NTTドコモに聞く、2020年サービス開始の5Gの普及に向けた取り組み

NTTドコモに聞く、2020年サービス開始の5Gの普及に向けた取り組み

2018.03.06

日本では2020年に商用サービスを開始する予定の次世代モバイル通信規格「5G」。昨年5Gの標準仕様策定に向け大きな前進が見られたことで、5Gの商用化に向けた目途は立ったものの、5Gの利用を促進するデバイスやサービスが不在なことから普及の遅れを懸念する声も多い。5Gの商用サービスに向け積極的に取り組んでいる企業の1つであるNTTドコモは、普及に向けどのような施策を進めようとしているのだろうか。関係者の取材から迫ってみよう。

5Gを知ってもらうにはサービスの具現化が必要

いま携帯電話業界で非常に大きなテーマとなっているのが、次世代のモバイル通信規格「5G」だ。5Gは昨年、標準化3GPPにて5Gの通信方式「5G NR」の標準仕様の初回策定が完了したことから商用化に向けた準備が大幅に前進。早い国では2019年、日本では東京五輪に合わせて2020年の商用サービス提供を開始するとしている。

そうしたことから今年スペイン・バルセロナで実施された、携帯電話の総合見本市イベント「Mobile World Congress 2018」では、5Gに関する展示が大幅に増え、業界全体で5Gに対する機運が大きく高まっている様子を見ることができた。だが一方で5Gに関しては、4Gの時のスマートフォンのように、普及をけん引するデバイスやサービスが存在せず、普及がなかなか進まないのではないかという懸念も少なからずなされている。

では、実際に5Gのサービスを提供する側のキャリアは、5Gのサービス開始、そしてその普及に向けてどのような考えを持っているのだろうか。Mobile World Congressの会場にて、NTTドコモの5Gのインフラとサービス、それぞれの関係者に話を聞いた。

NTTドコモの5G推進室長である中村武宏氏は、同社の5Gの進展状況について、標準化の進展によって開発が進められる段階にきたものの、「世界各国のキャリアやベンダーと調整が必要になるし、システム開発もどんどん進めていかないといけない。また複数のベンダーの機器と接続する必要があり、その試験にも時間がかかる。2020年の商用サービス開始まで、時間的にはタイトだ」と答える。商用化に向けてインフラ面で急速に準備を進めている様子がうかがえる。

NTTドコモの5G推進室長である中村武宏氏

一方で、NTTドコモでは昨年より、5Gを活用した新しいサービスの創出に向けた「5Gトライアルサイト」を展開するなどして、5Gのさまざまな活用事例などを一般消費者に紹介。特に昨年末頃には、5Gを中心にNTTグループの技術を活用した新しいエンタテインメント体験を提供する「FUTURE-EXPERIMENT」を展開するなどして、5Gのアピールを一層強めている。

こうした取り組みの狙いとして、中村武宏氏は「5Gのサービスは何かと聞かれると、明確な答えはない。色々なパートナーと事例を作り、それをきっかけとしてより現実的なサービスを作り上げていく必要がある」と話している。確かに5Gは高い性能を誇るが、それを口で説明しても伝わりにくい。具現化したサービスを実際に見せていくことで、5Gを活用したより新しいアイデアを生み出してもらうというのが、大きな狙いとなっているようだ。

「Mobile World Congress 2018」におけるNTTドコモのブースでは、フジテレビとの協業による、ARを活用したスポーツ体験を提供する「ジオスタ」など、多くの5G活用事例が展示されていた

今後は「5Gのリアル」を伝えることも重要に

ただし個々のサービス事例を見ていくと、必ずしも5Gでなければ実現できないものばかりではないように見える。この点について中村武宏氏は、「現状の4Gでもそれなりに動くサービスがほとんどだが、5Gになることで現状よりも品質が大幅に改善される。そうなった時に5Gが評価されるようになるのではないか」と話す。

NTTドコモで5Gに関する研究開発を進めている、R&Dイノベーション本部長である中村寛氏も、これまでの実証実験の事例を例として挙げて5Gの重要性を説明。例えば遠隔医療の実証実験で、患部の映像をストリーミングで医者に送る場合、4Gと5Gでは一度に転送できるデータの量が大きく異なり、それが画質にも影響してくることから、患部の細かな部分まで確認できないなど決定的な違いを生み出すことにもつながってくる。それゆえ今後、同じサービスであっても4Gと5Gとでその価値や評価が大きく変わってくる、といった事例が増えてくると見ているようだ。

