大統領のクルマがモーターショーに! 「DS」が魅せた“フランス車”の粋

大統領のクルマがモーターショーに! 「DS」が魅せた“フランス車”の粋

2017.11.03

一時期に比べると輸入車の出展が減っている今回の「第45回 東京モーターショー2017」。そんな中で、2年前に登場した新しいブランドがある。フランスの「DS」だ。初めて目にする人も多いだろうこのブランドの魅力を、日本初上陸の「DS7クロスバック」を例にとって紹介していこう。

東京モーターショーに登場した「DS7クロスバック」

国際色が薄れるモーターショーで最新の輸入乗用車ブランド

開催中の東京モーターショーに関係するニュースのひとつとして、輸入車の出展メーカー数が減少しているという話題があった。イギリス車やイタリア車の参加はなく、アメリカ車は2輪車のハーレーダビッドソンのみ(出展車両は3輪のトライク)、カナダのBRPもトライクを出展したが、4輪乗用車の出展はドイツ、フランス、スウェーデンの3カ国に限られた。

これは東京モーターショーに限ったことではなく、自国にメジャーな自動車ブランドを持つドイツのフランクフルト、フランスのパリで行われるモーターショーも、近年は参加を見合わせるブランドが増えている。

中国の上海など、新興国のモーターショーはそういうことはなく、自国にメーカーがないスイスのジュネーブショーも賑やかだが、それ以外は北米各地で行われるモーターショーを含め、国際色が薄れつつある。

そんな状況の中でも参加を決断した合計計11の輸入乗用車ブランドの中で、最も新しいのがフランスのDSである。

東京モーターショーへの参加を決めた輸入乗用車ブランドでDSは最年少だ

シトロエンのプレミアム路線が奏功、高まるDSの存在感

「DSって昔のシトロエンの車種じゃないの?」と思う人もいるだろう。確かに、1955年に発表され、フランスを代表する高級車として20年間君臨したクラシックDSはシトロエン・ブランドだった。

しかし、21世紀に入って、シトロエンは既存のラインナップよりプレミアム感を高めたラインを構想。2010年に最初の車種である「DS3」を登場させると、翌年には「DS4」、2012年には「DS5」を立て続けに発表する。これらのモデルはすべて好評を博した。

そんな状況もあって、シトロエンとプジョーを擁するPSAグループはDSブランドの分離を決断した。欧州では2014年、日本では翌年に開催された前回の東京モーターショーで、独立したブランドとして歩むことを決意表明したのだ。

DS3/4/5の3車種はこれ以前に登場していたので、シトロエンのエンブレムであるダブルシェブロンをフロントマスクに掲げていたが、短期間のうちに、メッシュグリルにDSの文字を乗せたグリルに付け替えられた。

「DS7クロスバック」が日本初公開に

つまり、今回の東京モーターショーは、DSブランドにとっては2度目ということになるのだが、以前にも増して力が入っていることがうかがえた。

一般公開日に先駆けて開催されたプレスデーからしてそうだった。なんと、駐日フランス大使のローラン・ピック氏がわざわざ東京ビッグサイトに駆けつけ、プレスブリーフィングでスピーチしたのだ。そして出展車リストには、日本初公開となる「DS7クロスバック」の名があった。

既存のDSブランドの最上級車種はDS5。つまり、DS7クロスバックは新たなる最上級車ということになる。それを立証するように、今年5月にはエマニュエル・マクロン新大統領の就任パレードにも使われた。

「DS7クロスバック」はフランスのマクロン大統領が就任パレードに使ったクルマだ

DS7クロスバックは今年3月に開催されたジュネーブ・モーターショーで発表されたばかりで、マクロン大統領のパレードが初の公道走行だった。そんな経緯もあって、駐日フランス大使がブースを訪れたのかもしれない。

パリの「リュクス」を語るDSブランド

では、DSブランドとはどういう位置づけなのか。以前、プジョー・シトロエン・ジャポン代表取締役社長のクリストフ・プレヴォ氏にうかがったところ、セーフティやパワートレイン、インテリアなど、プレミアムブランドが備えるべき最低限のルールは押さえたうえで、パリの「リュクス」(luxe)、つまりはラグジュアリーな世界をクルマを通して見せていくことをコンセプトとしているという答えが返ってきた。

パリの「リュクス」を語ることをブランドコンセプトとするDS

フランスはファッションやグルメなど、文化的な部分では世界をリードする地位にある。その核となっているのが花の都とも言われるパリであり、ラグジュアリーなホテルやレストラン、ブランドショップなどが集結し、世界へ向けて魅力を発散している。

フランスのラグジュアリーブランドは職人による手仕事が多い。レストランについても同様だ。しかも、長きにわたる伝統を継承しながら、フランスらしく常に前衛的でもあり、大人の遊び心を盛り込むことを忘れない。同じパリ生まれのDSは、こうした文化的価値をクルマに盛り込んだ存在と言える。

最新鋭の機能とフランスの遊び心が同居

その頂点に位置するDS7クロスバックで、まず目を引くのは「DSアクティブLEDビジョン」と呼ばれるLEDヘッドランプだ。駐車、市街地、郊外、高速道路、悪天候という5つのモードを自動的に選び、ハイ/ロービームも自動で切り替え、ステアリング操作に合わせて照射方向を変えるなど機能的にも最新鋭だが、点灯時や消灯時に内側の3個のライトがクルッと回転するアクションも見逃せない。これだけで、他のSUVとはひと味違うという印象を受ける。

機能的に最新鋭のヘッドランプ。点灯・消灯時のアクションも特徴だ

インテリアは職人の手仕事が感じられるインパネのレザー、宝石を思わせるメタルのアクセントなど、シックでありながらラグジュアリーな世界が展開されている。その中で目立つのが、インパネ中央から立ち上がったアナログ時計だ。同じフランスのB.R.Mがデザインしたこの時計、エンジンスタートボタンを押すと連動して立ち上がる。驚きと遊びを盛り込んだフランスらしい技だ。

クラシックDSの乗り味も継承

クラシックDSはオイルと空気を使ったサスペンション「ハイドロニューマチック」がもたらす極上の乗り心地も魅力だった。DS7クロスバックはこの伝統も、21世紀の技術を融合することで進化させている。「DSアクティブスキャンサスペンション」がそれで、車体に装着したカメラを用い、前方5~20mの路面状況をチェック。その情報をもとに足回りのダンパーを電子制御することで、路面を問わない快適性を提供するというのだ。

搭載される1.6リッターのガソリンターボエンジンは専用チューニングが施された225ps仕様であり、トランスミッションは8速オートマチック。「DSコネクテッドパイロット」と呼ばれる高度な運転支援システムなど、DS7は技術面でも現代の水準に達している。

その上で、何を付加価値としてアピールするかが、プレミアムブランドの肝であると筆者は考える。DS7はその要求に、パリならではのリュクスとラグジュアリーを盛り込んだ。その世界観を象徴するのが、今回上陸したDS7クロスバックだ。このクルマを見れば、DSブランドの目指すところが分かるだろう。

「音声」巡り覇権争うアマゾンとグーグル、立ち止まるアップル

「音声」巡り覇権争うアマゾンとグーグル、立ち止まるアップル

2019.01.21

CESで存在感を放つアマゾンとグーグル、各社の最新動向は?

レノボはGoogleアシスタント、Alexaに対応した新製品を発表

アップルは各社にプライバシー問題を警告、独自路線を貫くか

米ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES 2019」で、別格の存在感を放っていたのがアマゾンやグーグルだ。2018年はグーグルがCESに初めて本格出展したことで話題となったが、2019年も大がかりなブースを設置して来場者の注目を浴びた。

ラスベガスのCES会場前に設置されたグーグルのブース

アマゾンやグーグルは音声アシスタントで競争しており、家電製品への組み込みを進めている。2019年のCESではどうだったのか、両社の最新動向をレポートする。

グーグル対アマゾンの音声争いが加速

グーグルは今年もCES会場に「Googleアシスタント」を目玉にした大型ブースを設置。巨大な壁面広告やモノレールのラッピング広告で存在を示し、家電メーカーのブースには白い帽子のスタッフを派遣するなど、CESを乗っ取る勢いだった。

