格安スマホが影響? UQとKDDIが連携を強める理由

格安スマホが影響? UQとKDDIが連携を強める理由

2016.06.29

KDDIのMVNOとなり、スマートフォン向け通信事業「UQ mobile」に力を入れているUQコミュニケーションズ。KDDIのグループ企業ながら、従来KDDIとはある程度距離を取り続けてきた同社が、最近では家電量販店でauと協力し、UQ mobileの販売を強化するなど、KDDIとの一体的な取り組みを進めるようになった。その理由はどこにあるのだろうか。

UQ mobileの販売でKDDIとUQが協力

UQコミュニケーションズといえば、WiMAX/WiMAX 2+方式を用いた、Wi-Fiルーターによるデータ通信サービス「UQ WiMAX」を提供する会社として知られている。そのUQコミュニケーションズが、最近力を入れているのが「UQ mobile」である。

UQ mobileは、同社がKDDI(au)のMVNOとなって展開している、SIMを用いたスマートフォン向け通信事業。最近増えているMVNO各社と基本的に同じ立ち位置ではあるが、UQコミュニケーションズはKDDIのグループ企業であることから、多くのMVNOが用いているNTTドコモの回線ではなく、KDDIの回線のみを使用しているのが最大の特徴となっていた。

だが最近、そのUQ mobileが、他のMVNOとは明確に異なる戦略を打ち出したことで、注目を集めるようになった。それが今年の2月より提供している「ぴったりプラン」だ。同プランは、基本料は月額2,980円、高速データ通信容量が1GBと他のMVNOと比べれば高いが、1,200円分(最大30分)の無料通話が可能であるなど、音声通話に重点を置いた料金プランである。

多くのMVNOは音声通話よりデータ通信に主軸を置き、価格を安くしているが、UQ mobileはあえて価格を上げながら、MVNOが苦手とする音声通話に力を入れたプランを提供している。そうした施策が、料金は安くしたいが音声通話も必要としている人達から注目を集める要因となり、従来のMVNOとは異なるユーザーを獲得してUQ mobileの人気を急速に高めているのだ。

UQ mobileはぴったりプランの提供以降、女性の比率が4割に伸びるなど、従来のMVNOとは異なる層のユーザー獲得に成功している

そうしたことから、UQコミュニケーションズは6月23日、UQ mobileの事業を拡大するべく新たな施策を発表。7月から新規・MNPでの契約者に対し、基本料を13カ月間、1,000円値下げする「イチキュッパ割」を提供するなどさまざまな施策を打ち出したが、大きな驚きをもたらしたのは、家電量販店の販売でauと連携することにより、UQ mobileを取り扱う家電量販店を1000店に拡大するということだ。

UQコミュニケーションズはauと家電量販店で販売協力し、UQ mobileを取り扱う家電量販店を1000店に拡大するとしている

先にも触れた通りUQコミュニケーションズはKDDIのグループ会社で、同社の元社長である田中孝司氏が現在KDDIの社長を務めていたり、auのスマートフォンでWiMAX 2+による通信が利用できるようにしていたりするなど、さまざまな面で協力関係にある。だが同社がWiMAX/WiMAX 2+で使用している2.5GHz帯を取得する際、3Gの通信事業を展開している事業者の出資は3分の1以下に制限するなどの条件が設けられた影響などもあって、従来は同じグループでありながらもauとやや距離を置き、独立色を打ち出す方針を取り続けてきた。

それがここに来て、auと一体での販売施策を打ち出すなど、auとの関係を急速に密にしようとしている。その理由は一体どこにあるのだろうか。

UQ mobileの設立にKDDIの危機感あり

両社が密になってUQ mobileの販売を進めるようになった背景を確認するには、まずKDDIのMVNOへの取り組み、さらにはUQ mobileの設立から現在に至るまでの経緯を振り返る必要がある。

KDDIは元々、現在のようなSIM単体で格安なサービスを提供するMVNOに向けた取り組みには消極的であり、かつてはセコムの「ココセコム」のように、事業者と密に協力し、端末とサービスを一体にした形でのMVNOのみを許可していた。その理由は、安価なMVNOが台頭することでユーザーがそちらに流れ、キャリアとしての売り上げが低下してしまうからである。

