大変革の自動車業界、タイヤメーカーにとってピンチかチャンスか

大変革の自動車業界、タイヤメーカーにとってピンチかチャンスか

2018.01.19

「100年に一度の大変革の時代」を迎えているといわれる自動車業界。クルマの電動化や自動化などが進み、ビジネスモデルの転換を迫られる関係会社も増えていきそうな情勢だが、自動車に不可欠なタイヤの業界では、この動きをどう捉えているのだろうか。米グッドイヤーの日本法人である日本グッドイヤーで聞いてきた。

大変革の時代を迎える自動車業界で、タイヤメーカーが考えていることとは

変化はチャンス、日本グッドイヤー社長の考え

グッドイヤーはブリヂストンおよびミシュランと並ぶタイヤ“ビッグスリー”の一角だが、日本市場での存在感は欧米に比べそこまで大きくない。そのポジションを日本でも「本来あるべき場所に」(日本グッドイヤー代表取締役社長の金原雄次郎氏)引き上げるべく、同社が注力するのがプレミアムセグメント向け商品の拡充だ。2月1日には2種類の新商品を投入するが、それに先立ち、日本グッドイヤーは新しいタイヤの乗り比べ試乗会を実施。その会場で金原社長らに話を聞くことができた。

日本グッドイヤーの金原雄次郎代表取締役社長

変革期を迎える自動車業界のトレンドは、ダイムラーが「CASE」という言葉で表現している。「C」はConnected(つながるクルマ)、「A」はAutonomous(自動運転)、「S」はShared&Services(カーシェアリング)、「E」はElectric(電動化)の頭文字だ。これらの要素は、人とクルマの関係性を根本から変える可能性があるし、クルマの姿かたちや機能にも当然、大きな影響を及ぼす。

CASEが自動車業界に100年に一度の変革をもたらしているが、タイヤメーカーはどうなのか。この動きはピンチなのか、チャンスなのか。この問いに対し金原社長は「100年に一度ということは、自動車が世に出て120~130年なので、最初の変革期と言えるかもしれない。タイヤもご他聞にもれず、この100年でビジネスモデルは全く変わっていないし、ラジアルタイヤが登場したくらいで、それ以上の大きなエポックは今のところない」とした上で、この状況が「ピンチかチャンスかというと、チャンスだ」と明言した。

試されるタイヤメーカーの対応力

では、なぜチャンスなのか。金原社長は「自動車業界の動きは電動化や自動運転だと思うが、そこで求められるタイヤの性能は従来のものと変わってくる。それには対応できるメーカーとできないメーカーがあり、グッドイヤーは対応する力を持っている。OEM(自動車メーカー)とはクルマの開発段階でも話をするが、メーカーからは『車両が変わるのでタイヤにこういうものを求めたいが、お宅にそんな技術があるか』といったような問いかけを受けることが現にある。それに対応できれば優位に展開できるし、グッドイヤーとしては十分やっていける手応えを感じている」と自信を示した。

自動車業界の変革期で、タイヤに求められるものはどのように変化するのか。金原社長は一例として、「電動化すればトルクが高まるので、それに耐えられるようなタイヤの性能が求められる。それはどこでも(どのタイヤメーカーでも)できることではない」と語った。

電気自動車(EV)は加速の良さを特徴とするので、普及が進めばタイヤに求められる耐久性も変わってきそうだ

カーシェアの普及でタイヤのビジネスモデルに変化

求められるタイヤの在り方も変われば、タイヤメーカーのビジネスモデルも変化する。試乗会で話を聞いた日本グッドイヤーのマーケティング担当はCASEの「S」、つまりカーシェアリングの進展がタイヤの売り方に影響を及ぼす可能性に触れた。

カーシェアリングが進めば、クルマは個人が所有するものから業者がまとめて所有・運用するものへと変化するかもしれない。そうなれば当然、タイヤの売り方も変えていく必要が出てくる。一般向けにコマーシャルを展開する従来の手法を、BtoB寄りにシフトさせねばならなくなるわけだ。

また、シェアリングでクルマの稼働率が上がる点も見逃せないポイントだ。個人が所有するクルマは、1日のほとんどを家や職場の駐車場などで止まって過ごすが、シェアリングが一般化すればクルマ1台あたりの稼働率は大幅に向上するだろう。そこに自動運転技術が組み合わされば、クルマは1日のほとんどを走って過ごすようになるかもしれない。その分、タイヤの履き替えサイクルが短くなれば、タイヤメーカーにとってはチャンスとなる。

クルマの稼働率が上がればタイヤの減りも早くなるだろう

ただし、シェアリングが一般化すれば、クルマを「所有」しようと考えるユーザーが少なくなり、クルマの総台数は減ることになりそう。クルマの台数減少とタイヤ履き替えサイクルの短期化が、差し引きするとタイヤメーカーにプラスに働くのか、マイナスに働くのかには注目したいところだ。

