クルマもAWSの時代、DeNAのMaaSはクラウドの

クルマもAWSの時代、DeNAのMaaSはクラウドの"雄"が支える?

2018.03.29

タクシーの配車アプリや、カーシェアリング、ライドシェアなど、次世代型の交通サービス「MaaS(Mobility as a Service)」の発展が世界的に期待されている。

MaaSは「モビリティのサービス化」とも言われ、移動手段を自動車や自転車という"モノ"としてではなく、人やモノを運ぶ"サービス"として提供することを意味する。MaaSは、既存の業界の枠組みを超えた新たな連携を生み、人やモノの移動手段のあり方を大きく変えるポテンシャルを持っており、日本でも各業界の企業がこの市場に参入し始めている。

MaaSのサービスプロバイダとしての立ち位置を確立すべく、この領域に進出したDeNA。オートモーティブ事業を新たに立ち上げ、次世代物流サービス「ロボネコヤマト」やタクシー配車アプリ「タクベル」などさまざまなサービスを展開している。

特集3回目は、DeNAのオートモーティブ事業にとって必要不可欠なクラウドサービス アマゾン ウェブ サービス(AWS)の日本法人であるアマゾン ウェブ サービス ジャパン 事業開発本部 事業開発部マネージャーの高橋 修平氏と、同 技術統括本部部長 榎並 利晃氏に、オートモーティブ業界に対するAWSの取り組みについて話を聞いた。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン 事業開発本部 事業開発部マネージャーの高橋 修平氏(右)と、同 技術統括本部部長 榎並 利晃氏(左)

AWSからみたオートモーティブ事業におけるDeNAの強み

クラウドコンピューティングの代表格であるAWSは今や、IT業界だけでなく製造業やサービス事業など業種・業界を超え、活用の広がりを見せている。もちろん、オートモーティブ業界とて例外ではない。

AWSは特に、コネクテッドビークルや自動運転システムの開発環境、音声認識AIアシスタント「Alexa」を利用したコンシューマー向けサービスなど計6つのエリアにフォーカスし、オートモーティブ業界に対する取り組みを進めている。たとえば独BMWは、自動車のセンサデータを収集し、地図情報を動的にアップデートしていくという新たなコネクテッドカー向けのアプリケーションにAWSを採用している。

小さなサービスを組み合わせて利用するマイクロサービス アーキテクチャのAWSだが、そのサービス数は現在100を優に超える。いかに効率良く、そして使いやすく組み合わせてシステムを構築できるかが肝要になるが、コネクテッドカーなどの複雑なビジネスロジックを考えていくうえでは、どう実現したらよいかわからないという声もあるそうだ。

そこでAWSは、昨年12月からコネクテッドカー向けのクラウド環境を簡単に利用できるコネクテッドカー・リファレンスアーキテクチャの提供も開始している。Fintechやセキュリティといった時流に合わせたものはもちろん、ECサイト運用やログ解析といった従来はIaaSで運用してきたサービス向けまで幅広くリファレンスアーキテクチャを提供しているAWSだが、まだ未熟な領域に対しても迅速に提供しているのはAWSならではといえよう。

こうしたなかでDeNAのオートモーティブ事業部は、各サービスにおける車両情報を集約する基盤に「AWS IoT Core」を採用している。AWS IoT Coreは、さまざまなデバイスをAWSクラウドへ簡単かつ安全に接続するためのIoTプラットフォームで、数十億個という大量のデバイスに対してスケーラブルに利用できるのが特徴だ。

「特にコネクテッドカーなどオートモーティブ領域では、大量のデバイスから接続が想定されます。スケーラビリティがあり、なおかつ安全に相互通信できるAWS IoT Coreの特徴は、重要なポイントになっていると思います」(榎並氏)

オートモーティブ業界全体が今、これからの方向性やマネタイズについて模索している状況のなか、「トライ&エラーでさまざまなビジネスを検討しやすいクラウドの環境は、現在のオートモーティブ業界に適しているのでは」と高橋氏は話す。

特にIT大手であるDeNAは、もともとクラウドの価値に対する理解があり、クラウドを利用してトライ&エラーを繰り返しながらシステムを開発していくための土壌がある。これは、数年単位の時間をかけて製品開発を行う自動車メーカーに対して強みとなる部分だろう。

