そろそろ準備が必要?モバイル世代が存在感を出し始めたECマーケット

そろそろ準備が必要?モバイル世代が存在感を出し始めたECマーケット

2016.01.26

最新のITテクノロジーと融合しはじめた世界最大のリテーラーイベント

NRFが主催する「RETAIL'S BIG SHOW 2016」公式サイト

「いかに売るのか?」個人消費は、いうまでもなく経済の大きな柱のひとつだ。小売業界はその最先端で研究を重ねている。2016年1月17日から20日(現地時間)にニューヨークで開かれた祭典「RETAIL'S BIG SHOW 2016」は、世界中の小売業界や流通業界が注目するイベントだ。全米小売業協会が主催するこのイベントでは、最新のリテールビジネス事例やソリューションが紹介される。講演者は300人を越え、世界的なブランドを持つメーカーやリテーラーが顔を揃え、最新の事例や研究結果を披露する。

The National Retail Federation(NRF:全米小売業協会)は、世界最大のリテール協会であり、デパートストアやチェーンストア、カタログ、インターネットリテーラーまで広範なジャンルを世界規模でサポートする団体である。前身であるNational Retail Dry Goods Associationの設立が1911年。以来、消費資本主義の本場である米国において、百年以上にわたる歴史を持ち、同イベントも今年で105回目を迎えている。

The North FaceのAIプラットフォーム。IBMの人工知能ワトソンと連携している。対話的に答えていくことで、目的の商品へとたどり着く

IT技術が絶え間なく進化する現代。100年前では想像もつかなかったようなIT技術が至る所で紹介されている。たとえば人工知能もそのひとつ。アウトドア用品や登山用衣服などを手がけるThe North FaceがIBMの人工知能ワトソンと提携し、ユーザーを対象に60日間にわたり同社のオンラインショップで検証を行ったことを披露している。現在でもベータ版として公開されているが「WHERE AND WHEN WILL YOU BE USING THIS JACKET?」と尋ねるワトソンと対話していくことで目的の商品へとたどり着ける。実際に試してみると、その精度はもちろん、楽しさも提供してくれる。心地よく満足のいく買い物ができそうだ。75%のユーザーが再度利用したいという意向を示し、ユーザーの滞在時間も以前よりも2分増加しているそうだ。

NRFが発表している「Top 100 Retailers」。米国内のビッグリテイラーたちの熾烈な競争がみえる

NRFが発表しているリテーラーのランキング「Top 100 Retailers」は、米国内でのセールス金額をもとに試算されたもので、各年のランキングがWebページにも掲載されている。

米国内でのセールスにおいて、2008年から2015年を通じての1位は、不動のウォルマート。だが、2009年度版(2008Sales)の19位からランキングに現れるAmazon.comは、2010年度版(2009Sales)の26位を経て、2011年度版(2010Sales)の19位、2012年度版(2011Sales)の15位、2013年度版(2012Sales)の11位、2014年度版(2013Sales)と着実に順位を上げてきた。2015年度版(2014Sales)は9位と前年同順位だが、米国内売り上げで20%を超える対前年成長率を維持している。オンライン販売を専業として行うAmazonの売り上げが、消費大国である米国のリテール全体の中でも際立つ伸びを示している。

2015年末に見られたスマートフォン経由による購買の著しい増加

著しい成長を見せるEC市場だが、なかでも最近各社から発表されているスマートフォンやタブレットを中心としたモバイル経由での購入上昇の兆候は見逃せない点だ。

中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディングスは、2015年11月11日のバーゲンセール取引額が1日で912億元(約1兆7620億円)に達し、売上高の68%がモバイル機器での受注だったことも明らかにしている。Amazonも2015年の感謝祭から年末にかけてのホリデーシーズン期間中、70%のユーザーがモバイル端末を通して購買していることを発表した。

また、Adobeが1月に発表した最新の米国のリサーチ結果では、2015年のホリデーシーズンにおけるオンライン消費を昨年比12.7%増と推定している。スマートフォン単体でのトラフィックが、デスクトップを追い抜く期間があったことに触れている。クリスマスや年末の期間とあって、各社工夫を凝らしたキャンペーンを展開するホリデーシーズンではあるが、例年に無いスマートフォンの勢いが特徴として出始めていることがわかる。

