国内MVNO市場やっぱり変化、拡大予測は大幅修正

国内MVNO市場やっぱり変化、拡大予測は大幅修正

2017.12.18

MM総研は14日、2017年9月末における国内MVNO市場の回線契約実績を公表した。独自サービス型SIMの回線契約数は、前年比42.1%増の934.4万と急増した。しかし、MVNOへの顧客流入数は減っており、従前の予測を大幅に修正している。

出典:MM総研

2017年9月末時点の携帯電話(3GとLTE)契約数は1億6423.4万回線となり、独自サービス型SIMの回線契約数は市場全体の5.7%となった。

出典:MM総研

事業者シェアではトップとなったのはインターネットイニシアティブで13.9%(130万回線 )だった。2位はNTTコミュニケーションズで12.2%(113.9万回線)、3位は楽天で11.4%(106.3万回線)、4位はケイ・オプティコムで8.2%(76.8万回線)、5位はUQコミュニケーションズで6.4%(60.2万回線)、6位はビッグローブで4.7%(44.1万回線)。これらの数値にはIoT用途を含んでおり、個人向けMVNOでは楽天がトップとなるようだ。

出典:MM総研

MVNO市場の現状については、大手携帯キャリアの新料金プランやY!mobileの攻勢により、MVNOへの顧客流入数が減少している。MVNOへの流入減少は今夏から指摘され始めたことで、その後に続く経営者の所感なども合わせてみると興味深い。

11月の決算会見でKDDIの田中孝司社長は「auスターと新料金プランがダブルで効いて、(MVNOより)MNOの方がいいというインサイトができつつあると想像している」「新料金プランをさらに浸透させ、解約減の効果を持つau STARもさらに強化して流出を止めたいと思っている」などとコメント。料金プランなどの施策がMVNOへの流出減の決め手になったと見ているのだ。

経営者の所感と、MM総研の調査結果は一致するものであり、この先も携帯キャリアの施策には注目されるところだ。MM総研でも大手キャリアとサブブランドを含めた競争環境に大きな変化が生じない限り、こうした傾向は続くと予測。2018年3月末時点の独自サービス型SIMの総回線契約数は、2017年期初予測比で95万回線減の1075万回線になると見ている。

出典:MM総研
世界のワイン+コンビニメニュー! サントリーとセブンが仕掛ける晩酌の新提案

世界のワイン+コンビニメニュー! サントリーとセブンが仕掛ける晩酌の新提案

2017.12.18

2012年頃から日本での消費量を伸ばしているワイン。その原動力となっているのは、チリ産を代表とする安価なものだ。コンビニやスーパーといった、身近な販売店でワインコーナーが広がったことも功を奏している。

同じ銘柄を選ぶ傾向のワイン消費者

だが、ここに大きな課題がある。たとえ1コイン(500円)という安価でも、「失敗したくない」という意識が消費者に芽生え、過去に購入したワインを継続的に購入してしまう傾向が強いこと。結果、いろいろなテイストを味わうという、ワインの楽しみ方のひとつを無意識のうちに放棄してしまっている人が多くいる。

こうした課題を乗り越えようと、酒類大手のサントリーとコンビニ大手のセブン-イレブン・ジャパン(以下、セブン)がタッグを組んだ。

この両社が共同で開発したのが「ワールドプレミアム」シリーズというワイン。世界の産地のワインを集めてシリーズ化し、いろいろな国のテイストを味わってもらおうというのがコンセプトだ。

左:12月12日から販売開始された「ワールドプレミアム」シリーズ。右:セブン-イレブン・ジャパンの上條智氏と、サントリーワインインターナショナルの三宅智子氏

セブンの商品本部 食料・加工食品部 上條智氏は、「店頭で売れるワインは400~700円というプライスゾーン。それ以上の価格帯になるとあまり手に取ってもらえない。だが、ワイン中級者にリーチできる商品の必要性を感じていた」と話す。また、サントリーワインインターナショナル 輸入ブランド部 三宅智子氏(ソムリエ)は、「弊社もセブンさんとまったく同じ考え。生活に密着した販売チャネルを日本全国に持つセブンさんの協力で、中級者向けワインを販売できるのは大きなチャンス」と語る。

