日本・ロシアの親善を! 企業4社の長期間にわたる異例の取り組み

日本・ロシアの親善を! 企業4社の長期間にわたる異例の取り組み

2017.12.14

渋谷ヒカリエ11Fのヒカリエホールに、美しくも力強い音色の管弦曲が鳴り響いた。国際的ロシア人指揮者、ワレリー・ゲルギエフの指揮のもと、演奏するのはロシアのマリンスキー歌劇場管弦楽団ストラディヴァリウス・アンサンブルだ。

管弦楽器の音合わせが始まると、多くの人たちが演奏を聴こうと集まってきた。というのも、ヒカリエホールはコンサートホールのように閉鎖された場所ではない。むしろオープンスペースのような空間で、11Fフロアをたまたま通りかかった人でも演奏を聴ける。もちろんチケットも不要だ。国際的な指揮者と国際的な管弦楽団の演奏を無料で、しかもすぐ間近で聴くことができる。多くの人が集まってこようというものだ。

左:横山幸雄氏とマリンスキー歌劇場管弦楽団ストラディヴァリウス・アンサンブル。右:ワディム・レーピン氏とストラディヴァリウス

ロシアづくしの演奏会

演奏されたのは4曲。ソビエト連邦時代の作曲家、ドミートリイ・ショスターコーヴィチの1曲、そしてロシアの作曲家、ピョートル・チャイコフスキーの3曲だ。最初の1曲は日本のピアニスト・横山幸雄氏がピアノで、ロシアのティムール・マルティノフ氏がトランペットで参加した。2曲目、3曲目はロシアの国際的なヴァイオリニスト、ワディム・レーピン氏が演奏に参加した。4曲目はクラシックにうとい筆者でも曲名を知っていた「弦楽セレナーデ」。聴いたことのある曲調に、少しほっとした。

さて、なぜロシアで作曲された曲をロシアの方々が演奏したのか。それは、「ロシア・イン・ジャパン実行委員会」によるものだからだ。日露文化交流を促進するために、この取り組みは始められた。

この取り組みを後押しするのは、以下の4社。広告代理店の電通、東京急行電鉄、日本経済新聞社、ガスプロム・メディア・サブホールディングスだ。最後の1社は、なかなか聞きおよばないが、ロシア最大のメディア企業。ロシアでテレビ番組や映画などを手がけている。

こうした4社のなか、やはり異色に感じるのは東急電鉄だろう。東急電鉄は、関東、特に東京から南西部を拠点にする私鉄だ。ロシアとの関わりはあまり考えられない。その同社がなぜこの取り組みに参加しているのか。

上左:今回の取り組みを後押しする企業。左から日経新聞 執行役員 小松潔氏、東急電鉄 代表取締役社長 野本弘文氏、電通 代表取締役社長 山本敏博氏、ガスプロム・メディア CEO ラファエル・ミナスベキャン氏。眠っているようだが、そうではなく同時通訳に集中しているため。上右:指揮者のワレリー・ゲルギエフ氏、ヴァイオリニストのワディム・レーピン氏、ピアニストの横山幸雄氏。下左:ロシア連邦政府 文化副大臣 アレクサンダー・ジュラフスキー氏、外務省 欧州局 審議官 相木俊宏氏。下右:発表会終了後にロシア料理がふるまわれた。写真はピロシキ

文化振興に力を入れる東急電鉄

実は東急電鉄は、鉄道事業の売り上げは20%を割っている。不動産やそのほかの事業での売り上げがほとんどだ。そのうちのひとつが、文化促進。たとえば渋谷駅から歩いて7・8分の距離にある東急文化村だ。ここでは、映画上映のほか、展覧会や美術館といった文化的な事業を手がけている。

そもそも、演奏会が開催された渋谷ヒカリエも、もとは東急文化会館の跡地に建てられたビルだ。東急文化会館にはプラネタリウムがあったり、映画館があったり、書店が入居したりと、文化的な彩りが濃かった。

つまりだ。東急はグループを通じて文化に対しての理解が深く、今回の日露文化交流に対しても、何かと協力していく考えだ。ちなみに、この文化交流は、5年という長いスパンで続けられる。

さて、冒頭の演奏会に戻ろう。素敵な楽曲が流れるなか、品のない考えが頭をよぎっていた。ストラディヴァリウス・アンサンブルと銘打ったこの楽団では、何挺のストラディヴァリウスが鳴らされているのか。1挺ウン億円とすれば、3・4挺もあれば二桁億円を超える。それが、7メートルほど先で演奏されているのだ。世界で約600挺しか残っていないストラディヴァリウスには、文化的な価値のほかに、こんな不遜な考えを生じさせる効果もあるのだなと思った。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

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なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

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○森口将之のカーデザイン解体新書
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○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
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○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
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○カレー沢薫の時流漂流
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最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu