レノボの「Chromebook」は日本の教育現場に普及するか

レノボの「Chromebook」は日本の教育現場に普及するか

2018.03.17

3月13日、レノボ・ジャパンはグーグルのChrome OSを搭載したノートPC「Chromebook」2機種を、国内の教育市場向けに発表した。レノボとしてChromebook製品の投入は国内初になる。

レノボが「Chromebook」2機種を発表

その背景としてレノボは、小・中学校や高校におけるITインフラの整備の遅れを指摘する。米国では大きな成功を収めているChromebookだが、果たして日本の教育現場に普及する可能性はあるのだろうか。

学校へのITインフラの整備に遅れ、その理由とは

日本の教育現場のIT化はどうなっているのだろうか。文部科学省の基本計画によれば、3.6人に1台のPCが普及しているはずが、現実には5.9人に1台にとどまっているという。理想的には1人1台の普及が望ましいことは言うまでもないが、それを大きく下回っているのが現状だ。

学校におけるPCの普及は「5.9人に1台」にとどまっている

その背景には予算の不足、教員のICTスキルの低さ、多忙な教員によるメンテナンスの困難さがあるとレノボは指摘する。そこでレノボが国内に向けて初めて投入するのが、Chrome OSを搭載したChromebookだ。

Chromebookは米国での普及が知られている。米FutureSourceの調査では小・中学校、高校を含む「K-12」市場において、2017年にChromebookは60%近いシェアがあり、Windowsの約25%を大きく上回っている。

一方、日本では学校向けの電子教材にWindows用が多く、現場の教員もPowerPointなどを駆使して教材を作り込むなど、Windowsに依存してきた。だが文部科学省は「クラウド活用」の指針を打ち出しており、レノボとしてもChromebookを投入する好機と判断したという。

Chromebookによりクラウド活用を推進したいと語る、レノボ・ジャパンで教育市場を担当する渡辺守氏

具体的にクラウド活用とは、学校内へのサーバーの設置やPCへのソフトウェアのインストールをやめ、クラウドを利用しようという動きだ。たとえばグーグルが提供する「G Suite」は企業での採用が進んでいるが、教育機関向けにも提供されている。

クラウドの活用を前提とすることで、Chromebookでは管理や運用を含めたトータルのコストを下げられるという。本体に余計なソフトウェアを入れないため、高いスペックを要求せず、セキュリティにも優れている。IT機器の管理に手間をかけられない教育現場には、打って付けのプラットフォームといえる。

日本の教育現場に適合できるか

レノボが国内向けに発表したChromebookの新製品が、「Lenovo 500e」と「同300e」の2機種だ。いずれも机からの落下や水こぼしにも耐える堅牢性を持ち、360度回転するディスプレイによりタブレットとしても利用できるなど、レノボがPCで培った技術が活かされた製品だ。

Chromeブラウザーを中心としたシンプルな「Lenovo 300e」

一方、ソフトウェアについてはNTTコミュニケーションズが提供する教育クラウド「まなびポケット」と連携。学校だけでなく自宅からもアクセスできる環境となっている。ハードウェアはレノボの技術を活用しつつ、ソフトウェアについては国内の教育現場に合ったものをうまく組み合わせた形だ。

NTTコミュニケーションズの教育クラウド「まなびポケット」

だが、Chromebookの普及に向けて課題はまだまだありそうだ。学校の現場に蓄積されてきたWindows資産を活かせないとなると、導入には二の足を踏む可能性がある。レノボとしてもChromebook一本ではなく、Windows機も併売していく構えだ。

また、国内の学校におけるWi-Fi環境の整備も気になるところだ。Chromebookはインターネットに接続した状態で利用することを前提としており、ネットが来ていない環境には導入できない。他社ではこうした状況を踏まえ、LTE接続機能を備えたモデルも提供しているほどだ。

レノボはこれらの課題を認識しつつ、国内でChromebookが普及していない理由としてプロモーションの不十分さを指摘している。まずは日本の教育関係者に、ChromebookやG Suiteのメリットを紹介していくことから始めたいという。レノボだけでなく、グーグルやChromebookを提供する他のメーカーを巻き込む動きにつながるかどうか、注目したい。

日本のEC市場を変える? アマゾン「YouTuber」起用でライブコマース参入

日本のEC市場を変える? アマゾン「YouTuber」起用でライブコマース参入

2018.11.22

アマゾンが年末セール「サイバーマンデー」を実施すると発表

今年の目玉は特大おせちと“急がない便”?

