日本の保有台数は10万台を突破! キャンピングカー増加の背景とは

日本の保有台数は10万台を突破! キャンピングカー増加の背景とは

2018.03.03

日本のキャンピングカー保有台数は2016年に10万台を突破し、その後も緩やかに増え続けている。「RVブーム」後の低迷から抜け出し、クルマでキャンプを楽しむ人が増えているのだ。ジャパンキャンピングカーショー実行委員会の話も交えつつ、その背景を探る。

日本でキャンピングカーが増えている

ジャパンキャンピングカーショー来場者の特徴は?

「ジャパンキャンピングカーショー2018」が幕張メッセで開催された。会期は2月2日から4日までの3日間で、来場者数は6万7,885人。来場者数の近年の推移は2015年が約6万人、2016年が6.2万人、2017年が7.4万人で、一見すると今年は集客が落ちたと思われるかもしれないが、これまでは会期が4日間で、今回が3日間だったことを考慮すれば、その活況ぶりは継続しているといえる。

3日間で6.8万人近くが足を運んだ「ジャパンキャンピングカーショー2018」。犬を連れた来場者も多かった

ジャパンキャンピングカーショー実行委員会の野瀬勇一郎氏は、出展者や来場者の状況が変化していることを強調する。アジア最大のキャンピングカーの祭典として2011年から毎年開催されているショーだが、今回は特に、「クルマの移動空間の楽しみ」に関心を持って来場する人が増えたのが特徴だ。

ジャパンキャンピングカーショー実行委員会の野瀬勇一郎氏

キャンピングカーとは、「車内で生活できるように架装されたクルマ」のことだが、国土交通省は「キャンピング車の構造要件」として、「車室内に居住してキャンプすることを目的とした自動車」と定義し、8ナンバー登録の特種用途自動車に区分している。

欧米でのキャンピングカーといえば、米国での大型けん引トレーラーや欧州でのモーターホームが代名詞だが、日本では8ナンバーキャンピングカーを頂点とし、ミニバンやワンボックス、SUV、さらには軽自動車のキャンピング仕様まで、幅広くRV(レクリエーショナル・ビークル)と総称されている。

キャンピングカーといえばオートキャンプだが、近年はグランピングという豪華なオートキャンプの楽しみ方も話題となるなど、多様化のトレンドにある。さらに車中泊の楽しみなど、ライフスタイルとしてキャンピングカーに関心を持つ向きも増えているようだ。

ホンダの軽自動車「N-BOX」のキャンピングカー仕様

シェアリングとも親和性の高いキャンピングカー

一方で、出展者にあってはレンタルキャンピングカーが10社に増えて、カーシェアリングビジネスがここにも新たな胎動を示す。さらに、オートキャンプ場での充電との連動でプラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)の活用期待もある。つまり、キャンピングカーは自動車業界でトレンドとなっているシェアリングや電動化との親和性が高いのだ。

ジャパンキャンピングカーショーではレンタカー事業者の出展も増えているという。今後は、使わないときには他人とシェアするようなキャンピングカーとの付き合い方が増えるかもしれない

日本のオートキャンプには、クルマ社会が成熟し、先進技術の導入も盛んとなり、「モノからコトへ、体験を買う社会に変容する」流れのなかで、新たな波が来ているのかも知れない。

キャンピングカーを持っていない来場者が増加

野瀬氏によると、従来はショーに来場する人の大半がキャンピングカー購入を検討していたとのことだが、今回は、来場者の半数近くがキャンピングカー以外のクルマで車中泊を楽しんでいる人たちだったという。

これまではキャンピングカー購入を検討する人が95%を占めていたのに対し、購入検討よりも、興味・関心を持ってクルマの移動を楽しみたいという人たちが25%を占めてきたとする。つまり、キャンピングカーショーは商談の場としてのビジネスショーである半面、クルマを楽しみたい人が集まるユースショーの場となってきているのだ。

トヨタ「ハイラックス」のキャンピングカー仕様

モータリゼーションと共に定着したクルマ文化

筆者は、日本のオートキャンプ創成期の1970年代前半から取材し、自らも家族でオートキャンプを体験してきた。当時、自動車先進国であった欧米でのオートキャンプは、長いバカンスをキャンピングカーで楽しむことが定着していた。日本でも高度経済成長の中でのモータリゼーション進展とともに、1969年に日本オートキャンプ協会が発足し、1970年に「第1回キャンピングカー&ユーズドカーショー」が東京・神宮絵画館前広場で開催された。