「平成26年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」

日本においても、同様の傾向が経済産業省のデータから読み取れる。昨年5月に公開された「平成26年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」では、2014年のBtoC-EC市場規模を12兆7,970億円(昨年度比14.6%)と試算、BtoC-EC分野のトピックスとしてスマートフォン経由の売上げの上昇を採り上げている。ヤフーや楽天、千趣会、ニッセン、スタートトゥデイといった日本ECプレイヤー達の直近のスマートフォン経由での売上げが2014年の時点で目覚ましく上昇している。中には、売上げの過半数がモバイル経由である企業も現れている。

FRB(連邦準備制度理事会)が公開している「Consumers and Mobile Financial Services 2015(PDF)」

これらスマートフォンを含むモバイル端末による購入については、世代で見た象徴的なデータもある。FRB(連邦準備制度理事会)が2015年の3月に出した「Consumers and Mobile Financial Services 2015」は、消費者のモバイルによるオンラインバンクや購入動向の米国内での調査レポートだが、2011年から2014年の間、過去1年間のモバイルを使った支払いの有無について世代を区切ってヒアリングしている。各年を通して18-29の世代が常に高い数値を示すが、徐々にその世代が高齢層へと広がっていく様子がうかがえる。モバイルコマースは当面衰えることはなく拡大を続けていくことになる。

モバイル経由での購買が増えるなかでは、あらためてモバイルファーストな取り組みが重要となってくる。当然、Amazonやウォルマートもスマートフォンアプリには力を入れている。

モバイルファーストな時代にまず優先的にすべきこととは?

オムニチャネルというキーワード。"オンラインと実店舗を融合させ顧客にシームレスな体験を提供する"、"デバイスを問わずすべての顧客接点を統合する"など、多義的に言及されることが多い。このキーワードに戸惑う声もWeb上に散見される。各小売店のIT化の状況や規模によって、ケースバイケースで随分とやることが異なってくる。

EC化が進んでない店舗では、実店舗との融合は先の話になるだろうし、集客や顧客のリスト化が進んでいないECサイトでは、適切なタイミングでのキャンペーン戦略も限られてくる。取り扱う商品によってシームレスな体験も変わってくるだろう。NRFは、オムニチャネルについてまずすべきことを「OMNICHANNEL RETAIL INDEX 2015」と題した資料で提示している。120のリテーラーの200Webサイトを通じて調査し、そのポイントをまとめたものだ。何からはじめれば良いのかに戸惑う場合の指針のひとつになる。

1.Mobile-OPTIMIZED EMAILS モバイルに最適化されたEmail
54%のリテーラーがこれを利用している

2.MOBILE-OPTIMIZED SITE モバイルに最適化されたWeb
95%がモバイルに最適化されたWeb

3.ONLINE CUSTOMER SERVICE OPTION
35%が商品ページにライブチャットシステムを導入、75%がモバイルサイトにクリックコールを設定している

4.FLEXIBLE SHIPPING OPTIONS 柔軟な配送オプション
77%が店舗からの自宅配送を行っている一方、わずか28%しかオンラインで購入し、店舗で受け取ることを認めていない

5.RETURNS 返品
70%がオンラインでの購入品の店舗での返品を認めている

6.MARKETING OMNICHANNEL SERVICE オムニチャネルサービスをマーケティングする
46%がオムニチャネルサービスを展開していることを店舗に掲げている

7.LOYALTY PROGRAMS ポイントサービス
48%がオンライン / オフラインで互換性のあるポイントサービスを行っている

8.INVENTRY LOOK-UP 在庫調べ
49%がモバイル端末での店舗在庫情報を提示している

本質的なメッセージを伝えられるか?

Coldwater Creek

NRFのWebサイトにはカタログを中心としたリテールを展開する企業Coldwater Creekのストーリーも掲載してある。1984年に設立した同社は、店舗を400店構える盛況をみせるが、不景気の煽りを受け2014年に廃業にいたる。同社は再建へいたる道程のなかで、原点回帰となるカタログへの復帰を図る。店舗ではなくオンラインに焦点をあてたカタログビジネスは2015年の春にスタートし、400%から500%にのぼる売上げ増加を達成したという。

カタログが持つ創造性やストーリーは、編集者やライター、モデル達が創意工夫を凝らして商品の魅力を引き出す。それは、価格表や機能表だけでは伝えられない魅力だ。

日本においてもカタログを展開する企業は数多くあるが、紙媒体を中心に落ち着きのある層をファンとして取り込んできた実績がある。これはなかなか歴史の浅いインターネット企業には真似ができないチャネルだ。

オープンで開かれたデジタルの世界では、いわゆるデジタルネィティブたちが毎年出現しては、顧客として増え続けていく。この層を従来の層と同様にWeb、媒体を問わずいかにファンとして取り込んでいくのがとても重要になっていくのだと思う。

「社会人デビューは30歳からでいい」 転職相談のプロが想う“令和時代のキャリア論”

「社会人デビューは30歳からでいい」 転職相談のプロが想う“令和時代のキャリア論”

2019.05.22

「就活ルール廃止」で就活はどう変わる?