NTTドコモのR&Dイノベーション本部長である中村寛氏

また中村寛氏は、「4Gまでの主流はコンシューマー向けで、その傾向は5Gでも続くが、一方で法人向けの利用が今後増えてくるのではないか」とも話している。特に遠隔操作に役立つ低遅延や、IoTに対応する多接続といった5Gの特徴は、法人向けのビジネスを拡大する上で大きく貢献すると考えているようだ。

では、5Gの利用を拡大する上での課題はどのような所にあるのだろうか。中村武宏氏は「これまで5Gで『何でもできる、すごい』と花火を打ち上げてきたことから、最初から凄いことができると思われている節がある。今後は5Gのリアルな姿を訴求していく必要がある」と話している。

5Gへの関心を高めることは重要ではあるものの、5Gの標準化自体まだ途上の状態であり、最初からフルスペックの5Gによるサービスを提供できるわけではない。それゆえ実際に5Gを利用してもらう上では、5Gの現時点でのリアルな姿を訴求することで、5Gに対する理解を深めてもらいながら実際のサービス提供へと落とし込んでいく必要があるようだ。

5GとAIは似ている?

もう1つ、5G全体の動向を見据える上では、国による5Gへの温度差も気になるところだ。4Gで先行してきた日本など東アジアや米国では5Gの導入に積極的だが、4Gのインフラ整備が遅れている欧州のキャリアは、5Gによるサービス提供に「腰が重い」(中村武宏氏)状況だ。

この点について中村寛氏は「欧州ではいま4Gに目が向いているが、彼らも時間が経てば5Gを導入する。今でも2Gを用いている国もあるのだから、時間差がありながらも最終的には同じところに向かうのではないか」と話す。そうした意味でも、NTTドコモとしては5Gの先行事例をいち早く作り上げ、前向きな取り組みを見せていく必要があると感じているようだ。

ちなみに中村寛氏は、5Gに並ぶ研究テーマとしてもう1つ、AIとビッグデータの活用を挙げ、「AIは5Gと似た所がある」と話している。その理由は、双方共に技術としては優れているものの、技術だけで人々の生活を便利にするわけではないということ。ゆえにそれらを活用して便利なサービスを提供する上では、サービスを提供する企業側のニーズを見極めることが非常に重要だと、中村寛氏は話している。

それゆえ5Gだけでなく、AIに関してもパートナーとの協業を強化していく方針のようだ。NTTドコモのAIは従来、ネットワークの最適化や、「dマーケット」で消費者に商品やサービスをレコメンドする仕組みなど、NTTドコモ内のサービスで利活用することが主となっていた。だがNTTドコモでは昨年6月に、同社のAIエージェント機能をAPI化し、パートナー企業と共同でサービスなどの開発を進める「ドコモAIエージェント・オープンパートナーイニシアティブ」を開始。今年の春にはそれを活用したサービスが登場してくるとのことだ。

昨年6月に発表された「ドコモAIエージェント・オープンパートナーイニシアティブ」。今年の春頃にはその具体的な成果が登場するようだ

5GやAIといった多くの先端技術を持つNTTドコモだが、一方で3Gでは技術が先行し過ぎて成功に至らず、4Gでもやはり技術やサービス面では先行しながらも、後発の事業者がなし崩し的に「4G」という言葉をプロモーションに用い積極的なアピールを進めたことで、むしろ後れを取っているように見られてしまうなど、技術をビジネスに乗せるという部分では弱さがあるように見える。そうした弱さを補いながらも同社の技術をフル活用する上では、やはり自社だけでは生み出せないさまざまな発想を持つ、パートナーとの協業による5Gの活用が大きな意味を持ってくるといえそうだ。

マーケティングと恋愛が似てるってどういうコト?Facebookで聞いてきた

恋するSNSマーケティング講座 第1回

マーケティングと恋愛が似てるってどういうコト?Facebookで聞いてきた

2018.11.14

Facebook社員に「マーケティングのイロハ」を聞く新連載!

