スーパーカーのランボルギーニからSUV「ウルス」が登場する理由

スーパーカーのランボルギーニからSUV「ウルス」が登場する理由

2018.02.10

ランボルギーニがSUVを発売する。かねてから流れていた噂が真実になった。2月6日、「ウルス」(URUS)と名づけられたSUVが東京で発表されたのだ。スーパーカーのランボルギーニがなぜSUVなのか。中身はランボルギーニにふさわしいのか。改めて考えてみた。

2月6日に六本木の泉ガーデンギャラリーで開催された「ウルス」発表会の様子。クルマに手を置いているのは来日したランボルギーニのステファノ・ドメニカリCEO

「ウルス」登場にポルシェの影響?

1963年に自動車メーカーとして産声を上げたランボルギーニは当初、V型12気筒エンジンを車体の前に積み、後輪を駆動するラグジュアリークーペも作っていた。しかし、同じエンジンをミッドシップ搭載したスーパーカー「ミウラ」や「カウンタック」が高い評価を得ると、以降発表した車種の多くがミッドシップ2人乗りのスーパーカーになった。

現在販売されているV型10気筒の「ウラカン」、そしてV12の「アヴェンタドール」も同様である。

ランボルギーニといえば、「カウンタック」(画像)などのスーパーカーを作るメーカーというイメージだが…(ランボルギーニ・デイ 2017にて編集部撮影)

そのランボルギーニがなぜ、SUVを出したのか。ランボルギーニと同じフォルクスワーゲン・グループに属するポルシェの成功に影響されたことは否定できないだろう。

ベントレー、マセラティ、ジャガーからも登場したSUV

2002年にポルシェ初のSUVである「カイエン」が発表されるまで、このブランドは2ドアのスポーツカーだけを作り続けてきた。代表格が1964年以来の歴史を誇るリアエンジンの「911」だ。

しかし、ポルシェが発表した2017年の全世界での販売台数によると、トータルで約24.6万台を販売した中で、「718ケイマン」および「718ボクスター」が2.5万台、「911」が3.2万台、「パナメーラ」が2.8万台、「マカン」が9.7万台以上と発表されている。残りがカイエンとなるので、その台数は6.4万台となる。

ポルシェの売れ筋となっているSUV「マカン」

つまり、SUVのカイエンとマカンを足すと16.1万台であり、全体の65%にも上る。いまや、ポルシェの主力はSUVなのである。逆に、911と718を合わせたスポーツカーは23%に過ぎないことになる。

これ以外にも、やはりフォルクスワーゲン・グループのベントレー、ランボルギーニと同じイタリアのマセラティ、英国のジャガーなどが、ここ10年の間に初めてSUVを発売し、いずれも好調な販売成績をあげている。

それだけではない。SUVには縁がないだろうと見られていた英国の超高級車ロールス・ロイスと、スポーツカーの代表格であるフェラーリもSUVを送り出そうとしている。

実はSUVを作ったこともあるランボルギーニ

ただし、これらのブランドの中で、ランボルギーニは例外的な存在でもある。かつてSUVを手掛けたことがあるからだ。1970年代に発表した「チータ」と1980年代に作られた「LM002」である。

かつてランボルギーニが作ったSUV「LM002」

このうち、米軍向けとして開発されたチータは制式採用が叶わず、試作車のみで生涯を終わるが、当時のカウンタックと基本的に同じエンジンを積んだLM002は、少数ながら生産・販売されている。

だから今回の発表会で、筆者はLM002の実車を見ることができるかもしれないと期待していた。しかし、会場に置かれていたのは、ウルスの他にはウラカンとアヴェンタドールの2台のスーパーカーだけ。それどころか、プレゼンテーションでもLM002に言及することはなかった。

「ウルス」の発表会には「ウラカン」(画像)と「アヴェンタドール」が置かれていた

あえてマニアを狙わない戦略も見え隠れ

でも、この方針は正しいと思った。チータやLM002はオフロード走行を念頭に置いた車種であり、舗装路をスーパーカー並みに走ることを目的に送り出されたウルスとは目指す方向があまりにも違う。しかも、LM002を知るのはコアなランボルギーニ・マニアだけだ。

