業績好調のKDDIが社長交代、携帯事業参入を表明した楽天との共通点とは

業績好調のKDDIが社長交代、携帯事業参入を表明した楽天との共通点とは

2018.02.06

KDDIは1月31日、現社長の田中孝司氏から、現副社長の高橋誠氏に社長を交代することを発表した。業績好調のKDDIがなぜ今、社長交代を発表したのだろうか。そこには楽天の携帯電話事業参入と、ある意味で共通する考えがあるようだ。

業績が好調ながら社長交代を決めた理由とは

1月31日、2018年度3月期第3四半期を発表したKDDI。同日に実施された決算説明会では、今四半期も売上高が前年同期比6.8%増の3兆7600億円、営業利益が4.9%増の8138億円と、引き続き増収増益を記録するなど好調な様子を見せていたのだが、その直後に実施された記者会見が、大きな驚きをもたらした。

なぜなら、KDDIが突如社長を交代すると発表したからである。現在代表取締役 執行役員副社長を務める高橋誠氏が、新たに代表取締役社長となる一方、現在の社長である田中孝司氏は代表取締役会長になるという。この人事は4月1日に実施されるとのことで、4月からは高橋氏による新たな体制の下で事業展開がなされることになる。

KDDIは1月31日、田中孝司氏(左)から高橋誠氏(右)へと社長を交代する人事を発表。業績好調の中の社長交代だけに驚きをもたらした

だが先にも触れた通り、KDDIの業績は非常に好調で、ここ最近の懸念であったMVNOへの顧客流出にも歯止めがかかりつつある。しかも現在、KDDIは3カ年の中期計画を遂行している最中であり、社長が交代する4月からは、中期計画の最終年度を迎える重要な年度でもある。にもかかわらず、なぜKDDI、ひいては田中氏は社長交代を決断したのだろうか。

その理由について田中氏は、会見の席で「4月からの新年度は中期計画の最終年度であると同時に、次の中期計画を決める非常に重要な1年だと思っている」と話す。新しい中期計画は現在の体制ではなく、新社長による新しい体制で決めるべきとの判断から、このタイミングでの社長交代を決めたようだ。

だが前任の小野寺正氏から、田中氏へと社長交代がなされたのは、2000年にKDDIが誕生してから10年目の節目を迎えた、2010年であった。田中氏が社長に就任してからまだ7年しか経過していないだけに、現在の好業績をバネに次の3年の事業を自ら推し進めても大きな問題はなかったようにも見えるのだが、なぜ田中氏は自分で次の体制を決めるのではなく、高橋氏に次を任せる判断をしたのだろうか。そこには携帯電話事業参入に参入する楽天と、ある意味で共通した考えがあるようだ。

通信会社からライフデザイン企業への転身を本格化

田中氏は今回の決算説明会にて、楽天の携帯電話事業参入について記者から問われた際、「大きな目で見ると、産業のデジタルトランスフォーメーションの流れが出てきている。楽天の携帯電話事業参入は、その流れが目に見える形で出てきているものではないか」と答えている。つまり田中氏は、今後の技術進化によって産業構造が大きく変わり、従来のように通信業界の中で規模を争う戦いではなく、通信とそれ以外の事業が融合した、総合的なサービス力が問われる競争になっていくと捉えているようだ。

田中氏は今後の技術革新によって携帯電話会社の事業構造が大きく変わり、より消費者の生活に根差したサービスが求められると考えているようだ

確かに、KDDIだけでなく、NTTドコモもスマートライフ領域の事業拡大を積極的に推し進めているし、ソフトバンクも同じソフトバンクグループ傘下のヤフーとの連携を深め、生活系サービスの充実を図っている。人口増加が見込めず携帯電話事業の大幅な顧客増加が見込めない以上、携帯電話会社も総合サービス企業への転身が必要とされているのは事実だろう。

そうした時代に必要な要素として、田中氏は通信のほか、コマース、金融の3つを挙げているという。「楽天は次の時代に向かう上で、通信が欠けているピースと考えたのではないか」と田中氏は捉えており、KDDIも今後、新たな競争に向けて不足している要素を強化していく考えを示している。

