トヨタの「ハイエース」が50周年、根強い人気には理由があった

トヨタの「ハイエース」が50周年、根強い人気には理由があった

2017.12.01

トヨタ自動車「ハイエース」といえば、日本全国どこでも見かける“はたらくくるま”の代表格。そのハイエースがマイナーチェンジを機に発表会を行なった。改良の内容をお伝えするとともに、世界各地で愛され続けている理由、増えつつあるレジャーユースへの対応なども報告しよう。

“はたらくくるま”の代表格「ハイエース」がマイナーチェンジ(画像提供:トヨタ自動車)

トヨタでは「クラウン」に次ぐ歴史を持つ「ハイエース」

トヨタのワンボックスカー「ハイエース」が姉妹車の「レジアスエース」ともどもマイナーチェンジを受け、11月22日に発表会が行われた。ハイエースのような商用車がメインの車種のマイナーチェンジで、メーカーが発表会を行うことは珍しい。興味があって足を運ぶと、そこには「ハイエース50周年」という文字が大きく掲げられており、フロアには歴代ハイエースが並んでいた。

トヨタはロングセラーの車種が多い。筆頭が1951年に「トヨタ・ジープBJ」としてデビューした「ランドクルーザー」であり、3年後には小型トラックの「トヨエース」、翌年には国産高級車の代表格「クラウン」が登場している。ハイエースはこれらに続く歴史の持ち主だ。

50周年を迎えたハイエースの歴代モデルが集結

モデルチェンジの間隔が長いのもハイエースの特徴の1つで、現行型は5代目にあたり、2004年に発表された。前面衝突時の衝撃を吸収する車体前部の骨格を上下二重にするなどして安全性能に配慮しつつ、エンジンを前方に移動することで荷室長3メートルを達成。ワイドボディも追加することで「より広い空間を」という声に応えた。

今回のマイナーチェンジでは、環境性能と安全性能がさらに向上した。環境面では、2年前に「ランドクルーザープラド」に初搭載した新世代の2.8Lターボのクリーンディーゼルエンジンを採用。これにより燃費が向上し、一部車種でエコカー減税の適用を受けられるようになった。安全面では、衝突被害軽減ブレーキなどを含めた予防安全システムの「トヨタ・セーフティ・センスP」を設定した。

マイナーチェンジで環境性能と安全性能が向上

海外でも人気、多様な使い方に対応

発表会ではチーフエンジニアの野村淳氏から興味深い話を聞くことができた。その1つが海外展開についてだ。日本の風景の一部になっている感があるハイエースだが、販売比率は国内向けが4割で、海外向けの方が多いという。

ただし使用目的は異なっており、物流が85%を占める日本に対し、海外では「人流」、つまり人を運ぶ用途が多いとのこと。たしかに筆者も東南アジアなどで、マイクロバスとして使われるハイエースを利用したことがある。

海外では人を運ぶ用途でも活躍するハイエース(画像は初代)

使い方は日本よりはるかに過酷であり、1日の走行距離1,000キロ、高低差4,000メートルというシーンもあるそうだ。サスペンションを変更することで、30人以上の人を乗せて走っている例もあるという。ランドクルーザー並みにヘビーデューティーな条件だ。

乗用車とは一桁違う耐久性能

それでもハイエースが音を上げない理由の1つとして、「ハイエース・クオリティ」と呼ぶ独自の品質基準を設定していることを野村氏は挙げた。例えばスライドドアの耐久性は、同じトヨタの乗用車とは一桁違う基準を設定しているそうだ。もともと信頼性では定評のあるトヨタ車の中でも、ハイエースは抜きん出た存在なのである。

世界各地で活躍する車両でありながら、ハイエースの生産工場は数カ所に留まっている。しかも、日本以外は主要部品を輸入して組み立てを行うノックダウン工場としている。これも群を抜く信頼性や耐久性を維持するためであるとのことだ。

日本以外ではノックダウン生産を行っている(画像は2代目ハイエース)

さらに興味深かったのは、走る・曲がる・止まるという自動車の基本性能においては、いきなり壊れて止まることがなく、事前に異音を発生するなどして使用者に不調を伝えるような設計が込められているということ。インフラとして、プロの道具として、世界の生活を支えているハイエースだからこそ、このような配慮を盛り込んでいるという。

上級の安全装備を採用した理由

今回のマイナーチェンジでは、予報安全装備の「トヨタ・セーフティ・センスP」を装備したことを紹介した。カローラなどが採用している「トヨタ・セーフティ・センスC」より格上のシステムであり、車体構造の関係で「アダプティブ・クルーズ・コントロール」(ACC)がつかないことを除けば、「プリウス」や「C-HR」に並ぶ性能だ。

