かっぱ寿司、全店で食べ放題企画「食べホー」を始めた深い理由

かっぱ寿司、全店で食べ放題企画「食べホー」を始めた深い理由

2017.11.01

かっぱ寿司は11月1日より全国の店舗で食べ放題「食べホー」を開始した。11月22日までの平日14時から17時までの期間・時間限定の食べ放題企画となる。表向きはアイドルタイムの解消が目的だが、背景を探ると実は深い理由があるのだ。

全国のかっぱ寿司店舗で「食べホー」がスタート。写真は食べ放題対象商品

表向きはアイドルタイムの解消

かっぱ寿司の食べ放題は今年から始めたトライアル企画だ。食べホー開始までに複数回行われた。来店客が落ち込む平日のアイドルタイムの有効利用しようというのが大きな目的だった。

結果は良好。6月に開始した際は21店舗を対象に32日間で11万5765人、8月に開始した際は36店舗を対象に12日間で4万617人が利用した。ビジネス的には「どう考えても薄利な状態」(澄川浩太専務)とするものの、利益は出ているという。

この食べ放題企画、アイドルタイムの有効利用が目的と記したが、それは運営元のカッパ・クリエイトが掲げる第一義的なものである。傍から見れば、実はかっぱ寿司復活に向けての期待度が高いひとつの取組みとしか見えてこない。一体どういうことなのか。それを知るために少し時間を遡ろう。

味を知ってもらうために

かっぱ寿司はかつて回転寿司の王者だった。しかし、現在は売上規模で業界4位まで転落している。その理由は、かつての利益追求と厳格な原価管理により"味が落ちたから"とも指摘されている。そして、業績不振に陥り、紆余曲折を経て、結果的に3年前、運営元のカッパクリエイトはコロワイドグループの傘下に入ることになった。

以降、コロワイド傘下で再建を進めるにあたり、多方面で改善を図ってきた。ネタの品質向上については「生ネタは味付けするのではなく良い食材を最適なタイミングで仕入れる。子会社のバンノウ水産などのネットワークも活用して、味には強みを持っていると認識している。ネタの解凍時間を考慮したり、店舗での再現性の向上も含めて力を入れてきた」(澄川専務)と話す。

そして昨年9月以降、リブランディングを行い、店舗改装を含めた取組みも進めた。新しいかっぱ寿司を知ってもらう"きっかけ"にしたかったのだ。

しかし、一度離れたお客は急には戻らない。リブランディングで進めた取組みに、ある程度の効果はあったとするものの、さらなるテコ入れが必要だった。味には自信があるが、それを知ってもらう機会がない。そのことが今ではかっぱ寿司の経営課題となっている。そこでより多くの人に味を知ってもらおうと誕生したのが"食べ放題"なのだ。

「コロワイドグループに入り。ネタの品質向上に取り組んだ。リブランディングを行ったのも、味の向上を知ってもらう機会にしたかった。今回の食べ放題ももっと知ってもらいたいというのが大きな動機になる」(澄川専務)

かっぱ寿司が今一番重要視すること

食べ放題企画の数値上の結果は、先に記したとおりだが、一歩踏み込んで伝えたいのは、食べ放題の結果に対する経営陣の所感だ。

大野健一社長は「食べ放題をきっかけに、またかっぱ寿司に行ってみたい、というお客が増えた。認知度も上がった。かっぱ寿司っておいしくなったよね、という声をいただく機会が非常に増えている」と話す。澄川専務も「今までいなかった客層、高校生の姿も多く見えた。おいしいという声も多く大変励みになっている」とする。

大野賢一社長。社長の背後には「やる、しかない」の文字。まさにかっぱ寿司の今を表したメッセージだ

利益の面からこうした企画の結果をみてしまいがちだが、かっぱ寿司の過去を振り返れば、こうした経営者の所感のほうが大きな意味を持つ。新生かっぱ寿司の味を知ってもらい、次回の来店に期待することのほうに重きが置かれているからだ。そう考えれば「新しいかっぱ寿司を知ってもらうこと」がかっぱ寿司にとって最重要になると考えられる。