日本での知名度が限りなくゼロに近い車種に無理矢理イメージをつなげるより、ウルスを全く新しいランボルギーニとして紹介したほうが分かりやすいし、幅広いユーザーにアピールできるはずだ。

「ウルス」と「LM002」(画像)は、同じSUVだが方向性が全く異なる(ランボルギーニ・デイ 2017にて編集部撮影)

そういえば発表会場も、ランボルギーニのブランドイメージからするとフツーだった。もっと挑戦的で情熱的な空間を予想していたので、肩透かしを食ったような印象だったが、これも既存のマニアとは別の種類のユーザーにアピールすることで、拡販を目指したいという気持ちの表れなのだろう。

しかし、見た目は写真でお分かりのように、ランボルギーニのSUVである。とにかくエッジが効いている。インテリアはそれに比べると独自色は薄いが、シートのグラフィックなどによって“らしさ”を演出していることが分かる。

ランボルギーニのSUVだけあってエッジの効いた見た目だ

それでいて、現行ランボルギーニとしては唯一となる後席には大人が楽に座れ、後方の荷室にはゴルフバッグが2~3個収まるという。スーパーカーでは得られない使い勝手をウルスは実現している。

エンジンの小ささは気になるものの…

ちょっと意外だったのはエンジンで、ランボルギーニ初のターボ付きとなるそれは、4LのV型8気筒と小さい。6.5LのV12エンジンを背負って運んでいるような走りのアヴェンタドールを知る者としては残念に思った。

でも、ウルスを買うユーザーの多くは、そんなことは気にしないだろう。現にポルシェのカイエンやマカンは、911が50年以上搭載し続けてきた水平対向6気筒エンジンではないが、大部分のユーザーはその点を問題視していない。

エンジンは小さいと感じたが、「ウルス」の購入者が気にするかどうかは別の話だ

大事なのは、個々のエンジニアリングがどうかではなく、デザイン、パフォーマンス、ドライビングエモーションなど、ブランドとしてのDNAが備わっているかどうかなのである。

販売台数2倍の野心的な目標に不可欠な存在

たしかに性能は凄い。最高出力は650hp、最大トルクは850Nmで、後者についてはアヴェンタドールを上回る。

全長5,112mm、全幅2,016mm、全高1,638mmという巨体でありながら、車両重量は2.2トン未満と軽量化に気を配ったおかげもあり、時速100キロまでの加速は3.6秒、最高速度は305キロと、世界最速SUVであることをアピールした。

4WDのみならず4WS(4輪操舵システム)も備え、トルクべクタリング、エアサスペンション、アクティブスタビライザー、カーボンセラミックブレーキなどのハイテクもあますところなく装備。エゴモードと名付けられた個別設定も可能なドライブモード・セレクター「タンブーロ」も用意している。

価格は2,580万円。同等のボディサイズを持つアウディのSUV「Q7」の約2.5倍だが、ウラカンとは同等である。しかもウルスは、ウラカンとは違い5人が乗れてゴルフバッグも積める。

先進技術も満載の「ウルス」。荷室(画像右)にはゴルフバッグも積める

今回の発表会には、イタリアからステファノ・ドメニカリCEOも来日した。かつてフェラーリF1チームの代表も務めたドメニカリ氏は、日本はランボルギーニにとって米国に次ぐ世界第2位のマーケットであると紹介。世界レベルでは、これから2年間で販売台数を2倍にしたいと表明した。

スーパーカーだけでは、この数字は達成不可能だろう。ランボルギーニのようなブランドも、今やビジネスが大事なのである。マニア以外にもアピールできるSUVが登場したからこそ成長が期待できるし、ウルスが売れて開発資金が増えれば、スーパーカーの進化にも拍車が掛かる。