だがNTTドコモがMVNOを積極展開する方向に舵を切ったことで、NTTドコモ系のMVNOにユーザーが流出する危惧が高まってきたことから、KDDIもMVNOへの取り組みを積極化し始めた。その第1弾となったのが2014年6月にサービスを開始したケイ・オプティコムの「mineo」である。しかしながら、mineoがサービスを開始した直後の同年9月に、アップルがiPhoneなどに向けて提供した「iOS 8」で、auのMVNOのSIMが利用できないという問題に直面。その影響を受けてmineoの契約数が伸び悩んだことから、mineoはその後NTTドコモのMVNOにもなり、現在はマルチキャリアMVNOとしてサービス展開している。

auのMVNOとしてスタートしたmineoだが、auのネットワークに起因する問題の影響からか、現在はNTTドコモのMVNOにもなり、マルチキャリア対応を前面に打ち出している

そうしたauのネットワークに起因する問題の多さに加え、NTTドコモより契約時の接続料が高いという問題も抱えていたことから、KDDIの回線を利用してコンシューマー向けにサービスを提供するMVNOはなかなか増えなかった。そこで新たに打ち出したのが、2014年12月にKDDIが子会社「KDDIバリューイネーブラー」を設立し、自らMVNOを展開するという取り組みであった。この際、KDDIバリューイネーブラーはUQコミュニケーションズの「UQ」ブランドを借りて「UQ mobile」としてサービスを開始しているが、その時点では特段、両社が協力しての取り組みを進めているわけではなかった。

UQ mobileは元々KDDIの子会社が、auのMVNOとなって展開していたサービスであり、当初はブランド以外で、UQコミュニケーションズとの協力は特にしていなかった

ちなみにサービス開始当初のUQ mobileは、高速通信容量が2GBで月額980円の「データ高速プラン」と、通信速度が300kbpsに制限されるが、データ通信が無制限にできる「データ無制限プラン」の2つを提供し、さらにそれぞれに月額700円を追加することで、音声通話ができる「音声通話プラン」を用意するなど、他のMVNOに近い料金体系をとっていた。それゆえサービス面で目立つ特徴が見られず、多くのSIMフリー端末が利用できないなどauのネットワークに起因するネガティブな要素が目立っていたこともあり、契約数も伸び悩んだようだ。

そこで打ち出されたのが、2015年6月より、同じUQブランドを用いたUQコミュニケーションズと、量販店の店頭で営業協力をするというもの。WiMAX端末を購入する人などに、UQ mobileを紹介するなどの取り組みを進めたのだが、そこでも大きな成果が得られなかった。その結果、同年10月に両社が合併し、一体でUQ mobileのビジネスを進めることとなったのである。

ワイモバイルの背中を追うが戦略に焦りも

こうした経緯から、UQ mobileはKDDIが急拡大するMVNOに対抗し、低価格を求める層を押さえるための受け皿となるべく設立されたものの、苦戦が続いていたことが分かる。そこでKDDIが積極的に介入し、UQコミュニケーションズとの合併や、ぴったりプランの提供、そしてauとの販売連携など、大幅なテコ入れを進めてきたといえるだろう。

もう1つ、KDDIとUQコミュニケーションズが関係を強化するに至ったのには、ワイモバイルの存在も大きい。ワイモバイルはソフトバンクのサブブランドとして2014年8月より展開しているサービスだが、月額2,980円で1GBの高速データ通信と、10分間の無料通話が月当たり300回利用できる「スマホプランS」や、iPhone 5sの提供などが注目され、ここ最近急速に人気を高めている。

ワイモバイルは10分間の無料通話300回分が付いて、月額2980円と比較的安価で利用できることなどが人気を博し、利用者を急拡大している

そしてぴったりプランなどのサービス内容を見れば分かる通り、UQ mobileはワイモバイルを非常に強く意識した戦略をとっている。UQコミュニケーションズはUQ mobileで、大手キャリアともMVNOとも異なる「第3極」を目指すとしているが、それはまさにワイモバイルが現在獲得しているポジションでもある。それだけにUQ mobileは今後、auのサブブランドに近い位置付けとなり、販売面を中心としてKDDIグループ同士での協力をより密にしていくものと考えられる。

