好業績の源は食事にあり!? ソフトバンクの社員食堂に行ってみた

好業績の源は食事にあり!? ソフトバンクの社員食堂に行ってみた

2018.02.19

近年、企業の福利厚生で存在感を増しているのが社員食堂だ。単に従業員に安価な食事を提供するだけでなく、健康増進やコミュニケーションの場としての効果にも注目が集まっている。今回、ソフトバンクの社員食堂を取材する機会を得た。営業利益1兆円を叩き出す企業の社員食堂では、どのような運営が行われているのだろうか。

社員食堂入口には多様なメニューが

地上25階の巨大レストラン

ソフトバンクの社員食堂を訪れたのは、ランチタイムも終わりかけた、平日の13時。ソフトバンク本社が所在する東京汐留ビルディングの25階エレベーターホールを出ると、すぐに大きなメニュー表が張り出されていた。このフロア全体が社員食堂になっているのだ。

ソフトバンクはこの東京汐留ビルと、隣の汐留住友ビルに関係会社などが入っており、社員の総数は1万人を超える。その巨大な胃袋を支えるのがこの社員食堂だ。座席数は約1300用意されている。ランチタイムの利用者は約2500人、1日の平均利用者数は4500人程度。ちょっとした商業施設のフードコート並みといっていいだろう。

社員食堂としての営業時間は、朝8時から22時まで。早朝に出勤してきた社員の腹ごしらえから、仕事帰りに軽くバーで一杯、といったニーズにまで広く対応している。

入り口ではペッパー君が独特のイントネーションでおすすめメニューを紹介してくれている
メニューにはカロリーや栄養素なども併記されており、健康に気を使っている人にも好評だ

料理は種類ごとに窓口(レーン)が分かれており、レーンの数は14種類。ラーメン、中華といった定番ジャンルに加え、海鮮やグリルといった窓口まで用意されている。中には冬季限定のおでんコーナーまでがあった。

また、色々食べたい人には、量り売りのビュッフェ形式のメニューも用意されている。このほか、自席で食べたい人向けに、お弁当やパン、スイーツまで用意されており、メニューの豊富さはファミリーレストランも顔負けだ。

レーンに並んで好きな料理を取っていく形式。メニューは常時30種類以上が提供されており、季節や売れ行き、利用者からのフィードバックなどをもとに細かな変更が入る
ビュッフェ形式のコーナーも完備。グラム単位での量り売りとなる。ビュッフェだけで2種類用意されている念の入れようだ
スイーツコーナーではパティシエ手作りのアイスがおすすめ。写真は昼過ぎなのでだいぶ売れてしまっているが、ケーキも200円以下のものが常時数種類が並んでいる
おでん売り場になっているのは、終業後にお酒を出すバーカウンター。会社から出ずに「ちょっと一杯」できるのはなんとも羨ましい

支払方法は現金だけでなく、交通系電子マネーやYahoo!マネーの利用も可能。さらに社員証を使って支払うと、給与から天引きされるという仕組みも用意。社員証を使った支払いなら5%オフになり、見ていると社員証を使って決済する人がかなり多かった。

ソフトバンクではロケーションフリーや在宅勤務が浸透していることもあり、社員食堂で仕事をしている社員も多いという。実際、コーヒーを片手にノートPCを広げて作業している姿も少なからず目撃した。またミーティングコーナーにはPCやスマートフォン/タブレット用の入力端子が完備されたディスプレイが設置されており、飲食しながらでもミーティングが行える。

食堂の利用促進にアプリを活用

社員食堂の運営は、ソフトバンクの総務本部が担当している。社食はこのビルにソフトバンクが引っ越してきて間もない2005年にオープン、2016年に食堂運営会社を変更し、現在の姿になった。どのような社食にするべきか、他社の社員食堂を十数社見学するなど、試行錯誤を重ねながら進めてきたという。

地上25階と言うことで眺望は絶景。ただし社員からは見飽きられており、この日も日向になる窓は暑くて眩しいとばかりにシェードが降りていた

調理やメニューの決定といった現場でのオペレーションは外部の委託業者(中央フードサービス)が担当しているが、社内との調整や全体のディレクションは総務本部がハンドリングする。ソフトバンクから社食運営のための補助金なども特に出ていないとのことで、おいしい食事をリーズナブルに提供するべく、業者と協力してトライ&エラーを繰り返しながら取り組んでいるのだ。

