HPの最新ノートPCが見据える、個人の「プロ利用」とは?

HPの最新ノートPCが見据える、個人の「プロ利用」とは?

2017.12.02

「働き方改革」により、ノートPCを持ち出して仕事をする機会が増えている。PCの世界シェアで1位に躍り出たHPも、今後の拡大が見込まれるこの市場に狙いを定めてきた。

HPの最新モバイルノートPC、HP Spectre 13

ビジネスPCといえばオフィスに馴染む地味なデザインが多かったが、外に持ち出しても見劣りしないものが求められつつある。個人向けPCを仕事に利用する機会が増えたことで、法人と同じセキュリティが求められるようになってきた。HPの最新製品もこうしたトレンドを踏まえている。

HPは「多様性」を軸にデザインに注力

PC市場では、2-in-1やタブレットを除いた従来型PCの出荷台数は縮小が続いている。その中でもHPは、世界シェアで数年間に渡って首位を維持してきたレノボを逆転したことで注目を浴びている。米IDCの調査では2017年第3四半期のシェアはHPが22.8%、レノボが21.6%と差は小さいが、勢いがあるのはHPだ。

一方、日本ではNECレノボグループが盤石な体制だが、さらに富士通がレノボ傘下になったことでレノボグループの存在感は日本市場の4割を占めるまでになっている。日本市場でHPはデルと同じ3位グループに位置しており、どう対抗するのかが注目されていた。

11月17日の発表会には米HPからデザイン担当バイスプレジデントであるステイシー・ウルフ氏が来日。4年前に再出発したというHPのデザインに対する考え方を語った。その中でウルフ氏が強調したのが、様々なバックグラウンドを持つ人材を集め、グローバルに展開するPCメーカーに求められる「多様性」を確保しているという点だ。

米HP パーソナルシステムズ インダストリアルデザイン担当 バイスプレジデントのステイシー・ウルフ氏

その最新事例が、プレミアムクラスの個人向けノートPC「HP Spectre 13」だ。最新CPUの「第8世代Coreプロセッサー」を搭載しつつ、狭額縁化によりコンパクトな横幅を実現した。注目は、本体カラーにモバイル機としては敬遠されがちなホワイトを大胆に採用した点だ。

上質な塗装のセラミックホワイトが目を引く

ホワイトは汚れやすいイメージがあるものの、HPでは電着塗装により上質な手触りの塗装と耐久性を両立させたという。ナチュラルな内装の自宅にも溶け込み、カフェに持ち出してもMacBookに負けないデザインといえる。

本体の最薄部は10.4mmという薄さも特徴だが、薄型のノートPCは画面を開けにくい問題があった。そこで本体形状を工夫し、ネイルをしている女性でも爪を痛めないよう配慮したという。女性ユーザーを意識することで、結果的に男性にも使いやすいものになった。

薄型でも画面を開きやすい形状に

ビジネス用途で好みが分かれそうな点として、キーボードの「Enter」の右側にもキーが配置されており、画面出力はUSB Type-Cから変換が必要になるものの、優れたデザインのWindows PCとして注目に値するモデルだ。

働き方改革で増える個人PCの「プロ利用」

「働き方改革」により個人のPCを仕事に持ち込む機会が増えている。そこで個人向けPCにも、法人向けのセキュリティ機能が搭載されつつある。

ノートPCの盗み見を防ぐ機能が「HP Sure View」だ。斜めから見ると画面が真っ白になるため、移動中や外出先で画面から機密情報を盗まれる「ビジュアルハッキング」を防ぐことができる。これまでHPは法人向けに提供してきたが、個人向けPCでも選択できるようになった。

斜めから見ると画面が真っ白になる「HP Sure View」

これまでは画面に装着する「プライバシーフィルター」もあったが、HPは画面に機能を組み込むことで、キーを押すだけで有効化できるのが特徴だ。正面から見ても画面はわずかに白濁するものの、不要になれば簡単にオフにできる。

また、OSの「Windows 10」もこれまでは個人向けがHome、法人向けはProと棲み分けていた。だがHPは個人向けモデルでもWindows 10 Proを選択できるようにしたという。Proは法人向けの管理機能が強化されており、個人のPCを企業内ネットワークにつなぐ場合でも安心して利用できる。

