楽天モバイルが新たな店舗戦略、待ち時間を体験に!

楽天モバイルが新たな店舗戦略、待ち時間を体験に!

2018.02.22

楽天は2月21日、同社のMVNO事業「楽天モバイル」の直営店「楽天モバイル仙台駅前店」をリニューアルオープンした。同店は米国のビーズソファー「Yogibo」(ヨギボー)とのコラボ店舗となる。従来のキャリアや他のMVNOと違った、楽天ならではの店舗戦略とはどのようなものだろうか。

オープンした仙台駅前店。もともと仙台駅前店は、2017年に閉店したさくら野百貨店のテナントとして展開。新店舗は当時の場所とは道を挟んでちょうど反対側にあたる場所に、約9カ月ぶりに復活

見て、触れて、買って帰れる体験型ショップ

「楽天モバイル仙台駅前店」は、仙台駅西口からすぐの複合商業施設「EDEN」の1階に開店した。新店舗では通常通り楽天モバイルの契約が行えるが、店舗の奥半分が人気のビーズクッション「Yogibo」の展示スペースになっているのが特徴的。店内のスタッフにお願いすれば、実際にYogiboの各製品の座り心地を体験することもできる。携帯電話の契約では、事務処理の待ち時間が発生しがちだが、その待ち時間を体験の機会としてもらうわけだ。

店の入って奥側がYogiboのスペースとなっている。店舗としてのデザインなどは統一感がありながら、完全にYogiboの世界観になっている。契約中の待ちスペースとして、あるいはキッズスペースとしても機能するとのこと

さらに、Yogiboが気に入った人は、そのまま店内のタブレットを通じて楽天市場のYogiboショップから購入することもできる。仙台駅前店では、店に訪れた人には500円ぶん、楽天モバイルと契約した人には3000円ぶんの割引クーポン(併用は不可)をプレゼントしているので、これを利用すればお得に購入できる仕組みだ。

気に入った場合は、店内のタブレットから即購入して、自宅にYogiboが届くシステム。楽天の会員になっていない場合は、スマホの契約と同時に楽天会員になれる
開店セレモニーには元モーニング娘。メンバーで女優の高橋愛さんや、東北楽天イーグルスのマスコットキャラクターであるくんも訪れた

オンラインよりリアル店舗のほうが多い契約者

Yogiboはこれまで日本国内に約60カ所出店しているが、スマートフォンキャリアとのコラボはもちろん初めて。楽天モバイルも、他業種とのコラボショップはいくつか出店しているが、本格的なコラボはこれが初めてとなる。それではなぜ楽天モバイルではこうしたコラボ出店に取り組むのだろうか。

楽天で楽天モバイル事業を担当する大尾嘉宏人執行役員は、楽天モバイルでは全国45都道府県に191店舗を展開しているが、直近の今年1月には契約者は実店舗からが53%と、ついにオンラインでの契約者を逆転し、実店舗が重要なチャネルになったことを紹介。楽天カードをはじめとする楽天の各サービスとのシナジー効果も現れている。

2016年比で店舗数は37店舗から181店舗へと約5倍に。直営店ほか量販店の販売スペースも含まれる

また同時に、楽天モバイルでは実店舗のスタート以来、携帯アクセサリーや下北沢のジェラート店・ViToなどとのコラボ店舗を展開してきた。今回は、携帯電話契約の手続きで発生する待ち時間をくつろいで待っていてもらえるよう、「快適で動けなくなる魔法のソファ」というほど快適さを売りにするビーズクッションのYogiboとコラボすることで、こうした待ち時間を解消してもらうとともに、楽天市場のモノやサービスを実際に体験し、購入へと連携できるショップの開設に至ったという。

いわゆるO2O(Online to Offiline)戦略のひとつだが、大尾嘉氏は「これからの店舗展開においては、単に契約するだけでなく、モバイル以外のライフスタイルの提案をしていくことが重要」だと指摘する。日本でもauの「au WALLET Market」のように、キャリアが携帯電話以外の商材をショップで扱っている例がある。しかし大尾嘉氏は「(リアルな商材を扱う場合)負ける気はしない。ネットを通じてポイントや決済などを広げてきたが、今後はもっと便利なものを提供していく」と、これまで「楽天市場」などで実績を積み重ねてきた自信を見せた。

