新世代“スマートポッド”ホテルがいよいよ東京に進出

新世代“スマートポッド”ホテルがいよいよ東京に進出

2018.03.15

2017年7月、京都に合理的なカプセルホテルが誕生した。「スマートポッド」と呼ばれる居住スペースを採用した「ザ・ミレニアルズ」というホテルだ。このザ・ミレニアルズの2号店が3月15日にいよいよ東京で開業する。場所は若者文化のパワーがみなぎる渋谷だ。

さて、スマートポッドと呼ばれる居住スペースのイメージがわからない方がほとんどだろう。どう言葉で伝えればわからないが、居住性の高いカプセルホテルのようなものと、表現すればよいのか……。ただ、カプセルホテルとは異なり圧迫感が少なく、立って着替えることもできる。カプセルのような密閉空間ではない居住性が提供されている。

左:渋谷にオープンした2号店の入り口。右:カプセルよりも開放的なスマートポッド。アートが施されている

ただし、ビジネスホテルのような個室ではない。廊下と居住スペースがカーテンで仕切れるぐらいの空間だ。だが、それだけにビジネスホテルよりかはリーズナブルに利用できる。ここ数年、旺盛なインバウンド需要のためか、ビジネスホテルといえども宿泊料が上昇傾向にある。その意味で、こうした新スタイルホテルの価値は増すのではないか。

実は、京都に誕生したザ・ミレニアルズ1号店を取材したことがある。斬新な居住空間に驚きを覚えたが、今回2号店として登場した渋谷も基本的には同じコンセプトだ。だが、その役割が異なってくるのではないかと推察している。

なぜ渋谷が選ばれたのか

グローバルエージェンツの代表取締役 山崎剛氏

まず京都だが、同地は観光資源が豊富で、インバウンドの来訪が多い。つまり、外国人観光客の利用者が多くなるのは想像に難くない。事実、ザ・ミレニアルズを運営するグローバルエージェンツの代表取締役 山崎剛氏によると、7~8割が外国人観光客の利用だという。ビジネスホテルよりもリーズナブルな価格設定が、長期滞在を目的にする外国人観光客に支持されているのだろう。

端末のアプリで照明調節やベッドのリクライニングができ、ベッドの下にトランクルームがあるのは京都1号店と同じ

一方、渋谷はどうだろうか。もちろん東京にも多くのインバウンドが来訪している。そうした外国人観光客の需要は高いだろうが、もうひとつの利用客層を想定できる。それは、ベンチャーやクリエイターといった層だ。

というのも、渋谷や五反田といった山手線駅周辺は、起業を志す、あるいは起業したばかりのベンチャーが集まりやすいところといわれている。ベンチャーはその規模によって「シーズ」→「アーリー」→「ミドル」→「レイター」と成長段階で区分される。とりわけシーズと呼ばれる段階は個人や数人であることが多い。そうした最小単位のベンチャーやフリーのクリエイターが渋谷には集まりやすく、そうした層がザ・ミレニアルズを利用するというストーリーが考えられるからだ。

では、なぜ渋谷なのだろうか。もちろん、ベンチャーにとってはビジネスチャンスが期待できるからだ。渋谷には大企業が多いし、同じベンチャーも集まっており、ベンチャー同士の協業も期待できる。山手線を利用すれば新宿や池袋、品川といった企業集積地にもアクセスしやすい。半蔵門線を使えば大手町にも出やすい。

ビジネスチャンスと創造性の高い土地柄

想像を豊かにするのならば、「地方で起業したシーズ段階のベンチャーが、東京の企業との取引のため上京。資金的にまだ余裕がなくシティホテルではなくザ・ミレニアルズを拠点にする」といった、シナリオが考えられる。

フリーのクリエイターにとっても、渋谷は絶えず新しい文化が生まれる街だし、原宿や代官山といった創作活動が盛んな地が目と鼻の先だ。

ザ・ミレニアルズの施設もこうした層をターゲットにしている。コワーキングスペースや電話室、自炊できるキッチンやランドリー(有料)、シャワー室が用意され、ビジネスと宿泊の需要に応えられるようになっている。

上左:フロントはライトの色が変わる仕組み。上右:前衛的なワーキングスペース。下左:有料の会議室。下右:ランドリーも用意されている
朝食時はパンとコーヒーがサービスされる。また17:30~18:30までビールが飲み放題。朝の空腹解消と一仕事あとの楽しみもある

前述したように、この記事がアップされる15日から開業予定だ。予想したとおりの客層が集まるのか、それとも京都のように外国人観光客が多数を占めるのか、フタを開けてみなければわからない。半年ほど経ったら、リサーチしてみることにしたい。

公認大会の総賞金は1億円越え! 日本eスポーツ連合の「今年」と「未来」

公認大会の総賞金は1億円越え! 日本eスポーツ連合の「今年」と「未来」

2018.12.14

JeSUが発足初年度の活動総括と来年以降の取り組みについて発表

年間の公認大会は34大会、賞金総額は1億円を超えた

今回ビックカメラが新たなスポンサーに加わることが決定

2019年以降も国際的なeスポーツの取り組みに力を入れるという

12月13日、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)は、今年1年の実績と来年に向けた活動について発表する記者説明会を開催。まずは、今年の実績について、岡村秀樹会長から説明が行われた。