働き方改革によりいつでもどこでも働けるようになれば、出社せずに自宅で仕事を済ませることで育児や介護と両立するなど、多様なライフスタイルが実現する。HPはビジネスPC製品において、個人向けと法人向けの間にあった壁を取り払うことで新しい時代に対応しようというわけだ。

トヨタの「ハイエース」が50周年、根強い人気には理由があった

トヨタの「ハイエース」が50周年、根強い人気には理由があった

2017.12.01

トヨタ自動車「ハイエース」といえば、日本全国どこでも見かける“はたらくくるま”の代表格。そのハイエースがマイナーチェンジを機に発表会を行なった。改良の内容をお伝えするとともに、世界各地で愛され続けている理由、増えつつあるレジャーユースへの対応なども報告しよう。

“はたらくくるま”の代表格「ハイエース」がマイナーチェンジ(画像提供:トヨタ自動車)

トヨタでは「クラウン」に次ぐ歴史を持つ「ハイエース」

トヨタのワンボックスカー「ハイエース」が姉妹車の「レジアスエース」ともどもマイナーチェンジを受け、11月22日に発表会が行われた。ハイエースのような商用車がメインの車種のマイナーチェンジで、メーカーが発表会を行うことは珍しい。興味があって足を運ぶと、そこには「ハイエース50周年」という文字が大きく掲げられており、フロアには歴代ハイエースが並んでいた。

トヨタはロングセラーの車種が多い。筆頭が1951年に「トヨタ・ジープBJ」としてデビューした「ランドクルーザー」であり、3年後には小型トラックの「トヨエース」、翌年には国産高級車の代表格「クラウン」が登場している。ハイエースはこれらに続く歴史の持ち主だ。

50周年を迎えたハイエースの歴代モデルが集結

モデルチェンジの間隔が長いのもハイエースの特徴の1つで、現行型は5代目にあたり、2004年に発表された。前面衝突時の衝撃を吸収する車体前部の骨格を上下二重にするなどして安全性能に配慮しつつ、エンジンを前方に移動することで荷室長3メートルを達成。ワイドボディも追加することで「より広い空間を」という声に応えた。

今回のマイナーチェンジでは、環境性能と安全性能がさらに向上した。環境面では、2年前に「ランドクルーザープラド」に初搭載した新世代の2.8Lターボのクリーンディーゼルエンジンを採用。これにより燃費が向上し、一部車種でエコカー減税の適用を受けられるようになった。安全面では、衝突被害軽減ブレーキなどを含めた予防安全システムの「トヨタ・セーフティ・センスP」を設定した。

マイナーチェンジで環境性能と安全性能が向上

海外でも人気、多様な使い方に対応

発表会ではチーフエンジニアの野村淳氏から興味深い話を聞くことができた。その1つが海外展開についてだ。日本の風景の一部になっている感があるハイエースだが、販売比率は国内向けが4割で、海外向けの方が多いという。

ただし使用目的は異なっており、物流が85%を占める日本に対し、海外では「人流」、つまり人を運ぶ用途が多いとのこと。たしかに筆者も東南アジアなどで、マイクロバスとして使われるハイエースを利用したことがある。

海外では人を運ぶ用途でも活躍するハイエース(画像は初代)

使い方は日本よりはるかに過酷であり、1日の走行距離1,000キロ、高低差4,000メートルというシーンもあるそうだ。サスペンションを変更することで、30人以上の人を乗せて走っている例もあるという。ランドクルーザー並みにヘビーデューティーな条件だ。

乗用車とは一桁違う耐久性能

それでもハイエースが音を上げない理由の1つとして、「ハイエース・クオリティ」と呼ぶ独自の品質基準を設定していることを野村氏は挙げた。例えばスライドドアの耐久性は、同じトヨタの乗用車とは一桁違う基準を設定しているそうだ。もともと信頼性では定評のあるトヨタ車の中でも、ハイエースは抜きん出た存在なのである。

世界各地で活躍する車両でありながら、ハイエースの生産工場は数カ所に留まっている。しかも、日本以外は主要部品を輸入して組み立てを行うノックダウン工場としている。これも群を抜く信頼性や耐久性を維持するためであるとのことだ。

日本以外ではノックダウン生産を行っている(画像は2代目ハイエース)