さて、ではどの産地のワインがシリーズ化されたのか。シリーズ化されたのは全部で6酒類。フランス・ボルドーの赤、イタリア・キャンティの赤、ドイツ・リースリングの白、オーストラリア・シラーズ/ヴィオニエの赤、チリ・カルメネールの赤、そして日本・甲州の白だ。つまり、シリーズ全種を飲めば、おおよそ世界の産地のワインを味わえることになる。

上左:ボルドーとシャンティ、上中:リースリング、上右:シラーズ/ヴィオニエ、下左:カルメネール、下中:甲州、下右:商品説明会はワインワークス南青山で行われた

価格はキャンティが税込み1,440円、甲州が税込み1,780円、そのほかが税込み1,380円という設定。セブンでよく売れるという400~700円のワインに比べると、確かに高い。だが、ワイン中級者以上を満足させるには、品質にこだわらなくてはならず、この価格帯になるのは仕方のないことだろう。事実、上條氏は「もっと高額な設定でもよかったが、グッと価格を抑えた」と話す。

ワイン初心者を中級者に引き上げられるか

このシリーズは、単にワイン中級者にリーチするだけが目的ではないと考える。安価なワインが普及したことで“デイリーワイン”を楽しむ初心者層の裾野が広がった。こうした層のなかからいかに中級者を生み出すか……、その役割も課せられていると思う。そのための仕掛けがいくつかみられる。

まずラベルだ。6種類それぞれ産地が異なっているが、ラベルに統一感が持たされた。各国の国旗をあしらい、どこ産のワインなのか視認しやすい。サントリーの三宅氏は、「各国の異なるワインに統一感を持ったラベルが貼られるのは初めてではないか」と話す。ワインは欧文のみのラベルが多い。格調高さは感じるが、次に同じものを購入しようと思っても、「これだったかな?」と迷ってしまうことがある。その点、国旗を使ったラベルなら選びやすい。

続いて、各国の有名ワイナリーから仕入れているが、それぞれ日本のユーザー向けに醸造されていること。これまで、中高級ワインは海外で販売されていたものを、そのまま日本に輸入するスタイルだった。だが、海外と日本では食材や生活様式が異なる。特に調味料に関しては、醤油、味噌、みりんなど、日本独自なものが多い。さらに、日本人は食材のうまみを楽しむ傾向がある。そうしたうまみを打ち消さない、日本の食卓、味覚にあったワインに醸造してもらったとのことだ。

マーケティング面もユニークだ。前述したとおり、ワールドプレミアムはセブンとサントリーによる共同開発だ。販売チャネルはセブン-イレブンの店舗に限定されるが、セブンで販売されている食品と合わせてもらうような戦略を採るとしている。

試飲会では6種すべてが提供された

シリーズの販売開始直前にワールドプレミアムの試飲会に招待されたが、各ワインに合わせて提供された食品は、すべてセブンで購入できるもの。たとえば甲州。味噌ベースのソースが添えられた野菜スティックと合わせることを勧められた。日本古来のブドウ種・甲州と味噌ベースの野菜スティックは確かに納得だ。

そのほかリースリングは「ほぐしサラダチキン」、キャンティは「ミートソースドリア」、シラーズ/ヴィオニエは「スモークタン」、カルメネールは「金の直火焼ハンバーグ」、ボルドーは「金のビーフシチュー」との組み合わせで提供された。

お酒コーナーが店舗の奥にある意味

上條氏に、ワールドプレミアムのコーナーとこれらの食品を集めたコーナーを組み合わせるのか確認したところ、それは考えていないらしい。というのも、酒類コーナーは店舗の奥まったところにあるのが、セブンの基本的なレイアウト。上條氏によると、ワインを購入する客は真っ先に奥まで進むことが多く、その後、店舗を回遊しながら食品を手に取るらしい。つまり、少しでも店内を回遊してもらい、日用品や雑誌を手に取ってもらう狙いがあるのだろう。

少し残念なのは、セブン限定ワインシリーズが誕生したからといって、ワインコーナーが拡張されないこと。言い換えると、これまでセブンで入手できた商品の一部が並ばなくなる。できれば、これまでの品揃えのまま、ワールドプレミアムという新たな選択肢が増えたほうが個人的にはよかった。

一から作り上げた

モノのデザイン 第28回

一から作り上げた"反転"する掃除機-東芝 コードレスクリーナー「VC-NXシリーズ」(前編)

2017.12.18

東芝ライフスタイルから今秋発売された、キャニスター型のコードレスクリーナー「VC-NXシリーズ」。コードレスタイプの掃除機でありながらキャニスタータイプの吸引力を維持させるために、新たにモーターとバッテリーを開発したというメーカー渾身の新製品だ。

また、"ダブルフェイススタイル"と名付けられた、本体を裏表反転させても掃除ができる斬新な仕様を採用し、これまでになかった掃除スタイルを提案する商品としても注目を集めている。そこで今回は、本製品のデザインを担当した、東芝 デザインセンター デザイン第二部 家庭電器システム担当参事の山内敏行氏に新製品開発の背景からプロセス、秘話などを伺った。

東芝ライフスタイルのコードレス式キャニスター掃除機「VC-NXシリーズ」

最初にこの製品が開発される契機を訊ねたところ、出発点はコードレススティッククリーナーの不満点の解消にあったという。山内氏は次のように説明する。

「TOSHIBAのコードレススティッククリーナーは、他社製品に比べると軽いほうなのですが、それはあくまでカテゴリーの中での話。特に手元荷重に関しては、掃除機全体として見た場合、まだまだ十分に軽いとは言えません。しかし、どんな掃除機であれ、やはり使い勝手がよいのが最良。そこでコードレスクリーナーでありながら、軽くて使いやすい製品の開発を目指そうということになりました」

東芝 デザインセンター デザイン第二部 家庭電器システム担当参事 山内敏行氏

さらに、コードレススティッククリーナーのもう1つの難点は、"運転時間の制約"だ。バッテリーで駆動するため、コードありの掃除機に比べて連続して運転できる長さにはどうしても限界がある。しかし、「ユーザーの満足度を上げるためには、長時間運転も必須の要素」と山内氏。

とはいえ、運転時間を長くするためにはそれだけ大容量バッテリーを搭載すれば克服できるが、そうすることで今度は手元が重くなり操作性を阻害してしまう。そこでこの問題をクリアするために、手元が重くならないキャニスター型のコードレスクリーナーとして、「ハイスピードDCモーターHD45」という新型モーターと大容量バッテリーが新たに開発されたのだという。

新開発の「ハイスピードDCモーターHD45」。マグネットの4極化で効率とトルクを高め、最大回転数12万rpmを実現し、高い吸引力を実現
従来のモーター「HD25」と新モーター「HD45」の構造の比較

一方、"ダブルフェイススタイル"と呼ばれる新製品の特徴的なフォルムはどういった経緯で生まれたのだろうか。

実を言うと、本体が転がるようなスタイルの製品は、60年前にすでに存在していたことが新製品発表会の席で明かされている。しかし、当然ながら当時はコード式の掃除機だ。今回そのスタイルが改良されて再びリバイバルされたとも言えるが、山内氏はその理由を次のように話してくれた。

「今回まず、キャニスタータイプとスティックタイプの両方の問題を解決しようと考えた時、両方の良さを持った形の商品として、本体がひっくり返っても使えるスタイルというのが浮かび上がりました。そして、ひっくり返るスタイル自体は、以前から技術部門のほうでも実現したいという声があったものでした。それが今回、コードレス化によってうまく実現できるよねということで話が進んでいきました」