JeSU会長 岡村秀樹氏

設立初年度でJeSU公認大会の賞金総額は1億円オーバー

JeSUは今年1月22日に発足し、2月1日から活動を開始。日本におけるeスポーツの振興を目的に活動を進めており、2月に開催した「闘会議2018」では、JeSU認定タイトルの制定とプロライセンスの発行を行った。

岡村氏は「ライセンスの発行によって、賞金付きeスポーツ大会の開催を実施しやすくなりました。設立初年度に行われた公認大会34大会の賞金総額が1億2977万円を記録し、JeSUの活動として、これは成功したと言えるでしょう」と胸を張った。

今年1月に発足し、2月より活動を開始したJeSU
2月に開催した闘会議では16人にプロライセンスを発行。同イベントでは賞金総額2815万円のeスポーツ大会も実施された
JeSUのライセンス認定タイトルは11タイトルまで増えた。公認大会は合計で34大会。賞金総額は1億円を超えた

6月には「アジア競技大会」の国内予選を行い、ジャカルタ パレンバンに3名の選手を派遣。『ウイニングイレブン』部門では、見事、初の金メダリストが誕生した。

9月の「東京ゲームショウ2018」では「e-Sports X」ブースを設置し、フェイエノールトと浦和レッズの『FIFA 18』国際親善マッチをはじめ、さまざまなeスポーツイベントをサポート。そして、11月に台湾で開催された「第10回 eスポーツ ワールドチャンピオンシップ」では、『鉄拳7』の破壊王選手が銀メダルに輝き、デモンストレーション競技として急遽採用となった『モンスターストライク スタジアム』の日本チームは、金・銀メダルを独占する快挙を成し遂げた。

また、上記のような大会開催や国際大会への選手派遣だけでなく、JeSUは国際eスポーツ連盟(IESF)の正規会員登録という実績も残している。

これらJeSUの貢献もあってか、eスポーツという言葉自体の認知度も格段に上がり、「新語・流行語大賞のトップテン入り」や「ヒット商品番付の小結」にも選ばれた。

台湾で行われた「第10回 eスポーツ ワールドチャンピオンシップ」では、『鉄拳7』で破壊王選手が銀メダルを獲得。『モンスト』もデモンストレーション競技に採用された
IESFの正会員加盟も決定。「準加盟で実績を積んでから正会員へ昇格する」というのが一般的なケースであるが、今回日本は異例のスピード加盟を実現した
話題の言葉として「eスポーツ」が認知されつつある
eスポーツは来年の国体の文化プログラムとしても採用された

なお、今回の説明会では、新たにビックカメラが公式スポンサーの仲間入りを果たしたことも発表された。

これまでのスポンサー6社にビックカメラが加わった

闘会議とJAEPOでは日本代表vsアジア代表の国際戦を実施

次に来年、「闘会議2019」と「ジャパン アミューズメント エキスポ(JAEPO)2019」と同時に開催される「eSPORTS国際チャレンジカップ~日本代表vsアジア選抜」について、JeSU副会長の浜村弘一氏から発表があった。

この選抜大会は、JeSUとアジアeスポーツ連盟(AESF)による共同開催で、2団体が承認する4タイトルで対戦する。競技タイトルに選ばれたのは、『ウイニングイレブン 2019』『Counter-Strike:Global Offensive』『ストリートファイターV アーケードエディション』『鉄拳7』。選抜選手や競技方法などは、近日中に発表する予定だ。

JeSU副会長 浜村弘一氏
闘会議2019、JAEPO2019と同時に開催される「eSPORTS国際チャレンジカップ~日本代表VSアジア選抜」。賞金総額は4タイトル合計で1500万円

最後に、地方のeスポーツプレイヤーの育成や支援、イベントの開催などを後押しするための、JeSU地方支部開設について発表された。

まずは、JeSUの前身である日本eスポーツ協会時代の地方支部として機能していた11団体を、JeSUの地方支部として認定。今後も地方支部の数は増やしていく予定だが、早急に事を進めることはせず、実績を積んだ団体に対してじっくりと審査を行い、認定していくとのことだ。

1月21日より活動が開始されるJeSUの地方支部。地方のeスポーツ活性化を後押しする。開設されるのは、北海道eスポーツ連合(金子淳)、山形県eスポーツ連合(成澤五一)、富山県eスポーツ連合(堺谷陽平)、石川県eスポーツ連合(島倉福男)、東京都eスポーツ連合(筧誠一郎)、静岡県eスポーツ連合(山崎智也)、愛知県eスポーツ連合(片桐正大)、大阪府eスポーツ連合(管野辰彦)、兵庫県eスポーツ連合(五島大亮)、岡山県eスポーツ連合(本村哲治)、大分県eスポーツ連合(西村善治)の11支部(1月21日より)。()内は会長名

課題ややるべきことが山積しているJeSUにとっては、まだまだ通過点ですらない状態ではあるが、それでも1年目として十分な成果を上げたのではないだろうか。浜村氏は説明会で「IPホルダーができないことをやっていく」と述べたが、来年以降も国と国の折衝や国への働きかけ、国際大会への進出などに期待したいところだ。

サブスクリプション導入の日本語入力システム「ATOK」、次の展開は?