「YouTuber」「試着サービス」で新規ユーザー獲得狙う

アマゾンジャパンは12月7日18時~11日午前1時59分まで、年末セール「サイバーマンデー」を開催すると発表した。これは毎年の恒例行事となっており、7月の「プライムデー」に匹敵する大規模なセールだ。

今年は新たに「試着サービスやライブコマース」に取り組むとのこと。さらなるEC事業の拡大に向け、特に新規ユーザーの掘り起こしを強化したいという狙いがあるようだ。

アマゾンが毎年恒例の年末セール「サイバーマンデー」を開催

今年の目玉は特大おせちと「急がない」便?

米国におけるサイバーマンデーとは、感謝祭(11月の第4木曜日)の次の月曜日から始まるオンラインのセールを意味する。日本ではあまり馴染みがないものの、感謝祭翌日の金曜日「ブラックフライデー」とともに、現地では1年で最大の商戦期として定着している。アマゾンジャパンは12月のセールにこの名称を使ってきた。

2018年のサイバーマンデーも数十万点の商品を用意しており、カスタマーレビューが4つ星以上の商品が豊富に用意される「特選タイムセール」を始め、「数量限定タイムセール」や、限定商品も複数用意する。

限定商品の例としては、「ル・クルーゼの鍋と料理教室」「レゴのロボットとプログラミング体験」のように、今年の時流もあってか商品と体験をセットにしたものが目立つ。また、お正月に向けた目玉商品として、約30人前で税込39万円の「林裕人監修 スーパー超特大おせち」をはじめ、大小さまざまなサイズのおせち販売にも力を入れる。

30人前で39万円の超特大おせち

大幅な値引きや限定商品でセールを盛り上げる一方、懸念されるのが配送だ。人手不足が社会問題化する中で、アマゾンのセールは年末年始の混雑に拍車をかける形になる。

これに対してアマゾンは今年、無料でお急ぎ便を利用できるプライム会員が、あえて「通常配送」を選んだ際、引き換えにAmazonポイントを還元するポイントバック施策の導入を決めた。「急がない」メリットを選択肢として加えることで、出荷を平準化する狙いだ。

プライム会員が「通常配送」を選ぶことで30ポイントをバックする

「YouTuber」「試着サービス」で新規ユーザー獲得へ

日本でも年々、セールの規模を拡大させているアマゾンだが、国内のEC市場は約16.5兆円規模で、物販分野のEC化率は約5.8%にとどまっている(経済産業省調べ、2017年)。中国では今年11月11日の「独身の日」に、アリババがたった1日で約3兆4000億円を売り上げたと話題となったが、日本市場はEC化率が低い分、まだまだ成長余地はあるとみられる。

そもそもネットで買い物をする習慣がないなど、アマゾンを使ったことがない人は意外と多い。新規ユーザーの取り込みが成長の鍵となってくるのだ。

そこで同社は、サイバーマンデーをきっかけに、アマゾンでの買い物に慣れ親しんでもらうことを狙う。コンビニやATM払いにも対応する決済の便利さや、不慣れな人向けに買い物の方法を説明するコンテンツを用意して強くアピールする方針だ。

また、ファッションに特化した新サービスとして、10月からは「プライム・ワードローブ」も始まっている。これは、好みの服やシューズを取り寄せて自宅で試着できるサービスで、一定の条件下で7日以内なら返品できることが特徴だ。返品せず、手元に残すことを決めた時点で初めて代金が請求される仕組みで、気軽に試着できる。

服やシューズを試着できる「プライム・ワードローブ」

ネット通販でありがちなのが、実際に試着しないと色合いや質感、サイズが分からないという問題だ。プライム・ワードローブなら、欲しいシューズがあれば3つのサイズを一度に取り寄せ、合わなかった2つを返送するといった使い方ができる。

海外を中心に盛り上がりを見せる「ライブコマース」にもアマゾンジャパンとして初めて取り組む。動画のライブ配信とECを組み合わせた販売手法で、動画クリエイターと組んでアマゾンの商品を紹介する。発表会場には「MasuoTV」(チャンネル登録者数約109万人)で知られるYouTuberのマスオさんが登壇し、動画撮影を実演した。

超特大おせちの紹介動画を撮影するYouTuberのマスオさん

動画はアマゾンの公式YouTubeやTwitterアカウントだけでなく、動画クリエイターのアカウントでも閲覧できるようにする。影響力のあるインフルエンサーに独自の視点や語り口で紹介してもらうことで、視聴者をアマゾンに呼び込むのが狙いだ。まずはサイバーマンデーのセール商品に対象を絞って展開するが、反響次第ではECのあり方を大きく変える可能性も秘めている。