UQ mobileが新たに提供する「イチキュッパ割」も、内容やネーミング共に、ワイモバイルが現在展開している「ワンキュッパ割」を強く意識したものといえる

ただ、KDDIはauブランドで、6月17日より新規・MNPでiPhone SEを購入し、「スーパーカケホ」と「データ定額1」を契約した人に対し、最大2年間、月額1,980円でサービスが利用できる「iPhone SE イチキュッパキャンペーン」を展開。UQ mobileだけでなくauブランドでも低価格層の取り込みを進めようとするなど、戦略の一貫性に欠ける様子も見せている。

それだけKDDIは、低価格層向け戦略で大きく出遅れており、なりふりを構っていられない状況だともいえる。だがソフトバンクがワイモバイルと明確にブランドを分け、高価格・高付加価値路線をとるソフトバンクブランドの価値を重視しているだけに、auとUQ mobileの双方で低価格層を獲得しようとするKDDIの戦略は、後々auブランドを毀損する可能性があるのが、やや気がかりな所だ。

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

2018.11.16

シャープが新スマホ「AQUOS R2 compact」を発表

大画面化の波に逆らい、「片手ポケット族」が増加傾向に

iPhone不在の「小型スマホ」市場を狙う

11月15日、シャープがAndroidスマートフォンの新製品「AQUOS R2 compact」を発表した。名前に「compact」と付いている通り、最近のスマホ市場では選択肢が減っている小型モデルであることが特徴だ。

小型スマホの需要を取り込む「AQUOS R2 compact」

コンパクトな見た目とは裏腹に、中身にはハイエンドである「AQUOS R」シリーズのスペックを詰め込んでいる。世界的にスマホの大画面化がトレンドとなっている中で、あえて時代に逆行するシャープの狙いはどこにあるのだろうか。

スマホを片手で持ち、ポケットに入れて使う人が増加

世界のスマホ市場では、6.5インチの「iPhone XS Max」に代表される大画面モデルが人気を博している。だが、日本では通勤電車などの利用シーンにおいて、片手で使う人が多いといわれている。シャープによれば、スマホを片手で持つ人は64% 、服のポケットに入れて持ち運ぶ人は49% に達しており、その割合は上昇傾向にあるという。

片手で持ち、ポケットに入れて持ち歩く「片手ポケット族」が多いという

その背景として、シャープはスマホの「インフラ化」を指摘する。SNSやコンテンツを楽しむだけでなく、サービスの利用やモバイル決済にスマホは欠かせない存在になっており、日常生活でスマホを取り出す場面が増えている。

AQUOS R2 compactは、日本人の手のサイズを念頭に置いた「横幅64mm」のボディに、できるだけ高性能な部品を詰め込んだハイエンドコンパクト機になっている。プロセッサは最新のSnapdragon 845、メモリは4GBを搭載しているが、これは大画面モデルのAQUOS R2と同等だ。

ポケットに入れやすいサイズに高性能を詰め込んだ

スマホ本体を小型化する一方、画面は前モデルの「AQUOS R compact」より大型化した。このためにシャープは画面の上下に切り欠き(ノッチ)を持つIGZOディスプレイを開発。インカメラと指紋センサを搭載しつつ、表示領域を上下に広げてきた。

前モデル(左)と比べて新モデル(右)は表示領域が広がった

「iPhone不在」の小型スマホ市場を直撃

シャープによれば、小型スマホを求める人は全体の3割程度という。スマホ市場では残りの7割に向けた大画面モデルが幅を利かせており、最新のiPhoneでは6.5インチのXS Maxに加え、一般向けモデルの「iPhone XR」も6.1インチとなっている。