コネクテッドカーを含め、IoTシステムを実現するためには、モノそのものだけでなく、モノからクラウドへの接続、さらにはクラウド上に収集されたデータを活用するインテリジェンスも含めて考えていかなければならない。IoTにおけるデータ活用について、榎並氏は「課題設定が非常に重要です。今あるデータをどう使うかという発想では、イノベーションは起きにくい」と指摘する。

「たとえば、『気温と湿度のデータを使って何をやるか』と考えるのと、『居心地の良い環境を作るためにはどのようなデータを取るべきか』と考えるのとでは、結果が大きく異なってくると思いませんか。前者では想像の範囲を超えるものは生まれてきません。IoTにおいては特に、何を実現したいのかきちんと課題設定をして、インテリジェンスの部分を設計していくアプローチが適していると思います」(榎並氏)

DeNAも、今後はGPSなどによる経路情報や車載センサーのデータといった、あらゆるソースを活用して、オートモーティブ事業の各サービスを発展させていくとみられる。そこには、MaaSを実現し、日本の交通問題を解決していきたいという目的がある。データから価値を生み出し、目的を達成するという意味でも、やはりクラウドのメリットを生かしてトライ&エラーの精神で取り組んでいくことが重要となる。

AWSとしての今後の取り組み

一方でAWSとしても、車載、ネットワーク、クラウド、アプリケーションという4つのレイヤーにおいて、コネクテッドカー・車載サービスの実現に向けて取り組んでいるが、今後オートモーティブ業界に対してどのようにアプローチしていくのだろうか。高橋氏は次のように語る。

「安心・安全に関わる車の制御の部分は、我々としてはタッチするのが難しい領域ですが、Alexaを用いたインフォテイメントなどコンシューマ向けのサービスは、クラウドとの親和性が非常に高く、早い段階からお客様とともに取り組みを進めています。また、自動運転システムの開発領域においても我々がサポートできる部分は大きいと考えています。一方で、将来的に自動運転の運用に関わる領域については、我々としてはまだ見えない部分が大きいです。お客様のフィードバックをいただきながら、AWSとして価値提供できるのはどこなのか、今まさに検討を始めているところですね」(高橋氏)

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大津の園児死亡事故で炎上した「マスコミ」批判

カレー沢薫の時流漂流 第43回

大津の園児死亡事故で炎上した「マスコミ」批判

2019.05.20

漫画家・コラムニスト カレー沢薫さんの社会派連載!

第43回は、大津の痛ましい事故で炎上した「マスコミ」問題について

滋賀県・大津市で散歩中の園児の列に軽乗用車が突っ込み、園児二名死亡、多くの負傷者を出す、という事故が起った。

池袋のプリウス事故の衝撃が冷めやらぬまま、また痛ましい事故が起ってしまった。池袋の事故では「高齢者の自動車運転問題」「上級国民疑惑」が大きく注目されたが、今回の事故では全く別のものが炎上した。

マスコミ問題である。

マスコミが保育園を追求したのは視聴者のため?

事件が起こった当日夕方、被害者の園児が通っていた「レイモンド淡海保育園」が記者会見を行ったのだが、そこで質問をした記者の血が青とか紫とかほとんど寒色系じゃないかと、大きく批判された。

記者会見が、どのような内容だったかというと「危険な場所という認識はあったのか?」「保育士が道路側にいたのか?」という、何としてでも保育園側に批があったようにしたくてたまらない質問、「園児たちの様子は普段と変わらなかったのか?」という意図のわからない質問、 「散歩したのは園に庭がないからか?」という「園に庭さえあればこんなことには…」という「ニ兆円さえあれば」に匹敵する、壮大なたられば論などが挙げられ、質問を受けた園長は号泣、それを記者がバッシャバッシャ撮影するという地獄絵図だったそうだ。

記者会見を見た多くの人が「何を食ったらそんな質問ができるんだ」と思っただろうが、この記者会見は、たまたまその場にプラスチックを食って育った選りすぐりのサイコパッシャーが大集結してしまったという、悪い意味でのアベンジャーズだったワケではないと思う。

記者が何故あのような質問をしたかというと、決して趣味ではなく、おそらく「視聴者の見たい画」「聞きたい言葉」を引き出そうとした結果なのではないか。もちろん「あんなもの見たくなかった」という人が大半だと思う。

しかし、池袋プリウス事故で加害者が即逮捕されないことが大きく批判されたことからも、現在の我々視聴者に「悪が一刻も早く、俺たちの目に見える形で処されるところが見たい」という「ニーズ」が少なからずあることが分かっているのだ。

つまり「お客様に一秒でも早く悪が吊るされる様をお届けします!」というニーズに応えようとする企業努力が、「悪くもない保育園をとりあえず悪にして即斬る」という、完全に間違った「悪・即・斬」になってしまったのではないだろうか。

「マスゴミ」問題は視聴者の問題?