日本でキャンプといえば、野営のイメージが強かった。ボーイスカウトなどの青少年キャンプである。これに対し、「クルマ社会の到来と共に、クルマでキャンプを楽しむのがオートキャンプであり、青少年キャンプを脱して日本にも定着させたい」(発足時の岡本昌光日本オートキャンプ協会専務理事)という狙いで日本オートキャンプ協会が設立された。

その後、日本のクルマ市場は成長を続けたが、1990年のバブル崩壊と共に、高度成長は終焉を遂げた。バブル崩壊はモノの豊かさよりも心の豊かさを重視するという風潮を生み出したが、そんな流れの中、日本のオートキャンプは家族で楽しめるレジャーということで着目され、1990年代半ばにはアウトドアブーム・RVブームへと広がっていった。1996年には日本のオートキャンプ人口は1,580万人、全国のトートキャンプ場は1,000カ所を超えた。

ルノー「カングー」のキャンピングカー仕様

しかし、この1990年代半ばをピークに、日本のオートキャンプ人口は減少の一途をたどった。その原因は、人口のボリュームゾーンを占めていた団塊世代が1990年代半ば頃から子育てを終え始めたこと、さらには、長引いた景気低迷のあおりを受けたことなどが挙げられる。

キャンピングカーで「時間と空間から自由」に

日本の新車市場は、1990年の777万台をピークに現状で500万台ラインの攻防となり、保有の循環型需要の流れを示し、先行きについては少子高齢化の進展で厳しい見方が多い。それでも世界の国別新車市場としては、中国、米国に次ぐ3位の座にある。若者のクルマ離れが言われて久しいが、一方で地方部における軽自動車の根強さなどを見ると、クルマ社会の定着でクルマが生活の必需品となっていることがわかる。

キャンピングカーショー自体も、オートキャンプのためのキャンピングカーということにとどまらず、クルマで移動することで「時間と空間から自由になれる」(野瀬氏)という新たなモビリティサービスとしての方向づくりに変わろうとしている。ジャパンキャンピングカーショーは、昨年から「クルマに、もっと物語を。」をキーワードにブランディング戦略を進めているという。

キャンピングカーならば混雑を避けて観光に出掛けられる。交通機関の時間を気にしなくても済むので、普通では行けないような時間帯を狙って観光地を訪ねるのも楽しいかもしれない

車中泊を楽しもうとする層は意外に多い?

日本のクルマ社会の成熟の中にあって、オートキャンプを楽しむキャンピングカー10万台の保有層がピラミッド構造の頂点にあるとしたら、車中泊を楽しむ(楽しもうとする)層は、もっと幅広い。ミニバンからSUVやジープタイプ、ステーションワゴンなどに加え、軽自動車のキャンピングカー仕様などもいかにも日本的である。

軽トラだってキャンピングカーになる

移動と宿泊をどう楽しむか、クルマの物語性を見つめ直す時代に入ってきたのかと考えさせる。これに、モビリティサービスの方向を問う新たなうねりがつながってくるのではないだろうか。

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

2018.11.16

シャープが新スマホ「AQUOS R2 compact」を発表

大画面化の波に逆らい、「片手ポケット族」が増加傾向に

iPhone不在の「小型スマホ」市場を狙う

11月15日、シャープがAndroidスマートフォンの新製品「AQUOS R2 compact」を発表した。名前に「compact」と付いている通り、最近のスマホ市場では選択肢が減っている小型モデルであることが特徴だ。

小型スマホの需要を取り込む「AQUOS R2 compact」

コンパクトな見た目とは裏腹に、中身にはハイエンドである「AQUOS R」シリーズのスペックを詰め込んでいる。世界的にスマホの大画面化がトレンドとなっている中で、あえて時代に逆行するシャープの狙いはどこにあるのだろうか。

スマホを片手で持ち、ポケットに入れて使う人が増加

世界のスマホ市場では、6.5インチの「iPhone XS Max」に代表される大画面モデルが人気を博している。だが、日本では通勤電車などの利用シーンにおいて、片手で使う人が多いといわれている。シャープによれば、スマホを片手で持つ人は64% 、服のポケットに入れて持ち運ぶ人は49% に達しており、その割合は上昇傾向にあるという。

片手で持ち、ポケットに入れて持ち歩く「片手ポケット族」が多いという

その背景として、シャープはスマホの「インフラ化」を指摘する。SNSやコンテンツを楽しむだけでなく、サービスの利用やモバイル決済にスマホは欠かせない存在になっており、日常生活でスマホを取り出す場面が増えている。

AQUOS R2 compactは、日本人の手のサイズを念頭に置いた「横幅64mm」のボディに、できるだけ高性能な部品を詰め込んだハイエンドコンパクト機になっている。プロセッサは最新のSnapdragon 845、メモリは4GBを搭載しているが、これは大画面モデルのAQUOS R2と同等だ。

