滞在型医療プログラムでアンチエイジングを目指す – その2

滞在型医療プログラムでアンチエイジングを目指す – その2

2018.02.16

前回は、ウィメンズヘルスクリニック東京の浜中聡子医学博士に話をうかがった。このクリニックで診察やカウンセリングを受け、自分の身体やメンタルの状況をチェックする。

その情報をもとに、食事や運動のメニューを決め、宮崎県にあるシーガイアで3泊4日の滞在型医療プログラムを体験するのが、アンファーが提供する「ハッピーエイジング・ドック」の概要だ。このハッピーエイジング・ドックのプログラムについて、簡易的に体験してきた。

なぜ簡易的かというと本来は3泊4日の滞在となるが、取材ということもあり、特にお願いして1泊2日の日程にしていただいた。短い期間ではあったが、非常に内容の濃いプログラムであることを、体で感じてきた。

まず初日について。初日に行ったアクティビティは、セグウェイと乗馬だ。実は筆者は両方とも体験したことがない。セグウェイは機械だが、乗馬は生きている動物が相手。乗馬に関しては多少不安があったのだが、体験してみるといろいろと発見があった。

では、レポートに移ろう。セグウェイは2000年頃に登場し、当時は「情報インフラを変革したインターネットのように、移動手段を革新する発明」といったニュアンスで騒がれた。テレビなどの報道をみる限り、本当に「それほどスゴイものなのかな?」という、懐疑的な感想を持ったことを憶えている。そして、いつのまにか記憶から消えていた。

セグウェイの楽しさを体感

体幹や足裏感覚のトレーニングになるセグウェイ

それからおよそ18年後、いよいよハッピーエイジング・ドックによってセグウェイに乗れる機会を得た。おそるおそるセグウェイを走行させてみたが、およそ10秒後には「楽しい」という感覚に変わった。操縦する楽しみというのもあるが、走行ルートはシーガイア周辺に広がる約700ヘクタールもの黒松林が中心だ。景観の良さが、より一層、セグウェイの楽しみを高めてくれる。

ちなみに、松林からはリラックス効果があるとされている「フィトンチッド」が放たれているそうだ。昔から国立病院などが森林に囲まれた場所にあるのはこのためだといわれ、「森林浴」という概念もこの成分が関わっているとされる。

ちなみにセグウェイは道路交通法により公道は走行できない。近年、高齢者による自動車事故が増えている背景もあって、セグウェイのようなパーソナルモビリティが公道を走行できる見通しはほとんどない。だが、黒松林のうち、約300ヘクタールがシーガイアの敷地だ。リゾートエリアならば、公道を走行できないセグウェイでも、乗り回せるというワケだ。

続いて乗馬へのアクティビティに移った。“動物が相手なので不安がある”と前述したが、筆者が乗る馬のおとなしい仕草とつぶらな瞳をみたら、その不安はかなり低減された。ただ、踏み台にのぼり、鐙に足をかけて馬の背にまたがってみると、視界がかなり高い。正直、これまで視界に入ってきた景色とは別世界のように感じる。

なお、馬は道交法のうえでは軽車両に分類される。生きている動物にこんな表現ははばかられるが、道交法上は自転車と同じということになる。従って、公道を進むことが可能だ。この乗馬のアクティビティでは、黒松林を貫く公道を進み、海まで向かった。往路は視界の高さによって違和感があったが、復路では高さに慣れ自然に進めるようになった。

左:インストラクターに教わりながら乗馬(提供:シーガイア)。右:目的地となった日向灘。この日は穏やかだったが荒れることもあるらしい

アンチエイジングが考えられたメニュー

さて、ここまでは、単に遊んでいるようにしか思えないレポートだが、セグウェイと乗馬を体験してみてあることに気づいた。それは、ともにヘルスケアを考えているメニューだということ。セグウェイはハンドル操作に体幹のバランスが大事だと感じたし、足裏感覚を鍛えるのにピッタリだと思った。セグウェイは自律して走行できるので、自転車のように転倒することが少ない。事前に講習を受けることも可能なので、セグウェイの楽しみ方を満喫できるはずだ。

そして乗馬。はたからみると、馬に乗ってラクに移動しているだけにみえるが、手綱を操作する腕、馬の腹を挟む脚、背筋を伸ばした姿勢といった要素が乗馬には必要になる。つまり、腕の筋肉、脚の筋肉、腹筋、背筋に負担がかかる。要するに、乗馬は全身運動なのだ。優雅に馬で移動しているようにみえても、その実、全身の筋肉を使うので結構な運動になる。筆者は脚のもものあたりが、軽い筋肉痛になった。アンチエイジングを対象にしたプログラムだけに、メニューにもひとつひとつ意味があるのだなと、素直に思った。

