正念場のソニー・Xperia、次期モデルのデュアルカメラを

正念場のソニー・Xperia、次期モデルのデュアルカメラを"チラ見せ"

2018.03.10

2017年、スマホ業界のトレンドと言えば「有機ELディスプレイ」「18:9の縦長ディスプレイ」「デュアルカメラ」だった。アップル・iPhoneを筆頭にサムスン電子やLGエレクトロニクスなど、様々なメーカーが採用。ここ数年、「スマホの進化は止まった」と言われて久しいが、2017年に関しては一気にハードウェア的な進化があったように思う。

そんななか、頑なに進化を拒んできたのがソニー・Xperiaであった。

2017年のXperiaは、デザイン面で小ぶりな変更しかなく、目新しさに欠けてきた。カメラのセンサーこそ進化していたものの、消費者からすれば「使ってみなければわからない機能強化」。もはや、他社から数周遅れた雰囲気すら漂っており、メディアの関心も失いつつあった。

事実、2017年の日本国内におけるAndroidスマホの販売シェアで、長年定位置となっていた1位の座をシャープ・AQUOSが抜き去った。

シャープはこれまで、3キャリア向けに異なるAQUOSを納入していたこともあり、プロモーションやブランド認知が分散していたという課題があった。そこでシャープは、2017年から3キャリア向けに「AQUOS R」で製品名を統一した。さらに、格安スマホ(MVNO)向けに安価な「AQUOS sense」を投入することで、シェア拡大を果たしたのだ。

フレームレスならず、理由は「アンテナ」

"ジリ貧"ぶりが鮮明となりつつあるXperiaは、毎年、2月末にスペイン・バルセロナで開催される世界的なモバイル関連展示会「Mobile World Congress」で、その年のフラグシップモデルを発表している。今年も、どんな製品が発表されるのか注目されていた。

2月26日に発表された「Xperia XZ2」「Xperia XZ2 Compact」は、デザインを大きく刷新してきた。背面に3D曲面ガラスを採用し、丸みを帯び、持ちやすいデザインに生まれ変わった。

Xperia XZ2に関しては、プレスリリースなどの画像ではイマイチな雰囲気もあり、ネットで賛否両論といった状況。ただ、実際に製品を触ってみた限りでは、かなり高級感のある作りで、所有欲を満たしくれるデザインとなっている印象だ。

Xperia XZ2

液晶ディスプレイもアスペクト比が18:9のものを採用し、トレンドに乗ってきた格好。ただ昨今、流行している"フレームレス"かと言えば決してそんなことはなく、画面下にSONYロゴをプリントできるほど、それなりにフレームが残っている。

なぜ、ソニーはフレームを残すデザインにしたのか。今のトレンドを追う気が無いのか。それとも技術力がないのか。

率直な疑問を、開発担当者であるソニーモバイルコミュニケーションズ UX商品企画1部 商品企画課の染谷 洋祐氏にぶつけたところ「フレームをなくし、液晶画面にアンテナを近づけると液晶からのノイズの影響受けて、電波の感度が悪くなる。アンテナの受信感度を最優先にするために、この機構になった」という。

今回、MWCの会場では「Xperia XZ2」「Xperia XZ2 Compact」を分解したものが、メディアに公開されていた。確かに画面下部にはアンテナがきちんと配置されている。

ソニーモバイルコミュニケーションズ UX商品企画1部 商品企画課 染谷 洋祐氏
Xperia XZ2の分解サンプル。確かにアンテナパーツが画面下部に配置されている

ここ最近、世界各国の携帯キャリアはさまざまな周波数帯を利用している上、しかもキャリアアグリゲーションで複数の周波数帯を束ねて高速化させていることもあり、アンテナの感度が今まで以上に重要度を増している。特にソニーがメインに相対しているのは、品質管理に厳しい日本の携帯キャリアという点も無縁ではないだろう。

Xperia XZ2の背面素材が従来の金属からガラスに変更されたのも、非接触充電「Qi」に対応したところが大きい。実際に他メーカー製品を見渡しても、非接触充電対応モデルは、ガラス素材へと切り替わっている。このあたりは「非接触充電対応=ガラス素材採用」というトレードオフの関係のようだ。

筆者の正直な感想を言えば、Xperia XZ2、Xperia XZ2 Compactが披露されたとき、「ここでもデュアルカメラを搭載しないのか」と嘆き、悲しもうかと思った。その矢先、最後の最後で「デュアルカメラの技術開発を行っている」というアナウンスがあった。

さらに、ソニーモバイルとしては「単なるデュアルカメラ」のモデルではなく、それに合わせた画像処理を行う専用のチップも開発している。これにより、レンズ交換式デジタルカメラでしか撮影できないとされた最高ISO感度51200(静止画撮影時)の超高感度撮影を可能にするという。

Xperia XZ2、Xperia XZ2 Compactの発表後、デュアルカメラシステムを開発中とアナウンスした

Xperia XZ2、Xperia XZ2 Compactはデュアルカメラではない。だが、発表端末に搭載しない技術をわざわざアナウンスしたからには、近い将来にデュアルカメラ対応モデルが発売される可能性が高い。

ただし、この発表の仕方も賛否両論で「デュアルカメラモデルを開発しているとアナウンスしたら、Xperia XZ2、Xperia XZ2 Compactへの注目度が下がるではないか」という批判的な声もあれば「デュアルカメラモデルが待ち遠しい」という好意的な意見もある。

個人的には、このタイミングでデュアルカメラの発表がなければ「ソニーモバイル、終わったな」という感想で終わったかも知れない。しかし、「ソニーの技術が詰まったデュアルカメラを開発中」という宣言をしてくれたことで、首の皮一枚つながった感があり、かなり待ち遠しいとさえ思う。

ここからは勝手な推測となるが、おそらく「Xperia XZ Premium」の後継機種として、4Kディスプレイモデルにデュアルカメラを載せて登場するのではないか、と期待している。ソニーは会社全体として「プレミアムモデルで勝負する」という路線を貫いている。だからこそ、競合メーカーのように格安スマホを作ろうという気はさらさらない。

Xperia Z5 Premiumから4K大画面のフラグシップモデルとしてラインナップされており、Xperia XZ Premiumはその後継。3代目に、デュアルカメラは果たして載るのか

昨年、子会社が提供するnuroモバイル向けにXperiaを納入したが、それもXperia XZ Premiumであってプレミアム路線を貫いた。ただし現状では、「プレミアム路線で勝負していく」という気概こそ感じるのだが、グローバルでiPhoneやGalaxyに対抗できているかといえば、もうちょっと頑張りが必要な立場にいるように思う。

そうした厳しい状況の中で、「4Kディスプレイ」と「デュアルカメラ」という組み合わせは、おそらく他社のフラグシップモデルに対抗できるプレミアムモデルに仕上がっているのではないかと期待する。Xperia XZ Premiumの後継機種の出来が、今後のソニーモバイルを占うことになりそうだ。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu