好調だからこそ次々と仕掛けるワイン関連企業

好調だからこそ次々と仕掛けるワイン関連企業

2018.04.27

「プリムール」という言葉をご存じだろうか。ワイン愛好家ならわかるだろうが、プリムールは“新酒”を表す言葉である。その意味ではボージョレ・ヌーヴォーのようなものだ。

ただ、ボージョレ・ヌーヴォーはフランス・ブルゴーニュ地方で生産され、11月の第3週に解禁されるワインのことを指す。つまりは、一定の条件を満たしていなければ、この名称は当てはまらない。

テイスティングに用意されたシャトー・メルシャン7種のプリムール

一方、プリムールは出荷日に規定はない。一般的にワイン用ブドウは秋に収穫されるが、それを特殊な製法で早くボトリングし、春頃に出荷するのがプリムールだ。そのプリムールのメディア向け試飲会を日本ワインの雄、メルシャンが開催した。

会場は明治記念館。30~40人ほどのメディアが集まり、テイスティングを楽しんだ。用意されたのは白ワイン3種、赤ワイン4種の計7種。すべて、メルシャンのフラッグシップブランド「シャトー・メルシャン」だ。格式高い明治記念館で、シャトー・メルシャン7種を数十人に提供する。しかも、日本在住で初めて認定されたマスター・オブ・ワイン 大橋健一氏を招いてのセミナーとなった。

左:マスター・オブ・ワインの大橋健一氏。右:セミナーが行われた明治記念館の中庭

今回のワインブームは本物か

ワインのセミナーとしては、なかなか大規模なものだった。そしてプリムールというワインジャンルをメディアにPRしたのにはワケがあると思う。それは、今がワイン愛好家を増やす好機とみているからではないか。

これまで、日本には何回かワインブームが訪れた。1998年頃には赤ワインに含まれるポリフェノールが話題になり第6次ワインブームとなった。ただ、これまでのワインブームは短期間で終息してしまったことが多い。ところが2012年頃から現在まで続く第7次ワインブームは、かなり長く続いており、しかも日本でのワイン消費量は右肩上がりだ。

ただ、アメリカやフランス、イタリア、スペインといったワインを普段から飲む国々に比べれば、日本でのワイン消費量は少ない。それだけに伸びしろがあるともいえ、ワインを多くのユーザーに定着させたい企業は、積極的にプロモーションに出ている。今回のメルシャンワインセミナーは、そうした意識の表れだろう。

もうひとつポイントがある。それは、日本産ワインの人気が高まっていること。転機のひとつとなったのは、和食が世界文化遺産に認定されたことだろう。和食を日本産ワインで楽しむというスタイルを好む人が多くなった。ある酒類関係者は、海外で日本産ワインが提供されるシーンをみることが多くなったという。

ただ、まだ大々的に輸出するまでの生産量には至っていない。メルシャンが長野県にブドウ農園を増やし、ワイナリーを増設するのは、こうした日本産ワインの需要の高まりに応えるためといえる。

一方、こうしたワイン人気の高まりに反応し始めた業界がある。もっとも消費者に近い存在であるコンビニだ。

特にセブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン)がワイン人気に敏感に反応している。セブンといえば、プライベートブランドを積極的に仕掛けている。それはワインでも同じで「ヨセミテ・ロード」というシリーズを展開してきた。そして昨年、サントリーワインインターナショナルと共同開発した「ワールドプレミアム」シリーズを投入した。

同シリーズは、世界6カ国の名門ワイナリーの商品を統一ブランドで展開する非常に珍しい戦略を採った。サントリーとの共同開発だが、セブン限定で販売される。価格帯は1,000円以上と、売れ筋の価格帯よりかは高額だが、ワイン中級者を取り込むための商品としての位置づけ。

戦略的な価格のワインを投入

セブンプレミアムのビノセントシリーズ

そしてセブンは、さらにワインで仕掛けてきた。セブンプレミアムのブランドとして「ビノセント テンプラニーリョ」(赤)、「ビノセント アイレン」(白)を投入してきた。両方とも498円と戦略的な価格で、ワイン初心者をねらった商品だ。こうした安価な商品でワインに慣れ親しんでもらい、いずれは中級者向けのワールドプレミアムへの移行を考えているのかもしれない。

