ワイモバイルが「学割」で先制攻撃、スマホデビューの低年齢化を取り込む

ワイモバイルが「学割」で先制攻撃、スマホデビューの低年齢化を取り込む

2017.12.05

ソフトバンクが11月30日に開催した「Y!mobile」(ワイモバイル)の発表会では、12月からの「学割」を発表。大手キャリアのサブブランドを含めた格安スマホ市場でシェアNo.1を誇るワイモバイルによる先制攻撃が始まった。

年々スマホデビューが低年齢化する中で、ワイモバイルは子どもが安心してスマホを利用できる環境作りにも取り組む。その狙いはどこにあるのだろうか。

ワイモバイルは「学割」を12月から開始する

中学生のスマホデビューは3年前の2倍に

スマホの「学割」は、春の入学や進級シーズンに向けたキャンペーンとして、年明けに発表される風物詩となっていた。だがワイモバイルは12月から半年間に渡って展開。5〜18歳を対象に、次の機種変更まで続く「データ容量2倍」や3か月の基本料無料を提供する。

なぜ12月に前倒しするのか。ワイモバイル事業を統括するソフトバンク執行役員の寺尾 洋幸氏は、「早く始めればそれだけ話題になるだろう、という仮説を立てた」と飄々と語る。実際に数が出るのは3月になると予想するものの、他社に先んじたプロモーションにより若年層からの認知度も高める狙いもあるという。

囲み取材に応じるソフトバンク 執行役員 プロダクト&マーケティング統括 Y!mobile事業推進本部 本部長の寺尾 洋幸氏

背景には「スマホデビュー」の低年齢化もある。ワイモバイルの調査では中学1年生の39%がスマホを保有しており、3年前と比べて2倍に増えている。子どもにスマホを持たせるかどうかではなく、「親御さんは、スマホを買うこと自体は決めている」と寺尾氏は指摘する。

学割と併せて発表した新端末として、中〜低価格帯の「Android One」スマホが4機種登場した。ベーシックな端末が中心だが、グーグルがアップデートを保証するため安全性が高いことが特徴になる。

安価なAndroid端末ならMVNOという選択肢もあるが、ワイモバイルはiPhoneを取り扱えるという強みもある。学生に人気だった小型の「iPhone 5s」や「iPhone SE」に加え、10月には4.7インチの「iPhone 6s」も発売したことで、「クラスの仲間と同じiPhoneを使いたい」若年層に訴求しそうだ。

iPhone SEに加え、10月からは「iPhone 6s」も取り扱う

親子間のスマホルールに一役買う取り組みも

だが、スマホデビューの低年齢化はいいことばかりではない。ネット上の有害な情報やトラブルは、親にとって不安の種だ。そこで、子どもにスマホを買い与える親たちを安心させる仕組みが求められる。

その仕組みの1つとして、ワイモバイルは有害サイトをブロックする「あんしんフィルター」をスマホに搭載する。だが、子どもは子どもなりに、LINEやSNOW、動画やゲームを自由に楽しみたいと考えている。まして中学生にもなれば、親から子に向けて一方的に制限をかけるだけではうまくいかない。

スマホへの関心は親子間で異なる

スマホの普及に伴い、スマホ利用に関する親子間での意見の調整は、どの家庭でも悩みどころだ。そこでワイモバイルは「ティーン雑誌」に着目したという。子どもにとって憧れの存在である読者モデルを活用しつつ、「夜何時までスマホを使えるか」などのルールをリスト化。具体的な時間などの詳細は各家庭で相談し、親子でサインできる書式になっている。

ティーン人気No.1の雑誌「ニコラ」と共同で作った、スマホルールリスト

MVNOの中にもトーンモバイルのように子ども利用にフォーカスした事業者は出てきているが、まだ少数派だ。この機会にワイモバイルは親世代に向けて安心感をアピールしつつ、あわよくば「家族割」で家族まるごと囲い込みたいという思惑も見えてくる。

実は、この戦略には大きな死角もある。それはソフトバンクが提供する「SoftBank」ブランドの存在だ。同じ企業体の別ブランドであるワイモバイルとして、繰り出せる施策には限界もある。寺尾氏自身も兼ね合いの難しさを漏らす場面があった。

だが学割について、ワイモバイルが攻めていることは間違いない。料金の安さや端末ラインアップ、安心・安全といったさまざまな角度から、ワイモバイルは若年層のスマホデビューに最適なパッケージを作り出そうとしている。