KDDIはここ最近、ライフデザイン事業を積極化してきたこともあり、先に挙げた3つの要素は全て持ち合わせている。しかしながら田中氏はそれらの要素が人々の生活に入り込むという部分で、まだ欠けている要素があると感じているようだ。確かに「au WALLET」などの決済系サービスは、利用者が増えているとはいえ普及はまだ道半ばであるし、コマースに関してもディー・エヌ・エーから事業買収し「Wowma!」を立ち上げてから日が浅く、楽天などと比べると知名度は決して高いとはいえない。

それだけに田中氏は、新しい競争環境を戦い抜くためにも、決済やコマースを含むライフデザイン事業を強化し、ある意味通信事業より大きな規模に広げていきたいと考えているのではないだろうか。

相次ぐ業績好調企業の社長交代から見えるパラダイムシフト

そしてライフデザイン事業に力を入れる上で、適任と考えたのが高橋氏である。法人ビジネスやネットワークで実績を上げてきた田中氏とは異なり、高橋氏はフィーチャーフォン時代から、特にコンテンツ・サービス面で多くの新規事業開発に多く携わっている。消費者に近い接点を持つサービスで実績を築いていることが、ライフデザイン事業を一層強化する上で大きな強みになると考え、田中氏は高橋氏に事業を託したといえそうだ。

新たに社長へと就任する高橋氏は、コンテンツやサービスなどの新規事業を多く手掛けてきた実績があり、なおかつ事業改革に意欲的な人物だ

また田中氏によると、高橋氏は「いろいろな課題があり、右に行くか左に行くかという選択肢がある中で、必ず行く方を選ぶ」人物だという。事業構造の大きな変革が求められる中で、ある程度リスクがあっても変革を前に進める力が、今後の競争を乗り切る上で適しているとの判断も働いたようだ。

その高橋氏も、今後のKDDIに関して「中期計画の3年目はライフデザイン企業への変革がテーマになっているが、実はそれだけでは足りないと思っている」と話している。産業構造が大きく変わる今後を乗り切るためには、通信を軸としながらも、従来より一層大きな改革が必要と考えているようで、改革路線に大きく舵を切ることを示唆している。

実はここ最近、KDDIだけでなく、ヤフーが宮坂学氏から川邊健太郎氏へ、ソニーが平井一夫氏から吉田憲一氏へと、社長を交代する動きが相次いでいる。そしてそれらはいずれも、業績が好調な中での社長交代という点で共通している。

こうした各社の動向からも、IT産業全体に次の大きなパラダイムシフトが訪れると考えられており、それに先んじて新たな体制を構築しておきたいという傾向が見えてくる。そうした各社がどのような体制を構築し、大きな変化に対応しながら成果を生み出せるかは、今後の大きな注目ポイントになってくるといえそうだ。

SNSでバズを起こせ! メルカリ流 “違和感”マーケティング

SNSでバズを起こせ! メルカリ流 “違和感”マーケティング

2019.01.24

フリマアプリを運営するメルカリが新聞折り込みチラシを配布

なぜリアル店舗のようなチラシ広告を出したのか

理由を聞いていくなかで同社のマーケティング戦略が見えてきた

問:次のアイテムのなかから、フリマアプリ「メルカリ」で販売されたことのあるものを選びなさい。

・ダウンジャケット
・ヒト型ロボット
・トイレットペーパーの芯
・クルマ
・イヤホンの左側

おわかりいただけただろうか。答えは「すべて」である。現時点では売り切れかもしれないが、上記はすべてメルカリで販売された実績のあるアイテムだ。

さまざまな商品が売買されているメルカリとはいえ、まさか「トイレットペーパーの芯」が売られているとは、よほどのヘビーユーザーでなければ知らないのではないだろうか。

もちろん筆者も知らなかったが、2018年12月12日に配布された1枚の新聞折り込みチラシが、その事実を教えてくれた。それは、メルカリが北海道と愛知県で計192万部配布した広告チラシだ。

紙面上では、トイレットペーパーの芯やクルマがメルカリで売られていたことを紹介していたのだが、東京在住の筆者は配られたチラシを直接見たわけではない。「メルカリが新聞折り込みチラシを配布している」という意外性がSNSで話題を呼び、仕事中Twitterをいじくりまわして遊んでいた筆者の元にも情報が届いたのである。