重要性を増すプレミアムセグメント向けタイヤ

自動車業界の大変革に備えなければならないタイヤメーカーだが、足元で対応すべき課題はSUVブームやプレミアムカーセグメントの伸張などに伴うタイヤの大口径化だ。日本市場では世界的なブームと足並みをそろえるようにSUVの販売台数が増えており、「スポーツセダンの復権」(金原社長)もあって17インチ以上の大口径タイヤが売れる傾向にある。

日本グッドイヤーは、この課題にフォーカスした新商品「EfficientGrip(E-Grip) Comfort」と「E-Grip Performance SUV」を2月1日に発売する。同社がE-Gripシリーズでターゲットとする車両は、プレミアムセグメントのセダンとSUVだ。

「E-Grip Performance SUV」(左)と「E-Grip Comfort」

日本の自動車市場は年間500万台規模だが、これが飛躍的に拡大する可能性は、人口減少などの背景を考えると低そうだ。しかし、日本自動車輸入組合(JAIA)の統計を見ると、輸入乗用車の販売台数はリーマンショックの2009年に激減するもその後は回復しており、近年は年間30万台超で安定し、2017年も前年比102.1%と増加している。タイヤメーカーにとって、プレミアムセグメント向け商品の重要性は増しているのだ。

試乗会では「レクサスRX450h」などで新商品を試した

プレミアムセグメントに注力する理由について金原社長は、「グッドイヤーブランドの位置づけを日本で上げていきたい。(グッドイヤーは)欧米ではファーストティアなのだが、日本の状況は必ずしもそうはなっていない。それを本来あるべき場所に持っていきたい」とする。自動車大変革を前に、まずは日本市場でも、ビッグスリーの一角として存在感を高めたいというのが日本グッドイヤーの考えだ。

総務省施策が追い風に? 携帯分離の「歴史的チャンス」狙うファーウェイ

総務省施策が追い風に? 携帯分離の「歴史的チャンス」狙うファーウェイ

2019.03.20

モバイル業界を変える「携帯値下げ議論」が過熱

ファーウェイは日本を取り巻く環境を「歴史的チャンス」と発言

コスパ高いミッドレンジ端末でシェア拡大を目指す

20日、NTTドコモが特定の端末の購入を条件に通信料金を割り引く「docomo with」、購入する端末に応じて通信料金を割り引く「月々サポート」を終了する方針を固めたという報道が話題となっている。

国内のモバイル業界では携帯電話料金見直しが進んでおり、3月5日には総務省が中心に進めてきた端末代金と通信料金の分離が閣議決定された。NTTドコモは分離プランを軸とした新料金プランを4月に発表する見込みだ。

日本のモバイル市場を大きく変えるこの動きを「歴史的チャンス」と見ているのがファーウェイだ。2018年末から米中対立が加速する中、ファーウェイが打ち出すメッセージも語気を強めている。果たして日本市場でシェアを拡大できるのだろうか。

逆風吹けども、依然として業績は好調

今年に入り、ファーウェイの周辺が騒がしい。3月7日には、ファーウェイは米国政府を相手取って訴訟を起こした

さらにその内容をFacebookでライブ配信するなど、米国以外の世界市場に向けたメッセージにもしており、そのメッセージをまとめたウェブサイト「Huawei Facts」は、わざわざ日本語版も用意している。

2018年末から続く米中対立を巡る報道は、ファーウェイの業績にどのような影響を与えたのか。MWC19でインタビューに応じたファーウェイ・ジャパンの呉波氏は、「一部の消費者は影響を受けたが、2019年に入ってから売上は大幅に伸びている」と語った。

ファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波(ゴ・ハ)氏

話題の「折りたたみスマホ」でもファーウェイは先行する。

ファーウェイに先立って折り畳みスマホを発表したサムスンだが、こちらはMWCではガラスケース内での「展示」のみにとどまったのに対し、ファーウェイは「Mate X」の実機を用いて報道関係者に折り曲げを試させるなど、製品化で一歩先を行っていることをアピールした。

ファーウェイの折りたたみスマホ「Mate X」。報道陣には手に取って折り曲げてみる機会も用意された

Mate Xは次世代移動通信の「5G」にも対応しており、日本では5Gサービスの開始を待って投入時期を見極める方針だという。

ちなみに3月26日に発表予定のフラグシップ機「HUAWEI P30」シリーズは、例年通りのタイミングで日本市場に投入するようだ。SIMフリーでの発売だけでなく、ドコモが採用した「HUAWEI P20 Pro」のように大手キャリアによる採用があるかどうかも注目したい。

分離プランを「歴史的チャンス」と捉えるワケ

一方、2019年の国内モバイル市場で話題となっているのが携帯料金における「分離プラン」の導入だ。KDDIとソフトバンクはすでに導入済みだが、NTTドコモは4月に発表する新料金プランから本格導入するとみられている。