ポケットに入れやすいサイズに高性能を詰め込んだ

スマホ本体を小型化する一方、画面は前モデルの「AQUOS R compact」より大型化した。このためにシャープは画面の上下に切り欠き(ノッチ)を持つIGZOディスプレイを開発。インカメラと指紋センサを搭載しつつ、表示領域を上下に広げてきた。

前モデル(左)と比べて新モデル(右)は表示領域が広がった

「iPhone不在」の小型スマホ市場を直撃

シャープによれば、小型スマホを求める人は全体の3割程度という。スマホ市場では残りの7割に向けた大画面モデルが幅を利かせており、最新のiPhoneでは6.5インチのXS Maxに加え、一般向けモデルの「iPhone XR」も6.1インチとなっている。

一方、小型モデルとして根強い人気のあった「iPhone SE」は、後継モデルが出ないまま販売が終了。中古市場では価格が上昇する騒ぎもあった。

日本で最大シェアを誇るiPhoneだが、小型スマホ市場では存在感が薄れつつある。ソニーモバイルはXperiaシリーズのコンパクト機を投入しているが、2018年夏モデルの「Xperia XZ2 Compact」と比較して、シャープ機は画面の大きさ、薄さ、軽さの面で圧倒している。

中国メーカーとして日本でも勢いを伸ばすファーウェイ、OPPOも世界市場において大画面化競争を繰り広げており、小型モデルに積極的な動きは見せていない。この点もシャープにとって有利に働いている状況だ。

また、AQUOS R2 compactは顔認証と指紋認証の両方に対応しているのも特徴。これは、iPhoneにもXperiaにもない機能だ。スマホをポケットから取り出し、顔の前に持ち上げるだけでロックを解除できる顔認証だが、卓上に置いている場合は使いにくい。だが指紋センサがあれば、指を置くだけで済む。

顔認証に加えて指紋認証にも対応

スマホの端末メーカーの多くはグローバル市場に目を向け、大画面化のトレンドを追いがちだ。だが、シャープは国内の需要をしっかりとらえた上で、日本のユーザーに刺さる製品作りを続けている。

依然としてiPhone人気が続いている中で、限られた市場であっても「不在」のチャンスをタイムリーに活かし、ユーザーを奪還する。国内に目配りできるシャープならではの戦い方に注目したい。

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第23回

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

2018.11.16

海外メーカーの台頭で日本にも大画面化の波が到来

大画面化と使いやすさの両立、各社の工夫の歴史

縦長スマホにとって代わるのは「折り畳み」スマホか

スマートフォンのディスプレイは年々大型化が進んでおり、かつては「大きすぎる」と言われた5インチディスプレイが、今や小さい部類に入ってしまうほどだ。一方で使いやすさを維持しながらディスプレイの大画面化を実現するため、メーカー各社はさまざまな工夫を重ねている。スマートフォンのディスプレイサイズはなぜ大きくなり、今後はどのように変化していくのだろうか。

海外メーカーの台頭で日本でも大画面化に拍車

スマートフォンにとってディスプレイは、単に情報を表示するだけでなく、タッチして操作するインタフェースも兼ねている非常に重要な存在だ。そのスマートフォンのディスプレイが、ここ10年ほどで最も大きく変化した要素が「サイズ」である。

どれくらい大きくなったのかというのは、新旧のスマートフォンのディスプレイサイズを比べてみれば一目瞭然だ。日本で最初に発売されたiPhoneである「iPhone 3G」のディスプレイサイズは3.5インチだった。一方、「iPhone X」や「iPhone XS」、「iPhone XR」といった最近のiPhoneのディスプレイサイズは6インチ級があたりまえ。1.7倍に以上に拡大しているのだ。

今やスマートフォンのディスプレイサイズは5インチ以上が一般的で、6インチも珍しくなくなった。画像の「iPhone X」のディスプレイサイズは5.85インチだ

さらに「iPhone XS Max」は6.5インチもあるし、他の大手メーカーでもサムスン電子の「Galaxy S9+」やファーウェイの「HUAWEI P20 Pro」のように、6インチを超えるディスプレイを採用した機種は増えている。なぜ、これほどまでにディスプレイサイズが大きくなったのかというと、それは大画面が欲しいというユーザーが多いため。スマートフォンの性能向上によって動画やコミック、ゲームなどのコンテンツを楽しむ人が増えていることから、ユーザーのニーズに応えるかたちで、大画面が求められるようになったといえよう。

