MWC18で見えた、ベンダー同士の競争が激しさを増す「5G」の今後

MWC18で見えた、ベンダー同士の競争が激しさを増す「5G」の今後

2018.03.07

標準化に目途が立ったことで、2019年から2020年にかけての商用化に向けた準備が急速に進められている次世代モバイル通信方式「5G」。その5Gを実現するネットワークインフラや端末を開発するする上で必要な機器やチップを提供するベンダー同士の争いも、急速に激しさを増しているようだ。2月26日からスペイン・バルセロナで開催されていた「Mobile World Congress 2018」の様子から、5Gを巡る現在の競争環境を追ってみよう。

5G NRの標準化とともに競争が加速

最大で20Gbpsの通信速度を実現するなど、現在主流の4Gより高い性能を誇る次世代のモバイル通信規格「5G」。昨年12月に「5G NR」の標準仕様の初回策定が完了が完了したことから、いよいよ商用サービスの実現に向けた準備が、本格的に進められることとなった。

中でも5Gの導入に前向きな姿勢を示しているのは、東京五輪が開催される2020年に合わせて5Gの商用サービスを提供する予定の日本のほか、平昌五輪で5Gの試験サービスを提供していた韓国、そして4Gで先行している米国や中国などだ。こうした国々では2019年から2020年にかけて5Gのサービス提供を予定しており、標準化に目途が立ったことを機としてサービス提供に向けた準備が急ピッチで進められるものと見られる。

平昌五輪で5Gの試験サービスを提供した韓国のKTは、Mobile World Congressでも平昌五輪における5Gの実績をアピールしていた

それに伴い激しくなっているのが、5Gのネットワークを整備するのに必要な、基地局やアンテナなどを提供する通信機器ベンダー間の競争である。標準化の完了前までは、キャリアなどと協力しての実証実験しか展開できなかったが、標準化に一定の目途が立ったことにより、実際のビジネスへとつなげられるようになったからだ。

実際、スペイン・バルセロナで毎年開催されている携帯電話の総合見本市イベント「Mobile World Congress」でも、昨年までは商用化への道筋が明確にされていなかったこともあり、5Gに関するアピールは比較的抑えられていた。だが今年は5Gを前面に打ち出す企業が増え、5Gのビジネスと競争が本格化しつつある様子を見て取ることができた。

スペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress」。今年は通信機器ベンダーやキャリアを中心に、5Gのアピールを積極化する企業が多く見られた

通信機器ベンダーとして世界的に大きなシェアを持つ企業は、エリクソンやノキアなどの北欧勢と、ファーウェイやZTEなどの中国勢である。中でもトップシェアを争うエリクソンとファーウェイは、大規模な展示スペースを設け5Gの製品アピールを積極的に推し進めていたようだ。

独自の施策で差異化を図る北欧・中国勢

5Gでは帯域幅が広く、既存の4Gより高い、6GHz以上周波数帯を用いることで、高速化を実現する。だが高い周波数帯は電波の直進性が強く、障害物が多いと電波が届きにくいという特性がある。それゆえ5Gでは従来のように広範囲に電波を届けるのではなく、多数のアンテナ素子を用いてユーザーが利用する端末に直接電波を届ける「Massive MIMO」などの技術を用いることで、可能な限り従来と変わらないエリアカバーを実現しようとしている。

28GHz帯という高い周波数帯に対応したエリクソンの基地局。高い周波数帯を用いるだけに、基地局やアンテナも多様化し、多彩な形でエリアをカバーすることになるという

また5Gの通信を司るコアネットワーク側では、ユーザーの用途に応じてネットワークの使い方を変える「ネットワークスライシング」という技術を導入。高速性が求められる動画配信と、低遅延が求められる遠隔操作とでネットワークを分け、双方の機能を両立することが重視されている。

だがこうした基本的な技術は標準化がなされているだけに、各社の機器ともに基本的には大きな違いが出るわけではない。それゆえ通信機器ベンダーは、基礎部分以外でさまざまな差異化を図っていくことにより、機器販売の拡大につなげようとしているようだ。

