クラウドファンディングをソニーが始めた意味

クラウドファンディングをソニーが始めた意味

2018.01.09

ソニーの新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program(SAP)」がスタートして4年が経とうとしている。これまでSAPから立ち上がった事業は下記の13件におよぶ(2017年12月時点)。

  • MESH
  • Fashion Entertainments
  • HUIS
  • wena
  • AROMASTIC
  • PROJECT REVIEWN
  • isuca
  • toio
  • Qrio
  • エアロセンス
  • ソニー不動産
  • エーテンラボ
  • Nimway

一つの事業としてはまだまだ小ぶりな存在であり、世間の誰もが知るWalkmanやPlayStationのような存在になっているとは言いがたい。ただ、Qrioやwenaなど、そのセグメントでは着実に支持されるプロダクトも出てきた。B2CデバイスからB2Bソリューション事業まで、幅広い案件が存在するが、このうちソニーお得意のコンシューマー向けデバイスについては、専用サイト「First Flight」で販売されている。

実はこのサイト、ただの通販サイトではなく、クラウドファンディングのシステムも兼ねている。なぜソニーが、スタートアップの資金調達でよく利用されるクラウドファンディングの仕組みを活用するのか。同社 新規事業創出部 FF事業室 統括課長 First Flightプロジェクトマネージャーの小澤 勇人氏に話を聞いた。

ソニー 新規事業創出部 FF事業室 統括課長 First Flightプロジェクトマネージャーの小澤 勇人氏

【特集】
ソニー変革の一丁目一番地、SAPのいま

2018年3月期の通期決算予想で、過去最高益となる6300億円が見込まれるソニー。イメージセンサーやテレビなど、既存製品の収益力向上、シェア増がモメンタムを作り出している。一方で、かつてのソニーファンが口を揃えて話す「ソニーらしさ」とは、ウォークマンやプレイステーションを生み出したソニーの社訓「自由闊達にして愉快なる理想工場」の賜物だ。世界中の大企業が新機軸のイノベーションを生み出す苦しみに陥るなか、ソニーは「SAP」でそれを乗り越えようとしている。スタートから4年目に突入するSAPの今を見た。

達成率1696%、驚異の評価を受けた「Qrio」

クラウドファンディングとは、Web上で実現したいアイデアを公表することで、その企画趣旨に賛同した人から資金を調達する造語だ(クラウド=不特定多数の群衆やWeb、ファンディング=資金調達の意)。海外ではKickstarterやIndiegogo、日本でもサイバーエージェント系のMakuakeや、起業家の家入一真氏が立ち上げたCAMPFIREなどがある。

特にMakuakeでは、First Flight立ち上げ前の2014年9月にFES Watch(Fashion Entertainments)、12月にはQrioを実際にプロジェクトとして走らせている。

「SAPとして、お客さまのニーズを確かめないといけない。もちろん、事前に定性的、定量的な調査は行っているものの、それだけでは『本当に買ってくれる人のニーズを把握できるか』と言われると難しい。アイデアを見せ、値段を提示して、購入まで行き着くのか。テストマーケティング、あるいはファクト調査としてのクラウドファンディングだったんです」(小澤氏)

実際に、これらのプロダクトは大きな反響を呼んだ。FES Watchは目標金額216万円に対して299万6888円の達成率138%、Qrioに至っては目標金額162万円に対して2748万9780円の達成率1696%と、潜在的な市場の把握に役立った成功事例となった。

MakuakeでQrioを展開、目標金額を大きく上回った(画像はMakuakeより)

「ただ当時、私たち自身がクラウドファンディングをテストマーケティングとして利用した後に、商品を継続販売するための『ECサイト機能』までシームレスに顧客を誘導できるサイトがなかった。だから、First FlightをSAPとしてスタートさせたんです」(小澤氏)

名指しで「頑張って」

2015年7月に立ち上げたFirst Flightは、クラウドファンディングからECサイトまでの機能をシームレスに繋げるだけでなく、ソニーのサイトとしてソニーファンが、製品のファンが集いやすい環境構築を目指している。

「クラウドファンディングをやったことで、よく『なんで、資金調達をソニーがやるのか』と聞かれるんですが、もちろん資金集めが目当てではありません(苦笑)。私たちは、作った商品に対してお客さまがどういう価値を求めているのか、どういう価格を求めているのか、どういう意見を持っているのか、『本当の声』を知りたいんです」(小澤氏)