第1回は、講師の紹介と「マーケティングと恋愛」の関係性について

フェイスブック ジャパンのSNS運用コンサルタントに「SNSマーケティング」について聞く短期連載。初心者~中級者に知ってほしい「マーケティングの考え方」について、全5回にわたって説明します。

キーワードは「恋愛」。とっつきづらいマーケティングも、恋愛に喩えて考えてみると、意外とわかりやすいようです。

「恋愛とマーケティングは似ていると思うんです」

FacebookやInstagram、TwitterなどのSNSを活用したマーケティングは今や企業にとって欠かせないものになっている。

一方で、「どこから始めればいいのかわからない」「そもそもSNSマーケティングって?」といった疑問もまだまだあるだろう。そこで今回は、フェイスブック ジャパンのクライアントソリューションズマネージャ リードを務める丸山祐子さんを講師に迎え、SNSマーケティングを“恋愛”に喩えてわかりやすく解説してもらうことにした。

フェイスブック ジャパンのクライアントソリューションズマネージャ リード 丸山祐子さん

なぜ“恋愛”なのか。それは「日々のお客様とのやりとりの中で、恋愛とマーケティングは似ていると感じることが多かったから」と丸山さんは言う。

丸山さん自身も現在婚活中の身。これまで仕事最優先で生きてきたが、最近になってパートナーを探すべく婚活を開始したという。その過程で感じたのが、前述の恋愛とマーケティングの共通点だったというわけだ。

「流行」は人の手でつくられるモノ

今回は連載初回ということもあるので、まずは講師である丸山さんの経歴から紹介しよう。

東京で生まれ育った丸山さんは、中高大一貫校に通っていた。小学生時代から「自分の知らない世界に行ってみたかった」という丸山さんは、高校時代に初海外となるカナダを訪れる。

「知らない言語で話しかけられたり、東京では見られない地平線や水平線を見たりして、私の知っている世界はなんて狭いんだろうと思いました」(丸山)

海外に魅了された丸山さんは、一念発起してカリフォルニアの大学に進学。そのころ、「ファッションの流行は自然に生まれるのではなく、必ず裏には仕掛人がいる」ということを実感したのがキッカケとなり、「自分も人の心を動かす仕事がしたい」と考えるようになった。

大学卒業後は日本に戻り、人材業界で働くことに。長くアメリカで過ごしていたこともあり、日本の業界事情がつかめない中、「まずはいろいろな業界を知りたい」と考えたためだ。

その後、「リーマンショック」が起こり人材業界の業績が悪化したこともあり、業務を通して興味を持つようになったデジタル業界への転職を決意。転職先は、IT業界を中心にメディアプランニングなどを行う電通の子会社。メディア担当として、デジタル広告のイロハを学んだ。

そこで担当していたクライアントが、当時日本に上陸したばかりのFacebookだった。その後、それまで培ったデジタル広告のノウハウをより活かすべく、フェイスブック ジャパンへ転職し、現在に至る。

広告はラブレター「相手に届かないと意味がないんです」

丸山さんは現在、FacebookやInstagramの広告メニューについて、運用コンサルやメディアプランニングなどを行っている。また、Instagramをより企業に活用してもらうためのプロジェクトメンバーとしても活動しているそうだ。

さて、そんな丸山さんがFacebookのコンサル業務を通して常々感じていたのが「恋愛とマーケティングの共通点」である。

どんな業界でもそうだが、良い製品だからといって何もせずに売れるわけではない。“届けたいメッセージを届けたい相手にちゃんと伝える”必要がある。これがマーケティングの目的だ。

「広告はよくラブレターに例えられます。いくらラブレターを書いても、それがちゃんと届けたい人に、その人の心に響くかたちで届かないと意味がありませんよね。ラブレターを届けるために恋愛にもマーケティングが必要なんです」(丸山)

婚活において“ラブレターを届けるべき相手”とは、まだ見ぬ将来のパートナーだ。その相手はどこかに存在しているはずだが、まだ出会ってはいない状態である。運命の相手と出会うために重要なことの1つは「とにかく出会いの数を増やすこと」だという。

