地方創世の新しいあり方!? 新潟県に誕生した最新データセンター

地方創世の新しいあり方!? 新潟県に誕生した最新データセンター

2018.02.02

ネットの役割が増大していく中で、データセンターの重要性が高まっている。データセンターとは読んで字のごとしで、大量のサーバーを集約し、ネットサービスの運用・保守、クラウドなどを提供する拠点だ。

このデータセンターの領域で、少しおもしろい動きがあった。2018年1月下旬、最新設備を整えた大規模データセンターが、新潟県長岡市で稼働し始めたからだ。「新潟・長岡データセンター」と名付けられたこの施設は、1ラックあたりの最大供給電力30kVA、床耐荷重3トンという性能を誇る。一般的にサーバーの性能が上がれば給電能力が求められるし、高性能のサーバーラックであればあるほど重い。そうした傾向に対応できるだけのデータセンターということになる。

左:ラックがズラッと並んだサーバールーム。このラックは特注品だ。右:非常時の発電プラントを用意

つまり、AIやディープラーニング、ブロックチェーン、4K・8K映像といったように、高い処理能力が必要とされるサービスを見越したデータセンターなのだ。だが、データセンターのパフォーマンスについてはここまでにしておこう。このデータセンターのおもしろみは、ほかにあるからだ。

なぜ、新潟県長岡市に建設されたのか

まず、なぜ新潟県長岡市なのかということ。多くのデータセンターは首都圏や関西圏といった都市部に近いところに建設されることが多い。ところが新潟県長岡市は、決して都市部に近いわけではない。

データセンターの開所に際したテープカット。新潟県副知事 高井盛雄氏(左から3番目)や長岡市長 磯田達伸氏(左から2番目)など、自治体の要人も駆けつけたことから、期待がうかがえる。中央がデータドック代表取締役社長 宇佐見浩一氏

その狙いのひとつが、地方創世にある。地方創世といえば、政府も主導する大きな目的だ。その一助になろうという意図が見え隠れする。とはいえ、データセンターはデータが集約するところ。製造業の工場のように大量の雇用が生じるわけではない。担当者によると、30人ぐらいの人員でまかなえるそうだ。現在、データセンターは1棟だけだが、2棟目も建設予定。両方そろえば60~70人の雇用が生まれるそうだ。

「たいした雇用人数ではない」というのが正直な感想だが、データセンターに勤めて得られた知見は今後のIT社会で強みになる。そうした人物が長岡市周辺で活動していれば、自然とITに興味を持つ人が増え、ITを軸にした地域活性が進む。長い年月が必要となるが、決して無駄ではないと思う。

たとえば同じ新潟県の三条市。IT普及と単純に比べられるわけではないが、三条市は鍛冶職が盛んだったため、鉄製品の産地として知られている。現在ではスノーピークやキャプテンスタッグ、モチヅキといったアウトドア用品メーカーの集積地として、その存在感はゆるぎない。

そして、新潟県長岡市にデータセンターを建設した目的がもうひとつある。それは、グリーンエネルギーを活用した空調施設の構築。そもそも新潟は首都圏よりも外気温が低い。こうした外気の特徴を生かして空調し、サーバーから発せられる熱を逃そうというのだ。サーバーは巨大な熱源だが、だからといって顧客のニーズを満たすためには電力を抑制するわけにはいかない。そして、その発生した熱を電力利用の一般的な空調で冷却しようとすれば、さらに消費電力がかさんでしまう。

もちろん、外気温が低い地域はほかにもある。実際、山形県や福島県、群馬県、長野県なども建設候補地になっていたそうだ。ただ、こうした地域を押しのけて新潟県になったのは、全国有数の豪雪地帯であること、首都圏からアクセスしやすいことが決め手だった。

特に豪雪地帯であることが重要だ。外気による空調は、年間8~9カ月間ほどは有効だが、夏場にはなかなか通用しない。そこで、冬の間に集め保管しておいた雪氷が生ずる冷気を使い、サーバールームの空調を行う。

左:敷地内には雪氷を保管する敷地を用意。右:各ラックの間には冷媒を通すパイプがある

アクセスに関しても上越新幹線1本と利便性が高い。首都圏からのアクセスということであれば群馬県に分があるが、新潟県に比べれば積雪は少ない。スキーやスノボーを楽しむのに最適な粉雪になることが多いが、この手の雪はあまり積もらない。雪氷を保管して空調に生かすには心許ない。