しかし、「被害者側への無配慮な取材はいらん」というのも、今回の件だけではなく、視聴者側が何度も言い続けている「ニーズ」である。

何故それが無視されてこのような会見が行われるかというと、被害者の声まではいらなくても、やはり我々が平素「センセーショナル」な物を求めてしまっているからではないだろうか。よって記者たちは「とにかく刺激的なものを撮ってこい」と言われ続け、感覚がマヒし、本来配慮が必要なはずの取材にすら「センセーショナルさ第一」で臨んでしまい、まるで不倫記者会見のようなノリの質問が飛ぶことになってしまったのではないだろうか。

やはり報道というのは「視聴者が何を見たがっているか」が反映されるものだ、需要がなければ供給はなくなる。このような記者会見が行われなくするためには、何度でも我々が「こういうのはいらんのや、見んし、お前らの雑誌買わんわ」と言い続けるしかないだろう。

ところで、「質問をした記者を特定して処してやろう」という動きも当然のように起こったらしい。やはり我々の「悪を処したい」「処されるのを見たい」という気持ちは根深い物があるのだ。

ちなみに、今回の事故では当初、車を運転していた52歳と62歳の2人が逮捕された。「また高齢者か」という声も上がったが、この年齢で高齢者と呼べるかは微妙なところだ。結局「車を運転する以上誰でも事故を起こす可能性がある」ということである。

車を運転しない人は「歩道を歩いていて車が突っ込んでくるなんてどうしようもない」という被害者観点から絶望したと思うが、車を運転する人は加害者観点でも恐怖したと思う。

もちろん安全運転に越したことはないが、人間には「限界」と「不測の事態」があることでおなじみである。持病もないのに運転中に突然何らかの発作が起こる可能性だってあるのだ。「どうしようもないこと」で被害者になることもあるが、加害者になることもあるのである。

つまり、車がないと生活できない土地で、私が週一ぐらいしか外出せず、引きこもり続けているのは、近隣住民の命を守る草の根活動でもあるのだ。しかし、それは無職だからできる事業なので、多くの人が、少なからずリスクを負って車を運転しなければいけない。

そのリスクを減らすには、運転者が気をつけることはもちろんだが、何せ限界がある。つまり、人間がこれ以上、進化することなく、むしろ高齢化で退化する一方だとしたら、無機物の方を整備していくしかない。

事故が起りにくい道路作り、そして車だ。

現に、車の事故防止機能はどんどん進化しており、自動運転化の開発も進んでいるという。自動運転が本当に安全なのか不安もあるが、少なくとも老が運転するよりは確実に安全になるだろう。

しかし、今のところそういった事故防止機能がついた車を買うか否かは、任意である。そして、そのような機能がついた車は高くなる。よって私の車は金銭的問題で、タイヤとハンドルがついているぐらいであり、運転手がミスったら、そのミス通り事故を起こしてくれる、素直な仕様である。

現在でも事故防止機能のある車を購入した場合、補助がもらえることもあるようだが、導入が任意な以上、つけない人はつけないだろう。これからの車には、タイヤ、ハンドル、事故防止機能を、もう屋根ぐらい忘れても良いから義務付けるべきではないだろうか。

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スープラは最高の合作? トヨタ副社長に聞く新型スポーツカーの存在意義

スープラは最高の合作? トヨタ副社長に聞く新型スポーツカーの存在意義

2019.05.20

トヨタが5世代目となる新型「スープラ」を発売

直列6気筒のFRで伝統を踏襲、最上級グレードに予約集中

BMWとの共同開発について気になる点を友山副社長に聞く

トヨタ自動車は新型「スープラ」(GR Supra)を発売した。先代スープラの生産終了から17年ぶりの復活だ。価格は3リッターの直列6気筒(直6)ターボエンジンを搭載する「RZ」が690万円、2リッターの直列4気筒ターボエンジンを積む「SZ-R」が590万円、同「SZ」が490万円。直6+FR(フロントエンジン・リアドライブ)という歴代モデルの伝統を踏襲した5世代目は、トヨタとBMWの共同開発で誕生した。

