば、運賃2,590円に普通列車用グリーン料金1,950円をプラスするだけでよい。つまりは初期投資は押さえ、その分、安く販売しようということなのだ。

ただし「ちょっと豪華な車両」というだけではアピールに欠けるため、地元企業・商店の協力を得て、地域性が感じられる料理やスイーツなどを、予約制で提供している例が多い。これらは本格的なコース料理でもなく、デラックスな駅弁という感じだ。値段も「休日のちょっとしたおでかけ」にふさわしいものとしている。

多くの観光列車の車内では、食事やティータイムが楽しめる。「あめつち」のスイーツセット

短期的なマーケティングか

「あめつち」などの改造種車となったキハ40系は、1977~1982年に国鉄が新製した気動車。すでにデビュー後、35~40年程度が経過している。鉄道車両の寿命は十分な補修を加えても40~50年程度とされているので、キハ40系改造の観光列車は実はそれほど長い期間、走ることは想定されていないと考えられる。せいぜいあと10年程度だろうか。

けれども観光客の嗜好は、もっと短いタームで変化してもおかしくはない。長く使っていると「時代遅れ」になる可能性はむしろ高い。

ならば、短期間で廃車にしても惜しくはない、減価償却も終わった車両を安く、かつ徹底的に改造するのが得策ということになる。飽きられたら、また新しいタイプの観光列車をつくって取り換えればよいという考え方だ。

既存車を改造すると、乗務員やメンテナンス担当職員にとっても、見た目は違っても扱い慣れた車両であるメリットがある。また単線区間が多いローカル路線では、元をただせば同じ、という車両が使われている快速や普通列車などと連結して運転すれば、ダイヤ編成上も楽になる。「フルーティア」が例である。

JR東日本の「フルーティア」(手前2両)は東北のフルーツが楽しめる列車。写真は快速列車と連結された姿

数はわずかでも、目新しい車両は話題にもなり、観光的なアピール度も高い。経営的には古い車両の改造でしかつくれなくても、地元観光業界にとってはありがたい存在にもなるだろう。ローカル路線の利用客増にもつながる。ローリスク・ハイリターンを狙ったJR各社の戦略と、地元の利害が一致した現れが各地で花盛りの観光列車といえる。

ゴンチャに日本独自メニューが登場 既存客層「以上」にリーチなるか

ゴンチャに日本独自メニューが登場 既存客層「以上」にリーチなるか

2018.09.26

台湾ティーカフェ「ゴンチャ」に日本オリジナルメニューが登場

独自に開発した「ほうじ茶のミルクティー」で客層の広がり狙う

既存店と同数を翌年に出店し、店舗網の拡大も

近年、台湾発のカフェがにぎわい、タピオカ入りミルクティーをはじめとした茶飲料が人気を集めている。

中でも若年層からの強い支持を受けているのが、台湾発祥のグローバルカフェチェーン「ゴンチャ」。日本への出店は他国と比較して後発となったが、2020年までに100店舗という目標を掲げ急拡大している。

このほど、ゴンチャは進出3周年を記念し、オリジナルの日本茶を国内の茶問屋と開発し、9月26日よりメニューに加えた。「台湾の茶」にこだわる同ブランドが、国産のオリジナルメニューに着手した理由とは。

日本独自メニューは「ほうじ茶 ミルクティー」

日本の茶、と言っても種類はさまざま。今回、ゴンチャが静岡の茶問屋・マルニ茶藤と開発したのは「ほうじ茶」だった。この新しい茶葉は、期間限定メニュー「ほうじ茶 ミルクティー」として提供される。

価格はSサイズ420円、Mサイズ470円、Lサイズ570円。既存ラインアップと比較すると「基本メニューより数十円高いが、スムージーよりは安価」という立ち位置にある。

同社の開いた試飲会で提供された「ほうじ茶 ミルクティー」。同日より"復刻"するトッピング「あずき」が追加されたもので、和を全面に押し出した構成だ

飲んでみると、ミルクと合わせてもほうじ茶の味わいが色濃く感じられ、既存商品とは違う口当たり。自宅やペット飲料で飲む"ストレート"のほうじ茶と比較して濃厚で、香りに華やかさがあり、渋みもなく飲みやすい。