なお、長岡のデータセンターでは、空調により排出された熱を植物工場や水産養殖などに活用するようだ。

BCPの考慮も新潟県を選んだ理由

そして最後に、新潟県を選んだ理由がある。それは、BCP(事業継続計画)の観点だ。首都圏だと「いつかくるだろう」といわれている首都直下型地震への対策を練らなくてはならない。また、プレート型地震による巨大津波の心配もある。東京・豊洲にあるデータセンターは、約200mもの杭を打ち込んでいるそうだ。

一方、新潟県の場合、決して地震が少ないワケではなく、活断層型が多い。つまり、断層を避けて建設すれば、ある程度、被害は抑えられる。長岡のデータセンターも、断層を避けた場所を選んだそうだ。そのため、杭打ちが不要な「ベタ基礎」にし、その分、3種類の免震ゴムにより地震による被害を抑制する考えだ。

左:「浅黄」や「羽白」と名付けられた打ち合わせルームが複数ある。ちなみにこれらは錦鯉の品種名。近隣に錦鯉の産地、小千谷市があるからだろう。右:杭のないベタ基礎だが、免震ゴムで地震対策をしている

いずれにせよ、クラウドの高度化、自動運転など、データセンターの役割はさらに重要になってくる。地方創世やグリーンエネルギーなどに取り組んだ長岡のデータセンターは、モデルケースのひとつとなりえるだろう。

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

2019.01.22

低温加熱式のJTがライバルと直接競合する高温加熱式に参入

専用リフィルも異なる3種類の製品で広範に網を張るプルーム・テック

海外市場でも兆し見えた加熱式たばこ、日本での成功がより重要に

日本たばこ産業(JT)が加熱式たばこの新製品、「プルーム・テック・プラス (Ploom TECH+)」「プルーム・エス (Ploom S)」の2製品を発表した。シェアトップのiQOSを追撃したいJTだが、ライバルに先行を許している今、どのような戦略を描いているのか。

JTが発表した加熱式たばこの新製品、プルーム・テック・プラス(左)とプルーム・エス

新たに高温加熱式に参入、ライバルと直接競合へ

新製品は、従来のプルーム・テックを改良したプルーム・テック・プラスと、シェアを争う「iQOS」(フィリップ・モリス)や「glo」(BAT)と同様の加熱方式を採用したプルーム・エスの2つ。iQOSとgloが高温加熱式であるのに対し、もともとプルーム・テックは低温加熱式と呼ばれる方式をとっていた。30度という低温で発生させた蒸気をたばこカプセルを通して吸うため、においが少ない一方、吸いごたえに乏しいともいわれていた。

低温加熱式で吸いごたえを追加したプルーム・テック・プラスと、高温加熱式のシェア奪取を狙ったプルーム・エスを投入

そこで、たばこ葉を増やすなどして吸いごたえを高めたのがプルーム・テック・プラスだ。その結果、本体が太く大きくなり、加熱温度も40度と少しだけ高くなったが、においの少なさはそのままに、吸いごたえをアップさせたことをアピールする。

プルーム・エスは高温加熱式を採用し、iQOSやgloと同様の吸いごたえを目指した。こうした高温加熱式は、たばこ葉を高温で蒸すことで蒸気を発生させるため、従来のたばことも異なる独特のにおいを発生させる。

JT副社長・たばこ事業本部長の岩井睦雄氏は、この独特の「におい」のせいでたばこの味わいに違和感を覚える喫煙者が多かったと話す。そのため、「満足度を高めるのは味わい」として、このにおいの低減に取り組んだという。

プルーム・エスでは、たばこ葉を熱する温度を200度に抑えた。これはiQOSの300度、gloの240度に比べて低く、これによって特有のにおいを抑えたという。

吸いごたえや加熱方式が異なる3製品をそろえる意味

JTは新製品投入後も既存製品の取り扱いを継続する。つまり、プルーム・テックのラインアップは3種類となる。iQOSも複数の製品があるが、こちらは機能の違いによって3種類に分けられており、プルーム・テックはそれに対して、吸いごたえや加熱方式によって異なる製品を用意したかっこうだ。

3つの製品を投入することで、選択肢を提供する

岩井副社長は「温度で選ぶ時代」と表現し、低温のプルーム・テック/プルーム・テック・プラスと、高温のプルーム・エスという選択肢によって「好みや生活環境、ライフステージの変化に合わせて、いつでも最適な選択ができる」ことを狙ったとしている。

たばこ事業本部長の岩井睦雄副社長

たばこ部分に互換性がないという問題はありそうだが、現在でも、においの少なさを重視して自宅ではプルーム・テックを吸いつつ、味わいを求めて喫煙所では高温加熱式の加熱式たばこ、と双方を使い分けている人が少なくない。そうしたユーザーに対して、「それぞれで求められるニーズを高いレベルで満たし、両方を提供するのが顧客満足度の最大化に繋がる」(岩井副社長)と判断し、製品開発に取り組んだ。