スマートフォンは各種サービスの利用に欠かせないインフラへと成長。電話契約だけでなく「よりよい使い方」につながるようなライフスタイルの提案は当然ともいえる

またコラボ展開についても「ネットだけだった楽天市場の商品をリアルで体験できることが重要」と、実際に手にとって触れられる機会を設けることで、購買機会が増えることの利点を強調。今後はYogibo以外のブランドとのコラボ店舗の展開にも意欲を見せていた。 こうしたコラボ店舗は、楽天側から見た場合、携帯電話の契約時に楽天ポイントを核とした各種楽天サービスへの誘導がしやすくなり、また未経験のユーザーに楽天市場を紹介しやすくなるという点においても効果のある事業だと言える。またコラボするブランド側から見ても、単独出店するよりリスクが小さく、楽天ブランドを利用して新たな顧客層が掴めるなど、単なるショーケース展示以上の効果が期待でき、両者にとってWin-Winと言える関係が構築できる。

ビジネスモデルとしてはWin-Winの関係が期待できる。あとはコラボ先や展開場所さえ外さなければ大きな失敗は少ないだろう。なお、楽天モバイルは店舗展開にビッグデータを活用しているとのこと

確かにこれはリアルな商材を扱い続けてきた楽天ならではのショップであり、同様の効果を他のキャリアが実現するのは難しいだろう。また海外ではAmazonが無人店舗を展開しようとしているが、無人店舗は単に倉庫から欲しいものを持っていくようなものであり、楽天コラボショップのような体験型とは趣が違いすぎるため、シェアの食い合いにはならないだろう。

今後は定期的にコラボ先が入れ替わるショップなど、さまざまなスタイルが予想される。また楽天市場の人気ショップでも、リアル店舗を持たないブランドでは、貴重な実製品の展示機会となるケースも出てくるだろう。ユーザーの視点から見ても、なかなか興味深い、楽天の強みを生かした展開が期待できそうだ。

マーケティングと恋愛が似てるってどういうコト?Facebookで聞いてきた

恋するSNSマーケティング講座 第1回

マーケティングと恋愛が似てるってどういうコト?Facebookで聞いてきた

2018.11.14

Facebook社員に「マーケティングのイロハ」を聞く新連載!

第1回は、講師の紹介と「マーケティングと恋愛」の関係性について

フェイスブック ジャパンのSNS運用コンサルタントに「SNSマーケティング」について聞く短期連載。初心者~中級者に知ってほしい「マーケティングの考え方」について、全5回にわたって説明します。

キーワードは「恋愛」。とっつきづらいマーケティングも、恋愛に喩えて考えてみると、意外とわかりやすいようです。

「恋愛とマーケティングは似ていると思うんです」

FacebookやInstagram、TwitterなどのSNSを活用したマーケティングは今や企業にとって欠かせないものになっている。

一方で、「どこから始めればいいのかわからない」「そもそもSNSマーケティングって?」といった疑問もまだまだあるだろう。そこで今回は、フェイスブック ジャパンのクライアントソリューションズマネージャ リードを務める丸山祐子さんを講師に迎え、SNSマーケティングを“恋愛”に喩えてわかりやすく解説してもらうことにした。

フェイスブック ジャパンのクライアントソリューションズマネージャ リード 丸山祐子さん

なぜ“恋愛”なのか。それは「日々のお客様とのやりとりの中で、恋愛とマーケティングは似ていると感じることが多かったから」と丸山さんは言う。

丸山さん自身も現在婚活中の身。これまで仕事最優先で生きてきたが、最近になってパートナーを探すべく婚活を開始したという。その過程で感じたのが、前述の恋愛とマーケティングの共通点だったというわけだ。

「流行」は人の手でつくられるモノ

今回は連載初回ということもあるので、まずは講師である丸山さんの経歴から紹介しよう。

東京で生まれ育った丸山さんは、中高大一貫校に通っていた。小学生時代から「自分の知らない世界に行ってみたかった」という丸山さんは、高校時代に初海外となるカナダを訪れる。

「知らない言語で話しかけられたり、東京では見られない地平線や水平線を見たりして、私の知っている世界はなんて狭いんだろうと思いました」(丸山)

海外に魅了された丸山さんは、一念発起してカリフォルニアの大学に進学。そのころ、「ファッションの流行は自然に生まれるのではなく、必ず裏には仕掛人がいる」ということを実感したのがキッカケとなり、「自分も人の心を動かす仕事がしたい」と考えるようになった。

大学卒業後は日本に戻り、人材業界で働くことに。長くアメリカで過ごしていたこともあり、日本の業界事情がつかめない中、「まずはいろいろな業界を知りたい」と考えたためだ。

その後、「リーマンショック」が起こり人材業界の業績が悪化したこともあり、業務を通して興味を持つようになったデジタル業界への転職を決意。転職先は、IT業界を中心にメディアプランニングなどを行う電通の子会社。メディア担当として、デジタル広告のイロハを学んだ。

そこで担当していたクライアントが、当時日本に上陸したばかりのFacebookだった。その後、それまで培ったデジタル広告のノウハウをより活かすべく、フェイスブック ジャパンへ転職し、現在に至る。