分離プランの特徴は、NTTドコモの「月々サポート」のように回線契約と紐付けた端末の割引が禁止される点だ。端末の割引自体が禁止されるわけではないというものの、大幅な割引は難しくなる。その結果、10万円を超えるようなハイエンド機ではなく、3〜4万円で一括購入しやすいミッドレンジ機の需要が高まるとの見方が有力だ。

この動きをファーウェイはどう見ているのか。

呉氏は「非常に重要視している。スマホが登場したときや、SIMフリー市場が始まったときのインパクトに引けを取らない、歴史的な瞬間になる」と興奮気味に語る。

日本のSIMフリー市場でベストセラーとなった「HUAWEI P20 lite」を始め、ファーウェイのミッドレンジ機のラインアップは厚い。モデルによってはフラグシップと同じCPUでミッドハイの価格を実現するなど、コスパの高さも特徴だ。大手キャリア向けにさまざまな提案ができる体制といえる。

フラグシップと同じ「Kirin 980」搭載でミッドハイ価格の「HONOR View 20」

また、5G対応も順調だ。

モバイルWi-Fiルーターに強みを持つファーウェイは、MWC19でも5G対応ルーターを多く出展していた。日本ではまだ周波数の割り当てが終わっていないものの、国内大手キャリアは2019年内にもプレサービスを始める動きがある。5Gスマホが普及するまでの間、5Gルーターの需要は高まる可能性がある。

5G対応のモバイルWi-Fiルーターも出展していた

ミッドレンジ市場の拡大を狙って、今年はシャープやサムスン以外にも、ソニーモバイルの参入も予想されている。

この価格帯が激戦区になることは間違いないが、ファーウェイはその中で高コスパの製品ラインアップや、国内での地道な販促活動やブランドメッセージの打ち出しによって対抗していく構えだ。

ヨドバシカメラ梅田店での販促イベントの様子
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Googleがゲーム本格参入の衝撃、2019年中にゲーム基盤「STADIA」を投入

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2019.03.20

Googleが新しいゲームプラットフォームを発表

配信方式でゲーム機不要、「ゲーム機」の時代の終焉?

2019年内にローンチ、性能はプレステやXbox以上か

3月19日、米国で開催中のゲーム開発者会議「GDC 2019」の会場で、Googleがクラウドベースのゲーミングプラットフォーム「STADIA」を発表した。特定のゲーム機に縛られず、ネットに接続したスマホやパソコン、テレビを通してストリーミング(配信)形式でゲームをプレイできる。

この事業を担当するバイスプレジデントとして、STADIAを発表するフィル・ハリソン(Phil Harrison)氏。そもそも彼からして、元はソニーのプレイステーション立ち上げの主要メンバーで、その後Microsoftに移りXboxを担当したという経歴の持ち主

かねてより、MicrosoftのXbox事業のトップマネージャーを引き抜いた、ソニーでPlayStationのハード開発にかかわったエンジニアが転職したといった噂が頻繁に流れており、「Googleがゲーム市場に本格参入する」という憶測は強まっていた。実際に2018年には、Googleは「Project Stream」と呼ばれるストリーミング形式のゲーム基盤の計画を発表し、米国内でベータテスターを募って技術テストを行っていた。

STADIAは、Project Streamの延長線上にあるサービスと見られる。ユーザーは特定のゲーム機を持っている必要がなく、従来のゲーム機の役割をするのはGoogleの設置するデータセンターだ。簡単に言えばクラウドサービスのように、実際にゲームタイトルが動作しているのはデータセンター側で、ユーザーはインターネットを介してゲームを遠隔でプレイする。

STADIAのデータセンターから配信されたゲームをパソコンでプレイしている様子
パソコンで遊んでいたのと同じゲームを、タブレットやテレビでも同じように遊ぶことができる

このプラットフォームの特徴によって、例えばYouTubeで新作ゲームのトレーラー動画を見ていて気に入ったときには、そのページ内の「プレイする」ボタンを押すだけで、インストールすら不要で、動画を再生するかのようにそのゲームをプレイできるようになる。

そして、STADIAのデータセンターが持つゲーム機としてスペックは、サービス開始時のものとして、GPUの演算性能は10.7テラFlopsに達するといい、これはPlayStation 4 Proの4.2テラFlopsや、Xbox One Xの6.0テラFlopsを大きく上回る。映像品質も4K/60fpsのストリーミングに対応し、将来は8K/120fps対応も予定しているという。

STADIA用の「STADIAコントローラー」も販売する。SNSアップ用のボタンや、Googleアシスタントボタンが備わっている

Googleは2019年中にSTADIAをローンチする予定で、まずは米国、カナダ、欧州でサービスを開始すると説明している。発表を受けた翌20日の東京株式市場では、任天堂とソニーの株価が揃って大きく下落した。投資家たちが、GoogleのSTADIAによって、Nintendo SwitchやPlayStationのビジネスが脅かされると考えたからだ。

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