こうした取り組みは社員食堂の有効活用にも向けられている。イベント会場としても利用されており、これまでに近隣企業の人事の交流会など、社外の人を招いてのイベントも開催されたそうだ。また社員が考えたメニューを導入したり、ネパール人シェフが作る本格カレーを提供するなど、さまざまな催しも開催され、利用者の楽しみを喚起する取り組みが続けられている。

傍目には十分賑わっているように見える社員食堂だが、さらなる利用促進の仕掛けとして社内向けアプリの活用も行なっているのがユニークなポイントだ。

このアプリは2017年10月にリリースされたもので、アプリからは社員食堂のメニューを見たり、メニューの売り切れ状況や、おおまかな混雑の状況も確認できる。また、前述した社員証決済したものについては社員証に紐づけられて記録が残り、あとからメニュー名やカロリー、成分などを確認することもできる。

アプリでは新着情報などを閲覧可能
混雑状況の確認も

「社員向け情報はイントラネットを通じて配信されてきましたが、毎回、自主的にアクセスする必要があり、本当に読んでほしい情報が読み飛ばされてしまうことがありました。これがアプリになることで、重要なメッセージは通知として伝えることができるので、読んでもらえる機会が圧倒的に増えました」(総務本部・佐藤俊輔さん)。社員食堂の利用促進だけでなく、総務からの連絡も受信しやすくなるということで、一石二鳥なわけだ。

天井に設置された3Dカメラを使い、現在の混雑具合を把握。アプリ上でグラフィカルに表示できるようになっている

現在は引き続きアプリ利用の浸透に取り組んでいる。また、社内アンケートや食事を通じた健康データの取得とメニューのリコメンド化など、IT化によってチャレンジしてみたいアイディアはたくさんあるという。

ソフトバンクが考える社食の姿

前述したようにさまざまなイベントにも利用されており、リニューアル後の評判も上々という社員食堂だが、多数の社員からの要求に継続して応えていくというのも並大抵の苦労ではないはずだ。総務本部としては、社員食堂とはどうあるべきだと考えているのだろうか?

「食事が美味しいということは、仕事をする環境への満足度に直結していると思います。ただ、100円でも高いという人もいれば、もっと高くしてでも美味しくしてほしいという声もあるように、食事に対する要求はひとりひとり違うので、ある意味答えがない永遠の課題です。できるだけ多くの声に応えて、社員の健康や福利厚生を社外に誇れるものにし、会社の価値を高めたいと考えています」(佐藤氏)

最近は社員食堂が、ただ腹を満たすだけでなく、社員の健康管理の場としても注目されている。福利厚生が手厚い企業は離職率も下がり、業務全体が円滑に進むひとつの指針となるはずだ。ソフトバンクというと、孫会長のキャラクターもあってか、目標に向かって突き進むモーレツ型の企業という印象が強いが、こうした見えにくい部分でのバックアップがあってこその好調ということなのだろう。

もちろん、自社ビルでなければ契約上、導入が難しいなど、すべての企業が社員食堂を準備できる環境にはないだろう。社員食堂以外で多くの企業にとって参考になると思われる点としては、ソフトバンクの総務本部が進めているアプリ化が挙げられる。プッシュ化で死蔵される情報が少なくなるなど、社員への情報提供手段としては非常に有効だろう。大きな組織になればなるほど、有効性は高まりそうだ。

機能と審美性を追求した

モノのデザイン 第33回

機能と審美性を追求した"デザインエアコン" - ダイキン「risora」(前編)

2018.02.19

ダイキン工業から3月下旬に発売される、家庭用ルームエアコン「risora」。インテリア性を重視したエアコンのシリーズとして新たに投入されたラインナップだ。今回は、デザイン担当チームの1人である、同社テクノロジー・イノベーションセンター先端デザイングループの中森大樹氏に、製品の開発の経緯やコンセプト、製品化までのプロセスについて伺った。

3月下旬発売のダイキン工業のルームエアコン「risora」

デザイン性を追求したルームエアコンの発売は、ダイキン工業では実は今回が初めてではない。「UXシリーズ」として2016年秋にも発売されている。 2014年に「Daikin Emura」の名で欧州で先行発売された。日本へはそれから1年半後になり、いわば"逆輸入"というかたちで発売されたが、中森氏はその経緯を次のように振り返った。