広告はラブレター「相手に届かないと意味がないんです」

丸山さんは現在、FacebookやInstagramの広告メニューについて、運用コンサルやメディアプランニングなどを行っている。また、Instagramをより企業に活用してもらうためのプロジェクトメンバーとしても活動しているそうだ。

さて、そんな丸山さんがFacebookのコンサル業務を通して常々感じていたのが「恋愛とマーケティングの共通点」である。

どんな業界でもそうだが、良い製品だからといって何もせずに売れるわけではない。“届けたいメッセージを届けたい相手にちゃんと伝える”必要がある。これがマーケティングの目的だ。

「広告はよくラブレターに例えられます。いくらラブレターを書いても、それがちゃんと届けたい人に、その人の心に響くかたちで届かないと意味がありませんよね。ラブレターを届けるために恋愛にもマーケティングが必要なんです」(丸山)

婚活において“ラブレターを届けるべき相手”とは、まだ見ぬ将来のパートナーだ。その相手はどこかに存在しているはずだが、まだ出会ってはいない状態である。運命の相手と出会うために重要なことの1つは「とにかく出会いの数を増やすこと」だという。

「1人と会ってみて、その人が運命の相手ならラッキーですし、そういうケースもあるでしょう。でも、そうでない場合には、たとえば運命の相手と出会える確率が1/100だとして、10人と会うのと100人と会うのではどちらの方が出会える確率が高いか、言うまでもありません」(丸山)

これはそのままマーケティングに置き換えても同じことが言える。自社の製品を購入してくれる潜在的な顧客の態度変容効果が一緒であるなら、できるだけ多くの人数に広告を届けた方が売上は伸びるはずだ。

「そう考えると、婚活でもせっかくの週末に部屋にこもっているのはもったいないなと思いますよね。積極的に行動をおこして、多くの人に出会う機会を増やすことが大事なんです」(丸山)

一方で、重要なのは数だけではないと丸山さんは言う。多くの人にリーチすることは大前提として、そこからさらに“出会いの効率”を上げていく必要があるのだ。

では「数」に続いて大事なこととは? 次回は効率を上げるために必要な「ターゲティング」について、これまた恋愛と絡めて聞いていく。

第2回「恋するSNS講座」は11月20日に掲載予定です。

クルマ新時代の駐車場は何を目指す? 「CASE」で見えてきた未来像

クルマ新時代の駐車場は何を目指す? 「CASE」で見えてきた未来像

2018.11.14

日本自動車研究所が「自動バレーパーキング」の実証実験

駐車をシステム任せにできる仕組みとは?

未来の駐車場はクルマの“ハブ”になる

自動運転、電動化、カーシェアリングなど、新たな技術・サービスの登場により変革期を迎える自動車業界。クルマの乗り方、使い方を根本的に変えるかもしれないこれらの要素をまとめて「CASE」というが、この文字を目にする機会も増えてきた。クルマが変わればクルマに関連するモノや場所も変わりそうだが、例えば駐車場は、どのような姿になっていくのだろうか。日本自動車研究所(JARI)の実証実験で、その一端を垣間見た。

「CASE」の進展で駐車場の姿も一変する?

「バレーパーキング」を自動化

「CASE」とは「Connected」(コネクティッドカー)、「Autonomous」(自動運転)、「Shared & Service」(カーシェアリングなど)、「Electric Drive」(クルマの電動化)という4つの言葉の頭文字をとってダイムラーが使い始めた概念のこと。そのうち、コネクトと自動化の2つを使って、JARIが実用化の道を探っているのが「自動バレーパーキング」というシステムだ。

JARIは経済産業省および国土交通省の委託を受け、2016年度から「一般車両による自動バレーパーキングシステムの社会実装に向けた実証」というプロジェクトを進めている。「バレーパーキング」とは、例えばホテルやショッピングセンターなどにクルマで乗りつけたとき、キーを従業員に預けて、代わりにクルマを駐車しておいてもらうサービスのこと。その自動化に向けて、JARIはシステム、制度、事業性などを検証してきた。

JARIは今回、自動バレーパーキングシステムの機能的な確認を行うためとして、東京都港区にある「デックス東京ビーチ」の駐車場で実証実験を実施。その模様を報道陣に公開した。そこではクルマが勝手に動き、定められた駐車スペースに止まり、再び動き出す様子を見ることができたし、自動バレーパーキングを含めた駐車場の未来像に関する話も聞くことができた。

JARIはデックス東京ビーチ駐車場の2階で実証実験を実施した

自動バレーパーキングとはどんなシステムなのか

自動バレーパーキングをドライバー目線で説明するのは簡単だ。例えばショッピングセンターのエントランスにクルマで乗りつけたならば、降車してスマートフォンのアプリで「入庫」を指示し、そのまま買い物にでも食事にでも向かえばいい。用事が済んだ頃に「出庫」ボタンを押して出口に向かえば、クルマ寄せには愛車が迎えに来ている。