新型「スープラ」。ボディサイズは「RZ」で全長4,380mm、全幅1,865mm、全高1,290mm。こだわったのは「短いホイールベース(前輪と後輪の間の幅、2,470mm)」「幅広いトレッド(左右のタイヤの幅、RZでフロント1,595mm、リヤ1,590mm)」「低い重心高」の3つの基本要素だという

儲からなければ儲かるまで“カイゼン”

新型スープラはBMW「Z4」のプラットフォームとエンジンを使っている。企画とデザインはトヨタが、設計はBMWが担当した。

トヨタでは月間220台の販売台数を想定していたが、2019年3月に予約注文の受付を開始すると、新型スープラには予想を超える数のオーダーが殺到した。事前受注は約1,400台に達したという。予約注文のうち、約7割が最上級グレードのRZに集中したことも予想外だったようで、トヨタは一時的に、同グレードの予約受付をストップしていた。

増産やグレード変更などの生産調整により、現在、RZの受注は再開している。とはいえ、今からRZを注文しても、納車は2020年1月ごろになるそうだ。

「マットストームグレーメタリック」をまとった新型「スープラ」(画像)は限定車。2019年度分の24台については、6月14日までWeb限定で商談の申し込みを受け付ける。商談順は抽選となるそうだ

「モビリティカンパニー」になると宣言したトヨタが、スポーツカーのスープラを復活させる理由については、最近、テレビやラジオのコマーシャルでもしばしば耳にする「馬がクルマに置き換わっても、競走馬は残った」という言葉の通りだ。つまり、電動化や自動化でクルマの在り方が変わっていっても、単なる移動手段ではなく、所有したり乗ったりすることで、喜びを感じられる存在として残るクルマもあるので、そういった製品を作り続けたいというのがトヨタの思いである。

新型「スープラ」はトヨタとBMWが2013年に包括提携を結んでから初の商品となる。生産はマグナ・シュタイヤーに外部委託し、オーストリアのグラーツ工場で行う

とはいえ、スポーツカーは年間何万台も売れるクルマではないし、採算が取れないおそれもある。その点については、新型スープラ発表会に登壇したトヨタの友山茂樹副社長も「スポーツカーは儲からない、売れないという冷ややかな見方があることは事実」と認めるところだ。しかし同氏は、「儲からなければ儲かるようになるまで、売れなければ買ってもらえるようになるまで、歯を食いしばってでもカイゼンを続ける」ことがトヨタ本来の姿であるとし、「クルマは五感で感じるものだというDNAを次の世代に継承しなければならない」との考えを示した。

新型「スープラ」は歴代モデルと違って2シーターだ

「BMW製では?」の声に友山副社長の回答は

気になるのは、スープラがBMWとの共同開発であり、エンジンとプラットフォームというクルマの中心部分がBMW製であるという点だ。「トヨタの思いは分かるけど、結局、BMWのクルマなのでは……」という見方があるのは、おそらく間違いないだろう。

こちらがBMW「Z4」。大きな違いはスープラがクーペでZ4がオープンカーであるところだ。「Z4」の価格を見ると、3L直6エンジンを積む「M40i」が835万円、2L直4エンジンを積むエントリーモデル「sDrive20i」が566万円となっている

そのあたりについて、友山副社長が語ったところをまとめると、まず、「スポーツカーは数(販売台数)が限られる割に、開発には莫大なコストがかかるので、単独で作るのは難しい」とのこと。今回のスープラは企画とデザインがトヨタ、設計がBMWと説明しているが、クルマの開発は「そんなに簡単なものではないし、(明確に役割を)区切れるものでも」なく、企画の段階で、トヨタとしてどんなクルマを作りたいか、どんな味を出したいかといった点については徹底的に詰めたという。それに、これは多少、冗談めかした発言ではあったものの、「BMWが作ったクルマだから」という理由でスープラを購入する顧客もいるそうだ。

トヨタの友山副社長。自身は先代「スープラ」を改造して乗っていて、トヨタの役員駐車場で警備員に止められたこともあるという

スープラを「BMW製」だと見る人たちに対して友山副社長は、「どこ製ということではなく、これは『スープラ』なんです。両社のいいところを組み合わせた最高の合作、それがスープラです。乗ると分かりますが、Z4とは全然違います」とのメッセージを伝えたいそうだ。

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