例えばエリクソンは、最大で5つの周波数帯の電波をキャリアアグリゲーションで束ね、さらに4×4 MIMOを適用することによって、2Gbpsの通信速度を実現する仕組みの開発を、クアルコムなどと共同で進めているという。5Gが当初から現在のLTE並みにエリアを広げられるわけではないことから、5GのエリアからLTEのエリアに移った際にも、可能な限り通信速度が変わらない環境を作り上げる狙いがあるようだ。

またファーウェイは、基地局やコアネットワークだけでなく、チップセットや端末も自社で全て提供できる強みを生かし、5Gのモデムチップと、それを搭載した「CPE」(Customer Premises Equipment)と呼ばれる据え置き型のWi-Fiルーターを開発したことを発表。ネットワークから端末まで、いち早く提供できる環境を整えたことをアピールしている。

ファーウェイはネットワークだけでなく、チップやデバイスも自社で開発できる強みを生かし、5Gのモデムとそれを搭載したCPEをいち早く提供できることをアピールしていた

米国主体に5Gで存在感を高めるサムスン

だがファーウェイやZTEなどの中国勢は、政治的な要因が影響してか、最大の市場である米国のキャリアに向けてはネットワーク機器を提供できないでいる。そうした隙間をぬってこの市場での存在感を高めようとしているのが、韓国のサムスン電子だ。

スマートフォン最大手として知られるサムスンだが、実は基地局などのネットワーク機器も手掛けており、UQコミュニケーションズのWiMAXの基地局なども同社が多く手掛けている。加えてサムスンは現在、NTTドコモやKDDIと5Gのネットワークに関する実証実験も推し進めている。

そしてサムスンは日本だけでなく、地元となる韓国のキャリアや、米国でも最大手キャリアのベライゾン・ワイヤレスに、主として固定回線の代替として利用するCPE向けの通信機器を提供することを発表。製品ラインアップやカバーできる領域は大手に劣るものの、スマートフォンなどで培った技術力を武器に、ライバルの少ない米国を主体として、5Gを機に通信機器ベンダーとしての存在感を高めたい考えがあるようだ。

一方で、5G対応端末で通信をするのに欠かすことができないモデムチップに関しても、インテルやクアルコムのほか、ファーウェイやサムスンがMobile World Congressでの展示・発表を実施しており、台湾のメディアテックも5Gモデムのプロトタイプを披露。こちらの競争も激しくなっていることが分かる。

メディアテックが展示していた5Gのスマートフォン型試験端末。モデムはまだチップ化がなされておらず、現在はアンテナが搭載されているのみだという

そうしたことを意識してか、クアルコムは5G対応のモデム「Snapdragon X50」でいち早くスマートフォン向けに搭載できるサイズを実現したことや、6GHz以上の帯域に対応したことなどをアピール。CPE向けが主体で大きなサイズのモデムチップが多い中、自社の優位性を明確に打ち出していた。

クアルコムは5Gのモデムチップを基盤ベースから、スマートフォンサイズにまで小型化したことをアピールしている

ここまで触れてきたように、標準化に目途が立ったことから、5Gを利用する環境に関しては、水面下での争いが非常に激しくなり、それだけ事業化に向けた準備が前進していることが見えてくる。一方で、5Gの利用を活性化するのに欠かせない、デバイスやサービスなどに関してはまだ模索が続いている状態でもある。今後は5Gの利用活性化に向けた取り組みがより必要になるだろうし、そのためには通信機器ベンダーも、サービスなどにより踏み込んだ取り組みが求められるかもしれない。

マーケティングと恋愛が似てるってどういうコト?Facebookで聞いてきた

恋するSNSマーケティング講座 第1回

マーケティングと恋愛が似てるってどういうコト?Facebookで聞いてきた

2018.11.14

Facebook社員に「マーケティングのイロハ」を聞く新連載!