自動バレーパーキングの指示はスマホで行う

では、そのシステムはどのようなものなのか。自動バレーパーキングは「クルマ」「管制センター」「駐車場」の3者による協調で機能する。駐車場の構造を把握している「管制センター」は、ドライバーから入庫の要請を受けると、安全性や効率を考慮して駐車場所とそこへ向かう経路を決め、「クルマ」に無線で指示する。「クルマ」は「駐車場」にあるランドマーク(目印)をカメラやセンサーなどで読み取り、「管制センター」が持つ駐車場の構造情報(地図)と擦りあわせて自らの位置と経路を確認し、指示された駐車スペースに向かう。そんな流れだ。

自動バレーパーキングの様子。運転席に人は乗っているが、ハンドルからは手を離している

同システムが実用化となれば、駐車場の「利用者」は手間を省けるし、「事業者」は駐車効率の向上を図れる。無人で自動運転を行うクルマであれば、ドアの開閉スペースは不要だし、ぶつけたりこすったりする心配もないはずなので、クルマをギュウギュウに詰め込めるからだ。JARIによれば、駐車効率は従来比で20%向上する可能性があるという。また、自動車事故の3割は駐車場で発生しているので、自動化は事故削減にもつながる。

ただ、実用化には当然ながら、いろんなハードルがある。自動バレーパーキングの実用化に向けて動いているのは日本だけではないが、JARIとしてはまず、同システムの国際標準化に向けた手続きを進めたい考え。2021年のISO国際標準化に向け、各国と協議を重ねているところだ。

また、システムが実用化となったとしても、最初から全てのクルマが自動バレーパーキングを利用できるわけではない。まず、通信機能が備わっていないクルマはアウトだし、通信できたとしても、管制センターの指示通りに自動運転をこなせるクルマでなければ、やはり同システムの恩恵は受けられない。

JARIの考えでは、まずは同システムが求める要件を満たすクルマだけが使える専用の駐車場を実用化し、段階的に「混在型」を目指すのが現実的だそう。ただし、混在型を実現するためには、人が運転するクルマと自動運転のクルマを駐車場内でうまく交通整理する工夫が必要になるだろう。

未来の駐車場はクルマの「ハブ」になる?

自動バレーパーキングの実用化には時間が掛かりそうな雰囲気だが、その先の駐車場の在り方についてもJARIは考えをめぐらせている。JARIのITS研究部に所属する深澤竜三さんによると、未来の駐車場が目指すのはクルマのハブ、つまり、クルマにまつわるさまざまなサービスの結節点だ。

JARIが描く未来の駐車場の姿

ハブ駐車場とはどのような施設なのか。深沢さんの描写はこんな具合だ。

「自動バレーパーキングで、勝手に駐車しておいてくれるのはもちろんですが、そこが自動車整備の拠点としての役目を果たしたり、電気自動車(EV)であれば、勝手に充電しておいてくれるとか。買い物が終わる頃には充電が済んでいるというのが理想ですね。あとは、観光地であれば情報配信拠点としての機能も想定できます」

「ほかのアイデアとしては、クルマを駐車しておいたら、宅配便がトランクに届いている、といったような使い方も考えられます。その場合は、トランクを開けられるような仕組みが必要にはなりますが、届け先を1件ずつ回る必要がなくなるので、配送業者の方も楽ですよね」

未来の駐車場は、クルマにまつわるいろんな機能を提供する拠点になるかもしれない

深澤さんの話を聞いていると、おそらくハブ駐車場はホテルに1つ、ショッピングセンターに1つという具合にではなく、地域に1つ、しかも大型の施設として存在するもののように想像できた。用事で近くまで来た人も使えば近隣の住人も使うし、カーシェアやレンタカーなどのクルマも混在している大きな駐車場。そんなイメージだ。

こういう駐車場が必要かどうかについては、地域によって状況が違うだろう。コンビニエンスストアですら広大な駐車場を備える地域がある一方で、例えば銀座のように、数台しか止められないけれど、短時間で驚くべき値段になるコインパーキングが稼動している場所もある。おそらく、ハブ駐車場が必要になるのは後者の方だ。

銀座に大きなハブ駐車場を作る余地があるかどうかは別としても、クルマの駐車以外には使いみちがないという点で「デッドスペース」化している駐車場に、さまざまな機能を持たせるというJARIの構想には可能性を感じた。一般道の自動運転も実用化となれば、例えば東京オリンピックの後、有明かどこかに残された広いスペース(会場の跡地)に大きなハブ駐車場を作り、そこと銀座などの繁華街を結ぶということも、夢のようではあるが不可能ではないはずだ。