加熱式たばこ最大市場の日本から、海外市場を見据える

岩井副社長は新製品でiQOSからシェアを奪取し、「中長期的にはRRPカテゴリでもシェアナンバーワンを目指す」と意気込みを語る。

「RRP」とは「リスク低減製品」のこと。「喫煙にともなう健康へのリスクを低減させる可能性がある」と位置づけられる製品だ。

日本では法律上、液体にニコチンを含ませて販売することはできない。電子たばこは、このニコチンを含む液体を蒸気化させるため日本で販売できず、結果、加熱式たばこが普及したという背景もある。加熱式たばこの市場規模では日本が世界最大だが、iQOSが韓国や欧州の一部で販売を強化しており、グローバルでの市場拡大を狙っている。

JTは海外ではlogicブランドで電子たばこを販売している。海外での電子たばこ事業はありつつも、まずは製品の国内ラインナップを拡大して加熱式たばこのシェア拡大を図るとともに、紙巻きたばこを含むすべての製品の価値を向上させることで、市場の拡大に繋げたい考えだ。「日本での成功がグローバルでの成功につながる」と岩井副社長は強調する。

紙巻きたばことRRP製品の双方を拡充する
日本では加熱式、海外では電子たばこを提供中

紙巻きからの移行、数年以内に大きな山場

2018年は加熱式たばこが踊り場を迎えたと言われた。日本ではここ数年で急激に加熱式たばこの普及が進んだが、市場シェアが20%を越えたところでユーザー需要は一巡したとみられる。

ただ、プルーム・テックの全国販売の開始や、他社では直近のiQOSの新モデル投入などを経て、その動向から、需要の伸びは「足踏みしていたが、止まったわけではない」(岩井副社長)との認識にあるという。加えて、紙巻きたばこによる健康懸念の高まりや、オリンピックによる喫煙場所の規制といった外的要因もあり、「必ずシガレット(紙巻きたばこ)からRRPに移ってくる」(同)という見通しだ。

課題は、紙巻きたばことは異なり、デバイスを購入しなければならないというハードルの高さだ。一度購入した後、他社のデバイスへ移行しづらいという難題につながる。

他社の後追いとなった高温加熱式では、「差別化のポイントをしっかりと伝えていく」ことで買い替えを促進する。JTが主導する低温加熱式では、「若干下方修正したが、手応えも感じている」と岩井副社長は説明する。今後は製品の良さをアピールするために、喫煙者に直接説明をする営業スタイルを重視していく方針をとるそうだ。

JTは日本市場で紙巻き、加熱式のいずれでもシェアトップを目指す

JTは1社で複数の選択肢の製品を用意することで、消費者のニーズの受け皿を最大化しようと目論んでいる。この先にグローバルで展開する上で、ユーザーからどのような示唆が得られるのかを検証していき、海外での加熱式たばこの市場拡大にも乗り出していきたいと考えているようだ。

加熱式たばこは間もなく、国内市場シェアだけでなく、海外市場の争奪戦の行方も左右する正念場を迎える。

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

2019.01.22

セブン、ローソンに続きファミマも成人誌を販売中止

インバウンドの増加、オリンピックの開催も影響か

コンビニ最大手のセブン-イレブンと業界3位のローソンが成人向け雑誌の販売中止を発表したのに続き、業界2位のファミリーマートも同様の方針を打ち出した。大手3社の足並みがそろい、日本国内のほとんどのコンビニ店頭から成人誌が消える。

国内のセブン-イレブン店舗数は2万店を超え、ローソンとファミマが1万5,000店前後でこれに続く。それぞれ今年の8月末までに取り扱いを原則中止するという。これまで一部店舗で成人誌の販売を中止していた例はあったが、今回は各社全店舗で取り扱いを中止する。業界では昨年1月から、ミニストップが他社に先駆けて全店で取り扱いを中止していた。

もともと諸外国にくらべ、女性や子どもの目につきやすいコンビニ店頭などに成人誌が置かれている日本のゾーニングの現状は特殊であるとの批判があった。また、インバウンドで訪日外国人が増え、この論調に拍車がかかっていたほか、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、イメージ低下を防ぐ要請が強まっていたという背景がある。

コンビニでの成人誌の購買層は近年、高齢男性に偏るとともに売り上げの減少も顕著であったといい、ゾーニングの問題が取り扱い中止の大義名分になったという見方もある。ある出版関係者は、「一部では電子版などネット展開を強化している流れはあるが、今でもコンビニは重要な販路なので、相当な混乱があるだろう」と話す。どちらにせよ、日本の成人誌は岐路に立たされることになる。