第1回は、講師の紹介と「マーケティングと恋愛」の関係性について

フェイスブック ジャパンのSNS運用コンサルタントに「SNSマーケティング」について聞く短期連載。初心者~中級者に知ってほしい「マーケティングの考え方」について、全5回にわたって説明します。

キーワードは「恋愛」。とっつきづらいマーケティングも、恋愛に喩えて考えてみると、意外とわかりやすいようです。

「恋愛とマーケティングは似ていると思うんです」

FacebookやInstagram、TwitterなどのSNSを活用したマーケティングは今や企業にとって欠かせないものになっている。

一方で、「どこから始めればいいのかわからない」「そもそもSNSマーケティングって?」といった疑問もまだまだあるだろう。そこで今回は、フェイスブック ジャパンのクライアントソリューションズマネージャ リードを務める丸山祐子さんを講師に迎え、SNSマーケティングを“恋愛”に喩えてわかりやすく解説してもらうことにした。

フェイスブック ジャパンのクライアントソリューションズマネージャ リード 丸山祐子さん

なぜ“恋愛”なのか。それは「日々のお客様とのやりとりの中で、恋愛とマーケティングは似ていると感じることが多かったから」と丸山さんは言う。

丸山さん自身も現在婚活中の身。これまで仕事最優先で生きてきたが、最近になってパートナーを探すべく婚活を開始したという。その過程で感じたのが、前述の恋愛とマーケティングの共通点だったというわけだ。

「流行」は人の手でつくられるモノ

今回は連載初回ということもあるので、まずは講師である丸山さんの経歴から紹介しよう。

東京で生まれ育った丸山さんは、中高大一貫校に通っていた。小学生時代から「自分の知らない世界に行ってみたかった」という丸山さんは、高校時代に初海外となるカナダを訪れる。

「知らない言語で話しかけられたり、東京では見られない地平線や水平線を見たりして、私の知っている世界はなんて狭いんだろうと思いました」(丸山)

海外に魅了された丸山さんは、一念発起してカリフォルニアの大学に進学。そのころ、「ファッションの流行は自然に生まれるのではなく、必ず裏には仕掛人がいる」ということを実感したのがキッカケとなり、「自分も人の心を動かす仕事がしたい」と考えるようになった。

大学卒業後は日本に戻り、人材業界で働くことに。長くアメリカで過ごしていたこともあり、日本の業界事情がつかめない中、「まずはいろいろな業界を知りたい」と考えたためだ。

その後、「リーマンショック」が起こり人材業界の業績が悪化したこともあり、業務を通して興味を持つようになったデジタル業界への転職を決意。転職先は、IT業界を中心にメディアプランニングなどを行う電通の子会社。メディア担当として、デジタル広告のイロハを学んだ。

そこで担当していたクライアントが、当時日本に上陸したばかりのFacebookだった。その後、それまで培ったデジタル広告のノウハウをより活かすべく、フェイスブック ジャパンへ転職し、現在に至る。

広告はラブレター「相手に届かないと意味がないんです」

丸山さんは現在、FacebookやInstagramの広告メニューについて、運用コンサルやメディアプランニングなどを行っている。また、Instagramをより企業に活用してもらうためのプロジェクトメンバーとしても活動しているそうだ。

さて、そんな丸山さんがFacebookのコンサル業務を通して常々感じていたのが「恋愛とマーケティングの共通点」である。

どんな業界でもそうだが、良い製品だからといって何もせずに売れるわけではない。“届けたいメッセージを届けたい相手にちゃんと伝える”必要がある。これがマーケティングの目的だ。

「広告はよくラブレターに例えられます。いくらラブレターを書いても、それがちゃんと届けたい人に、その人の心に響くかたちで届かないと意味がありませんよね。ラブレターを届けるために恋愛にもマーケティングが必要なんです」(丸山)

婚活において“ラブレターを届けるべき相手”とは、まだ見ぬ将来のパートナーだ。その相手はどこかに存在しているはずだが、まだ出会ってはいない状態である。運命の相手と出会うために重要なことの1つは「とにかく出会いの数を増やすこと」だという。

「1人と会ってみて、その人が運命の相手ならラッキーですし、そういうケースもあるでしょう。でも、そうでない場合には、たとえば運命の相手と出会える確率が1/100だとして、10人と会うのと100人と会うのではどちらの方が出会える確率が高いか、言うまでもありません」(丸山)