アクティビティのあとはホテルに入り、体を休めるターンになる。宿泊先はシーガイアのなかで一棟だけ高くそびえる「シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート」(以下、シェラトン)だ。部屋に通されていろいろな驚きがあったが、まずそのゆったりとしたルーム空間が新鮮だった。

左:宮崎県でもっとも高い建築物となるシェラトン。右:部屋はすべてオーシャンビューで黒松林と海のコントラストが絶景だ

そして、部屋からの眺望。眼下には黒松林が広がり、その向こうには日向灘が横たわっており、緑と青のコントラストがとても印象的だ。ご存じのとおり、松は常緑針葉樹。つまり、晴れていれば年間を通じてこの景色を堪能できる。

左:広く格調高さを感じるツインルーム。右:ガーデンの照明も独創的だった

続いてディナーとなる。今回用意いただいたのは中華料理とのことだが、料理を味わってみて、正直うなった。中華料理は味が濃く、油も多めに使うというイメージがあったが、どれも素材の味を生かした品だった。担当したシェフによると、アンチエイジングを考えれば、塩分や油を控えることは当然だという。かといって味がないかといえばそうではなく、素材の良さを引き出すほんのりとした味付けが施されている。担当シェフは「素材を生かす和食を意識しています。そして、中華料理ではなく中国料理なのですよ」と笑みをみせた。なお、中華料理は日本で進化したメニューで、ラーメンや焼き餃子を提供する個人店が多い。一方、中国料理は、北京ダックやフカヒレ料理を提供する“本場の味”と捉えられている。

いただいたコースメニュー。上段左:「前菜三種盛り合わせ。上段右:薬膳蒸しスープ。2段目左:点心二種盛り合わせ。2段目右:海老のスパイシー炒め ココナッツの香り 佐土原ナス添え。3段目左:ホタテの蒸し物 カニ内子と味噌のソース。3段目右:乾し貝柱のチャーハン。下段左:杏仁とマンゴーの冷たいスープ。下段右:ホテル内の中国料理店「藍海」(ランハイ)の個室

さて、初日最後のアンチエイジングメニューが、いわずとしれた温泉だ。ただ、温泉に関しても豪華の一言。まず、温泉施設である「松泉宮」までの回廊がなんとも風情がある。ここには、いくつか湯船があるが、私が案内されたのは「おゆのみや」という個室温泉だった。湯船の前には畳敷きと板床をミックスさせた部屋があり、ここでくつろいでから入浴できる。もちろん入浴後にほてった体をクールダウンすることもOKだ。なんと、湯船から上がる時間を伝えておけば、かき氷まで提供される。まさに至れり尽くせりの温泉だ。なお、おゆのみやは、小山薫堂氏が提案する「湯道」を体現する初の湯室として誕生した。湯の作法、湯室、湯道具を体験できる場として、国内でも貴重な存在だ。

上段左:温泉のある「松泉宮」までの通路。上段右:個室タイプの湯船「おゆのみや」。小山薫堂氏によるプロデュースだ。下段左:湯船に併設された和室の一部。下段右:湯上がりの時間を指定しておけば、かき氷がそのタイミングで運ばれる

3回目では、2日目の様子をレポートする。

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

2019.03.22

ネットの学校「N高」の卒業式に潜入

開校時に入学したN高1期生が卒業した

世間の注目を浴び続けた生徒は、何を想う?

3月、角川ドワンゴ学園「N高等学校」の卒業式が東京・お台場にて開催された。

「ネットの高校」として、3年前に設立したN高。この日、2016年の開校時に入学した第1期生と、途中転入・編入した生徒をあわせ、計1593名が卒業した。3年前、『VR入学式』で世間を賑わせたこの学校を巣立つ卒業生たちは、N高での日々をどう捉え、今後はどのようなキャリアを描いていくのだろうか。

卒業式は2019年3月20日、お台場にて行われた

卒業式を彩る最新テクノロジー

N高は、ドワンゴとKADOKAWAの経営統合で誕生したカドカワが設立母体となり、2016年4月に開校された通信制高校だ。同校は開校後、2年次編入なども受け入れてきたため、これまでも卒業生を排出してきてはいたが、「1年生~3年生をN高で過ごした生徒」が卒業するのは、初めてのことだ。