サブスクリプション導入の日本語入力システム「ATOK」、次の展開は?

2018.12.14

ジャストシステムが「ATOK」「一太郎2019」を発表

スマイルゼミが成長を牽引し、上場以来の最高益を達成

枚方(ひらかた)を「まいかた」から変換できる新機能も

ジャストシステムが日本語入力システム「ATOK」の最新版や、校正機能などを強化した日本語ワープロソフトの最新版「一太郎2019」を発表した。

クラウド型通信教育「スマイルゼミ」が好調のジャストシステムだが、PCユーザーにとっては長らく看板製品となってきた一太郎やATOKのほうが馴染み深い人も多いはずだ。その最新版からジャストシステムの狙いを読み解いていく。

ジャストシステムが最新の「ATOK」や「一太郎2019」を発表

好調な業績を背景にサブスクリプションに移行

2009年にキーエンス傘下となったジャストシステムは、2010年から業績を安定して伸ばしている。2018年度上期の営業利益と経常利益はともに約47億円強で、株式上場以来の最高益を達成するなど好調が続いている。

その好調を支えるのがタブレット端末を利用したスマイルゼミだ。従来の小学生コース、中学生コースに加え、12月1日には小学校入学までの学習需要をターゲットにした「幼児コース」を追加するなど、対象年齢を拡大している。

その好業績を背景に、2017年12月にはATOKのビジネスモデルを大きく刷新した。それが「パッケージからサブスクリプションへの移行」だ。店頭やダウンロードで販売してきたパッケージ版を廃止し、月額制のサブスクリプション「ATOK Passport」に一本化。「ATOK 2017」を最後に、製品名から「2017」などの発売年によるナンバリングがなくなった。

こうしたパッケージからサブスクリプションへの移行は、米Adobeなど大手ソフトウェア企業が採用したことで世界的なトレンドになっている。以前は毎年のバージョンアップで機能を追加し、乗り換えを促してきたのに対し、月額制ではより細かいサイクルで改善していくことが可能になり、安定した収益を確保できるなどメリットは大きいとされる。

グーグルやマイクロソフトは無料で日本語入力ソフトを提供していることもあり、毎月料金を取られることを不満に思う人もいるだろう。だがATOKはクラウドを利用した学習データの同期や、辞書にない流行語を追加するなど、サービスも充実している。日本語の変換効率の高さを重視する人なら、サブスクリプションは納得感のある内容と言えそうだ。

変換に機械学習を取り入れ 課題はiOS

毎年の大きなバージョンアップはなくなったATOKだが、近年は日本語入力の効率を大きく向上させる可能性のある技術が出てきた。それがディープラーニングなどの人工知能分野の技術だ。

日本語は同音異義語が多く、ひらがなを漢字に変換する場合、入力者が思い浮かべた単語をいかにして予測するかが効率を左右する。ATOKは前後の文脈を考慮したルールに基づいて変換してきたが、ディープラーニングによりルールにない日本語の特徴をとらえることができるという。

その「ディープコアエンジン」をATOKは2017年に搭載。さらに今回はサブスクリプションの上位版で利用できるAndroidアプリ版にも搭載し、モバイルの入力効率を改善してきた。画面の大きさに限りがあるスマホでは、文字入力や変換候補の選択がよりシビアになるだけに、確実な効率アップにつながりそうだ。

Android版にもディープコアエンジンを搭載

Windows版の新機能としては「地名入力支援」機能を搭載。「枚方」(ひらかた)を「まいかた」でも変換できるようになった。こうした誤った読みに対応することで混乱を助長する恐れはあるものの、変換できなければグーグル検索で調べることもできないのが現実だ。そこでジャストシステムは漢字には変換しつつ、本来の読みも表示するという方法で要望に応えた形だ。

「枚方」(ひらかた)を「まいかた」でも変換できる

iOS機器での使い勝手向上に期待

一方、大きな課題として残っているのがiOS対応だ。ATOKは最新のiOSでも利用できるものの機能制限は多く、App Storeの評価は5段階中2.8と低迷している。世界でも類を見ないほどiPhoneのシェアが高い日本で、なぜiOS向けに注力しないのか疑問の声は多い。

背景には、iOSがセキュリティ上の理由からサードパーティの日本語入力ソフトの振る舞いを制限している事情がある。スマホの文字入力は個人情報やパスワードを扱うことから最もセキュリティレベルが高い機能と位置付けられており、ジャストシステムとしても手を出せないという。

特に、仕事用タブレットとして大きく進化したiPad ProにおいてATOKの使い勝手の向上を望む声は大きい。ビジネスの現場における生産性向上に期待したいところだが、その実現はもう少し先になりそうだ。