さらに興味深かったのは、走る・曲がる・止まるという自動車の基本性能においては、いきなり壊れて止まることがなく、事前に異音を発生するなどして使用者に不調を伝えるような設計が込められているということ。インフラとして、プロの道具として、世界の生活を支えているハイエースだからこそ、このような配慮を盛り込んでいるという。

上級の安全装備を採用した理由

今回のマイナーチェンジでは、予報安全装備の「トヨタ・セーフティ・センスP」を装備したことを紹介した。カローラなどが採用している「トヨタ・セーフティ・センスC」より格上のシステムであり、車体構造の関係で「アダプティブ・クルーズ・コントロール」(ACC)がつかないことを除けば、「プリウス」や「C-HR」に並ぶ性能だ。

ACCこそついていないが、ハイエースの予防安全装備は「プリウス」などに並ぶ性能だ(画像は左が3代目、右が4代目)

格上の安全装備を取り入れたのもまた、壊れないクルマを目指した結果だという。ハイエースのような商用車は、事故などを起こして動かなくなると仕事に支障を及ぼす。使用者だけではなく、取引先など他の多くの人々に影響する。何よりもまず、事故を起こしにくいハイエースにしたい。この気持ちが、2種類ある予防安全装備の上級版導入に結びついたのである。

あえてフルモデルチェンジをしないハイエース

現行型になって13年が経過しているにもかかわらず、フルモデルチェンジではなくマイナーチェンジとしたのも、実は似たような理由からだった。

フルモデルチェンジをすると、多くの部品が切り替わるので、そのたびに自動車整備工場などでは多くの部品を確保しなければならない。モデルチェンジが頻繁に行われると部品の数が増えるし、海外の地方都市などでは新型の部品の供給が行き届かないこともある。しかし、マイナーチェンジに留めておけば、多くの部品が旧型と共通なので、確保がしやすい。壊れてもすぐに直せるから、仕事に支障を及ぼす可能性が少ないことを意味する。

野村氏は「商用車はモデルチェンジしないことも商品力の1つ」と語っていた。乗用車がモデルチェンジをすることで商品力を高めていくのとは対照的だ。ハイエースが乗用車とは全く違う意識で作られていることがわかる。

あえてフルモデルチェンジしないのにも理由がある

実は若者にも人気! 乗る人によって表情を変えるクルマ

そんなハイエースであるが、現在はレジャーカーとして選ぶ人も増えており、そこには若者も少なくない。マイナーチェンジ前の販売実績では、装備が充実した上級グレードの「スーパーGL」が4割に達していたそうで、乗用車的な使い方が増えていることがうかがえる。

生活に余裕ができたことも大きいとは思うが、素材として使いこなせて、自分好みにアレンジできる可能性を秘めているところも魅力なのだろう。今年、13年ぶりに日本市場に復活した「ハイラックス」も20~30歳代のユーザーが多いそうで、今の若者がスポーツカーだけでなく、バンやトラックのような使いやすくて頼りがいのある車種にも魅力を感じていることが伝わってくる。

日本市場で13年ぶりに復活した「ハイラックス」(画像)も若い世代に受けているそうだ

こうした状況を見据えて新型ハイエースでは、ボディやインテリアをファッショナブルにカスタマイズした特別仕様車「リラクベース(Relaxbase)」を用意。さらに、販売を担当するトヨペット店では、ハイエースでアウトドアを楽しむライフスタイルを提案する「ハイエースフィールド」を44店舗に設置予定としている。

ハイエースフィールドのイメージ図(画像提供:トヨタ自動車)

人や物を運ぶという本来の目的を世界各地で展開しつつ、レジャーユースという新しい要求にもしっかりと応えていく意志を見せた新型ハイエース。50周年はこのクルマにとっての転換点になるかもしれない。

[AWS re:Invent 2017]CEOのJassy氏、Kubernetesのマネージドサービス発表

[AWS re:Invent 2017]CEOのJassy氏、Kubernetesのマネージドサービス発表

2017.12.01

Aamazon Web ServicesのCEOを務めるAndy Jassy氏は11月29日(米国時間)、年次イベント「AWS re:Invent 2017」の基調講演で、注目の新サービスを発表した。同氏は、競合他社のサービスとの比較を示しつつ、同社のクラウドプラットフォームが多くの顧客に支持されていることをアピールした。