総務省施策が追い風に? 携帯分離の「歴史的チャンス」狙うファーウェイ

総務省施策が追い風に? 携帯分離の「歴史的チャンス」狙うファーウェイ

2019.03.20

モバイル業界を変える「携帯値下げ議論」が過熱

ファーウェイは日本を取り巻く環境を「歴史的チャンス」と発言

コスパ高いミッドレンジ端末でシェア拡大を目指す

20日、NTTドコモが特定の端末の購入を条件に通信料金を割り引く「docomo with」、購入する端末に応じて通信料金を割り引く「月々サポート」を終了する方針を固めたという報道が話題となっている。

国内のモバイル業界では携帯電話料金見直しが進んでおり、3月5日には総務省が中心に進めてきた端末代金と通信料金の分離が閣議決定された。NTTドコモは分離プランを軸とした新料金プランを4月に発表する見込みだ。

日本のモバイル市場を大きく変えるこの動きを「歴史的チャンス」と見ているのがファーウェイだ。2018年末から米中対立が加速する中、ファーウェイが打ち出すメッセージも語気を強めている。果たして日本市場でシェアを拡大できるのだろうか。

逆風吹けども、依然として業績は好調

今年に入り、ファーウェイの周辺が騒がしい。3月7日には、ファーウェイは米国政府を相手取って訴訟を起こした

さらにその内容をFacebookでライブ配信するなど、米国以外の世界市場に向けたメッセージにもしており、そのメッセージをまとめたウェブサイト「Huawei Facts」は、わざわざ日本語版も用意している。

2018年末から続く米中対立を巡る報道は、ファーウェイの業績にどのような影響を与えたのか。MWC19でインタビューに応じたファーウェイ・ジャパンの呉波氏は、「一部の消費者は影響を受けたが、2019年に入ってから売上は大幅に伸びている」と語った。

ファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波(ゴ・ハ)氏

話題の「折りたたみスマホ」でもファーウェイは先行する。

ファーウェイに先立って折り畳みスマホを発表したサムスンだが、こちらはMWCではガラスケース内での「展示」のみにとどまったのに対し、ファーウェイは「Mate X」の実機を用いて報道関係者に折り曲げを試させるなど、製品化で一歩先を行っていることをアピールした。

ファーウェイの折りたたみスマホ「Mate X」。報道陣には手に取って折り曲げてみる機会も用意された

Mate Xは次世代移動通信の「5G」にも対応しており、日本では5Gサービスの開始を待って投入時期を見極める方針だという。

ちなみに3月26日に発表予定のフラグシップ機「HUAWEI P30」シリーズは、例年通りのタイミングで日本市場に投入するようだ。SIMフリーでの発売だけでなく、ドコモが採用した「HUAWEI P20 Pro」のように大手キャリアによる採用があるかどうかも注目したい。

分離プランを「歴史的チャンス」と捉えるワケ

一方、2019年の国内モバイル市場で話題となっているのが携帯料金における「分離プラン」の導入だ。KDDIとソフトバンクはすでに導入済みだが、NTTドコモは4月に発表する新料金プランから本格導入するとみられている。

分離プランの特徴は、NTTドコモの「月々サポート」のように回線契約と紐付けた端末の割引が禁止される点だ。端末の割引自体が禁止されるわけではないというものの、大幅な割引は難しくなる。その結果、10万円を超えるようなハイエンド機ではなく、3〜4万円で一括購入しやすいミッドレンジ機の需要が高まるとの見方が有力だ。

この動きをファーウェイはどう見ているのか。

呉氏は「非常に重要視している。スマホが登場したときや、SIMフリー市場が始まったときのインパクトに引けを取らない、歴史的な瞬間になる」と興奮気味に語る。

日本のSIMフリー市場でベストセラーとなった「HUAWEI P20 lite」を始め、ファーウェイのミッドレンジ機のラインアップは厚い。モデルによってはフラグシップと同じCPUでミッドハイの価格を実現するなど、コスパの高さも特徴だ。大手キャリア向けにさまざまな提案ができる体制といえる。