ACCこそついていないが、ハイエースの予防安全装備は「プリウス」などに並ぶ性能だ(画像は左が3代目、右が4代目)

格上の安全装備を取り入れたのもまた、壊れないクルマを目指した結果だという。ハイエースのような商用車は、事故などを起こして動かなくなると仕事に支障を及ぼす。使用者だけではなく、取引先など他の多くの人々に影響する。何よりもまず、事故を起こしにくいハイエースにしたい。この気持ちが、2種類ある予防安全装備の上級版導入に結びついたのである。

あえてフルモデルチェンジをしないハイエース

現行型になって13年が経過しているにもかかわらず、フルモデルチェンジではなくマイナーチェンジとしたのも、実は似たような理由からだった。

フルモデルチェンジをすると、多くの部品が切り替わるので、そのたびに自動車整備工場などでは多くの部品を確保しなければならない。モデルチェンジが頻繁に行われると部品の数が増えるし、海外の地方都市などでは新型の部品の供給が行き届かないこともある。しかし、マイナーチェンジに留めておけば、多くの部品が旧型と共通なので、確保がしやすい。壊れてもすぐに直せるから、仕事に支障を及ぼす可能性が少ないことを意味する。

野村氏は「商用車はモデルチェンジしないことも商品力の1つ」と語っていた。乗用車がモデルチェンジをすることで商品力を高めていくのとは対照的だ。ハイエースが乗用車とは全く違う意識で作られていることがわかる。

あえてフルモデルチェンジしないのにも理由がある

実は若者にも人気! 乗る人によって表情を変えるクルマ

そんなハイエースであるが、現在はレジャーカーとして選ぶ人も増えており、そこには若者も少なくない。マイナーチェンジ前の販売実績では、装備が充実した上級グレードの「スーパーGL」が4割に達していたそうで、乗用車的な使い方が増えていることがうかがえる。

生活に余裕ができたことも大きいとは思うが、素材として使いこなせて、自分好みにアレンジできる可能性を秘めているところも魅力なのだろう。今年、13年ぶりに日本市場に復活した「ハイラックス」も20~30歳代のユーザーが多いそうで、今の若者がスポーツカーだけでなく、バンやトラックのような使いやすくて頼りがいのある車種にも魅力を感じていることが伝わってくる。

日本市場で13年ぶりに復活した「ハイラックス」(画像)も若い世代に受けているそうだ

こうした状況を見据えて新型ハイエースでは、ボディやインテリアをファッショナブルにカスタマイズした特別仕様車「リラクベース(Relaxbase)」を用意。さらに、販売を担当するトヨペット店では、ハイエースでアウトドアを楽しむライフスタイルを提案する「ハイエースフィールド」を44店舗に設置予定としている。

ハイエースフィールドのイメージ図(画像提供:トヨタ自動車)

人や物を運ぶという本来の目的を世界各地で展開しつつ、レジャーユースという新しい要求にもしっかりと応えていく意志を見せた新型ハイエース。50周年はこのクルマにとっての転換点になるかもしれない。

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メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

2019.03.22

ネットの学校「N高」の卒業式に潜入

開校時に入学したN高1期生が卒業した

世間の注目を浴び続けた生徒は、何を想う?

3月、角川ドワンゴ学園「N高等学校」の卒業式が東京・お台場にて開催された。

「ネットの高校」として、3年前に設立したN高。この日、2016年の開校時に入学した第1期生と、途中転入・編入した生徒をあわせ、計1593名が卒業した。3年前、『VR入学式』で世間を賑わせたこの学校を巣立つ卒業生たちは、N高での日々をどう捉え、今後はどのようなキャリアを描いていくのだろうか。

卒業式は2019年3月20日、お台場にて行われた

卒業式を彩る最新テクノロジー

N高は、ドワンゴとKADOKAWAの経営統合で誕生したカドカワが設立母体となり、2016年4月に開校された通信制高校だ。同校は開校後、2年次編入なども受け入れてきたため、これまでも卒業生を排出してきてはいたが、「1年生~3年生をN高で過ごした生徒」が卒業するのは、初めてのことだ。

卒業式には多くの報道陣も参加した。生徒にとって、「卒業式に記者がいる」「自分たちが卒業する様子がテレビやWebで取り上げられる」というのは不思議な感覚だろう。とはいえ、もう「VR入学式」に「ニコニコ超会議」へのブース出展(N高ではそれを「文化祭」と表現)などの経験を経て、メディアへの露出には慣れてしまっているのかもしれない。