実は20代に選ばれるクルマだった! 「シボレー カマロ」に新型登場

実は20代に選ばれるクルマだった! 「シボレー カマロ」に新型登場

2018.11.22

GMジャパンが第6世代「カマロ」の新型を発売

購入者を年代別に見ると驚きの事実が

「競合車」の概念が変わる? クルマ選びの実態とは

ゼネラルモーターズ・ジャパン(GMジャパン)が開催した新型「シボレー カマロ」の発表会で、驚きのデータが判明した。アメリカを象徴するマッスルカー「カマロ」を買っているのは、多くが20代の若者だというのだ。なぜ若者に「カマロ」が受けているのだろうか。

伝統のV8エンジンを積む「シボレー カマロ SS」。総排気量は6,153cc、最高出力は453馬力だ

6世代目「シボレー カマロ」がマイナーチェンジ

「シボレー カマロ」は1967年に発売となったアメリカンクーペで、現行モデルは6世代目だ。GMジャパンは2016年末に6代目カマロの予約受付を開始し、2017年に発売した。今回の新型モデルは、6世代目カマロがマイナーチェンジを受けたものだ。

オープンカーになる「シボレー カマロ コンバーチブル」。2リッターターボエンジンを積む。パワートレインは「LT RS」というグレードと一緒だ

6代目カマロには伝統のV8エンジンを積む「シボレー カマロ SS」のほか、直列4気筒ターボエンジンを搭載する軽量モデル「シボレー カマロ LT RS」とオープンカーになる「シボレー カマロ コンバーチブル」がある。今回のマイナーチェンジでは、全てのクルマがフロントとリアのデザインを刷新。「SS」は新開発のパドルシフト付き10速オートマチックトランスミッションを搭載した。価格は税込みで「SS」が680万4,000円、「コンバーチブル」が615万6,000円、「LT RS」が529万2,000円だ。

画像は新型の誕生を記念した限定モデル「シボレー カマロ LAUNCH EDITION」。「LT RS」は限定20台で税込み561万6,000円、「SS」は30台限定で同712万8,000円だ

購入者の7割超が新規、そのうち3割近くが20代!?

発表会でGMジャパンの若松格(わかまつ・ただし)社長は、6代目カマロの販売状況に関する興味深いデータを示した。このクルマを購入した人のうち、74%が新規顧客(GMのクルマを買うのは初めてという人)であり、その新規顧客の内訳を年齢別で見ると、割合としては20代が28%で最多だったというのだ。

6代目「シボレー カマロ」の顧客分布。74%が新規顧客で、そのうち28%が20代だったという

もちろん、カマロは年間数万台を販売するクルマではないし、この6代目も数百台というボリュームだとは思うのだが、「若者のクルマ離れ」といわれて久しい中で、こういう内訳となっているのは意外だった。アメリカ車を買う人といえば、「若い頃に映画などでアメリカ文化にしびれた」世代、年齢でいえば40~60代あたりが中心だろうと思っていたからだ。

6代目「カマロ」の購入者は初代「カマロ」(画像)に憧れた世代が多いのかと思ったら、そうでもないらしい

なぜ、6代目カマロは若者に受けたのか。若松社長によれば、このクルマの販売ではSNSなどを用いたデジタルマーケティングに注力したので、それが響いたのかもとのことだったが、この結果については、社長も喜びつつ驚いていた。

GMジャパンの広報からは、現代のクルマ選びに関する示唆に富む話も聞けた。カマロを実際に購入した人の多くは、必ずしもアメリカのクルマを対抗馬(競合車)として検討していなかったというのだ。日本車とカマロで悩む人もいれば、アメリカの文化が好きだということで、バイクのハーレーとカマロを比べる人すらいたという。フォードが日本から撤退したので事情が変わったのかもしれないが、「カマロ」と比べるなら「マスタング」(フォード)とか、何かマッスルなクルマだろうと思っていたのだが、その想像は間違っていた。

若者が何をきっかけに「カマロ」の購入を検討し始めたのかは気になるところ。6代目の発売時期から考えると、ロックスター・ゲームスの「グランド・セフト・オートV」をプレイして、マッスルカーが欲しくなったという人がいてもおかしくない

新しいクルマが登場すると、「このクルマの競合車は何だろう?」という視点で考えがちな自分にとって、カマロ購入者のクルマ選びに関する話は目からウロコだった。ひょっとすると、クルマについて既成概念や先入観を持たない若者がクルマを買う場合には、同クラスの似たような車種を比べて決めるのではなく、「これが欲しい!」という“指名買い”が多くなるのかもしれない。そんな風に感じた新型カマロの発表会だった。