プロジェクトに投資した人たちは、即座に開発メンバーに対してコメントができるため、「機能の要望から今後のストラテジまで、幅広いご意見をいただいています(笑)」(小澤氏)。細かい数字は開示できないとしていたが、既存製品のメールアンケートや各種ワークショップのインビテーションに対して、「(アクションの割合が)数倍のレスポンスがある」という。

First Flight

これは、既存製品が悪いわけではなく、SAPならではの特性だと小澤氏。通常の製品では、既存セグメントの新商品として長いスパンで製品ライフサイクルが回ることで注目が薄れるのに対し、「既存の商品カテゴリがない製品を出しているSAPだから、"新しいモノ"への熱量がとても高い。コメントされる方々は、商品発売前から、見たこともない製品にお金を出していただいているわけですから、良い点、悪い点合わせて伝えたい熱い思いがあるんだなと、ひしひしと感じています」(小澤氏)。

そうした顧客に対して「熱い思い」を増す仕掛けも忘れてはいない。例えば、プロジェクトリーダーはもちろん、メンバーまでも実名でプロジェクトの進捗報告に登場させ、「自分たちはこういう思いで、この製品を作っている」という身近さをアピールしている。ソニーという大企業では中の人の顔が見えにくいと思われる逆を突いた仕掛けで「各種プロジェクトのコメントには、名指しで『頑張ってください』という応援がつく。担当者たちもうれしいですよね」と小澤氏も喜ぶ。

中の人が見えれば、製品が届く前、届いた後の不満も、より具体的な意見として伝える人が増える。「最初はコメントの検閲もいざとなれば想定していたんですが杞憂に終わりました。1年半発ちますが、『悪口』は1件もない。お客さまもプロジェクトを担う一員として、不満をある種『良い意見』として書いてくださっています」(小澤氏)。

「Webサイト運営者」として小澤氏がFirst Flightで重視しているKPIは、「テストマーケティングがうまく行くか」。クラウドファンディングからECへの移行した際に、ファンディング時の結果と、EC遷移後の差分をつぶさに見ているという。流入元の分析など、それぞれのプロダクトを詳細に分析した上で、プロジェクトにフィードバックも行う。

例えば、プロジェクトの中でも異色なパーソナルアロマディフューザー「AROMASTIC」では、アパレル系やコスメ系といったドメインからの流入が多く、逆にソニーが本来得意とするテック系メディアで取り上げられても流入や販売にあまり響かなったという。ECサイトは実店舗よりも顧客流入の動線把握が容易になるため、実店舗でどうアプローチかけるかの参考にもなると小澤氏は話す。

また、意外なところでは「FES Watch」と「wena wrist」という時計関係のプロダクトでさえも、傾向の違いが見て取れたと小澤氏。

「FESは、テック系の機能美というよりも電子ペーパーを使ったデザイン性を強調した製品です。一方でwenaは、やはりおサイフケータイの機能が利用できるのに、従来の時計の盤面を使える機能美を追求した製品。似た商品と思われるかもしませんが、FESはアパレル、wenaはテック媒体からの流入、購買が多い。どこにタッチポイントを作るのか、そしてどう波及させるのかを製品ごとにしっかりと考える必要があります」(小澤氏)

こうしたWeb上で把握できるすべてを製品作りやマーケティング指針に活かす取り組みは、新規事業ならではのスピード感、考え方だが、大きく分けて3つの目的が根底にあるようだ。

  1. 目利き力を上げる
  2. 開発力の強化
  3. 商品価値以上の販売力の強化

目利き力とは、自分たちの頭の中だけで製品を作るのではなく、ソニー外も交えた製品作りにすることで、顧客目線と技術者の作りたいモノのバランスを見極めることだ。2つ目の開発力の強化についても、こうした意見を発売までに商品へ反映させることで、開発期間の短縮やひいては新技術の開発まで、徹底的な顧客目線に立った開発にフォーカスすることを目的にしている。

そして3つ目の販売力は、前述のように「開発者ストーリー」を、開発している人の名前と苦労を見せることで、より製品を顧客に「身近なもの」として捉えてもらうことだ。First Flightには「工業製品なのに息遣いが感じられる」、そんな目標が透けて見える。

自分ゴト化できる場所に

First Flightは立ち上げ当初からPVも数倍以上に伸び、順調に「ソニーの新しいものが集まる場所」として機能しつつあるという。2017年には、海外向けサイトとして「Hatsuhiko」を立ち上げたほか、新しいモノ好きなセレクトショップからの要望に応える形で販売店の募集も始めた。