「1人と会ってみて、その人が運命の相手ならラッキーですし、そういうケースもあるでしょう。でも、そうでない場合には、たとえば運命の相手と出会える確率が1/100だとして、10人と会うのと100人と会うのではどちらの方が出会える確率が高いか、言うまでもありません」(丸山)

これはそのままマーケティングに置き換えても同じことが言える。自社の製品を購入してくれる潜在的な顧客の態度変容効果が一緒であるなら、できるだけ多くの人数に広告を届けた方が売上は伸びるはずだ。

「そう考えると、婚活でもせっかくの週末に部屋にこもっているのはもったいないなと思いますよね。積極的に行動をおこして、多くの人に出会う機会を増やすことが大事なんです」(丸山)

一方で、重要なのは数だけではないと丸山さんは言う。多くの人にリーチすることは大前提として、そこからさらに“出会いの効率”を上げていく必要があるのだ。

では「数」に続いて大事なこととは? 次回は効率を上げるために必要な「ターゲティング」について、これまた恋愛と絡めて聞いていく。

第2回「恋するSNS講座」は11月20日に掲載予定です。

クルマ新時代の駐車場は何を目指す? 「CASE」で見えてきた未来像

クルマ新時代の駐車場は何を目指す? 「CASE」で見えてきた未来像

2018.11.14

日本自動車研究所が「自動バレーパーキング」の実証実験

駐車をシステム任せにできる仕組みとは?

未来の駐車場はクルマの“ハブ”になる

自動運転、電動化、カーシェアリングなど、新たな技術・サービスの登場により変革期を迎える自動車業界。クルマの乗り方、使い方を根本的に変えるかもしれないこれらの要素をまとめて「CASE」というが、この文字を目にする機会も増えてきた。クルマが変わればクルマに関連するモノや場所も変わりそうだが、例えば駐車場は、どのような姿になっていくのだろうか。日本自動車研究所(JARI)の実証実験で、その一端を垣間見た。

「CASE」の進展で駐車場の姿も一変する?

「バレーパーキング」を自動化

「CASE」とは「Connected」(コネクティッドカー)、「Autonomous」(自動運転)、「Shared & Service」(カーシェアリングなど)、「Electric Drive」(クルマの電動化)という4つの言葉の頭文字をとってダイムラーが使い始めた概念のこと。そのうち、コネクトと自動化の2つを使って、JARIが実用化の道を探っているのが「自動バレーパーキング」というシステムだ。

JARIは経済産業省および国土交通省の委託を受け、2016年度から「一般車両による自動バレーパーキングシステムの社会実装に向けた実証」というプロジェクトを進めている。「バレーパーキング」とは、例えばホテルやショッピングセンターなどにクルマで乗りつけたとき、キーを従業員に預けて、代わりにクルマを駐車しておいてもらうサービスのこと。その自動化に向けて、JARIはシステム、制度、事業性などを検証してきた。

JARIは今回、自動バレーパーキングシステムの機能的な確認を行うためとして、東京都港区にある「デックス東京ビーチ」の駐車場で実証実験を実施。その模様を報道陣に公開した。そこではクルマが勝手に動き、定められた駐車スペースに止まり、再び動き出す様子を見ることができたし、自動バレーパーキングを含めた駐車場の未来像に関する話も聞くことができた。

JARIはデックス東京ビーチ駐車場の2階で実証実験を実施した

自動バレーパーキングとはどんなシステムなのか

自動バレーパーキングをドライバー目線で説明するのは簡単だ。例えばショッピングセンターのエントランスにクルマで乗りつけたならば、降車してスマートフォンのアプリで「入庫」を指示し、そのまま買い物にでも食事にでも向かえばいい。用事が済んだ頃に「出庫」ボタンを押して出口に向かえば、クルマ寄せには愛車が迎えに来ている。

自動バレーパーキングの指示はスマホで行う

では、そのシステムはどのようなものなのか。自動バレーパーキングは「クルマ」「管制センター」「駐車場」の3者による協調で機能する。駐車場の構造を把握している「管制センター」は、ドライバーから入庫の要請を受けると、安全性や効率を考慮して駐車場所とそこへ向かう経路を決め、「クルマ」に無線で指示する。「クルマ」は「駐車場」にあるランドマーク(目印)をカメラやセンサーなどで読み取り、「管制センター」が持つ駐車場の構造情報(地図)と擦りあわせて自らの位置と経路を確認し、指示された駐車スペースに向かう。そんな流れだ。