「20代の転職相談所」運営会社の社長に直撃!

「社会人デビューは30歳からでいい」の真意とは

2021年、「就活ルール」が廃止されます。

これにより、現行の「3月に採用広報を解禁」「6月に選考解禁」「10月に内定交付」といった取り決めがなくなり、通年採用が実施されるようになります。

――しかし、この件について「就活に混乱をもたらす」といった報道もしばしばなされています。実際、就活を控える学生からは「具体的に何が変わるのかイメージが湧かないので、どう動けばいいのかわからない」といった不安の声も聞こえてきました。

「就活ルールの廃止」は、これからの就活をどう変えるのでしょう。そして、就活を控えた学生は今、何をすべきなのでしょうか。

1万人を超える若者の転職・就職を支援してきた20代向けの転職支援サービス「20代の転職相談所」などを運営するブラッシュアップ・ジャパン 代表取締役の秋庭洋さんに、「就活ルール廃止で変化すること」について聞くと、話は「20代のキャリア論」にまで及びました。

ブラッシュアップジャパン 代表取締役の秋庭洋さん。1967年大阪生まれ。リクルート勤務、人事コンサルティング企業の役員を経て2001年9月にブラッシュアップジャパンを設立。就職・転職支援サービス「いい就職ドットコム」「20代の転職相談所」を運営しているほか、関西学院大学、武蔵野大学でキャリア開発科目の講師を務めるなど、若年層の雇用のミスマッチ解消に取り組んでいる

「就活」を取り巻く環境が急変している

――本日は「就活ルールの廃止」が、就活生にとってどのような影響をもたらすのか、ということを聞きたくて伺いました

秋庭:なかなか壮大なテーマですよね。3日間くらいかけて話してもいいですか? (笑)

――そこをなんとか1時間ほどでお願いします! 

秋庭:話せるかなぁ (笑)。

まぁ結論から先に申し上げますと、「『就活ルールの廃止』によってこれまでの就活が大きく変わるわけではない」というのが、私の考えですね。

そもそも、これまでの就活ルールを定めてきた一番の理由は、選考のスケジュールを定めることによって「採用活動の足並みを揃えること」でした。でも、実際にはその決まりを全社が必ずしも順守しているわけではなく、それはあくまで強制力のない「紳士協定」に過ぎなかったわけです。

2020年卒の就活スケジュール早見表 (出典:マイナビ2020)

――たしかにそれは、私が就活する際にも経験しました(筆者は2016年に就活を経験)。3月よりも早い段階で、大々的に「選考」とは言わずに「面談」という形で振るいに掛ける企業があったり

秋庭:正直、そういう企業は多いですよね。経団連に加盟する企業の中でもフライングするところがあり、これまでのルールはあまり意味をなしていなかったとも言えます。

そもそも、経団連に加盟している企業は1400社ほど(経団連加盟企業は2018年5月31日時点で1376社)で、日本の全企業数のほんの数パーセントにすぎないということも知っておきべきことです。

――何故今になって就活ルールが廃止されるのでしょう?

秋庭:現在の就活状況において、そのルールがあるために「不利な立場に追いやられていた企業」が多くあったことが大きな要因の1つです。

就活を取り巻く環境は、ここ数年で大きく変化しました。少子化が進み、人材の確保が難しくなっていくことに加え、人材採用のグローバル化が進んでいます。多くの企業で人手が不足し、明らかに今、就活生は「売り手市場」にいます。

そうした状況で、 “そもそも経団連に加盟していない”新興のIT企業や、外資系企業などは、ルールに縛られることなく、早期から採用活動を行うことができていたんです。いわゆる「青田買い」ですね。

一方で、経団連に加盟する企業は「ルールを順守している」フリをしなければならず、大っぴらに学生とは接触することができません。つまり、優秀な人材獲得の競争で遅れをとることになります。そこで、仕方なく「採用を前提としないインターンシップ」という建前のもと、就活前の大学生と接触せざるを得ないという、おかしな状況に陥っていたわけです。

「就活ルール廃止」の影響を受けるのは、一部の人だけ?