一方、小型モデルとして根強い人気のあった「iPhone SE」は、後継モデルが出ないまま販売が終了。中古市場では価格が上昇する騒ぎもあった。

日本で最大シェアを誇るiPhoneだが、小型スマホ市場では存在感が薄れつつある。ソニーモバイルはXperiaシリーズのコンパクト機を投入しているが、2018年夏モデルの「Xperia XZ2 Compact」と比較して、シャープ機は画面の大きさ、薄さ、軽さの面で圧倒している。

中国メーカーとして日本でも勢いを伸ばすファーウェイ、OPPOも世界市場において大画面化競争を繰り広げており、小型モデルに積極的な動きは見せていない。この点もシャープにとって有利に働いている状況だ。

また、AQUOS R2 compactは顔認証と指紋認証の両方に対応しているのも特徴。これは、iPhoneにもXperiaにもない機能だ。スマホをポケットから取り出し、顔の前に持ち上げるだけでロックを解除できる顔認証だが、卓上に置いている場合は使いにくい。だが指紋センサがあれば、指を置くだけで済む。

顔認証に加えて指紋認証にも対応

スマホの端末メーカーの多くはグローバル市場に目を向け、大画面化のトレンドを追いがちだ。だが、シャープは国内の需要をしっかりとらえた上で、日本のユーザーに刺さる製品作りを続けている。

依然としてiPhone人気が続いている中で、限られた市場であっても「不在」のチャンスをタイムリーに活かし、ユーザーを奪還する。国内に目配りできるシャープならではの戦い方に注目したい。

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第23回

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

2018.11.16

海外メーカーの台頭で日本にも大画面化の波が到来

大画面化と使いやすさの両立、各社の工夫の歴史

縦長スマホにとって代わるのは「折り畳み」スマホか

スマートフォンのディスプレイは年々大型化が進んでおり、かつては「大きすぎる」と言われた5インチディスプレイが、今や小さい部類に入ってしまうほどだ。一方で使いやすさを維持しながらディスプレイの大画面化を実現するため、メーカー各社はさまざまな工夫を重ねている。スマートフォンのディスプレイサイズはなぜ大きくなり、今後はどのように変化していくのだろうか。

海外メーカーの台頭で日本でも大画面化に拍車

スマートフォンにとってディスプレイは、単に情報を表示するだけでなく、タッチして操作するインタフェースも兼ねている非常に重要な存在だ。そのスマートフォンのディスプレイが、ここ10年ほどで最も大きく変化した要素が「サイズ」である。

どれくらい大きくなったのかというのは、新旧のスマートフォンのディスプレイサイズを比べてみれば一目瞭然だ。日本で最初に発売されたiPhoneである「iPhone 3G」のディスプレイサイズは3.5インチだった。一方、「iPhone X」や「iPhone XS」、「iPhone XR」といった最近のiPhoneのディスプレイサイズは6インチ級があたりまえ。1.7倍に以上に拡大しているのだ。

今やスマートフォンのディスプレイサイズは5インチ以上が一般的で、6インチも珍しくなくなった。画像の「iPhone X」のディスプレイサイズは5.85インチだ

さらに「iPhone XS Max」は6.5インチもあるし、他の大手メーカーでもサムスン電子の「Galaxy S9+」やファーウェイの「HUAWEI P20 Pro」のように、6インチを超えるディスプレイを採用した機種は増えている。なぜ、これほどまでにディスプレイサイズが大きくなったのかというと、それは大画面が欲しいというユーザーが多いため。スマートフォンの性能向上によって動画やコミック、ゲームなどのコンテンツを楽しむ人が増えていることから、ユーザーのニーズに応えるかたちで、大画面が求められるようになったといえよう。

だが日本国内の事情に目を向けてみると、公共交通機関での通勤・通学が多いのに加え、片手で文字入力ができる「フリック入力」が広く普及したこともあり、片手でスマートフォンを操作する傾向が強く、実は大画面に対するニーズはそこまで大きい訳ではない。実際日本では、4インチディスプレイの「iPhone SE」が人気を保っていたし、シャープの「AQUOS R Compact」やソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ2 Compact」などのように、4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトなスマートフォンも投入されている。

2018年の夏モデルとして販売されている「Xperia XZ2 Compact」は4.9インチと、最近では珍しくなった4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトモデルだ

にもかかわらず、日本でも大画面のスマートフォンが増えているのはなぜか。まずは国内のスマートフォンメーカーが減少したことで、市場に海外メーカー製のスマートフォンが増えているためだ。海外では移動手段の違いに加え、文字入力システムの違いからスマートフォンを両手で持って操作する機会も多く、片手操作に対するこだわりが弱いのだ。

新興国などでも、ディスプレイサイズが大きいほど人気が出る傾向が目立ち、大画面に対するニーズが強いのである。海外製スマートフォンが日本市場に入り込みやすくなったことが、日本国内においてもスマートフォンの大画面化を進めたといえる。

縦長スマホの元祖はアップルだった?

とはいえ、スマートフォンが大画面化するに従って、本体の横幅がひろがり、さすがに海外のユーザーからも「持ちづらい」という声が増えてきたようだ。そこで近年急速に増えているのが、従来の16:9比率ではなく、18:9や19:9といった縦長比率のディスプレイの採用である。

持ちづらさに影響する横幅をこれ以上広げることなく、ディスプレイを縦に伸ばすことで大画面化しようとしたのだ。この流れをけん引したのは韓国メーカーで、2017年にはLGエレクトロニクスが「LG G6」(日本未発売)、サムスン電子が「Galaxy S8/S8+」といったように、縦長比率のディスプレイを採用した機種を積極的に投入した。

2017年発売の「Galaxy S8」「Galaxy S8+」は、18.9:9と縦長比率の有機ELディスプレイ「インフィニティディスプレイ」を採用したことで大きな話題となった

この韓国の両メーカーとも、グループ内にディスプレイデバイスを開発する企業を持っている。それゆえ縦長比率のディスプレイが生み出されたのには、実は大画面化だけが目的ではない。自社のスマートフォンに新しいディスプレイをいち早く搭載し、トレンドを作り上げることで、グループ企業のディスプレイデバイス販売拡大につなげる狙いもあったといえる。

だが、縦長ディスプレイで大画面化するというアイデアを真っ先に実践したのは、実はアップルである。アップルはかつてディスプレイの大画面化に消極的で、2011年発売の「iPhone 4s」までは3.5インチのサイズにこだわっていた。だが大画面化を求めるユーザーの声を受け、2012年発売の「iPhone 5」でディスプレイサイズを4インチに拡大した際に、ディスプレイの横幅はそのままに、縦に長くするという手法をとったのである。ある意味、アップルは5年前に現在のトレンドを先取りしていた、といえるかもしれない。

スマートフォンのディスプレイを縦に伸ばして大画面化するというアイデアをいち早く実践したのは、アップルの「iPhone 5」だった

しかしながら、ディスプレイを縦に伸ばして画面サイズを大きくする工夫にも、いずれ物理的な限界が来ることは目に見えている。そこで、さらなる大画面化の追求で、いま注目されているのが折り畳み式ディスプレイだ。このアイデア自体は、NTTドコモが2013年の「MEDIAS W」(NECカシオ モバイルコミュニケーションズ製)、2018年の「M」(ZTE製)で既に実現しているものだが、いずれも2枚のディスプレイを用いていたため、どうしても画面の折り目に継ぎ目が発生してしまう弱みを抱えている。

折り畳みスマートフォンとして注目されたNTTドコモの「M」は、2枚のディスプレイを用いるスタイルであるため折り畳み部分に継ぎ目が発生してしまう

だが有機ELを用いれば、ディスプレイを折り曲げられる“真の”折り畳みスマートフォンが開発できると言われており、大手スマートフォンメーカーがその開発を進めているとの観測報道も幾度となくなされている。

これは折り畳みできるという意味の「フォルダブル」スマホなどと呼ばれ、先ごろはサムスン電子が、来年発表するというフォルダブルスマホ「Galaxy F」のプロトタイプを開発者向けに見せはじめたりしている。2019年は各社から製品が登場するのではないか? との声もあるようだが、いま確実に言えることは、真の折り畳みスマートフォンがいつ、どのメーカーが、どのような形で投入するのかが、大いに注目されているということだけである。