ホース部分が移動し、本体の表裏がひっくり返る仕組みの"ダブルフェイススタイル"
"ダブルフェイススタイル"の原型となった60年前の製品(左)。新製品と形は似ているものの、コード式でかなりの重量がある

技術とデザイン部門の意見が一致したとはいえ、製品化に至るまでの開発プロセスが容易ではなかったことは想像に難くない。山内氏によると、掃除機の通常の開発期間に比べると長い期間を要したとのこと。

「通常、掃除機の開発期間というのはだいたい1年ほどですが、この製品は本当にゼロからすべてブランニューで作ったという商品で、2年ぐらい前から構想自体は練り始めました」と山内氏。具体的には、モーター、バッテリーの開発に始まり、本体の機構・設計、ブラシヘッドや延長管など付属品を含めてすべて新規に一から開発が進められたといい、開発プロセスについて次のように明かした。

「通常は本体と同時進行で各パーツの開発を行い、最終調整が図られるのですが、今回はそれをするのが難しかったのです。というのも、まずモーターが変わるだけでも吸引力の違いからブラシヘッドや延長管の操作性や強度などすべてに影響してきます。さらに今回は、本体がひっくり返る機構や、本体を手に持ったときホースの向きに追従する可動式ハンドルなど従来の掃除機にはなかった仕様が取り入れられ、強度の問題など新たに検討・検証すべき項目が多岐にわたりました。技術部門としては掃除機としての性能がしっかり出せなければなりませんし、中途半端な製品は作りたくないという思いがデザイン担当者にもありました。そこで、今回は毎回試作機を作ってはテストを繰り返すという工程を通常とは比べ物にならないくらいに重ねましたね」

VC-NXシリーズは丸みを帯びた外観上のデザインも特徴的だ。このフォルムは、モーターやバッテリーなど今回新たに開発された部品を本体内に収めるために必然的に導かれたものなのかと思いきや、実態はその逆なのだという。

「実はこの商品は形が先行です。デザイン部門のほうで、こうしたいというのを最初に絵で描いて、バッテリーはその形に合うように技術部門のほうで考えてもらいました。その結果が、モーターの周りを一周してバッテリーセルを並べるという独特な形状につながったんです」

NXシリーズに搭載されているバッテリーパック

山内氏によると、本製品はスケッチ段階ではさまざまな案が検討されたとのこと。そして初期の段階ではボールのような球体のイメージだったそうだ。

「コードレスということで、最初はどこにでも持っていける、球体のものをぼんやりとイメージしていました。ところが、例えば持った際の重心バランスだとか、それを掃除機として考えた場合にそのままでは使い勝手がよくありませんでした。デザインも大切ですが、生活家電というのは眺めるためのものではないので、使い勝手のよさも両立していなければそれはいいデザインとは言えません。デザインで使い勝手のよさも具現化する必要があります」

そこで最終的に採用されたのが、球体をUの字にカットしたような現在の形だ。さらに、"ダブルフェイススタイル"という特異な機構の操作性を向上させるために、可動式のハンドル部分やホースの位置が動く仕組みが採り入れられたのだという。

しかし、ここでも従来の掃除機にはない工夫が必要だったと話す。「本体がひっくり返る構造もあるので、従来よりも強度が必要です。そこで、傷が付きにくい性質の高硬度なUV塗装を本体の一部に施しています」と山内氏。

転倒しない動きをイメージさせる形状として球体案から始まり、重心バランスなどが検討された結果、現在の形状に落ち着いたが、途中の検討段階では写真のように最終形よりもより球体に近いものだったという

従来のスティッククリーナーの弱点や不満点を解消することを第一に、開発が始まった「VC-NXシリーズ」。前半は本体部分の開発プロセスや秘話を伺った。後編では一から作り上げた製品ゆえに生じた、本体以外の部分についてのこだわりや苦労話を語っていただく。