ダイキン工業 テクノロジー・イノベーションセンター先端デザイングループの中森大樹氏

「弊社では当時からインテリアに調和するエアコンの必要性を感じていながら、実際に日本市場でその需要がどれほどあるのかは未知数といった状態でした。そのため、新製品の開発に踏み込む前に一度、まずはUXシリーズを日本でも発売してみて、その反響によって検討しようということになりました」

2014年に欧州で発売された「Daikin Emura」。その後2016年秋に日本でも「UXシリーズ」として展開された

その結果、日本の消費者からの声は「かっこいい」と概ねポジティブなものが多かったとのこと。しかし、デザイン性は受け入れられた一方で、「部屋に合うかどうか」といった躊躇の声もあったという。つまりUXシリーズの発売により日本市場での展開を検討する上で得られた知見は、日本の住宅環境にマッチした製品を作り出す必要性だ。

そこで、2年ほど前にプロジェクトが発足した「risora」では、外形寸法を決めるところから始まった。特に日本市場においては、建築設計上無視できないエアコンの課題があるためだ。

というのも、日本の木造住宅では"半間幅"と呼ばれる柱間の標準仕様がある。エアコンの室内機が壁に取り付けられる際にはこの幅に収まるサイズであることが求められることが多い。そのため、「risora」では日本の一般的な建築仕様の住宅に取り付けられるよう、縦横サイズは同社のフラッグシップモデルと同じ寸法に設定された。

しかし、空間に違和感なく溶け込めるよう、UXシリーズと同様、奥行きは極力"薄い"ものが目指された。とはいえ、近年、省エネ性能が求められる家庭用エアコンは、内部の熱交換器が大型化する傾向にある。また、多機能化によっても容積が増している。つまり、「スリム化を図ること」と「性能や機能性の維持」は相反する要素でもある。

「UXシリーズ」の日本での発売を経て、第2弾となる「risora」に求められたのは、住宅事情に合わせた小型・スリム化だった

中森氏によると、スリムな製品の開発を進める上で最初に検討されたのは省くべき機能の選定だ。そしてその際の出発点となったのは、"空気を愛されるものにする"という、「risora」の製品コンセプトだった。

「エアコンの性能を追求した結果、空気そのものが快適になったとしても、その機器自体の形状が圧迫感があって室内で浮いていたなら、製品コンセプトから言えば快適とは言えません。そこで、外観と性能という別個のものを両立させるという考え方をせずに、それぞれを出発点として、"空調機器"として快適な姿を突き詰めていくことにしました」

次に、「risora」を求めるターゲット層を"インテリアにこだわる人"と明確に設定。そこを起点に、最新技術をすべて搭載したフラッグシップ機から間引いたとしても、性能面とデザイン面での快適性に影響が少ない機能として、「フィルターの自動清掃機能」が絞り込まれた。

他方、エアコンの性能とデザインの両面で欠かすことのできない機能としては、"垂直気流"と呼ばれる、ダイキン独自の制御技術が選ばれた。独自の機構設計のフラップにより風を真下に吹きつけることができるというもので、冬は暖かい空気を床に這わせて床暖房のような暖かさをもたらし、夏はサーキュレーション型の気流と組み合わせることで室内における温度ムラを解消し効率よく快適な冷房環境に寄与する。

スリム化を図るために機能の取捨選択が行われた結果、"垂直気流"というフラップを垂直にして風を真下に送る独自の機能は引き継がれた

しかし、前述のとおり室内機の薄型化を図りつつもこの技術を実現するには、フラッグシップの技術をそのまま転用しただけでは難しい。そこでフラップ部分もrisora仕様に一から検討し直されたそうだが、一筋縄ではいかない多くの課題を克服する必要があったという。

「筺体室内機の小型化に伴って、フラップも小さくしなければなりません。しかし、フラップが小さいと気流を遠くまで届けることは難しいのです。さらに、フラップ部分は稼動中の外観を損ねてしまう要因でもあります。十分な性能を出しながらも、美観を損ねないようにどの程度まで反らせるかといったことも考慮しなければならず、内側に羽根を設けて隠すなど設計担当者からもアイディアを提案してもらいながら検討を重ねました」