「大きい会社ですから、商談してハイ決まり、ではなく、契約書を締結して、口座を登録して、と販売までに多くのプロセスを踏まなくてはいけませんでした。ですが、卸売の仕組みを自分たちの中に持ち、ある程度のステップをWeb上で完結できるようにした。少ロットでも試して売ってみたいという方々に、ぜひ製品販売に携わっていただければと思ってます」(小澤氏)

ただ、いくら機能が増え、商品数が増えようとも、理念は「新しいコト、モノに興味がある人が、気軽に『自分も加われるんだ』と思える場にする」ことと小澤氏は語る。革新的な製品は、最初こそ小さな芽でもいつか花開く。ソニーがSAPで蒔いた種(Seed)が成長するか否かは、その土壌となるFirst Flightが健全に広がって行けるどうかにかかっている。

「選択と集中」が進みすぎた、日本の科学技術への投資

藤田朋宏の必殺仕分け人 第1回

「選択と集中」が進みすぎた、日本の科学技術への投資

2018.11.15

ちとせグループCEOの藤田朋宏氏による新連載

巷を賑わす”ヘンな出来事”の問題点を、独自の解釈で洗い出す!

第1回は、「日本の科学技術投資」について

バイオベンチャー企業群「ちとせグループ」のCEOを務める藤田朋宏氏による新連載。“手段と目的の違い”によって生じた「ヘンな出来事」の問題点を、独自の視点で語ります。第1回は、「日本の科学技術投資」について。日本の科学技術への投資の問題点とはいったい何なのでしょう?

才能と“伸びしろ”に投資する、日本サッカー協会

先日、クアラルンプールに出張したときのこと。宿泊先のホテルが偶然にもサッカーの日本代表と同じだった。「日本代表」と言っても、同じホテルに泊まっていたのは本田や長友ではなく、U-16アジア選手権に参加している若い選手たち。

そこで彼らを見ていて、ふと考えた。日本サッカー協会の「選手への投資」は、実は凄く効率がいいのではないか。どうしてそう思ったのか、順を追って説明したい。

ホテルに置いてあったU-16アジア選手権のバナー

チェックインを済ませ、「部屋の準備があるから、ちょっとだけそこで待っていて」と指示するホテルマンに従い、ひとりロビーに放置されている間、何となしに選手の情報を調べてみた。それから一時間半。23名の選手一人ひとりの顔だけでなく、利き足まで覚えるくらいの時間が経っても、僕はまだロビーで放っておかれたままだった。まぁ、東南アジアではよくあることなので、腹は立たなかった。

ところで、「過去のU-16日本代表がその後、何度も日本代表に選ばれる割合はどれほどだろうか」と疑問に感じ、調べてみたところ、各年20数名の代表選手のうち、現役で活躍している選手は約1人であることが分かった。確かに16歳の段階では身体の発達に差があるし、試合で活躍できるかは運の要素も絡む。コーチとの相性やケガの問題もあるだろう。

そうは言っても、16歳の時点で日本代表に選ばれるだけのポテンシャルを持つ選手のうち、その数%しか将来も活躍できる選手がいない、という事実には驚いた。実際、長谷部、本田、岡崎、長友……など、この10年で活躍している選手たちの多くは、16歳時点ではそこまで期待されていなかった選手ばかりだ。

ではなぜ、そういった選手が後に日の目を浴びられたかというと、それは彼らにも「チャンス」を与えられていたからだろう。日本サッカー協会は、16歳時点で選抜したトップ選手だけに集中投資するだけではなく、同年代の他の有望選手にもしっかりとチャンスを与え続けられるような仕組みをつくれたのだと思う。

際立って目立つ選手だけではなく、将来の伸びしろがありえる選手にも、最低限のチャンスは回ってくることで、未来のトップ選手の育成が図れる。そうやって日本サッカー協会はこれまで、世界に通用するような選手を輩出してきた。

「科学技術に投資せよ」ではなく、予算配分の再考を

前置きが長くなってしまったが、ここから本題に入りたい。

先日、京都大学特別教授の本庶佑先生がノーベル賞を受賞したというニュースが流れた。「自分がバイオテクノロジー業界で働く人間だから」というのは関係なく、本庶先生と周りのチームの方々の長年にわたる科学に対する貢献が認められたこと、その事実に接した関係者の気持ちを想像すると、とても嬉しい気持ちになった。

ノーベル賞メダル(レプリカ)

 