はたして、アプリ上でサービスを展開するメルカリが、なぜリアル店舗のような折り込みチラシを配布したのだろうか。

メルカリが配布した新聞折り込みチラシの例。まるでアパレル広告のようだ
裏面には、初心者でも使えるようにアプリのマニュアルが紹介されている

「スタンダードからいかに離れるか」が、おもしろさを生む

「端的に言えば“お茶の間の会話”を増やしたいと考えたためですね」

株式会社メルカリ 執行役員 CMOの村田雅行氏は、新聞折り込みチラシを配布した理由について、そう話す。

株式会社メルカリ 執行役員 CMOの村田雅行氏

2013年7月にサービスを開始したメルカリのアプリダウンロード数は、世界合計で1億超。また、累計流通額は1兆円を超えており、全国レベルでその名を轟かせている。

「ただ、月間のユニークユーザー数は1100万程度。ダウンロード数を考えるとまだまだ伸びしろがあるはずなのです。そのため、まだ取り切れていない、シニアを中心とするユーザーを取り込むためのアプローチを実施することに決めました」

アプリの存在は知っているが、普段からメルカリを使っているわけではない。そんな、シニアをはじめとする“お茶の間ユーザー”を取り込むべく企画されたのが「新聞折り込みチラシ」だった。さまざまなマーケティングを行っている同社ではあるが、新聞折り込みチラシの配布は今回が初めて。そのため、まずはテストマーケティングとして、限られたエリアでの配布が行われた。

だが、シニアへのアプローチは何も折り込みチラシに限らない。テレビCMはもちろん、街頭配布やポスティングなど、ほかにも宣伝手法はあったはずだ。なぜ折り込みチラシにこだわったのだろうか。

「1つのコンテンツとして完結しているところがポイントでした。新聞は、自ら購読して情報を取得する非常にポジティブな媒体。毎日目にするそのコンテンツにメルカリの折り込みチラシを入れることで、“違和感”を生み出したかったのです」

また村田氏は、チラシだからこそ違和感を生み出せたのだと話す。

「今の時代、いかにSNSで話題にしてもらえるかが大事です。そのためには普通とは違うことをやらなければなりません。違和感は、多くの人が認識する“スタンダード”がなければ作れないと考えています。いかに基準から大きな振れ幅があるか。それが驚きやおもしろさにつながるのではないでしょうか。そういう意味で、折り込みチラシには基準があります。『医薬品系だったらこんなチラシ』『スーパーのチラシはこんなもの』というイメージが、多くの人のなかで醸成されているからこそ、イメージからかけ離れたクリエイティブは一層際立つはずだと、新聞の折り込みチラシを実施したのです」

例えば街頭配布であれば、コスプレをしたり、奇抜な宣伝車で商品サンプルを配ったり、アメニティを同封したりと、工夫されているものが多く、普遍的な基準のようなものが思い浮かびにくい。あえて一般的な街頭配布の例を挙げるとすれば、ポケットティッシュと答える人が多いだろうか。だが、ポケットティッシュ以外のものを配っていたら、それだけで大きな話題を呼ぶかと言えば、おそらく難しいはずだ。

つまり、スタンダードがあるからこそ、違和感を与えて記憶に残るような手法を実施できると、数あるアプローチのなかから村田氏は折り込みチラシを選んだというわけだ。

そもそも、実店舗を持たないメルカリが折り込みチラシを配布するというだけで、1つの違和感を与えられるだろう。そして「徒歩0分! スマホの中でオープン!」といった目を引く謳い文句が、違和感をますます際立たせる。

「違和感を与えるために、コピーや商品ラインアップは工夫しましたね。今回、3タイプのチラシを作成したのですが、“メルカリだからこそできるラインアップ”をあえて出すようにしました。例えば、意外性のあるものでは、トイレットペーパーの芯やクルマ。実際にメルカリで売られていたことがあるんです」

今回作成されたチラシは「ファッション」「家電」「スーパー」の3タイプ。意外性のある商品ラインアップに加えて、北海道では日本ハムファイターズのユニフォーム、愛知県では中日ドラゴンズのユニフォームなど、地域に根付いた商品も掲載しており、そのような遊び心も、SNSで話題になるために必要なのかもしれない。

家電パターンのチラシ。「徒歩0分! ~」のコピーが目立つ
「トイレットペーパーの芯」を掲載したパターンのチラシ。2つのチラシをよく見比べると、ユニフォームで使われている写真が違う。なお、北海道と愛知県を選んだ理由は、「地場新聞の影響力が強いエリア」だからだという