いずれにせよ、若者のお酒離れが進んでいるなか、コンビニ大手のセブンがワインに注力してきた。日本ではまだ伸びしろがあるワインだけに、今の施策が今後のワインブームの高まりにつながるかもしれない。

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

2019.01.22

低温加熱式のJTがライバルと直接競合する高温加熱式に参入

専用リフィルも異なる3種類の製品で広範に網を張るプルーム・テック

海外市場でも兆し見えた加熱式たばこ、日本での成功がより重要に

日本たばこ産業(JT)が加熱式たばこの新製品、「プルーム・テック・プラス (Ploom TECH+)」「プルーム・エス (Ploom S)」の2製品を発表した。シェアトップのiQOSを追撃したいJTだが、ライバルに先行を許している今、どのような戦略を描いているのか。

JTが発表した加熱式たばこの新製品、プルーム・テック・プラス(左)とプルーム・エス

新たに高温加熱式に参入、ライバルと直接競合へ

新製品は、従来のプルーム・テックを改良したプルーム・テック・プラスと、シェアを争う「iQOS」(フィリップ・モリス)や「glo」(BAT)と同様の加熱方式を採用したプルーム・エスの2つ。iQOSとgloが高温加熱式であるのに対し、もともとプルーム・テックは低温加熱式と呼ばれる方式をとっていた。30度という低温で発生させた蒸気をたばこカプセルを通して吸うため、においが少ない一方、吸いごたえに乏しいともいわれていた。

低温加熱式で吸いごたえを追加したプルーム・テック・プラスと、高温加熱式のシェア奪取を狙ったプルーム・エスを投入

そこで、たばこ葉を増やすなどして吸いごたえを高めたのがプルーム・テック・プラスだ。その結果、本体が太く大きくなり、加熱温度も40度と少しだけ高くなったが、においの少なさはそのままに、吸いごたえをアップさせたことをアピールする。

プルーム・エスは高温加熱式を採用し、iQOSやgloと同様の吸いごたえを目指した。こうした高温加熱式は、たばこ葉を高温で蒸すことで蒸気を発生させるため、従来のたばことも異なる独特のにおいを発生させる。

JT副社長・たばこ事業本部長の岩井睦雄氏は、この独特の「におい」のせいでたばこの味わいに違和感を覚える喫煙者が多かったと話す。そのため、「満足度を高めるのは味わい」として、このにおいの低減に取り組んだという。

プルーム・エスでは、たばこ葉を熱する温度を200度に抑えた。これはiQOSの300度、gloの240度に比べて低く、これによって特有のにおいを抑えたという。

吸いごたえや加熱方式が異なる3製品をそろえる意味

JTは新製品投入後も既存製品の取り扱いを継続する。つまり、プルーム・テックのラインアップは3種類となる。iQOSも複数の製品があるが、こちらは機能の違いによって3種類に分けられており、プルーム・テックはそれに対して、吸いごたえや加熱方式によって異なる製品を用意したかっこうだ。

3つの製品を投入することで、選択肢を提供する

岩井副社長は「温度で選ぶ時代」と表現し、低温のプルーム・テック/プルーム・テック・プラスと、高温のプルーム・エスという選択肢によって「好みや生活環境、ライフステージの変化に合わせて、いつでも最適な選択ができる」ことを狙ったとしている。

たばこ事業本部長の岩井睦雄副社長

たばこ部分に互換性がないという問題はありそうだが、現在でも、においの少なさを重視して自宅ではプルーム・テックを吸いつつ、味わいを求めて喫煙所では高温加熱式の加熱式たばこ、と双方を使い分けている人が少なくない。そうしたユーザーに対して、「それぞれで求められるニーズを高いレベルで満たし、両方を提供するのが顧客満足度の最大化に繋がる」(岩井副社長)と判断し、製品開発に取り組んだ。