今回の発表では、別の取組みも発表されている。それは、寿司一貫を一皿50円で提供するトライアルを11月下旬から一部店舗で開始すること、平日昼限定のランチメニューやサービスを提供する「ハッピー平日かっぱ寿司」を2018年1月から開始することだ。いずれも「新しいかっぱ寿司を知ってもらう」ための関連施策として位置づけることが可能だ。

平日昼限定のランチメニューやサービスを提供する「ハッピー平日かっぱ寿司」を2018年1月から開始

本格復活に向けて

現状のかっぱ寿司は本格復活に向けての途上にある。それは店舗売上を比較しても明らかだ。たとえば、業界首位のスシローは1店舗あたり年商は約3億円。対してかっぱ寿司は2億円に過ぎない。同じ回転寿司でありながら、この差は大きい。

このあたりを埋める戦略も、新しいかっぱ寿司への認知だ。澄川専務の言葉からもそれがわかる。「またかっぱ寿司に行ってみたいと思ってもらえるようにする。その積み重ねしかない」「我々は商品で負けていると思っていない。自分たちが"おいしいんです"と情報発信するより、実際に味わってもらうことが重要。これに勝るプロモーションはないと思っている」(いずれも澄川専務)。

市場拡大を続ける回転寿司業界。上位3社は出店を拡大する。足元ではかっぱ寿司も増やしてはいるものの、既存店をいかに立て直すかのほうに力点が置かれているのが現状だ。好調な市場のなかで取り残されてしまったのがかっぱ寿司といえるだろう。

こうした状況のなかで、大野社長、澄川専務からは「新しいかっぱ寿司に触れてもらえることで、お客のイメージも、かっぱ寿司の立ち位置も、何もかも変わるはず」という強いメッセージを感じる。お客を迎え入れる準備は整った。あとはかっぱ寿司のメッセージをどれだけ多くの人が受け入れるか、といったところになるだろう。出店攻勢に出る日は近々やってくるだろうか。

あなたが頼んだからやったんですよ!

企業戦士に贈る「こむぎのことば」 第3回

あなたが頼んだからやったんですよ!

2019.05.22

「こむぎこをこねたもの」が企業戦士にエールを送る連載

頼まれた仕事をやったのに怒られるという理不尽に遭遇したら……

上司から頼まれた仕事をやって、翌日持って行ったら「何でそんなことをやっているんだ」と怒られた……。まさに「これぞ理不尽」という出来事です。

自分の言ったことを忘れてしまっている人、いますよね。

仕事をやらなくて怒られるのは仕方がないですが、頼まれたことをしっかりやったのに怒られるなんて、たまったものではありません。

口頭での指示ではなく、メールやチャットなどの履歴に残るやり取りであれば、このようなストレスも軽減できるかもしれませんが、徹底するのはなかなか難しいものです。

「今日のあの人」は「昨日のあの人」と同じ人ではないかもしれない。今日頼まれたことを、明日の相手が覚えているとは限らない。諸行無常の世の中です。

どうにかして理不尽な仕打ちをしないよう変わってほしいものですが、他人をコントロールしたり、変えることができないのもまた事実。自分の言ったことを忘れて信頼関係を崩すのも、自分の発言に責任を持とうと心がけるのも、その人自身の問題です。

あなたがまずできるのは、その上司と同じことをしないように、自身の行動を正すことでしょう。

また、相手もたくさんの仕事を抱えていて、たまたま頼んだことを忘れてしまっていただけかもしれません(だからといって怒るのはやりすぎですが……)。人間、何もかも完璧にこなすことはできませんから、あなたに頼まれた仕事ですよと伝えたうえで、たまたまのミスには寛容でありたいものです。

しかし、そうは言っても「仏の顔も三度まで」。あまりに同じことが重なるようなら強く指摘したほうがいいかもしれません。

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「就活ルール廃止」で就活はどう変わる?

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2021年、「就活ルール」が廃止されます。

これにより、現行の「3月に採用広報を解禁」「6月に選考解禁」「10月に内定交付」といった取り決めがなくなり、通年採用が実施されるようになります。

――しかし、この件について「就活に混乱をもたらす」といった報道もしばしばなされています。実際、就活を控える学生からは「具体的に何が変わるのかイメージが湧かないので、どう動けばいいのかわからない」といった不安の声も聞こえてきました。

「就活ルールの廃止」は、これからの就活をどう変えるのでしょう。そして、就活を控えた学生は今、何をすべきなのでしょうか。

1万人を超える若者の転職・就職を支援してきた20代向けの転職支援サービス「20代の転職相談所」などを運営するブラッシュアップ・ジャパン 代表取締役の秋庭洋さんに、「就活ルール廃止で変化すること」について聞くと、話は「20代のキャリア論」にまで及びました。

ブラッシュアップジャパン 代表取締役の秋庭洋さん。1967年大阪生まれ。リクルート勤務、人事コンサルティング企業の役員を経て2001年9月にブラッシュアップジャパンを設立。就職・転職支援サービス「いい就職ドットコム」「20代の転職相談所」を運営しているほか、関西学院大学、武蔵野大学でキャリア開発科目の講師を務めるなど、若年層の雇用のミスマッチ解消に取り組んでいる

「就活」を取り巻く環境が急変している

――本日は「就活ルールの廃止」が、就活生にとってどのような影響をもたらすのか、ということを聞きたくて伺いました

秋庭:なかなか壮大なテーマですよね。3日間くらいかけて話してもいいですか? (笑)

――そこをなんとか1時間ほどでお願いします! 

秋庭:話せるかなぁ (笑)。

まぁ結論から先に申し上げますと、「『就活ルールの廃止』によってこれまでの就活が大きく変わるわけではない」というのが、私の考えですね。

そもそも、これまでの就活ルールを定めてきた一番の理由は、選考のスケジュールを定めることによって「採用活動の足並みを揃えること」でした。でも、実際にはその決まりを全社が必ずしも順守しているわけではなく、それはあくまで強制力のない「紳士協定」に過ぎなかったわけです。

2020年卒の就活スケジュール早見表 (出典:マイナビ2020)

――たしかにそれは、私が就活する際にも経験しました(筆者は2016年に就活を経験)。3月よりも早い段階で、大々的に「選考」とは言わずに「面談」という形で振るいに掛ける企業があったり

秋庭:正直、そういう企業は多いですよね。経団連に加盟する企業の中でもフライングするところがあり、これまでのルールはあまり意味をなしていなかったとも言えます。

そもそも、経団連に加盟している企業は1400社ほど(経団連加盟企業は2018年5月31日時点で1376社)で、日本の全企業数のほんの数パーセントにすぎないということも知っておきべきことです。

――何故今になって就活ルールが廃止されるのでしょう?

秋庭:現在の就活状況において、そのルールがあるために「不利な立場に追いやられていた企業」が多くあったことが大きな要因の1つです。

就活を取り巻く環境は、ここ数年で大きく変化しました。少子化が進み、人材の確保が難しくなっていくことに加え、人材採用のグローバル化が進んでいます。多くの企業で人手が不足し、明らかに今、就活生は「売り手市場」にいます。

そうした状況で、 “そもそも経団連に加盟していない”新興のIT企業や、外資系企業などは、ルールに縛られることなく、早期から採用活動を行うことができていたんです。いわゆる「青田買い」ですね。

一方で、経団連に加盟する企業は「ルールを順守している」フリをしなければならず、大っぴらに学生とは接触することができません。つまり、優秀な人材獲得の競争で遅れをとることになります。そこで、仕方なく「採用を前提としないインターンシップ」という建前のもと、就活前の大学生と接触せざるを得ないという、おかしな状況に陥っていたわけです。

「就活ルール廃止」の影響を受けるのは、一部の人だけ?

――具体的に、2021年からの就活はどのように変化するのでしょうか?