卒業式には多くの報道陣も参加した。生徒にとって、「卒業式に記者がいる」「自分たちが卒業する様子がテレビやWebで取り上げられる」というのは不思議な感覚だろう。とはいえ、もう「VR入学式」に「ニコニコ超会議」へのブース出展(N高ではそれを「文化祭」と表現)などの経験を経て、メディアへの露出には慣れてしまっているのかもしれない。

そして、今回の卒業式も例によって独特だった。

卒業式は任意参加で、会場には袴や制服に身を包んだ生徒が集まる一方、その様子をライブ配信することで、会場に来られない生徒生徒も参加できる仕組みになっていた。会場のスクリーン上にはニコニコ生放送さながら、リアルタイムでコメントが表示されており、こうした演出は「N高らしい」といった印象を受けた。

卒業式の様子。オンライン参加者のコメントがスクリーンを流れる

中でも印象深かったのは、当日来られなかった生徒を代表して、米シリコンバレーに留学中の佐々木雅斗さんが「ロボット」に自分の顔を映して卒業証書を受け取ったシーンだ。

使用したのは、ANAが“未来の移動手段”として開発する、視覚・聴覚・触覚などを備えた、ユーザーの分身となるロボット「ANA AVATAR」。同校ではこのロボットを試験的に授業にも導入しているそうで、こういった最新のテクノロジーを使うあたりもN高らしい。

遠隔操作ロボット「ANA AVATAR(Beam Pro)」を用いて卒業証書を受け取った佐々木さん

と、テクノロジーにばかり目が行きがちではあるが、そもそも「高校生がシリコンバレーに留学している」という事実も驚くべき点だ。高校に通いながらも、シリコンバレーでビジネスを学ぶ――、というキャリアを選べるのは、学校という場所の制約を受けない、ネットの高校のメリットと言えるだろう。

卒業式にはほかにも「異色のキャリア」を持つ生徒たちが集まり、特に活躍した卒業生に対する特別表彰も行われた。

表彰を受けたのは、東京から鹿児島県に移住し、農業や水産業を手伝い地域活性化に貢献する白鳥優季さん、第18回アジア競技大会ジャカルタ・パレンバン「ウイニングイレブン 2018」eスポーツ 金メダリストの相原翼さん、N高のプログラムを最大限に活用し、スタンフォード大学やオックスフォード大学のサマープログラムに参加した冨樫真凜さんなど。その活躍の幅は広い。

さまざまな分野で活躍したN高生に対しては、特別表彰が行われ、記念品としてクリスタルトロフィーが贈呈された

メディア露出が多いがゆえに高まる期待値

N高を卒業した個性豊かな面々は、今後は大学進学、就職とさまざまなキャリアを歩む。

日本初で唯一N高にのみ実在するという「起業部」に所属し、かつ起業第一号として「Easy Go」という会社を創業している、鈴木颯人さんと山田陽大さんから「N高で過ごした時間」についてコメントをもらった。

「元々は地元の進学校に通っていたのですが、『自分が好きなことをしたい』『起業したい』という想いがあり、N高に入学しました。年齢や場所に縛られず、多くの人とコミュニケーションを取れ、充実した3年を過ごせました」(鈴木さん)

「以前通っていた学校が自分と合わず、ネットで見つけたN高で『ここだったら新しいことができるかも』と入学を決意しました。今振り返ってみて、やはり『この学校に来てよかった』と思います」(山田さん)

Easy Go代表取締役の鈴木颯人さん(左)と取締役の山田陽大さん(右)

2人に限らず、卒業生のコメントを聞いていくと「この場所で挑戦してみたい」という想いの元、N高を選んでいる生徒が多い印象だ。

普通の高校とは違い、メディアに露出する機会の多いN高での生活は、良くも悪くも、世間からの注目を浴びる。まだ高校生の彼らにとっては、その視線が時に辛く感じることもあっただろう。ただ、その一方で鈴木さんは「初めて会う方とお話しする際、『N高出身です』と言うだけで、会話が広がることがよくあります」とその知名度を好意的に捉えている。

若くして、覚悟を持ってN高という環境に飛び込んだ生徒たちは、周囲の視線を浴びつつ、たくましく成長してきたことだろう。「N高出身」というキャリアは、彼らにとって1つの大きな武器になりそうだ。

カドカワは新たに2019年4月から、「N中等部」も開校する予定だ。「ネットの学校」という、世間の注目が集まる新しいコンセプトの学校だからこそ、在校生・卒業生の動向は、今後もしばらくは注目され続けそうだ。

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2019.03.22

中国スマホメーカーのOPPOが独自のカメラ技術を説明

開発競争が続くスマホカメラ、トレンドは「望遠」へ

高倍率ズームスマホの登場で、デジカメの優位性に危機?