美観を損ねず、遠くまで気流を届けることのできる薄いフラップの開発は最も労力を要した1つ

薄型化を図るために、「risora」では"多連結ソウエッジクロスフローファン"と呼ばれる新たなファンも開発された。空気抵抗を低減するために、従来のファンよりも連結部分を増やし、ファンの各翼部分にスリットが施されているのが特徴だ。中森氏はその検討過程を次のように説明した。

「ファンというのは単に小さくしただけだと性能が出せず、大きいままで内部部品が近接すると音がうるさくなってしまいます。そこでまずは目標とするファンの直径を決めた上で、サイドの形状や部品の配置の仕方などが検証され、最終的に辿り着いたのがこの形です」

従来のファン(上)と「risora」のために開発されたファンの比較
各翼部分にスリットを設けることにより、ファンを小型化したことにより発生する騒音が抑えられた

欧州で最初に発売された後に、日本には逆輸入という形で市場投入された「UXシリーズ」に次ぐダイキンのデザインエアコン第2弾として登場した「risora」。"日本発"としては第一陣となる製品としては日本の住宅事情が大いに加味され、薄さと小型化が第一の至上命題とされる中、機能・性能を極力上位機種のスペックに近づけるため、エアコンの構造や機構設計がさまざまに見直され、技術イノベーションにもつながった。次回後編では、特徴的なカラーバリエーションの話や、視覚的効果など外観上のこだわりや工夫について紹介したい。

人手不足とは無縁? 「ガスト」のすかいらーくが進める働き方改革

人手不足とは無縁? 「ガスト」のすかいらーくが進める働き方改革

2018.02.19

「ガスト」や「バーミヤン」などを展開するすかいらーくは先頃、「IT化による店舗業務の効率化と働き方改革の推進について」と題する記者発表会を開催した。外食産業の人手不足に対応した新たなIT施策の導入かと思いきや、その内容は意外なものだった。

2017年の採用数は5.7万人

スタディストが提供するマニュアル作成・共有プラットフォーム「Teachme Biz」(ティーチミー・ビズ)をすかいらーくが導入するとアナウンスした今回の発表会。冒頭、すかいらーく常務執行役員の金谷実氏は、同社の近況について数値を示して説明を行った。中でも目を引いたのは、パート・アルバイトの人数に関する項目だ。人手不足が話題となる外食業界だが、すかいらーくでは応募数・採用数が右肩上がりで増えており、2017年には前年比120%となる16万人弱の応募の中から、前年比109%となる約5.7万人を採用している。

発表会に登壇したすかいらーくの金谷常務(左)とスタディストの庄司啓太郎取締役COO。金谷常務は人財本部のマネージングディレクターだ

すかいらーくでも外国人在籍者数は増えているが、上記の数字からも分かる通り、彼らを採用する理由は日本人スタッフの穴埋めというわけではない。外国人スタッフの多くは、日本人スタッフの代替というよりも、年末年始や深夜時間帯など、日本人スタッフが敬遠する時間帯をカバーしてくれる貴重な戦力だというのが、すかいらーくの捉え方だ。

定着率が上がらない理由は業務の難度

応募も採用も増え続け、人手不足とは無縁のすかいらーくだが、課題としているのはスタッフの定着率向上だ。驚いたのは、約5.7万人を採用した2017年の退職数が5万人を超えていること。スタッフ在籍数の安定を図るため、スタッフ定着率の向上が不可欠な情勢だ。では、なぜパート・アルバイトは定着しないのか。その主な理由の1つは「業務の難度」であると金谷氏は分析する。

パート・アルバイトの応募数、採用数は右肩上がり。課題は定着率の向上だ

具体的には、作業手順の多いブランド、メニュー数の多いブランドほど定着率が低いのだ。例えば、オペレーションの難度が高くなく、かつ商品アイテムの少ないブランドである「しゃぶ葉」は比較的、定着率が高いとのことだった。

人手不足には困っていないが、スタッフの定着率は上げていきたいというのがすかいらーくの考え。そこで同社は、店舗に新たなITツールを導入することを決めた。

ファンド支配から脱却、長期的な視点で投資が可能に

2006年に戦略的な上場廃止を行い、その後はファンドの支配下にあったすかいらーくだが、2017年にはファンド株主が保有株式の全てを市場に売却した。ファンドの支配から脱却したすかいらーくでは、短期的な目標を追うことだけにフォーカスするのではなく「従業員と店舗に投資していくつもり」(以下、発言は金谷常務)だという。年間100店舗ペースの出店も継続していくそうだ。今回、スタディストのマニュアル作成・共有プラットフォーム「Teachme Biz」を導入するのは、従業員への投資の一環だ。