近年、日本人のノーベル賞受賞が続いている。彼らのような日本の科学業界の仕組みをよくわかった方々は、これまで数多くのご苦労をされてきたことだろう。しかし、1つ残念なこともある。能力はもちろん、人格的にも優れたそういった先生方が、ノーベル賞受賞のタイミングでマスコミに発表する一世一代のコメントが「日本国の科学技術投資、科学技術教育のあり方についての憂い」であることだ。

僭越ながら、先生たちのコメントを解釈すると、よくニュースで取り上げられるような「科学技術にもっとお金を使え」ということではなく、その先にある「国家予算の配分」についての指摘をしていると認識している。

誰がなんと言おうと、日本の科学技術投資の選択と集中は年々進んでしまっているのが現状だ。しかし、先生方のいうような「選択と集中が進みすぎている」という指摘に対して、「日本にはもうお金がないのだから科学技術にばかり投資できない」と答えがずれてしまっている。

これこそが、日本の科学技術投資における問題ではないだろうか。

日本にはびこる「選択と集中こそが正解だよ病」

随分前からずっと不思議なのだが、そもそも「選択と集中こそが正解である」なんて、誰がいい出したのだろう。「選択と集中」の戦略で物事をうまく切り抜けられるようなことは、本当に生きるか死ぬか、背水の陣を敷いている時くらいだと思うのだ。

今の日本の「選択と集中こそが正解だよ病」はなかなか根深く、そもそもの目的を実現することよりも「選択と集中」を行うことそのものが目的になっているんじゃないかと感じることが多い。

今の日本で行われている多くの意思決定の場面で、サッカーの例で例えると、U-16日本代表を選んだ人のメンツを潰さないということが、強い日本代表をつくることよりも優先されてしまっているように思う。

そのため、16歳の時点で選んだ選手だけに集中投資し、16歳の段階で選ばれなかった他の選手のポテンシャルに賭けることもしないというような「選択と集中が正解である」という間違えた進め方で意思決定が行われているようなことが多いように感じる。

サッカー選手の育成でも、科学技術の投資でも初期の段階で選抜してそこだけに集中投資するという戦略を繰り返せば繰り返すほど、全体としての力は落ちる一方になるのではないか。歴代のノーベル賞受賞者の先生方も、そういうことを言いたかったのではないかと思う。

手段であるはずの「選択と集中」が、目的となっている?

私は、「16歳の段階で、将来素晴らしいサッカー選手になる人物を見分けられる」なんて言葉は、伸びしろのある選手に対しておこがましいと感じる。これは科学技術の研究にも同じことが言える。「その研究が将来素晴らしい成果を残すかどうか見分けられる」なんて言葉は、科学者に対しておこがましい。

もっと言ってしまえば、どの研究が将来化けるかの判断は、16歳のサッカー選手の成長を言い当てることより遥かに難しいだろう。なぜならば、サッカーという競技のルール自体は変わらないが、科学と言う競技はルール自体を決めているので、科学研究の将来性をあらかじめ予測するのは16歳のサッカー選手の将来性を予測するより難しいためだ。

そんな中、日本サッカー協会が幅広い底上げに力を入れ、紆余曲折も有りながらも右肩上がりの成長を維持できているにも関わらず、日本の科学技術投資は過剰な「選択と集中」を強めるが故に、科学技術力の相対的な低下を招いているように感じる。

その差はいったい何か? これは1つの仮説でしかないが、日本サッカー協会の強さの秘訣は、会長の独断で物事を決められる側面が強い組織であるために「目的」がハッキリしている点にあるのではないだろうか。

その一方で、日本の科学技術投資のような“数多くの人の善意の組み合わせの上になり立っている意思決定機構”では「選択と集中を進めることが正解である」という、本来手段の一つである価値観が「目的」となってしまっているように感じる。

本来考えるべきは、「日本の科学技術をどうするべきか」ということであるにも関わらず、その手段と目的が逆転しまっているのではないだろうか、と思うのだ。

音楽特化の「YouTube」が日本上陸! AIでレコメンド

音楽特化の「YouTube」が日本上陸! AIでレコメンド

2018.11.14

音楽に特化した「YouTube Music」が日本でスタート

有料会員になれば、広告なし再生やオフライン再生が可能

YouTube Premiumでは、オリジナルコンテンツの配信も開始

仕事や作業をする際、周りのノイズをカットして集中するために、音楽を聴くという人は多いだろう。わかる。よくわかる。フロアが騒がしいと作業に全く集中できない。周りで仕事している人がいるということがわからないのだろうか、と疑問に思うが、まぁそれは置いておいて、パソコンで作業する場合、手軽に好きな音楽を聴けることから、YouTubeで音楽を聴くという人も多いのではないだろうか。