そして、今回の卒業式も例によって独特だった。

卒業式は任意参加で、会場には袴や制服に身を包んだ生徒が集まる一方、その様子をライブ配信することで、会場に来られない生徒生徒も参加できる仕組みになっていた。会場のスクリーン上にはニコニコ生放送さながら、リアルタイムでコメントが表示されており、こうした演出は「N高らしい」といった印象を受けた。

卒業式の様子。オンライン参加者のコメントがスクリーンを流れる

中でも印象深かったのは、当日来られなかった生徒を代表して、米シリコンバレーに留学中の佐々木雅斗さんが「ロボット」に自分の顔を映して卒業証書を受け取ったシーンだ。

使用したのは、ANAが“未来の移動手段”として開発する、視覚・聴覚・触覚などを備えた、ユーザーの分身となるロボット「ANA AVATAR」。同校ではこのロボットを試験的に授業にも導入しているそうで、こういった最新のテクノロジーを使うあたりもN高らしい。

遠隔操作ロボット「ANA AVATAR(Beam Pro)」を用いて卒業証書を受け取った佐々木さん

と、テクノロジーにばかり目が行きがちではあるが、そもそも「高校生がシリコンバレーに留学している」という事実も驚くべき点だ。高校に通いながらも、シリコンバレーでビジネスを学ぶ――、というキャリアを選べるのは、学校という場所の制約を受けない、ネットの高校のメリットと言えるだろう。

卒業式にはほかにも「異色のキャリア」を持つ生徒たちが集まり、特に活躍した卒業生に対する特別表彰も行われた。

表彰を受けたのは、東京から鹿児島県に移住し、農業や水産業を手伝い地域活性化に貢献する白鳥優季さん、第18回アジア競技大会ジャカルタ・パレンバン「ウイニングイレブン 2018」eスポーツ 金メダリストの相原翼さん、N高のプログラムを最大限に活用し、スタンフォード大学やオックスフォード大学のサマープログラムに参加した冨樫真凜さんなど。その活躍の幅は広い。

さまざまな分野で活躍したN高生に対しては、特別表彰が行われ、記念品としてクリスタルトロフィーが贈呈された

メディア露出が多いがゆえに高まる期待値

N高を卒業した個性豊かな面々は、今後は大学進学、就職とさまざまなキャリアを歩む。

日本初で唯一N高にのみ実在するという「起業部」に所属し、かつ起業第一号として「Easy Go」という会社を創業している、鈴木颯人さんと山田陽大さんから「N高で過ごした時間」についてコメントをもらった。

「元々は地元の進学校に通っていたのですが、『自分が好きなことをしたい』『起業したい』という想いがあり、N高に入学しました。年齢や場所に縛られず、多くの人とコミュニケーションを取れ、充実した3年を過ごせました」(鈴木さん)

「以前通っていた学校が自分と合わず、ネットで見つけたN高で『ここだったら新しいことができるかも』と入学を決意しました。今振り返ってみて、やはり『この学校に来てよかった』と思います」(山田さん)

Easy Go代表取締役の鈴木颯人さん(左)と取締役の山田陽大さん(右)

2人に限らず、卒業生のコメントを聞いていくと「この場所で挑戦してみたい」という想いの元、N高を選んでいる生徒が多い印象だ。

普通の高校とは違い、メディアに露出する機会の多いN高での生活は、良くも悪くも、世間からの注目を浴びる。まだ高校生の彼らにとっては、その視線が時に辛く感じることもあっただろう。ただ、その一方で鈴木さんは「初めて会う方とお話しする際、『N高出身です』と言うだけで、会話が広がることがよくあります」とその知名度を好意的に捉えている。

若くして、覚悟を持ってN高という環境に飛び込んだ生徒たちは、周囲の視線を浴びつつ、たくましく成長してきたことだろう。「N高出身」というキャリアは、彼らにとって1つの大きな武器になりそうだ。

カドカワは新たに2019年4月から、「N中等部」も開校する予定だ。「ネットの学校」という、世間の注目が集まる新しいコンセプトの学校だからこそ、在校生・卒業生の動向は、今後もしばらくは注目され続けそうだ。

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スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

2019.03.22

中国スマホメーカーのOPPOが独自のカメラ技術を説明

開発競争が続くスマホカメラ、トレンドは「望遠」へ

高倍率ズームスマホの登場で、デジカメの優位性に危機?