「落合陽一×鈴木えみ」が魅せる、現代の東京と服

「落合陽一×鈴木えみ」が魅せる、現代の東京と服

2018.10.19

落合陽一と鈴木えみがコラボ、インスタレーションを実施

東京の街を切り取った光で、”日常”の中の服を演出

「ランウェイを歩くより、恰好いい」と演出に好感触

モデルの鈴木えみ氏がデザインするオリジナル服飾ブランド「Lautashi(ラウタシー)」は10月18日、「Amazon Fashion Week TOKYO」のスペシャルプログラム”AT TOKYO”にて、2019年初夏コレクションをインスタレーション形式(作品の展示方法の1つ)で発表した。

メディアアーティストの落合陽一氏が演出を担当することで注目を集めたこのイベント。開催に先立って行われたインタビューで落合氏は、「『光』にフォーカスした演出を行います。”日本らしいものは出てこないけど、なぜか日本を感じてしまう”演出に注目して欲しい」と話していた。

その発言の意味するところを実感してみようと、会場を実際に取材することにした。

東京の日常の中の”服”を演出したい

イベント会場に入ると、暗闇の中にLautashiの新作に身を包んだモデル達が後ろを向いて立っていた。

「工業社会っぽいが、それが自然に溶け込んできている風景」を演出に組み込んだという落合氏。独特の光を用いた演出に加え、会場そのものの選択にもこだわったようだ

インスタレーションが始まると、モデルが振り返り、”東京の日常に溢れる音”をイメージしたという、騒がしく、どこか聞き慣れた音が鳴り始める。その後、天井や壁、モデルの合間に設置されたいくつものLED照明がさまざまに光り出す。そして、その色を青、赤、灰色と複雑に変化させ、照らす服の印象を次々に変えていく。

光の変化で、服の見え方も変わってくる
インスタレーションが始まり数分経つと、「是非自由に見て回ってください」との場内アナウンスが。モデルの間を自由に歩き回り、服を間近で見ることができた

僕らの日常とは、松屋やセブンイレブンの光

今回のインスタレーションを終え、鈴木、落合の両氏は以下のように語る。

「ファッションショーや雑誌って、服を完璧な照明や状態で見せることが多いんです。でも、日常にはさまざまな光が溢れています。今回のように、服をいくつもの照明条件で見せることで、”日常感”を感じさせられるような演出にしました。来場者が期待以上にモデルに近づいてくれて良かったです」(鈴木氏)

「光の演出には、日常に溢れるさまざまな光景を使っています。例えば、松屋やセブンイレブン、車のヘッドライトなどをあえてぼかして撮影して、(その画像をLEDで映し光源とすることで、街の光を再現した)照明に使っているんです。それらは普段、意識しないと目にも止めないようなものですが、そういうものから出る光が、たとえ人工的であっても、現代においては”自然”な存在となっています。私たちは普段、そういう照明条件で服を着ますよね」(落合氏)

左から、アマゾンジャパン バイスプレジデント ファッション事業部門 統括事業本部長のジェームズ・ピーターズ氏、メディアアーティストの落合陽一氏、モデル・デザイナーの鈴木えみ氏、サウンドアーティストのKAITO SAKUMA a.k.a BATIC氏

イベントの音楽を担当したサウンドアーティストのKAITO SAKUMA a.k.a BATIC氏は、街でサンプリングした音と会場での音を組み合わせることで、こちらも「どこか日本らしい」音楽でインスタレーションを彩っている。

Amazon Fashionを擁するアマゾンからは、日本でバイスプレジデントを務めるジェームズ・ピーターズ氏が来場。「消費者と非常に近い距離で服を見せられる。非常に素晴らしい演出だった」と、感銘を受けたことを語っていた。

落合氏の「なぜか日本を感じてしまう演出」という言葉通り、ありふれているようで、これまでにない体験を得られるインスタレーションとなったのではないだろうか。

5G実装まで1年、CEATECで未来を先取りしてきた

5G実装まで1年、CEATECで未来を先取りしてきた

2018.10.19

5Gの実装が1年前倒しされることに

「CEATECH」で5G技術を体験してきた

恐竜ハントや建機の遠隔操作などの技術を紹介

「5Gで世の中が大きく変わる」とは、ここ数年で聞き飽きた言葉だ。同時に、変わる未来に期待を持たされるのも確かである。

5Gとは第5世代移動通信システムの略。あらゆる物がインターネットに繋がるようになったIoT時代をさらに次の次元へと導く技術であり、世界中で研究開発が進められている。もっとも身近な存在であるスマホはもちろん、遠隔医療や自動運転などへの活用も期待されている。

さまざまな業界から社会実装が待ち望まれる5Gであるが、数年前から語られていた「2020年の実用化」を目前にして、「実用化を1年前倒しする」との報道がなされた。まず大手キャリア3社は、5G対応端末の貸与で限定的なサービスを開始し、2020年からユーザー所有のスマートフォンで使えるようにするとのことだ。