加熱式たばこ最大市場の日本から、海外市場を見据える

岩井副社長は新製品でiQOSからシェアを奪取し、「中長期的にはRRPカテゴリでもシェアナンバーワンを目指す」と意気込みを語る。

「RRP」とは「リスク低減製品」のこと。「喫煙にともなう健康へのリスクを低減させる可能性がある」と位置づけられる製品だ。

日本では法律上、液体にニコチンを含ませて販売することはできない。電子たばこは、このニコチンを含む液体を蒸気化させるため日本で販売できず、結果、加熱式たばこが普及したという背景もある。加熱式たばこの市場規模では日本が世界最大だが、iQOSが韓国や欧州の一部で販売を強化しており、グローバルでの市場拡大を狙っている。

JTは海外ではlogicブランドで電子たばこを販売している。海外での電子たばこ事業はありつつも、まずは製品の国内ラインナップを拡大して加熱式たばこのシェア拡大を図るとともに、紙巻きたばこを含むすべての製品の価値を向上させることで、市場の拡大に繋げたい考えだ。「日本での成功がグローバルでの成功につながる」と岩井副社長は強調する。

紙巻きたばことRRP製品の双方を拡充する
日本では加熱式、海外では電子たばこを提供中

紙巻きからの移行、数年以内に大きな山場

2018年は加熱式たばこが踊り場を迎えたと言われた。日本ではここ数年で急激に加熱式たばこの普及が進んだが、市場シェアが20%を越えたところでユーザー需要は一巡したとみられる。

ただ、プルーム・テックの全国販売の開始や、他社では直近のiQOSの新モデル投入などを経て、その動向から、需要の伸びは「足踏みしていたが、止まったわけではない」(岩井副社長)との認識にあるという。加えて、紙巻きたばこによる健康懸念の高まりや、オリンピックによる喫煙場所の規制といった外的要因もあり、「必ずシガレット(紙巻きたばこ)からRRPに移ってくる」(同)という見通しだ。

課題は、紙巻きたばことは異なり、デバイスを購入しなければならないというハードルの高さだ。一度購入した後、他社のデバイスへ移行しづらいという難題につながる。

他社の後追いとなった高温加熱式では、「差別化のポイントをしっかりと伝えていく」ことで買い替えを促進する。JTが主導する低温加熱式では、「若干下方修正したが、手応えも感じている」と岩井副社長は説明する。今後は製品の良さをアピールするために、喫煙者に直接説明をする営業スタイルを重視していく方針をとるそうだ。

JTは日本市場で紙巻き、加熱式のいずれでもシェアトップを目指す

JTは1社で複数の選択肢の製品を用意することで、消費者のニーズの受け皿を最大化しようと目論んでいる。この先にグローバルで展開する上で、ユーザーからどのような示唆が得られるのかを検証していき、海外での加熱式たばこの市場拡大にも乗り出していきたいと考えているようだ。

加熱式たばこは間もなく、国内市場シェアだけでなく、海外市場の争奪戦の行方も左右する正念場を迎える。

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

2019.01.22

セブン、ローソンに続きファミマも成人誌を販売中止

インバウンドの増加、オリンピックの開催も影響か

コンビニ最大手のセブン-イレブンと業界3位のローソンが成人向け雑誌の販売中止を発表したのに続き、業界2位のファミリーマートも同様の方針を打ち出した。大手3社の足並みがそろい、日本国内のほとんどのコンビニ店頭から成人誌が消える。

国内のセブン-イレブン店舗数は2万店を超え、ローソンとファミマが1万5,000店前後でこれに続く。それぞれ今年の8月末までに取り扱いを原則中止するという。これまで一部店舗で成人誌の販売を中止していた例はあったが、今回は各社全店舗で取り扱いを中止する。業界では昨年1月から、ミニストップが他社に先駆けて全店で取り扱いを中止していた。

もともと諸外国にくらべ、女性や子どもの目につきやすいコンビニ店頭などに成人誌が置かれている日本のゾーニングの現状は特殊であるとの批判があった。また、インバウンドで訪日外国人が増え、この論調に拍車がかかっていたほか、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、イメージ低下を防ぐ要請が強まっていたという背景がある。

コンビニでの成人誌の購買層は近年、高齢男性に偏るとともに売り上げの減少も顕著であったといい、ゾーニングの問題が取り扱い中止の大義名分になったという見方もある。ある出版関係者は、「一部では電子版などネット展開を強化している流れはあるが、今でもコンビニは重要な販路なので、相当な混乱があるだろう」と話す。どちらにせよ、日本の成人誌は岐路に立たされることになる。