中国のスマホメーカーとしてシェアを急拡大するOPPOが独自に新開発したカメラ技術、「10倍ハイブリッドズーム」が面白い。実際に2019年の新機種からスマホへの搭載を進め、日本市場へも製品を投入するという。

OPPOが「10倍ハイブリッドズーム」技術を紹介

メーカー間の開発競争が続くスマホカメラだが、「望遠」が次のトレンドになりつつある。デジタルカメラに匹敵する10倍もの高倍率ズームを、OPPOはどのように実現したのだろうか。

1年で7機種を投入、気付いた「日本市場の難しさ」

OPPOは世界のスマホ市場で熾烈な4位争いを繰り広げている。サムスン、アップル、ファーウェイのトップ3社に続く集団の中で、2018年は中国Xiaomiに僅差で迫る5位になった(IDC調べ)。

OPPOは2018年、日本市場で7機種のスマホを発売した。OPPO日本法人の鄧宇辰社長は、これまでに国内販売チャネルを12に拡大し、あわせて認定修理店を全国に展開したことを挙げ、「日本のSIMフリー市場でいち早く成長するブランドになった」と振り返る。

オッポジャパン 代表取締役社長の鄧宇辰氏
2018年の1年間にスマホを7機種投入

2019年は国内展開をさらに加速する。日本の消費者に向けたコミットメントとして、件の「10倍ハイブリッドズーム」機能を備えたスマホや、FeliCa・防水対応のスマホ、新たに立ち上げたブランド「Reno」シリーズの市場投入を約束する。

また、話題の「5Gスマホ」の市場投入も急ぐ。日本では5Gの周波数がまだキャリアに割り当てられていないものの、ドコモ、KDDI、ソフトバンクを含む世界の事業者と標準化に向けて連携しており、準備を整えていることを強調する。

MWC19のQualcommブースではOPPOが5Gスマホを実演

一方で鄧社長は、日本市場の難しさについて、「1年の経験を通して、日本市場は他の国と違うことに気付いた。消費の習慣や求めるレベルも高い。グローバルのやり方を日本に持ってきても通用しない」とも述べている。日本市場における品質やサービスの要求水準の高さは、多くのメーカーが直面してきた課題だが、OPPOも同じ壁にぶつかったといえそうだ。

スマホカメラ、次のトレンドは「望遠」に

そのOPPOが市場攻略にあたり、特に注力をしはじめたのが「カメラ」だ。その中でも、業界では次の進化ポイントとして「望遠」技術に注目が集まっている。

そもそもスマホはデジカメと違い本体が薄いため、搭載できるレンズに物理的な制約がある。このレンズの制約から、スマホのカメラはどうしても焦点距離の狭さが弱点になってしまっていた。そこで最近はスマホに複数のカメラを内蔵し、それぞれで広角や望遠を使い分けることで、この弱点を克服しようと進化している。

OPPOの「10倍ハイブリッドズーム」技術は、この弱点に対し異なるアプローチで挑む。プリズムを使って光を屈曲させるペリスコープ(屈曲光学)構造をカメラモジュールに採用することで、レンズを従来の垂直方向ではなく水平に配置できるようにした。これにより、薄型のスマホであっても、光学レンズでは従来不可能だった高倍率ズームが搭載できる。

光を曲げるペリスコープ構造を採用

ただ、35mm換算での焦点距離は16~160mmの10倍となっており、一般的なコンデジの感覚では5倍ズーム程度の性能だ。8.1倍以上はデジタル処理を組み合わせた「ハイブリッドズーム」としているなど、いくつか注意点はある。とは言え、これまでにない望遠レンズをスマホで扱えるのは面白い。

10倍ハイブリッドズームによる画角の違い

OPPOは既に報道陣に向けて、この10倍ハイブリッドズーム技術を搭載するスマホの開発デモ機を公開している。2019年の第2四半期には製品化する計画で、日本市場へも2019年中に投入する見込みだ。

10倍ハイブリッドズームのデモ機。5Gにも対応できるという

特にカジュアルなカメラ需要の受け皿としてスマホに押されがちなデジタルカメラだが、高倍率ズームはスマホには無い、デジカメに残された得意分野のひとつだった。だが望遠もスマホで十分撮れるとなれば、いよいよその優位性も危うくなる。今回のズーム技術は、デジカメ市場をもう一段縮小させてしまう可能性を秘めているのだ。

最大のライバルであるファーウェイも「HUAWEI P30」シリーズで望遠カメラを搭載するとみられており、今後は各メーカーが高倍率ズームで競い合うことは間違いなさそうだ。

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