そんなYouTubeユーザーに朗報である。11月14日、Googleは音楽に特化したストリーミング再生サービス「YouTube Music」を日本でローンチすると発表したのだ。

好みやシーンに応じて楽曲をレコメンド

YouTube Musicは、音楽再生に特化したアプリ。YouTubeにある公式の曲やプレイリスト、歌ってみた、弾いてみたなど、さまざまな音楽動画を視聴することができる。

また、機械学習が活用されているのも特徴の1つだ。視聴履歴などからユーザーの好みを把握するだけでなく、「いつどこで何をしているのか」を類推して、シーンに合わせた楽曲をレコメンド。家でリラックスしているときにお勧めの曲や、仕事中にお勧めの曲などを、自動でピックアップしてくれるという。

さらに、あいまいなカタカナ発音で洋楽を検索したり、CMタイアップ曲などから検索したりすることも可能で、聴きたい曲をスムーズに探すことができそうだ。

サービスの発表会において、YouTube 音楽部門 プロダクトマネージメント責任者のT.ジェイ ファウラ氏は「オーディエンスに着目した結果、今出ているアプリでは満足できていない層があることがわかり、そのユーザーに音楽サービスを届けようとこのサービスをスタートしました。YouTube Musicは、ユーザーの利用シーンや好みに合わせた曲を、YouTubeにある膨大なミュージックカタログからレコメンドするユニークさを持っています」と、サービスの魅力を強調した。

YouTube 音楽部門 プロダクトマネージメント責任者のT.ジェイ ファウラ氏

無料でも利用できるが、有料のYouTube Music Premiumに登録すると、「広告なし再生」「バックグラウンド再生」「オフライン再生」などが可能になる。料金はWeb/Androidが月額980円で、iOSが月額1280円(ともに税込み)だ。

YouTube 日本音楽ビジネス開発統括担当の鬼頭武也氏は「日本ユーザーの方は通勤通学などで音楽を聴くことが多いと思います。オフライン再生機能では、前日の夜に自宅のWi-Fiで翌日聴くべき曲を自動で更新し、通信なしで聴けるようになります。データの通信量などを気にする必要もないので、非常に便利な機能だと思います」と、オフライン再生のメリットを訴求した。

なお、同サービスには著作権管理システムが働いており、YouTubeと同様に適切な権利コントロールが可能だという。

YouTube 日本音楽ビジネス開発統括担当の鬼頭武也氏

「YouTube Originals」が日本でも始動

また今回、「YouTube Premium」という新しい有料プランもスタートする。料金はWeb/Androidだと月額1180円で、iOSだと月額1550円(ともに税込み)だ。YouTube Music Premiumの機能に加えて、YouTubeでも「広告なし再生」「バックグラウンド再生」「オフライン再生」機能が使えるようになる。

さらに、YouTube Premiumの会員は、12月から日本でも配信される予定のYouTubeオリジナルコンテンツ「YouTube Originals」を視聴することも可能だ。すでに世界30カ国でコンテンツを展開しているが、このたび、日本でも制作がスタート。SEKAI NO OWARIとMARVLEがコラボしたミュージックビデオ制作の裏側に迫るドキュメンタリー「Re:IMAGINE」、YouTuberのはじめしゃちょーが主演する連続ドラマ「The Fake Show」、YouTubeで人気のクリエイターが手がけた「隙間男:Stalking Vampire」の3つだ。

「YouTube Music Premium」と「YouTube Premium」で利用可能な機能
日本で制作される「YouTube Originals」のコンテンツ

発表会には「The Fake Show」に主演する、YouTuberのはじめしゃちょーが駆けつけた。

はじめしゃちょー

「今回僕が出演するのは、今までなかったYouTuberをテーマにしたドラマ。アカウント乗っ取りや炎上など、問題に直面しながらも夢に向かって進んでいく姿が描かれているので、僕の動画を見たことない人にも見てほしいですね」と動画の紹介をするとともに、YouTube Musicについて「普段、広く浅く、さまざまな音楽を聴くので、非常に楽しみなサービスです。ぜひ使ってみたいと思います」と期待を述べた。

なお、YouTube Musicは「Google Home」「Google Home Mini」にも対応予定。そのほか、現在「Google Play Music」を利用しているユーザーは、追加料金なしで移行することができるという。