Amazon Web Services CEO, Andy Jassy氏

今年のテーマは「Everything is Everything」 - すべてがAWSになる

AWS re:Inventでは、さまざまな新機能や戦略、同社のサービスを利用したサードパーティベンダーのサービスやプロダクトが発表される。世界中からユーザーが参加するこのイベントだが、今年は4万人を超える人が参加しており、IT業界のイベントとして最大規模に達している。開催場所も5つの拠点に分散している。

AWSのCEOは例年、AWS re:Inventで重要なメッセージを発信するが、今年のメッセージを端的にまとめると、「Everything」「Everything is Everything」になりそうだ。すなわち、AWSは「すべて(Everything)」を提供して顧客に選択の自由を提供する、これが今年のAWSのテーマのように見える。

今年のテーマは「Everything」

クラウド業界トップを突き進むAWS

クラウドプラットフォームにおけるAWSのシェアは大きい。Jassy氏は半数に近い割合である44%がAWSで占められており、これに7~8%ほどでMicrosoftが続いているというデータを示した。Microsoftは善戦しているほうで、他のベンダーはこの数字にも到達できていない。これまでエンタープライズの分野で幅を利かせてきたプレーヤー達はクラウドプラットフォームの分野ではAWSに太刀打ちできていないというのが現状だ。

「すべて(Everything)」という言葉が示すように、AWSの提供しているクラウドサービスの種類は多岐にわたる。そして、今後さらにサービスの増加が予想されている。「すべて」という言葉はストレートに言葉通りの意味ということになる。

AWSの提供しているサービスは多岐にわたる

re:Invent 2017の基調講演では、左右何十メートルにもなろうかというステージのスクリーン全体にわたって、サービス名やパートナー、顧客を一斉に表示するというのが特徴的な演出だった。左から右へ首を動かさないと全体が確認できなかった。

エンタープライズのカスタマーの一覧
公共機関のカスタマーの一覧
システムインテグレーターの一覧
ISVおよびSaaSプロバイダーの一覧

AWSを利用している顧客には、企業のみならず大学や教育機関、公共機関なども含まれている。主にコストの削減を目的としてAWSのサービスを利用しているようだ。こうした動きが弱まる理由は見つかっておらず、今後も同社のサービスを利用する組織が増えていくだろう。

多数ホストの管理を簡単にするKubernetesとも連携

AWS re:Inventの基調講演の内容をまとめるのは難しい。それは同社の提供しているサービスが多岐にわたるため、基調講演で発表される新サービスも同様だからだ。新たなインスタンスが提供されるとか、新しいデータベースサービスが発表されるとか、新しい機械学習サービスが提供されるとか、とにかく内容が多数のサービスに分散している。

世の中の関心を考えると人工知能技術と機械学習技術の新サービスを取り上げたいところだが、それらはプレスリリースで紹介するとして、ここではAWSのサービスとKubernetesの連携が進むことを取り上げておきたい。既存のエンタープライズの顧客にとっては、この発表が最も影響力が大きくなる可能性があるからだ。

既存の企業システムはある一定以上の規模になると、何らかの形で仮想化機能が取り込まれていると思う。それはハイパーバイザーベースのクラスタリング・システムかもしれないし、Dockerのようなコンテナベースの仮想化環境かもしれない。導入されている場所もオンプレミスであったりクラウドプラットフォームであったりとさまざまだ。しかも、単一のソリューションとは限らず、それらが混在していることもある。

こうした仮想化プラットフォームを使ったことがあれば、仮想化の運用において大変なことは、システムの導入やセットアップではなく、導入した後の「管理」にあることは身をもって体験していることだろう。管理対象は数台から数十台、数百台(台というかノードというか仮想的な管理の対象単位というか)へと膨らんでいく。しかも、複数の仮想化技術が混在しているとなると、これらを管理するのが煩雑であることはご存じの通りだ。

Kubernetesはこうした管理者にとって救世主となるフレームワークだ。Jassy氏は基調講演で、AWSのサービスとKubernetesとの連携を実現したことを改めて発表した。Kubernetesのマネージドサービス「Amazon Elastic Container Service for Kubernetes」(Amazon EKS)の提供を開始する。

これはAWSを使ったさまざまな仮想環境の管理が容易になることを意味しており、AWSへの移行を後押しする理由にもある。大量の仮想環境を管理しているのであれば、これは見逃せない動きと言える。