――具体的に、2021年からの就活はどのように変化するのでしょうか?

秋庭:そうですね。これからの新卒採用のスタイルは、スポーツにたとえるならば「プロ野球型」から「Jリーグ型」に近いものになると思います。これまで経団連が定めていたルールは、「フライングはダメ」「抜け駆けもダメ」というプロ野球のドラフト会議のソレに近いものでしたが、外資系企業の手法はJリーグのソレに近いものでした。

前者は採用対象者に接触する時期や選考の方法など、最低限のルールが存在しますが、後者はまったくの自由競争。極端なことを言えば、「学生という身分で働いてもらっても構わない」とすら考えている企業もあります。

これまでの日本における就活の現場は、両者が混在していた状態でした。それが就活ルールの撤廃で、前者のルールがなくなる、と捉えるとよいでしょう。

ただ、ここで考えるべきは、一口に「学生」「企業」と言っても、本当はもっと細分化して見ていく必要がある、ということです。あくまで今お話ししたのは、就活生全体の1~2割にあたる極めて優秀な「トップリーグ」にいる学生を取り巻く話です。またはそういう学生を是非とも採用したい、と考えている企業の話だけといえます。

実際には、残り7~8割の一般学生や一般企業においては、「就職戦線が早期にスタートして長期化する」ということ以外、さほど大きな影響はないと思います。

ただ、多くの学生が入社を希望する「人気企業」の採用活動がひと段落しないことには、就職戦線はいつまでたっても終息しません。そういう意味においては、トップリーグの採用戦線が「いつ始まるか」よりも「いつ終息するか」の方が重要なポイントだとも言えるでしょう。

しかし、たとえスタート時期が早くなっても、終息する時期はおそらくこれまでとあまり変わらないと思います。いくら通年採用といっても、卒業の直前まで人気企業が採用数を確保できずに採用活動を継続している、なんてことはまずあり得ないでしょうから。

就活は「プロ野球型」から「Jリーグ型」へ

20代をすべて「就職活動期間」にあててもいい

――ルールが廃止される2021年以降に就活を始める学生は、どういう考えを持って就活に向かうべきなのでしょう?

秋庭:まず伝えたいのは、「就活の長期化」をネガティブに捉える必要はないということです。むしろもっと「就活がもっと面白くなる」とポジティブに捉えてほしいと思っています。

当たり前のことですが、時間が増えれば、できることが増えます。現行の就活ルールでは、限られた時間の中で就職先を決める必要がありました。就活が長期化することで、例えば、インターンシップに使える時間が増えます。実際に興味がある会社で働いてみることで、そこにどういう社員がいて、どういう社風なのかを実際に自分の肌で感じることもできるでしょう。その情報を得た上で、入社するか否かを判断できるわけです。

就活の長期化は、企業と就活生のミスマッチの減少にもつながりそうです

――それでは最後に、就活を控えた学生にアドバイスをお願いします

秋庭:これは就活生に関わらず、すでに就活を終えた学生や、社会人になったばかりの方々にも共通することですが、「20代でイキナリ自分に合った仕事や職場など見つからない」という考えを持ってほしいと思います。20代全部を使って就職活動をする、そんな気持ちで行動すれば良い、というのが私の考えです。

たとえ正社員として企業に勤務していても、それは「長いインターンシップにすぎない」といった感覚で、いろんな業界・仕事・人・価値観に触れてください。

そこで感じたことを踏まえて、いよいよ30歳で社会人デビューする。その考えを持っていれば、多少の失敗があっても、「いい勉強になった」程度に捉えられます。そして、30代で軸足を確かにできる場所を見つけて、迷いなくスタートダッシュを切れたら大成功、くらいに考えるといいのではないでしょうか。

「一度入った会社でなんとか成功しないといけない」と考えると、窮屈でしょう。転職をけしかけるつもりは毛頭ありませんが、「転職は大変」「せっかく入った会社を辞めていいのか」という考えに固執しすぎる必要もありません。

「人生100年時代」という言葉もあります。たった数年でも、世の中の「働く」を取り巻く環境は大きく変わります。働き始めれば、自身の考え方も変わることでしょう。ガチガチにならず、気楽な気持ちで、「20代の就職活動」に向かって行ってもらえれば、と思います。

――ありがとうございました

「20代でイキナリ自分に合った仕事や職場など見つからない。社会人デビューは30歳からでいい」
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2019.05.22

NTTドコモがスマホ決済の「d払い」を強化する

競合ひしめくなか、ドコモはどこに勝機を見出したのか?