自動バレーパーキングの様子。運転席に人は乗っているが、ハンドルからは手を離している

同システムが実用化となれば、駐車場の「利用者」は手間を省けるし、「事業者」は駐車効率の向上を図れる。無人で自動運転を行うクルマであれば、ドアの開閉スペースは不要だし、ぶつけたりこすったりする心配もないはずなので、クルマをギュウギュウに詰め込めるからだ。JARIによれば、駐車効率は従来比で20%向上する可能性があるという。また、自動車事故の3割は駐車場で発生しているので、自動化は事故削減にもつながる。

ただ、実用化には当然ながら、いろんなハードルがある。自動バレーパーキングの実用化に向けて動いているのは日本だけではないが、JARIとしてはまず、同システムの国際標準化に向けた手続きを進めたい考え。2021年のISO国際標準化に向け、各国と協議を重ねているところだ。

また、システムが実用化となったとしても、最初から全てのクルマが自動バレーパーキングを利用できるわけではない。まず、通信機能が備わっていないクルマはアウトだし、通信できたとしても、管制センターの指示通りに自動運転をこなせるクルマでなければ、やはり同システムの恩恵は受けられない。

JARIの考えでは、まずは同システムが求める要件を満たすクルマだけが使える専用の駐車場を実用化し、段階的に「混在型」を目指すのが現実的だそう。ただし、混在型を実現するためには、人が運転するクルマと自動運転のクルマを駐車場内でうまく交通整理する工夫が必要になるだろう。

未来の駐車場はクルマの「ハブ」になる?

自動バレーパーキングの実用化には時間が掛かりそうな雰囲気だが、その先の駐車場の在り方についてもJARIは考えをめぐらせている。JARIのITS研究部に所属する深澤竜三さんによると、未来の駐車場が目指すのはクルマのハブ、つまり、クルマにまつわるさまざまなサービスの結節点だ。

JARIが描く未来の駐車場の姿

ハブ駐車場とはどのような施設なのか。深沢さんの描写はこんな具合だ。

「自動バレーパーキングで、勝手に駐車しておいてくれるのはもちろんですが、そこが自動車整備の拠点としての役目を果たしたり、電気自動車(EV)であれば、勝手に充電しておいてくれるとか。買い物が終わる頃には充電が済んでいるというのが理想ですね。あとは、観光地であれば情報配信拠点としての機能も想定できます」

「ほかのアイデアとしては、クルマを駐車しておいたら、宅配便がトランクに届いている、といったような使い方も考えられます。その場合は、トランクを開けられるような仕組みが必要にはなりますが、届け先を1件ずつ回る必要がなくなるので、配送業者の方も楽ですよね」

未来の駐車場は、クルマにまつわるいろんな機能を提供する拠点になるかもしれない

深澤さんの話を聞いていると、おそらくハブ駐車場はホテルに1つ、ショッピングセンターに1つという具合にではなく、地域に1つ、しかも大型の施設として存在するもののように想像できた。用事で近くまで来た人も使えば近隣の住人も使うし、カーシェアやレンタカーなどのクルマも混在している大きな駐車場。そんなイメージだ。

こういう駐車場が必要かどうかについては、地域によって状況が違うだろう。コンビニエンスストアですら広大な駐車場を備える地域がある一方で、例えば銀座のように、数台しか止められないけれど、短時間で驚くべき値段になるコインパーキングが稼動している場所もある。おそらく、ハブ駐車場が必要になるのは後者の方だ。

銀座に大きなハブ駐車場を作る余地があるかどうかは別としても、クルマの駐車以外には使いみちがないという点で「デッドスペース」化している駐車場に、さまざまな機能を持たせるというJARIの構想には可能性を感じた。一般道の自動運転も実用化となれば、例えば東京オリンピックの後、有明かどこかに残された広いスペース(会場の跡地)に大きなハブ駐車場を作り、そこと銀座などの繁華街を結ぶということも、夢のようではあるが不可能ではないはずだ。