孫正義氏の300年成長構想、ソフトバンクの群戦略とは

孫正義氏の300年成長構想、ソフトバンクの群戦略とは

2018.02.08

ソフトバンクが上場を目指す表向きの理由は投資ニーズへの対応だが、根底には別の狙いがある。それはソフトバンクグループの孫正義代表が描く「群戦略」を実現するためでもあるのだ。

300年成長を続けるための「群戦略」とは

群戦略とは何か

群戦略とは何か。2月7日に開催された決算説明会で孫氏が多くの時間を割いたのが群戦略に関する説明だった。

群戦略は、300年成長を続ける企業グループを生み出すために、孫氏が考え至った結論だ。IT企業には30年で成長の限界を迎える30年限界説がある。当初は輝いていたビジネスモデルやテクノロジーが古くなり、色褪せていくケースが多いとされる。一極集中型のビジネスではこれらの要因により、世紀をこえて発展していくのが難しいわけだ。

それを避けるために考案したのが群戦略というわけである。群戦略は多数の戦略的提携グループをグローバルに作り上げていくことだという。

群戦略のイメージ

同様の企業グループとして、財閥の存在があるが、財閥の実態を見る限り、個々の企業はナンバーワンの存在ではなく、連合体としてみた場合にも強固な状態には見えないと孫氏は指摘する。

財閥と群戦略の違い

群戦略がこの財閥と隔てるのがナンバーワンという考えだ。群戦略は各業界におけるナンバーワンの存在の連合体を作り上げようというものだ。この中核をなすのがソフトバンク・ビジョン・ファンドの存在だ。

群戦略の中核的存在のファンド

ソフトバンク・ビジョン・ファンドは総額10兆円をこえる資金を持つ巨額ファンドだ。孫氏の群戦略にナンバーワンの企業を加えるには、巨額の資金が要る。たとえばUber。累計8000億円に及ぶ投資とされ、孫氏は「従来のベンチャーキャピタルでは不可能」と指摘する。巨額ファンドだからこそ、可能となった投資案件となる。

巨額ファンドが可能にしたUberへの出資

群戦略において、孫氏が心がけているのが、ソフトバンク株式会社のような一部を除き、ブランドを統一しないこと、そして、一部のコア事業では過半数以上の株式を持つものの、それ以外では20-30%程度の持株比率にしているという。

SBの名を冠して、企業ブランドの統一化を図ろうと考えると、出資の際、相手から拒否され出資機会を失う可能性が高く、逆に業界3位に落ちて株式を売却したくとも売れないことが想定されるためだという。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドを通じた投資は26社に

ソフトバンク・ビジョン・ファンドではすでに26社に投資。すべてユニコーンと呼ばれる非上場かつ将来有望な企業が名を連ねている。傾向としては、インターネットを活用したプラットフォームビジネスが多い。ビジネスの広がりに期待をもつことができ、いずれも大きく稼げそうな案件ばかりだ。

ソフトバンク上場の根底に群戦略

話が広がってしまったが、国内通信事業のソフトバンクの上場も群戦略が関わる。「日本の国内通信会社が上場の準備に入るのはなぜか。なぜ親子上場するのか。小さな次元でメリットを得ようというわけではなく、根底に群戦略がある」(孫氏)。つまり、群戦略を進め、300年以上も輝き続けるために、ソフトバンクは群戦略における構成要素に過ぎない。そこからすると、SBGの投資事業がさらに存在感を増し、SBGの位置づけが変わっていくものと思われる。

SBGは戦略的持株会社の位置づけであり、ソフトバンク・ビジョン・ファンドなどの投資事業を進めながら、事業会社の自律性を高めて株式公開を図っていく流れともなりそうだ。

この見方が正しいのであれば、買収を機に非公開化したARM事業においても、例外的な扱いにならなければ、再度、株式公開を行なう可能性があるのかもしれない。いずれにせよ、SBGの方向性を見極めるうえで、群戦略というキーワードは外せないものとなる。

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2019.06.17

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放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
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