秋庭:そうですね。これからの新卒採用のスタイルは、スポーツにたとえるならば「プロ野球型」から「Jリーグ型」に近いものになると思います。これまで経団連が定めていたルールは、「フライングはダメ」「抜け駆けもダメ」というプロ野球のドラフト会議のソレに近いものでしたが、外資系企業の手法はJリーグのソレに近いものでした。

前者は採用対象者に接触する時期や選考の方法など、最低限のルールが存在しますが、後者はまったくの自由競争。極端なことを言えば、「学生という身分で働いてもらっても構わない」とすら考えている企業もあります。

これまでの日本における就活の現場は、両者が混在していた状態でした。それが就活ルールの撤廃で、前者のルールがなくなる、と捉えるとよいでしょう。

ただ、ここで考えるべきは、一口に「学生」「企業」と言っても、本当はもっと細分化して見ていく必要がある、ということです。あくまで今お話ししたのは、就活生全体の1~2割にあたる極めて優秀な「トップリーグ」にいる学生を取り巻く話です。またはそういう学生を是非とも採用したい、と考えている企業の話だけといえます。

実際には、残り7~8割の一般学生や一般企業においては、「就職戦線が早期にスタートして長期化する」ということ以外、さほど大きな影響はないと思います。

ただ、多くの学生が入社を希望する「人気企業」の採用活動がひと段落しないことには、就職戦線はいつまでたっても終息しません。そういう意味においては、トップリーグの採用戦線が「いつ始まるか」よりも「いつ終息するか」の方が重要なポイントだとも言えるでしょう。

しかし、たとえスタート時期が早くなっても、終息する時期はおそらくこれまでとあまり変わらないと思います。いくら通年採用といっても、卒業の直前まで人気企業が採用数を確保できずに採用活動を継続している、なんてことはまずあり得ないでしょうから。

就活は「プロ野球型」から「Jリーグ型」へ

20代をすべて「就職活動期間」にあててもいい

――ルールが廃止される2021年以降に就活を始める学生は、どういう考えを持って就活に向かうべきなのでしょう?

秋庭:まず伝えたいのは、「就活の長期化」をネガティブに捉える必要はないということです。むしろもっと「就活がもっと面白くなる」とポジティブに捉えてほしいと思っています。

当たり前のことですが、時間が増えれば、できることが増えます。現行の就活ルールでは、限られた時間の中で就職先を決める必要がありました。就活が長期化することで、例えば、インターンシップに使える時間が増えます。実際に興味がある会社で働いてみることで、そこにどういう社員がいて、どういう社風なのかを実際に自分の肌で感じることもできるでしょう。その情報を得た上で、入社するか否かを判断できるわけです。

就活の長期化は、企業と就活生のミスマッチの減少にもつながりそうです

――それでは最後に、就活を控えた学生にアドバイスをお願いします

秋庭:これは就活生に関わらず、すでに就活を終えた学生や、社会人になったばかりの方々にも共通することですが、「20代でイキナリ自分に合った仕事や職場など見つからない」という考えを持ってほしいと思います。20代全部を使って就職活動をする、そんな気持ちで行動すれば良い、というのが私の考えです。

たとえ正社員として企業に勤務していても、それは「長いインターンシップにすぎない」といった感覚で、いろんな業界・仕事・人・価値観に触れてください。

そこで感じたことを踏まえて、いよいよ30歳で社会人デビューする。その考えを持っていれば、多少の失敗があっても、「いい勉強になった」程度に捉えられます。そして、30代で軸足を確かにできる場所を見つけて、迷いなくスタートダッシュを切れたら大成功、くらいに考えるといいのではないでしょうか。

「一度入った会社でなんとか成功しないといけない」と考えると、窮屈でしょう。転職をけしかけるつもりは毛頭ありませんが、「転職は大変」「せっかく入った会社を辞めていいのか」という考えに固執しすぎる必要もありません。

「人生100年時代」という言葉もあります。たった数年でも、世の中の「働く」を取り巻く環境は大きく変わります。働き始めれば、自身の考え方も変わることでしょう。ガチガチにならず、気楽な気持ちで、「20代の就職活動」に向かって行ってもらえれば、と思います。

――ありがとうございました

「20代でイキナリ自分に合った仕事や職場など見つからない。社会人デビューは30歳からでいい」
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