ほうじ茶を決め打ちで開発したのではなく、煎茶、玉露、和紅茶、玄米茶、ほうじ茶で検討を開始し、ほうじ茶に決定した後も15種の茶葉、300のブレンドで試作が行われた。ちなみに、既存メニューの抹茶 ミルクティーはグローバルメニューのため、こうして日本での提供のためだけに開発された茶葉は初めてとなる。

ゴンチャ ジャパン 取締役社長兼COOの葛目良輔氏(左)、マルニ茶藤 加藤重樹代表取締役(右)

ゴンチャ ジャパン 取締役社長兼COOの葛目良輔氏によれば、ほうじ茶を選択した理由は、「ほうじ茶が、近年デザート類のフレーバーで高い支持を得ていること」、「試作した他の種類に比べて、求める風味に一番近いのがほうじ茶だったこと」の2点にあったという。

確かに、ほうじ茶をベースにしたスターバックスのフラペチーノをはじめ、パフェやケーキなどにもほうじ茶を使ったものはあり、抹茶に次ぐフレーバーとして定着してきた感がある。

また、既存の茶葉はミルクティー・ストレートティーいずれでも選択できるが、ほうじ茶に関してはアイスのミルクティーでメニューが固定されている。これは、「自信を持って提供できる状態」がこのメニューであったため。

ゴンチャでは今回の限定メニューやスムージーなど一部を除き、茶葉の種類や氷の量、甘さなどをカスタマイズできる自由度を持ち味のひとつとしている。グラフ下部の四角い枠内の数字は、注文全体においてどの選択肢が選ばれたかというパーセンテージだ

その裏には、ミルクティーが注文の7割を占める人気という状況もある。「提供時期はホット・アイスどちらもご提供可能な季節ですが、アイスの仕上がりに自信があったので、アイスに絞って提供したいと考えた」(葛目COO)

外食で「茶」はまだ伸びる

試飲会の中では、コーヒーではなく茶を主軸とした「ティーカフェ市場」のポテンシャルについて、葛目COOのプレゼンテーションが行われた。

カフェ市場の規模と提供形態の割合

現在のカフェ市場の39パーセント、4000億円強がセルフサービス型コーヒーショップであるが、紅茶などのティーメニューの認知度はきわめて低い状況にある。

同社では、「ティーカフェ市場」のポテンシャルは1800億円に届くと予想

それに反して、「お茶」というカテゴリはペット飲料や茶葉含め市場規模が大きい。外食での提供機会がまだ少ないため、「ティーカフェ市場」には現在の3~6杯の市場機会があると考えている、と葛目COOは語った。同社の経営理念については、本誌が行った葛目COOのインタビューに掲載しているので、こちらを参照してほしい。

2018年の出店予定

続々と進めている出店について、2018年中にさらに店舗数を伸ばし、年末の段階では23店舗となることを発表。2019年は新たに約30店舗を出店予定で、既存店と同数を翌年に出店するような想定で伸ばしていく想定だという。

既存客層「以上」にもリーチ狙う

同社はターゲット層を「20代の女性」と設定しており、実際に店頭に列を成す人たちを見ると若い女性が中心。赤いストローの刺さった容器を持って飲み歩く姿を見ると、ゴンチャでの喫茶は若者のトレンド、という印象を受ける。一方、取材する側の記者にその年代はほぼいないため、現在の人気についての質問が相次いだ。

中でも、現在の客層より上の世代の支持の有無について質問を受けた葛目氏は、「若年女性に支持いただいている反面、それ以上の年齢層の方にとって遠い存在であることも事実と受け止めている。しかし、住宅地、ビジネスエリアの店舗では(客層は)その限りではなく、男性の来店者も全体の3割まで増えている」とコメントした。

今回開発されたほうじ茶の茶葉。収穫時期が最も早く、高品質な一番茶にカブセ茎茶をブレンドした。

今回リリースしたほうじ茶は「全年齢にリーチしやすい商材」のため、この新メニューで客層を広げていきたいと抱負を語った。

台湾発祥のティーカフェが新たに開発した「日本茶」メニュー。ほうじ茶に関して、反応次第で定番化も検討ということだが、葛目氏は今回見送ったその他の種類の茶葉についても、開発の意向をのぞかせていた。

ほうじ茶しかり、長く親しまれてきた日本茶は、客層拡大に寄与する可能性がある。台湾文化であるティーカフェが日本独自に広がっていく可能性について、今後も注視していきたい。