では具体的に、5Gの登場によって世の中がどう変わるのか? 2018年10月16日~19日にかけて千葉県・幕張メッセにて開催されている「CEATEC JAPAN 2018」における携帯キャリア各社の展示から、変わる未来の一部を覗いてきた。

例えば、無人島で恐竜を狩れる

まずはauのブースから紹介する。ブース内でもっとも目を引いたのは、森をモチーフにした大きな展示とそこに吊るされた大きなモニター、そして何やら楽し気にしている高校生。気になって近づいてみると、なぜか大きな銃を手渡された。

ブースに入ると、大きな銃を渡された

「CEATEC会場内に恐竜が侵入しました…! おちおちブース見学なんてしてられませんよ!」(auブースの説明員)

ただならぬ緊張感が漂うauブース……。もちろんブース内に恐竜なんていない。銃をよく見てみるとそこにはスマホが搭載されており、『ジュラシックアイランド』という表記が。

スマホを覗くと『ジュラシックアイランド』と表示されている

数秒経つと、スマホがカメラモードに切り替わり、恐竜の足跡が表示された。その足跡を辿って銃先を向けると、スマホ越しにCEATEC会場を歩き回るティラノサウルスを見つけた。

登場したティラノサウルス(のイメージ)。筆者が片手で銃を持ち、画面を撮影していたところ「銃は重いので両手で持ってください」と注意されたので、実際のプレイ画像は撮れなかった

実はコレ、長崎のハウステンボスですでに実装されているもので、一世を風靡した『Pokemon Go』よろしく、AR技術を用いて現実世界で遊ぶことのできるゲームだ。

現状、このアトラクションは4Gにて提供されているそうだが、5Gを使用することで、より多くの人数でプレイができたり、恐竜の出現位置を共通化させたりできるようになるそう。筆者が体験したのも4Gを用いたものであったが、ティラノサウルスのほか、『ジュラシック・ワールド』で活躍したヴェロキラプトルなども登場して、思いのほか楽しめた。

「5Gによって大量のデータを迅速に端末に送信できるようになれば、従来モバイル側で行っていたデータ処理を、クラウド側で担当し、それをモバイルに送信することができるようになります。現在はハウステンボス内の特定のエリアにいるユーザーがプレイできるこのゲームですが、この技術を応用することで、将来的には遠隔地にいる人同士でも同じ恐竜を狩ることができるようになるでしょう」(技術説明員)

例えば、空を飛べる

次に目を引いたのは、大きな半球体のスクリーンに映された綺麗な映像だった。

「半球体スクリーンによる非日常体験」と題された展示。auブース内でもっとも行列が長かったのがこの展示だった

これは、エアレースやドローン、もしくはSUPER GTのマシンで撮った映像を、リアルタイムでスクリーンに映して体験できるというもの。ブースで実際に使用されていたのはすでに撮影された映像であったが、それでも雄大な映像を見ながらまるで自分が飛んでいるかのような体験ができるため、多くの人たちが並んでいた。

例えば、建機を遠隔地から動かせる

次はKDDIブースへ移動。こちらでは、同社がコマツと共同実験を進めている「5G活用による建設機械の遠隔制御」などの展示が行われている。

少子高齢化が進み、かつ職種が徐々に増えている今、人手不足に悩まされる業界は多い。建設業界もその1つであり、その問題を解決しようと開発されているのが同システムである。

遠隔操作コクピット。実際の建機と同じような操縦感で操作することが可能
遠隔で動く建機側で撮った映像を、リアルタイムで確認することができる

「これによって、例えば東京にいる建機の操縦者が、地方の建機を動かせるようになります。建機を操縦するタイミングは、ほかの工程との兼ね合いによって決まるため、デッドタイムが多いという問題がありました。しかし、このシステムを用いることによって、人が1カ所に留まりながら複数の場所で建機を動かせるようになります」(技術説明員)

ほかにもau、NTTドコモブースでは、好きな場所からスポーツを観戦できるシステムや、遠隔でのロボット操縦を実現するシステムなど、数多くの展示を行っており、そのどれもがどこか未来を感じさせるようなものであった。

5G実装まで1年

CEATECでは、紹介した2ブースのほかにも多くの企業が5Gに向けた取り組みを展示していた。それらを見ていると、「5Gで何ができる?」という疑問に対して「なんでもできる」と解答したくなるほど、どの技術も、仕事や日常生活がより便利に、より楽しくなりそう、と思えるものばかりであった。

なお、NTTドコモはラグビーワールドカップが開幕する2019年9月に「プレサービス」を始め、2020年春から「商用サービス」をスタートする予定だとしている。つまり、5Gの実装まで残り1年を切ったこととなる。

CEATECで体験したいくつもの技術が社会実装される日は近い。5Gという、どこか未来的な技術の足音が、もうすぐそこまで迫ってきている。