結果として、違和感を覚えた消費者は、Twitterにチラシの画像を投稿。狙い通り、SNSでバズらせることに成功した。

しかし、SNSで話題になっても、ターゲットにしているシニア層にはあまり関係がないのではないだろうか。

「シニアや中高年の方々でSNSをやっている人は意外と多いんですよ。積極的に発信をしている人はあまり多くないですが、情報収集として活用している人は少なくないですね」

ちなみに、肝心の折り込みチラシの効果は、「すべての数字の集計が終わっているわけではありませんが、チラシを投下したエリアでは、いい成果が出ています」とのこと。データとしても、チラシの影響を確認できたという様子だった。

攻める姿勢が生み出したもう1つの広告

今回のようなアプローチは、SNSが普及した今だからこそ可能な新しいマーケティングだ。そして、メルカリではSNSでのバズを狙った取り組みがもう1つ。2019年1月1日からスタートした『#はじメル』だ。

はじメルは、「三日坊主でもいいから、とにかく新しいことをはじめる人を応援する」というコンセプトで展開しているキャンペーン。特設サイトを開設し、1月3日には新聞の一面広告を、1月5日からはテレビCMを放送開始した。

そのなかで、一体なにがSNSで話題になったのかというと、これまたアナログな「新聞広告」である。

「一般的に1つのクリエイティブで進める新聞広告を、あえて3タイプ制作し、首都圏・東日本・西日本で分けて配布しました。3枚の新聞広告をつなげるとメルカリの『m』が浮かび上がるというデザインなのですが、1枚だけ見ても、“つなげたら何か起きそう”なデザインにすることで、それを発見した人がTwitterに思わず投稿したくなるような仕組みを作っています」

新聞広告を3枚並べると「m」の文字が浮かび上がる

思わせぶりなデザインにするという“ヒント”を提供しておき、あとは何も言わずにユーザーの反応を待つ。離れたエリアの新聞を手に入れるのは難しいので、ほかのデザインが気になった場合は、自然とオンライン上での情報収集が開始されるだろう。そうして、SNSで活発なやり取りが発生するというわけだ。

「最初はもっと控えめのデザインだったのですが、それじゃダメだと言いましたね」

穏やかな口調ではあったが、村田氏の言葉からはクリエイティブに対してのこだわりを強く感じた。

「折り込みチラシのときもそうですが、守りに入ったら企業は終わると考えているので、常に攻め続けたいと考えています」

クリエイティブに対して攻めの姿勢を崩さない村田氏。それを象徴するエピソードとして、折り込みチラシのプロジェクトのキックオフ時には、「私をクビにする覚悟で仕事をしてほしい」とメンバーに伝えたのだという。

「もちろん、ほんとうにヤバいときは止めますよ。ただ、メンバーがリスクを考えてしまうと、どうしても“置きにいく”ようなアイデアになりがちです。責任なら私が取るので、どんどん攻めてほしいというメッセージですね」

置きにいくクリエイティブでは、SNSでバズらない。メンバーが自由にアイデアを出せる環境整備こそ、尖ったクリエイティブを生み出すのに必要なことなのだろう。

2019年はメルカリの内面を伝える年に

今回、折り込みチラシと新聞一面広告で、SNSでバズらせるマーケティングを実施したメルカリ。折り込みチラシに関していえば、まだテストマーケティングが終わった段階である。今後は全国的に折り込みチラシの配布を行うのだろうか。

「明確な方針はまだ決まっていませんが、折り込みチラシについては、読み物としてお客さまから期待されるコンテンツにしていきたいと考えています」

ただし、「今日は○○が特売」「○○が新発売」といったように、新聞チラシは日々情報が更新されるから読み物として成立する。タイムリーな情報をチラシで打ち出せないメルカリは、どのようなコンテンツにしていくのだろうか。

「今回折り込みチラシで意識したことの1つに、商品をたくさん入れるという点がありました。実際にメルカリで何が売られているかまでは知らない人が意外と多いんですね。そのような人からすると、トイレットペーパーの芯が売れることは1つの発見になるでしょうし、自分の家にある家電がいくらで売れるかということも新しい発見です。そのように、ほかにも、まだまだ知られていない情報があるので、継続的にチラシをやると決まったら、もっとメルカリの内側を知ってもらう情報を提供していきたいですね」