これはそのままマーケティングに置き換えても同じことが言える。自社の製品を購入してくれる潜在的な顧客の態度変容効果が一緒であるなら、できるだけ多くの人数に広告を届けた方が売上は伸びるはずだ。

「そう考えると、婚活でもせっかくの週末に部屋にこもっているのはもったいないなと思いますよね。積極的に行動をおこして、多くの人に出会う機会を増やすことが大事なんです」(丸山)

一方で、重要なのは数だけではないと丸山さんは言う。多くの人にリーチすることは大前提として、そこからさらに“出会いの効率”を上げていく必要があるのだ。

では「数」に続いて大事なこととは? 次回は効率を上げるために必要な「ターゲティング」について、これまた恋愛と絡めて聞いていく。

第2回「恋するSNS講座」は11月20日に掲載予定です。

クルマ新時代の駐車場は何を目指す? 「CASE」で見えてきた未来像

クルマ新時代の駐車場は何を目指す? 「CASE」で見えてきた未来像

2018.11.14

日本自動車研究所が「自動バレーパーキング」の実証実験

駐車をシステム任せにできる仕組みとは?

未来の駐車場はクルマの“ハブ”になる

自動運転、電動化、カーシェアリングなど、新たな技術・サービスの登場により変革期を迎える自動車業界。クルマの乗り方、使い方を根本的に変えるかもしれないこれらの要素をまとめて「CASE」というが、この文字を目にする機会も増えてきた。クルマが変わればクルマに関連するモノや場所も変わりそうだが、例えば駐車場は、どのような姿になっていくのだろうか。日本自動車研究所(JARI)の実証実験で、その一端を垣間見た。

「CASE」の進展で駐車場の姿も一変する?

「バレーパーキング」を自動化

「CASE」とは「Connected」(コネクティッドカー)、「Autonomous」(自動運転)、「Shared & Service」(カーシェアリングなど)、「Electric Drive」(クルマの電動化)という4つの言葉の頭文字をとってダイムラーが使い始めた概念のこと。そのうち、コネクトと自動化の2つを使って、JARIが実用化の道を探っているのが「自動バレーパーキング」というシステムだ。

JARIは経済産業省および国土交通省の委託を受け、2016年度から「一般車両による自動バレーパーキングシステムの社会実装に向けた実証」というプロジェクトを進めている。「バレーパーキング」とは、例えばホテルやショッピングセンターなどにクルマで乗りつけたとき、キーを従業員に預けて、代わりにクルマを駐車しておいてもらうサービスのこと。その自動化に向けて、JARIはシステム、制度、事業性などを検証してきた。

JARIは今回、自動バレーパーキングシステムの機能的な確認を行うためとして、東京都港区にある「デックス東京ビーチ」の駐車場で実証実験を実施。その模様を報道陣に公開した。そこではクルマが勝手に動き、定められた駐車スペースに止まり、再び動き出す様子を見ることができたし、自動バレーパーキングを含めた駐車場の未来像に関する話も聞くことができた。

JARIはデックス東京ビーチ駐車場の2階で実証実験を実施した

自動バレーパーキングとはどんなシステムなのか

自動バレーパーキングをドライバー目線で説明するのは簡単だ。例えばショッピングセンターのエントランスにクルマで乗りつけたならば、降車してスマートフォンのアプリで「入庫」を指示し、そのまま買い物にでも食事にでも向かえばいい。用事が済んだ頃に「出庫」ボタンを押して出口に向かえば、クルマ寄せには愛車が迎えに来ている。

自動バレーパーキングの指示はスマホで行う

では、そのシステムはどのようなものなのか。自動バレーパーキングは「クルマ」「管制センター」「駐車場」の3者による協調で機能する。駐車場の構造を把握している「管制センター」は、ドライバーから入庫の要請を受けると、安全性や効率を考慮して駐車場所とそこへ向かう経路を決め、「クルマ」に無線で指示する。「クルマ」は「駐車場」にあるランドマーク(目印)をカメラやセンサーなどで読み取り、「管制センター」が持つ駐車場の構造情報(地図)と擦りあわせて自らの位置と経路を確認し、指示された駐車スペースに向かう。そんな流れだ。