中国のスマホメーカーとしてシェアを急拡大するOPPOが独自に新開発したカメラ技術、「10倍ハイブリッドズーム」が面白い。実際に2019年の新機種からスマホへの搭載を進め、日本市場へも製品を投入するという。

OPPOが「10倍ハイブリッドズーム」技術を紹介

メーカー間の開発競争が続くスマホカメラだが、「望遠」が次のトレンドになりつつある。デジタルカメラに匹敵する10倍もの高倍率ズームを、OPPOはどのように実現したのだろうか。

1年で7機種を投入、気付いた「日本市場の難しさ」

OPPOは世界のスマホ市場で熾烈な4位争いを繰り広げている。サムスン、アップル、ファーウェイのトップ3社に続く集団の中で、2018年は中国Xiaomiに僅差で迫る5位になった(IDC調べ)。

OPPOは2018年、日本市場で7機種のスマホを発売した。OPPO日本法人の鄧宇辰社長は、これまでに国内販売チャネルを12に拡大し、あわせて認定修理店を全国に展開したことを挙げ、「日本のSIMフリー市場でいち早く成長するブランドになった」と振り返る。

オッポジャパン 代表取締役社長の鄧宇辰氏
2018年の1年間にスマホを7機種投入

2019年は国内展開をさらに加速する。日本の消費者に向けたコミットメントとして、件の「10倍ハイブリッドズーム」機能を備えたスマホや、FeliCa・防水対応のスマホ、新たに立ち上げたブランド「Reno」シリーズの市場投入を約束する。

また、話題の「5Gスマホ」の市場投入も急ぐ。日本では5Gの周波数がまだキャリアに割り当てられていないものの、ドコモ、KDDI、ソフトバンクを含む世界の事業者と標準化に向けて連携しており、準備を整えていることを強調する。

MWC19のQualcommブースではOPPOが5Gスマホを実演

一方で鄧社長は、日本市場の難しさについて、「1年の経験を通して、日本市場は他の国と違うことに気付いた。消費の習慣や求めるレベルも高い。グローバルのやり方を日本に持ってきても通用しない」とも述べている。日本市場における品質やサービスの要求水準の高さは、多くのメーカーが直面してきた課題だが、OPPOも同じ壁にぶつかったといえそうだ。

スマホカメラ、次のトレンドは「望遠」に

そのOPPOが市場攻略にあたり、特に注力をしはじめたのが「カメラ」だ。その中でも、業界では次の進化ポイントとして「望遠」技術に注目が集まっている。

そもそもスマホはデジカメと違い本体が薄いため、搭載できるレンズに物理的な制約がある。このレンズの制約から、スマホのカメラはどうしても焦点距離の狭さが弱点になってしまっていた。そこで最近はスマホに複数のカメラを内蔵し、それぞれで広角や望遠を使い分けることで、この弱点を克服しようと進化している。

OPPOの「10倍ハイブリッドズーム」技術は、この弱点に対し異なるアプローチで挑む。プリズムを使って光を屈曲させるペリスコープ(屈曲光学)構造をカメラモジュールに採用することで、レンズを従来の垂直方向ではなく水平に配置できるようにした。これにより、薄型のスマホであっても、光学レンズでは従来不可能だった高倍率ズームが搭載できる。

光を曲げるペリスコープ構造を採用

ただ、35mm換算での焦点距離は16~160mmの10倍となっており、一般的なコンデジの感覚では5倍ズーム程度の性能だ。8.1倍以上はデジタル処理を組み合わせた「ハイブリッドズーム」としているなど、いくつか注意点はある。とは言え、これまでにない望遠レンズをスマホで扱えるのは面白い。

10倍ハイブリッドズームによる画角の違い

OPPOは既に報道陣に向けて、この10倍ハイブリッドズーム技術を搭載するスマホの開発デモ機を公開している。2019年の第2四半期には製品化する計画で、日本市場へも2019年中に投入する見込みだ。

10倍ハイブリッドズームのデモ機。5Gにも対応できるという

特にカジュアルなカメラ需要の受け皿としてスマホに押されがちなデジタルカメラだが、高倍率ズームはスマホには無い、デジカメに残された得意分野のひとつだった。だが望遠もスマホで十分撮れるとなれば、いよいよその優位性も危うくなる。今回のズーム技術は、デジカメ市場をもう一段縮小させてしまう可能性を秘めているのだ。

最大のライバルであるファーウェイも「HUAWEI P30」シリーズで望遠カメラを搭載するとみられており、今後は各メーカーが高倍率ズームで競い合うことは間違いなさそうだ。

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