メルカリの内側を知ってほしいと話す村田氏。実は、はじメルにも同様の意図があったという。

「メルカリを使えば『新しい趣味を始める』ことへのハードルを下げられると伝えたかったのです。例えば、ゴルフを始めようと考えたら、ゴルフクラブのセットを購入する必要がありますよね。それが仮に10万円であれば、『ちょっとやってみようかな』程度に思っている人からすると、やはりハードルは高い。しかし、メルカリを使うことで、まずゴルフクラブを5万円で買える可能性があるのです。そのうえ、5万円で売られているのであれば、それに近い金額で売却できることも意味します」

5万円でゴルフクラブを買ってみたはいいものの「あまりおもしろくないな」と感じた場合、4万5000円で売却できれば、5000円の出費でゴルフを体験できるわけだ。

「また、メルカリにはバーコード出品と呼ばれる機能があって、バーコードを読み取るだけで商品情報を自動入力してくれるんです。値段も提案してくれるので出品が楽なのですが、最近では本を買うときにまずはバーコード出品を行う人が多いようですね。ちょうど読み終わったくらいに売却できて便利なんです。期限を決めることで、読まないといけないというプレッシャーにもなりますし、2000円の本を1500円で売却できれば、500円で本が読めるわけです」

何か買うときに、メルカリでまずいくらで売れるかをチェックする。そして、使わなかったり、一度使って満足したりすると、メルカリで売却するという消費行動が増えているのだ。その結果、購入のハードルが下がるので、二次流通が一時消費を活性化させる可能性もあるだろう。

「このような使い方の訴求は、継続してやっていきたいなと。そしてゆくゆくは、メルカリをライフインフラのようにしたいですね」

村田氏は展望を語る。

「認知はすでに獲得しました。次はメルカリの内面をもっと外に出していくフェーズです」

2018年には株式を上場し、気流に乗るメルカリ。決して“置きにいかない”同社のマーケティング戦略から、次はどんなアイデアが飛び出すのだろうか。2019年も同社の尖った広告が、SNSを騒がせるかもしれない。

上場後振るわぬソフトバンク、次は「行政指導」

上場後振るわぬソフトバンク、次は「行政指導」

2019.01.24

ソフトバンクの通信障害、総務省が行政指導へ

再発防止のためのさまざまな対策立案を支持

上場前後で「運がない」ソフトバンクに求められるもの

総務省は1月23日、昨年12月に大規模な通信障害を起こしたソフトバンクに対して行政指導を行った。

通信障害は、ソフトバンクのLTEに関する交換機の不具合が原因で起こったもの。それによって同社の4G LTE網に障害が発生し、音声・データ通信ともに圏外になる、もしくはつながりにくい状態が長時間続き、大きな話題になっていた。

通信障害は12月6日の13時39分頃発生し、その後同日18時4分頃まで、4時間25分に及び、約3060万人の利用者に影響を及ぼした (ソフトバンク ニュースリリース)

総務省は今回、同社の代表取締役取締役社長執行役員兼CEOの宮内謙氏宛に「電気通信事故に関する適切な対応及び報告について」と題した文書を提出。

ソフトバンクの宮内謙代表

文書では、ソフトバンクが2018年中に同件を含めて3回の重大事故を発生させていることを挙げ、「このような事故の発生は利用者の利益を大きく阻害するもの」とし、社内外の連携体制の改善や利用者への周知内容・周知方法の改善、通信業界内での教訓の共有等の実施を勧告。さらに、それぞれの具体的措置の内容を2月末までにまとめ、報告するよう義務付けた。

携帯電話は、通話やメッセージのやり取りはもちろん、決済サービスや災害時の情報収集ツールとして、今や国民のライフラインになっている。

総務省は同文書で「事故における教訓を業界全体で共有することが重要である」ともしており、今後の再発防止策等の詳細について、ほかの携帯電話事業者に説明し、情報共有する機会を設けることも求めた。

昨年末に鳴り物入りで上場したが、なかなか株価が振るわないソフトバンク。その背景には、通信障害や「PayPay」のクレジットカードの不正利用、さらには同社が通信設備を使用している中国・ファーウェイの米中対立やCFOの逮捕などの問題などが影響していることだろう。

ソフトバンクグループは昨年11月に行われた2018年度第2四半期決算説明会で、「RPA(Robotic Process Automation)の導入により通信事業の人員を削減し、新規事業に力を入れていく」としていたが、新規事業の前に、まずは逆風吹く通信事業の早急な立て直しが求められている。