自動バレーパーキングの様子。運転席に人は乗っているが、ハンドルからは手を離している

同システムが実用化となれば、駐車場の「利用者」は手間を省けるし、「事業者」は駐車効率の向上を図れる。無人で自動運転を行うクルマであれば、ドアの開閉スペースは不要だし、ぶつけたりこすったりする心配もないはずなので、クルマをギュウギュウに詰め込めるからだ。JARIによれば、駐車効率は従来比で20%向上する可能性があるという。また、自動車事故の3割は駐車場で発生しているので、自動化は事故削減にもつながる。

ただ、実用化には当然ながら、いろんなハードルがある。自動バレーパーキングの実用化に向けて動いているのは日本だけではないが、JARIとしてはまず、同システムの国際標準化に向けた手続きを進めたい考え。2021年のISO国際標準化に向け、各国と協議を重ねているところだ。

また、システムが実用化となったとしても、最初から全てのクルマが自動バレーパーキングを利用できるわけではない。まず、通信機能が備わっていないクルマはアウトだし、通信できたとしても、管制センターの指示通りに自動運転をこなせるクルマでなければ、やはり同システムの恩恵は受けられない。

JARIの考えでは、まずは同システムが求める要件を満たすクルマだけが使える専用の駐車場を実用化し、段階的に「混在型」を目指すのが現実的だそう。ただし、混在型を実現するためには、人が運転するクルマと自動運転のクルマを駐車場内でうまく交通整理する工夫が必要になるだろう。

未来の駐車場はクルマの「ハブ」になる?

自動バレーパーキングの実用化には時間が掛かりそうな雰囲気だが、その先の駐車場の在り方についてもJARIは考えをめぐらせている。JARIのITS研究部に所属する深澤竜三さんによると、未来の駐車場が目指すのはクルマのハブ、つまり、クルマにまつわるさまざまなサービスの結節点だ。

JARIが描く未来の駐車場の姿

ハブ駐車場とはどのような施設なのか。深沢さんの描写はこんな具合だ。

「自動バレーパーキングで、勝手に駐車しておいてくれるのはもちろんですが、そこが自動車整備の拠点としての役目を果たしたり、電気自動車(EV)であれば、勝手に充電しておいてくれるとか。買い物が終わる頃には充電が済んでいるというのが理想ですね。あとは、観光地であれば情報配信拠点としての機能も想定できます」

「ほかのアイデアとしては、クルマを駐車しておいたら、宅配便がトランクに届いている、といったような使い方も考えられます。その場合は、トランクを開けられるような仕組みが必要にはなりますが、届け先を1件ずつ回る必要がなくなるので、配送業者の方も楽ですよね」

未来の駐車場は、クルマにまつわるいろんな機能を提供する拠点になるかもしれない

深澤さんの話を聞いていると、おそらくハブ駐車場はホテルに1つ、ショッピングセンターに1つという具合にではなく、地域に1つ、しかも大型の施設として存在するもののように想像できた。用事で近くまで来た人も使えば近隣の住人も使うし、カーシェアやレンタカーなどのクルマも混在している大きな駐車場。そんなイメージだ。

こういう駐車場が必要かどうかについては、地域によって状況が違うだろう。コンビニエンスストアですら広大な駐車場を備える地域がある一方で、例えば銀座のように、数台しか止められないけれど、短時間で驚くべき値段になるコインパーキングが稼動している場所もある。おそらく、ハブ駐車場が必要になるのは後者の方だ。

銀座に大きなハブ駐車場を作る余地があるかどうかは別としても、クルマの駐車以外には使いみちがないという点で「デッドスペース」化している駐車場に、さまざまな機能を持たせるというJARIの構想には可能性を感じた。一般道の自動運転も実用化となれば、例えば東京オリンピックの後、有明かどこかに残された広いスペース(会場の跡地)に大きなハブ駐車場を作り、そこと銀座などの繁華街を結ぶということも、夢のようではあるが不可能ではないはずだ。