ケンタッキー対策? マックがナゲットをクリスマスに値引きする理由

ケンタッキー対策? マックがナゲットをクリスマスに値引きする理由

2017.12.23

今日から25日までの3日間、日本マクドナルドがチキンマックナゲットのキャンペーンを展開する。30個で750円という特別価格を設定し、季節の需要を取り込もうという戦略だが、クリスマスのチキンといえば“巨人”ケンタッキーの独壇場のようなイメージがあるので、その勝敗が気になるところだ。

マクドナルドがチキンマックナゲットのクリスマスキャンペーンを展開する

30個で750円の特別価格を設定、ソースの味も充実

今回の「チキンマックナゲット クリスマスキャンペーン」に先立つ12月6日に、「怪盗ナゲッツ」から挑戦状が届き、チキンマックナゲットに新ソース2種が期間限定で登場したことはご存知だろうか。その2種とは、「夢のオマールエビソース」と「贅沢チーズフォンデュソース」だ。

怪盗ナゲッツが出現した12月6日からは、ナゲット15個を30%オフの特別価格390円(通常価格570円)で提供するキャンペーンを展開していたマック。ベースとなる価格の5個200円よりもはるかにお得度は高いし、15個につき新味も含め3種類のソースを選べることも特徴となっている。クリスマスにはさらに値引きし、30個を750円(通常価格1,140円)で提供しようというのが今回のキャンペーンだ。

12/6から特別価格となっていたチキンマックナゲットだが、クリスマスにさらなる値下げを行う

ケンタとの全面戦争は回避? ポイントは期間の設定

気になるのは、クリスマスにチキンレースを仕掛けても、ケンタッキーフライドチキンに対しては分が悪いのではないかということ。そんな疑問を持ちつつ日本マクドナルド・ナショナルマーケティング部統括マネージャーの坂下真実氏に話を聞くと、ケンタッキーとのガチンコ勝負について、そこまで心配はしていない様子だった。注目すべきは、今回のキャンペーンが3日間の期間限定となっている点だ。

チキンマックナゲットの宣伝大使に就任したダチョウ倶楽部の3人。キャンペーン発表会には怪盗ナゲッツも登場した

「クリスマスは今、3日間あります」。坂下氏によれば、クリスマスは“イブイブ”から楽しむことが一般化してきているため、マックとしては、そのうちの1度でも、ナゲットを買ってもらえればという構えでいるそうだ。

クリスマス商戦は24日をターゲットとすることが多いが、クリスマスディナーが3回あるのであれば、そのうちの1回は、カジュアルにナゲットを楽しんでもらいたいというのがマックの考えだ。そんな意図もあって、新たに登場させた2種類のソースはクリスマスディナーを想起させる味付けにしているらしい。マックは「ナゲットパーティー」(ナゲパ)という言葉も使用してクリスマス需要の掘り起こしを図っている。

新ソースは大人の味、ナゲットの対象年齢に広がり

商品的には何も目新しいことはしていない、今回のチキンマックナゲット。クリスマスキャンペーンは特別価格で販売するという期間限定の価格戦略だ。価格だけでは訴求力が不足しているかもしれないが、より消費者の目を集めるための仕掛けが新しいソースの存在ではないだろうか。

風味豊かなオマールエビエキスが入ったマヨネーズベースのまろやかソースが「夢のオマールエビソース」。隠し味のワインが効いたコクのある贅沢なチーズの味わいに仕上がっているのが「贅沢チーズフォンデュソース」だ。ソースを使い分けることにより、同じナゲットが大人用にも子供用にも変化する。つまり、ナゲットの“味変(あじへん)”は商品の対象年齢を拡大する手段にもなるのだ。

ナゲットを大人の味で楽しめる新しいソース

ナゲットはシェアして食べるものに?