フラグシップと同じ「Kirin 980」搭載でミッドハイ価格の「HONOR View 20」

また、5G対応も順調だ。

モバイルWi-Fiルーターに強みを持つファーウェイは、MWC19でも5G対応ルーターを多く出展していた。日本ではまだ周波数の割り当てが終わっていないものの、国内大手キャリアは2019年内にもプレサービスを始める動きがある。5Gスマホが普及するまでの間、5Gルーターの需要は高まる可能性がある。

5G対応のモバイルWi-Fiルーターも出展していた

ミッドレンジ市場の拡大を狙って、今年はシャープやサムスン以外にも、ソニーモバイルの参入も予想されている。

この価格帯が激戦区になることは間違いないが、ファーウェイはその中で高コスパの製品ラインアップや、国内での地道な販促活動やブランドメッセージの打ち出しによって対抗していく構えだ。

ヨドバシカメラ梅田店での販促イベントの様子
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2019.03.20

Googleが新しいゲームプラットフォームを発表

配信方式でゲーム機不要、「ゲーム機」の時代の終焉?

2019年内にローンチ、性能はプレステやXbox以上か

3月19日、米国で開催中のゲーム開発者会議「GDC 2019」の会場で、Googleがクラウドベースのゲーミングプラットフォーム「STADIA」を発表した。特定のゲーム機に縛られず、ネットに接続したスマホやパソコン、テレビを通してストリーミング(配信)形式でゲームをプレイできる。

この事業を担当するバイスプレジデントとして、STADIAを発表するフィル・ハリソン(Phil Harrison)氏。そもそも彼からして、元はソニーのプレイステーション立ち上げの主要メンバーで、その後Microsoftに移りXboxを担当したという経歴の持ち主

かねてより、MicrosoftのXbox事業のトップマネージャーを引き抜いた、ソニーでPlayStationのハード開発にかかわったエンジニアが転職したといった噂が頻繁に流れており、「Googleがゲーム市場に本格参入する」という憶測は強まっていた。実際に2018年には、Googleは「Project Stream」と呼ばれるストリーミング形式のゲーム基盤の計画を発表し、米国内でベータテスターを募って技術テストを行っていた。

STADIAは、Project Streamの延長線上にあるサービスと見られる。ユーザーは特定のゲーム機を持っている必要がなく、従来のゲーム機の役割をするのはGoogleの設置するデータセンターだ。簡単に言えばクラウドサービスのように、実際にゲームタイトルが動作しているのはデータセンター側で、ユーザーはインターネットを介してゲームを遠隔でプレイする。

STADIAのデータセンターから配信されたゲームをパソコンでプレイしている様子
パソコンで遊んでいたのと同じゲームを、タブレットやテレビでも同じように遊ぶことができる

このプラットフォームの特徴によって、例えばYouTubeで新作ゲームのトレーラー動画を見ていて気に入ったときには、そのページ内の「プレイする」ボタンを押すだけで、インストールすら不要で、動画を再生するかのようにそのゲームをプレイできるようになる。

そして、STADIAのデータセンターが持つゲーム機としてスペックは、サービス開始時のものとして、GPUの演算性能は10.7テラFlopsに達するといい、これはPlayStation 4 Proの4.2テラFlopsや、Xbox One Xの6.0テラFlopsを大きく上回る。映像品質も4K/60fpsのストリーミングに対応し、将来は8K/120fps対応も予定しているという。

STADIA用の「STADIAコントローラー」も販売する。SNSアップ用のボタンや、Googleアシスタントボタンが備わっている

Googleは2019年中にSTADIAをローンチする予定で、まずは米国、カナダ、欧州でサービスを開始すると説明している。発表を受けた翌20日の東京株式市場では、任天堂とソニーの株価が揃って大きく下落した。投資家たちが、GoogleのSTADIAによって、Nintendo SwitchやPlayStationのビジネスが脅かされると考えたからだ。

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