だが日本国内の事情に目を向けてみると、公共交通機関での通勤・通学が多いのに加え、片手で文字入力ができる「フリック入力」が広く普及したこともあり、片手でスマートフォンを操作する傾向が強く、実は大画面に対するニーズはそこまで大きい訳ではない。実際日本では、4インチディスプレイの「iPhone SE」が人気を保っていたし、シャープの「AQUOS R Compact」やソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ2 Compact」などのように、4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトなスマートフォンも投入されている。

2018年の夏モデルとして販売されている「Xperia XZ2 Compact」は4.9インチと、最近では珍しくなった4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトモデルだ

にもかかわらず、日本でも大画面のスマートフォンが増えているのはなぜか。まずは国内のスマートフォンメーカーが減少したことで、市場に海外メーカー製のスマートフォンが増えているためだ。海外では移動手段の違いに加え、文字入力システムの違いからスマートフォンを両手で持って操作する機会も多く、片手操作に対するこだわりが弱いのだ。

新興国などでも、ディスプレイサイズが大きいほど人気が出る傾向が目立ち、大画面に対するニーズが強いのである。海外製スマートフォンが日本市場に入り込みやすくなったことが、日本国内においてもスマートフォンの大画面化を進めたといえる。

縦長スマホの元祖はアップルだった?

とはいえ、スマートフォンが大画面化するに従って、本体の横幅がひろがり、さすがに海外のユーザーからも「持ちづらい」という声が増えてきたようだ。そこで近年急速に増えているのが、従来の16:9比率ではなく、18:9や19:9といった縦長比率のディスプレイの採用である。

持ちづらさに影響する横幅をこれ以上広げることなく、ディスプレイを縦に伸ばすことで大画面化しようとしたのだ。この流れをけん引したのは韓国メーカーで、2017年にはLGエレクトロニクスが「LG G6」(日本未発売)、サムスン電子が「Galaxy S8/S8+」といったように、縦長比率のディスプレイを採用した機種を積極的に投入した。

2017年発売の「Galaxy S8」「Galaxy S8+」は、18.9:9と縦長比率の有機ELディスプレイ「インフィニティディスプレイ」を採用したことで大きな話題となった

この韓国の両メーカーとも、グループ内にディスプレイデバイスを開発する企業を持っている。それゆえ縦長比率のディスプレイが生み出されたのには、実は大画面化だけが目的ではない。自社のスマートフォンに新しいディスプレイをいち早く搭載し、トレンドを作り上げることで、グループ企業のディスプレイデバイス販売拡大につなげる狙いもあったといえる。

だが、縦長ディスプレイで大画面化するというアイデアを真っ先に実践したのは、実はアップルである。アップルはかつてディスプレイの大画面化に消極的で、2011年発売の「iPhone 4s」までは3.5インチのサイズにこだわっていた。だが大画面化を求めるユーザーの声を受け、2012年発売の「iPhone 5」でディスプレイサイズを4インチに拡大した際に、ディスプレイの横幅はそのままに、縦に長くするという手法をとったのである。ある意味、アップルは5年前に現在のトレンドを先取りしていた、といえるかもしれない。

スマートフォンのディスプレイを縦に伸ばして大画面化するというアイデアをいち早く実践したのは、アップルの「iPhone 5」だった

しかしながら、ディスプレイを縦に伸ばして画面サイズを大きくする工夫にも、いずれ物理的な限界が来ることは目に見えている。そこで、さらなる大画面化の追求で、いま注目されているのが折り畳み式ディスプレイだ。このアイデア自体は、NTTドコモが2013年の「MEDIAS W」(NECカシオ モバイルコミュニケーションズ製)、2018年の「M」(ZTE製)で既に実現しているものだが、いずれも2枚のディスプレイを用いていたため、どうしても画面の折り目に継ぎ目が発生してしまう弱みを抱えている。

折り畳みスマートフォンとして注目されたNTTドコモの「M」は、2枚のディスプレイを用いるスタイルであるため折り畳み部分に継ぎ目が発生してしまう

だが有機ELを用いれば、ディスプレイを折り曲げられる“真の”折り畳みスマートフォンが開発できると言われており、大手スマートフォンメーカーがその開発を進めているとの観測報道も幾度となくなされている。

これは折り畳みできるという意味の「フォルダブル」スマホなどと呼ばれ、先ごろはサムスン電子が、来年発表するというフォルダブルスマホ「Galaxy F」のプロトタイプを開発者向けに見せはじめたりしている。2019年は各社から製品が登場するのではないか? との声もあるようだが、いま確実に言えることは、真の折り畳みスマートフォンがいつ、どのメーカーが、どのような形で投入するのかが、大いに注目されているということだけである。