NTTドコモは、夏モデル発表会においてスマホ決済の「d払い」の強化を発表した。送金やミニアプリなど新機能を追加し、ドコモの会員基盤をベースにキャッシュレスを普及させるビジョンを示した。

ドコモがスマホ決済「d払い」を大幅強化

PayPayを始めとするスマホ決済各社は、還元キャンペーンや加盟店開拓などで競争を繰り広げている。ドコモはどこに勝機を見出したのだろうか。

「d払い」が送金やミニアプリに対応

電子マネー「iD」やクレジットカード「dカード」を展開するドコモが、2018年4月に始めたスマホ決済が「d払い」だ。FeliCaの搭載が必要だったおサイフケータイとは異なり、バーコードやQRコードを用いるd払いはほとんどのスマホに対応できる。

d払いアプリのダウンロードは2019年5月に500万DLを達成し、2019年度は1000万DLを目標に掲げた。利用箇所はiDとdポイント、d払いの合算で2019年4月に100万箇所。2021年度末の目標は200万箇所とした。

d払いの強みは、「dポイント」との連携だ。ドコモの利用料金やdカードからの還元だけでなく、キャリアに関係なく持てる「dポイントカード」でポイントが貯まる。2018年度の利用総額は1年間で1600億ポイントに達し、d払い利用者の53%が支払いにdポイントを利用しているという。

さらにドコモはd払いに新機能を追加してきた。9月末に提供する「ウォレット」機能では、ドコモ契約者向けだった「ドコモ口座」を誰もが使えるようキャリアフリー化し、チャージや送金の機能をd払いアプリに統合する。

ドコモ口座をd払いに統合する「ウォレット」

複数の加盟店アプリを1つにまとめた「ミニアプリ」は、秋以降に展開する。d払いアプリから加盟店のサービスを呼び出すことで、「ハンバーガーの事前注文」や「タクシーの配車」が可能になる。加盟店の専用アプリを入れる必要がなく、d払いで決済もできるのがメリットだ。

「ミニアプリ」はローソンとマツモトキヨシから開始予定

QRコードの読み取りも強化する。これまでd払いは利用者がスマホ画面のQRコードを店舗側に見せる「CPM」方式に対応しており、コンビニのようなPOS連携が必要になるなど中小店舗にはハードルの高い仕組みだった。

コードを「見せる」「読み取る」の両方式に対応

そこでd払いは、顧客がスマホのカメラで店舗のQRコードを読み取る「MPM」方式への対応を発表。PayPayなど多くの事業者に続き、d払いも6月末には両方式に対応することで、大型店舗だけでなく中小店舗に展開していく体制を整えたというわけだ。

アプリを大幅強化、「マルチQR」にも対応

次々と新機能を追加するd払いでは、アプリも大きく変わることになる。開発中のアプリ画面には、ドコモ口座への入金と送金、ポイント送付、割り勘、ミニアプリなどの機能が所狭しと並んでいた。

d払いアプリを大幅強化

参加企業が増えればミニアプリには多くのアイコンが並ぶことになるが、これにはカテゴリ分けなどで対応していく考えだ。ミニアプリの仕組みは、既存システムとのAPI接続や専用パッケージの提供など、さまざまな方式を検討するという。

また、増え続けるQRコードへの取り組みも発表した。1つのQRコードで複数の決済サービスに対応できるデジタルガレージの「クラウドペイ」に、d払いも対応する。

1つのQRコードで複数の決済サービスに対応

クラウドペイでは、店舗側が支払う決済手数料は一律3.24%(税込)となるものの、固定費や機器の導入は不要で、複数の決済サービスをワンストップで契約できるなどのメリットがある。

全国のドコモ代理店が加盟店開拓へ

今後は全国のドコモ代理店の営業リソースを活用し、加盟店を拡大していくという。最近ではソフトバンクの営業部隊がPayPayの加盟店を次々と開拓する快進撃を続けており、そこにドコモが勝負を挑む構図になりそうだ。

d払いは、スマホアプリを中心にさまざまなサービスにポイントを循環させるビジョンを描いている。ドコモの発表からは、これまで以上にアクセルを踏み込む姿勢が感じられた。dポイントを絡めた「20%還元」など、新たなキャンペーンにも期待したい。

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