クリスマスキャンペーンに先立つ12月6日からの値引きも、今回の取り組みの助走としての意味を持つ。ただ単に、クリスマス商戦に値引きキャンペーンを設定しても、季節的に、一過性の話題にしかならなかったかもしれない。先行して15個セットのキャンペーンを打ち出すことで、「1人で食べるおやつ」というイメージのあるナゲットの存在を、「家族で、友達で、皆で食べるナゲット」という存在に引き上げることに成功したのではないだろうか。

鍋の例でいえば、やはり1人鍋よりは、家族や仲間とつつく鍋の方が、具材の種類や量を増やすことができるし、大勢で楽しく食べることができる。サイズ的にもナゲットは、1人何個という食べ方ではなく、思い思いにつまんで食べるものだと思う。ナゲットの数が多く、ソースの種類も多彩であれば、食べる楽しみも大きくなることだろう。

おみやげにナゲット? 意外な需要

マクドナルドによるナゲットの販売分析によると、実は夜のニーズも高いというデータがあるそうだ。日中に子供たちが食べる「おやつ需要」が最も高いと思っていたのだが、そうでもないらしい。

仕事帰りの父親が、(自分の晩酌用も含めて)家族用としてナゲットを購入しているケースもあるとマックは分析する。そうであるならば、ナゲットの役割は大きく広がる。家族でナゲットを囲んで、自分好みのソースをつけて食べる。「個食」がトレンドワードとなっている中で、ナゲットは新たなニーズを開拓する力を備えているのかもしれない。

ナゲットの箱もおみやげにはぴったりだ

クリスマスチキン戦争を制する者は

クリスマスのチキンも、今や選択肢は豊富に存在する。コンビニはチキンの味を競い、価格だけでなく品質でも消費者の選択肢に残ろうと必死の戦いを繰り広げている。

そして、クリスマスの食卓で長年にわたり王座を防衛し続けているケンタッキーフライドチキンは、今だに存在感を放ち続けている。ケンタッキーのチキンは、自宅では再現できない独特の味わいだ。

それでも苦戦を強いられるほど、充実してきているのが昨今のチキン市場だと感じる。コンビニも中食需要の取り込み拡大に向け、数字を確実に確保できる商品の開発に力を入れている。イートインを見据えた店舗改装をコンビニは加速している。持ち帰るまでの間に冷めることなく、温かいうちに食べてほしいという機会の創出と、誰かが近くにいるという“ぼっち食”では感じられない「ぬくもり」も併せて提供している。

選択肢が増えるということは、消費者にとって喜ばしい限りだ。作り手は選ばれるための価値を創造し、消費者にアピールする機会を公平に保有している。チキン戦争の勝者は誰か、という興味よりも、消費者がおいしいチキンとともに心豊かに過ごす3日間となるよう、マクドナルド含め各企業が応援して欲しいと願っている。

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

2018.11.16

シャープが新スマホ「AQUOS R2 compact」を発表

大画面化の波に逆らい、「片手ポケット族」が増加傾向に

iPhone不在の「小型スマホ」市場を狙う

11月15日、シャープがAndroidスマートフォンの新製品「AQUOS R2 compact」を発表した。名前に「compact」と付いている通り、最近のスマホ市場では選択肢が減っている小型モデルであることが特徴だ。

小型スマホの需要を取り込む「AQUOS R2 compact」

コンパクトな見た目とは裏腹に、中身にはハイエンドである「AQUOS R」シリーズのスペックを詰め込んでいる。世界的にスマホの大画面化がトレンドとなっている中で、あえて時代に逆行するシャープの狙いはどこにあるのだろうか。

スマホを片手で持ち、ポケットに入れて使う人が増加

世界のスマホ市場では、6.5インチの「iPhone XS Max」に代表される大画面モデルが人気を博している。だが、日本では通勤電車などの利用シーンにおいて、片手で使う人が多いといわれている。シャープによれば、スマホを片手で持つ人は64% 、服のポケットに入れて持ち運ぶ人は49% に達しており、その割合は上昇傾向にあるという。

片手で持ち、ポケットに入れて持ち歩く「片手ポケット族」が多いという

その背景として、シャープはスマホの「インフラ化」を指摘する。SNSやコンテンツを楽しむだけでなく、サービスの利用やモバイル決済にスマホは欠かせない存在になっており、日常生活でスマホを取り出す場面が増えている。

AQUOS R2 compactは、日本人の手のサイズを念頭に置いた「横幅64mm」のボディに、できるだけ高性能な部品を詰め込んだハイエンドコンパクト機になっている。プロセッサは最新のSnapdragon 845、メモリは4GBを搭載しているが、これは大画面モデルのAQUOS R2と同等だ。

ポケットに入れやすいサイズに高性能を詰め込んだ

スマホ本体を小型化する一方、画面は前モデルの「AQUOS R compact」より大型化した。このためにシャープは画面の上下に切り欠き(ノッチ)を持つIGZOディスプレイを開発。インカメラと指紋センサを搭載しつつ、表示領域を上下に広げてきた。

前モデル(左)と比べて新モデル(右)は表示領域が広がった

「iPhone不在」の小型スマホ市場を直撃

シャープによれば、小型スマホを求める人は全体の3割程度という。スマホ市場では残りの7割に向けた大画面モデルが幅を利かせており、最新のiPhoneでは6.5インチのXS Maxに加え、一般向けモデルの「iPhone XR」も6.1インチとなっている。

一方、小型モデルとして根強い人気のあった「iPhone SE」は、後継モデルが出ないまま販売が終了。中古市場では価格が上昇する騒ぎもあった。

日本で最大シェアを誇るiPhoneだが、小型スマホ市場では存在感が薄れつつある。ソニーモバイルはXperiaシリーズのコンパクト機を投入しているが、2018年夏モデルの「Xperia XZ2 Compact」と比較して、シャープ機は画面の大きさ、薄さ、軽さの面で圧倒している。

中国メーカーとして日本でも勢いを伸ばすファーウェイ、OPPOも世界市場において大画面化競争を繰り広げており、小型モデルに積極的な動きは見せていない。この点もシャープにとって有利に働いている状況だ。

また、AQUOS R2 compactは顔認証と指紋認証の両方に対応しているのも特徴。これは、iPhoneにもXperiaにもない機能だ。スマホをポケットから取り出し、顔の前に持ち上げるだけでロックを解除できる顔認証だが、卓上に置いている場合は使いにくい。だが指紋センサがあれば、指を置くだけで済む。

顔認証に加えて指紋認証にも対応

スマホの端末メーカーの多くはグローバル市場に目を向け、大画面化のトレンドを追いがちだ。だが、シャープは国内の需要をしっかりとらえた上で、日本のユーザーに刺さる製品作りを続けている。

依然としてiPhone人気が続いている中で、限られた市場であっても「不在」のチャンスをタイムリーに活かし、ユーザーを奪還する。国内に目配りできるシャープならではの戦い方に注目したい。

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第23回

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

2018.11.16

海外メーカーの台頭で日本にも大画面化の波が到来

大画面化と使いやすさの両立、各社の工夫の歴史

縦長スマホにとって代わるのは「折り畳み」スマホか

スマートフォンのディスプレイは年々大型化が進んでおり、かつては「大きすぎる」と言われた5インチディスプレイが、今や小さい部類に入ってしまうほどだ。一方で使いやすさを維持しながらディスプレイの大画面化を実現するため、メーカー各社はさまざまな工夫を重ねている。スマートフォンのディスプレイサイズはなぜ大きくなり、今後はどのように変化していくのだろうか。

海外メーカーの台頭で日本でも大画面化に拍車

スマートフォンにとってディスプレイは、単に情報を表示するだけでなく、タッチして操作するインタフェースも兼ねている非常に重要な存在だ。そのスマートフォンのディスプレイが、ここ10年ほどで最も大きく変化した要素が「サイズ」である。

どれくらい大きくなったのかというのは、新旧のスマートフォンのディスプレイサイズを比べてみれば一目瞭然だ。日本で最初に発売されたiPhoneである「iPhone 3G」のディスプレイサイズは3.5インチだった。一方、「iPhone X」や「iPhone XS」、「iPhone XR」といった最近のiPhoneのディスプレイサイズは6インチ級があたりまえ。1.7倍に以上に拡大しているのだ。

今やスマートフォンのディスプレイサイズは5インチ以上が一般的で、6インチも珍しくなくなった。画像の「iPhone X」のディスプレイサイズは5.85インチだ

さらに「iPhone XS Max」は6.5インチもあるし、他の大手メーカーでもサムスン電子の「Galaxy S9+」やファーウェイの「HUAWEI P20 Pro」のように、6インチを超えるディスプレイを採用した機種は増えている。なぜ、これほどまでにディスプレイサイズが大きくなったのかというと、それは大画面が欲しいというユーザーが多いため。スマートフォンの性能向上によって動画やコミック、ゲームなどのコンテンツを楽しむ人が増えていることから、ユーザーのニーズに応えるかたちで、大画面が求められるようになったといえよう。

だが日本国内の事情に目を向けてみると、公共交通機関での通勤・通学が多いのに加え、片手で文字入力ができる「フリック入力」が広く普及したこともあり、片手でスマートフォンを操作する傾向が強く、実は大画面に対するニーズはそこまで大きい訳ではない。実際日本では、4インチディスプレイの「iPhone SE」が人気を保っていたし、シャープの「AQUOS R Compact」やソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ2 Compact」などのように、4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトなスマートフォンも投入されている。

2018年の夏モデルとして販売されている「Xperia XZ2 Compact」は4.9インチと、最近では珍しくなった4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトモデルだ

にもかかわらず、日本でも大画面のスマートフォンが増えているのはなぜか。まずは国内のスマートフォンメーカーが減少したことで、市場に海外メーカー製のスマートフォンが増えているためだ。海外では移動手段の違いに加え、文字入力システムの違いからスマートフォンを両手で持って操作する機会も多く、片手操作に対するこだわりが弱いのだ。

新興国などでも、ディスプレイサイズが大きいほど人気が出る傾向が目立ち、大画面に対するニーズが強いのである。海外製スマートフォンが日本市場に入り込みやすくなったことが、日本国内においてもスマートフォンの大画面化を進めたといえる。

縦長スマホの元祖はアップルだった?

とはいえ、スマートフォンが大画面化するに従って、本体の横幅がひろがり、さすがに海外のユーザーからも「持ちづらい」という声が増えてきたようだ。そこで近年急速に増えているのが、従来の16:9比率ではなく、18:9や19:9といった縦長比率のディスプレイの採用である。

持ちづらさに影響する横幅をこれ以上広げることなく、ディスプレイを縦に伸ばすことで大画面化しようとしたのだ。この流れをけん引したのは韓国メーカーで、2017年にはLGエレクトロニクスが「LG G6」(日本未発売)、サムスン電子が「Galaxy S8/S8+」といったように、縦長比率のディスプレイを採用した機種を積極的に投入した。

2017年発売の「Galaxy S8」「Galaxy S8+」は、18.9:9と縦長比率の有機ELディスプレイ「インフィニティディスプレイ」を採用したことで大きな話題となった

この韓国の両メーカーとも、グループ内にディスプレイデバイスを開発する企業を持っている。それゆえ縦長比率のディスプレイが生み出されたのには、実は大画面化だけが目的ではない。自社のスマートフォンに新しいディスプレイをいち早く搭載し、トレンドを作り上げることで、グループ企業のディスプレイデバイス販売拡大につなげる狙いもあったといえる。

だが、縦長ディスプレイで大画面化するというアイデアを真っ先に実践したのは、実はアップルである。アップルはかつてディスプレイの大画面化に消極的で、2011年発売の「iPhone 4s」までは3.5インチのサイズにこだわっていた。だが大画面化を求めるユーザーの声を受け、2012年発売の「iPhone 5」でディスプレイサイズを4インチに拡大した際に、ディスプレイの横幅はそのままに、縦に長くするという手法をとったのである。ある意味、アップルは5年前に現在のトレンドを先取りしていた、といえるかもしれない。

スマートフォンのディスプレイを縦に伸ばして大画面化するというアイデアをいち早く実践したのは、アップルの「iPhone 5」だった

しかしながら、ディスプレイを縦に伸ばして画面サイズを大きくする工夫にも、いずれ物理的な限界が来ることは目に見えている。そこで、さらなる大画面化の追求で、いま注目されているのが折り畳み式ディスプレイだ。このアイデア自体は、NTTドコモが2013年の「MEDIAS W」(NECカシオ モバイルコミュニケーションズ製)、2018年の「M」(ZTE製)で既に実現しているものだが、いずれも2枚のディスプレイを用いていたため、どうしても画面の折り目に継ぎ目が発生してしまう弱みを抱えている。

折り畳みスマートフォンとして注目されたNTTドコモの「M」は、2枚のディスプレイを用いるスタイルであるため折り畳み部分に継ぎ目が発生してしまう

だが有機ELを用いれば、ディスプレイを折り曲げられる“真の”折り畳みスマートフォンが開発できると言われており、大手スマートフォンメーカーがその開発を進めているとの観測報道も幾度となくなされている。

これは折り畳みできるという意味の「フォルダブル」スマホなどと呼ばれ、先ごろはサムスン電子が、来年発表するというフォルダブルスマホ「Galaxy F」のプロトタイプを開発者向けに見せはじめたりしている。2019年は各社から製品が登場するのではないか? との声もあるようだが、いま確実に言えることは、真の折り畳みスマートフォンがいつ、どのメーカーが、どのような形で投入するのかが、大いに注目されているということだけである。