Teachme Bizは、画像を中心に調理のポイントなどを分かりやすく解説したマニュアルを作成できて、それをスタッフが多様なデバイスで閲覧できる体制を整えられるプラットフォームだ。スタディストは国内外の約1,800社に同サービスを有償提供している。

簡単に言えば、従来は紙で作っていたマニュアルをデジタル化し、スタッフがスマートフォンやタブレットなどのデバイスで、いつでもどこでも閲覧できるようにするのがTeachme Bizだ。

画像を中心とする分かりやすいマニュアルが作成可能だという「Teachme Biz」

料理手順の微妙なニュアンスも説明しやすく

多くの会社で採用されている紙のマニュアルだが、作るのも、全てのスタッフに閲覧可能な環境を整えるのも大変だ。厳密に1人1冊を徹底すれば、それだけで大きなコストになる。また、マニュアルは不変のものではなく、常に内容を精査して刷新すべきものなので、そのメンテナンスも紙だと手間だ。

作るのも大変だが、紙のマニュアルは使う場合にも不便がある。例えば店舗において、新商品の作り方などを紙のマニュアルで説明しようとした場合、大きな作法は共有できたとしても、細かいニュアンスは伝わりにくい。マニュアルを閲覧するスタッフに外国人もいるとすれば尚更だが、同じ日本人であったとしても、伝わりにくい言葉の言い回しはいくらでもある。「こんがり焼く」とか「さっと炒める」といった言葉がマニュアルに記載されているチェーン店では、全ての店舗で同じ品質のメニューを提供することが困難だ。

その点、Teachme Bizであれば、画像と動画をベースとするマニュアルをスマートフォンだけで作成し、配信することが可能だ。簡単に作れるし、動画による解説は入社したばかりのスタッフにも理解しやすいだろう。多言語のマニュアルが作成可能な点は、外国人スタッフが増え続ける現状にも即している。

辞めなければ熟度が上がるスタッフのサービスレベル

すかいらーくは2017年9月、ガスト全店(1,367店舗、2018年1月31日現在)でTeachme Bizを導入。まだ導入から日が浅いため、数値としてのデータが顕在化してはいないものの、従業員の満足度とともに、顧客の満足度も向上しつつあるという声は上がっているという。今後はグループの全ブランドに同システムを導入し、約3,000店舗で約10万人の従業員トレーニング体制を確立する構えだ。

2018年3月からは「Teachme Biz」の導入を主要ブランドに広げていく方針

当たり前のことだが、サービス業においてスタッフが定着するということは、そのスタッフが「熟練していく」ことと同義であり、それはサービスレベルの向上を意味する。マニュアルの改善で従業員の定着率が上がれば、サービスの品質も向上し、顧客満足度も高まるわけだ。

Teachme Bizの導入は、店舗マネージャーの負担軽減にもつながるだろう。スタッフの入れ変わりが激しいと、店舗では常に新人スタッフをゼロから教育しているような状況となり、教育を担う店舗マネージャーの負担も大きくなるからだ。

客にもスタッフにも選ばれる店になれるか

Teachme Bizによりスタッフの働き方、仕事の覚えやすさが改善すればスタッフが定着する。スタッフが定着すれば、店舗のサービスレベルが向上してリピーターを獲得できる。こんな流れをすかいらーくは狙っている。「サービス力を向上させるため、スタッフの習熟度を上げる。習熟度を上げるため、スタッフの定着率を上げる。今後は1年以内退職率を(現状の)60%から50%以下に引き下げることを目指したい」と金谷常務は目標を語る。

「Teachme Biz」の覚えやすさを問うアンケートにスタッフの88%が「はい」と答えたという

システムを導入することで、直接的にスタッフの出入りに影響があるかどうかを見るには、今後のスタッフ定着率をチェックしていくほかない。しかしながら、システムを導入することで、従業員が働きやすい環境を整備しようと会社が考え、実行しているとのメッセージになることは確かだ。今回のシステム導入により、すかいらーくが顧客にもスタッフにも選ばれる企業として進化を遂げられるかに注目したい。