「Googleアシスタント」に対応した家電製品が並ぶグーグルブース

一方、Alexaで先行するアマゾンも展示エリアを拡大。業界やメーカーの枠を越えた「Alexa対応製品」を一挙展示することで、エコシステムの強大さを示した。家庭向けのスマートホーム用途だけでなく、オフィスで使う事例も示すなど、応用範囲を広げている。

アマゾンは「Amazon Alexa」対応製品をブースに集めた

具体的な対応製品として、音声で操作できるスマートスピーカーやスマート電球はもちろんだが、これまでにないジャンルの製品も増えている。たとえばレノボは「目覚まし時計」と「タブレット」の2機種を発表した。

レノボの目覚まし時計「Smart Clock」(左)とタブレット「Smart Tab」(右)

Googleアシスタントに対応した「Smart Clock」は、目覚まし時計の置き換えを狙った製品だ。音声だけでなく画面のタッチ操作にも対応しており、カレンダーの予定や寝覚めのいい音楽、室内の照明と連動した目覚まし機能を提供する。

一方、Amazon Alexaに対応した「Smart Tab」は、一般的なAndroidタブレットとして使えるほか、ドックに置くと音声とタッチで操作するスマートディスプレイに早変わりする。自宅でも外出先でも1台2役で使えるお得さが特徴だ。

アップルが投げかける「プライバシー」問題

CESに両社が注力する背景には、音声アシスタント市場におけるシェア争いがある。「Amazon Echo」や「Google Home」といったスマートスピーカーの売上ではグーグルがアマゾンを猛追しており、2018年第1四半期には逆転劇を果たした(英Canalys調べ)。しかし第3四半期にはアマゾンが再び首位に立つなど、接戦が続いている。

その勢力はスマートスピーカーを越えて、家電全体に広がりつつある。家電の操作といえばスイッチやリモコン、タッチ操作が一般的だが、音声に対応する製品は増えている。これまで独自の音声アシスタント「Bixby」を展開してきたサムスンも2019年にはグーグルとアマゾンとの連携を発表した。

サムスンはスマートTVでグーグル、アマゾンと連携

このまま音声が普及していけば、世界中の人々がインターネットのサービスやコンテンツにアクセスする手段になる可能性がある。音声アシスタントのシェア争いは、スマホOSのシェア争いと同じくらい重要というわけだ。

ただ、音声操作はプライバシーに関する懸念もある。音声操作を受け付けるには、マイクが常時オンになっている必要があるからだ。マイクをオフにする機能はあるとはいえ、家庭内のプライベートな会話を常にマイクに拾われるのは心地よいものではない。

この問題に一石を投じたのがアップルだ。CES会場からよく見えるホテルの壁に意見広告を掲載。ラスベガスの有名なコピーをもじって「iPhoneで起きることはiPhoneの中にとどまる」と訴え、サードパーティと広く連携するアマゾンやグーグルを牽制した。

アップルはCESでプライバシー重視をアピール。元々の言葉は、「What happens in Vegas stays in Vegas.(ラスベガスで起きたことはラスベガスに残る)」というもの

アップルも独自の「Siri」をiPhoneに搭載し、スマートスピーカー「HomePod」も販売している。だがサードパーティとは積極的に連携していないため、音声のシェア争いでは不利な立場に追い込まれている。アップルがこのまま「プライバシー重視」路線を貫くかどうかも、音声アシスタント市場の行方を左右しそうだ。

一度は姿を消したワイヤレス充電が再びメジャーになった理由

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第30回

一度は姿を消したワイヤレス充電が再びメジャーになった理由

2019.01.21

いまや当たり前の「ワイヤレス充電」スマホ

開発も販売も、実は日本が世界初だった

過去にナゼ廃れたのか、今はナゼ流行っているのか

最近、ケーブルに接続する必要なく充電ができる、ワイヤレス充電に対応したスマートフォンが増えてきている。一時は姿を消していたワイヤレス充電が、ここにきて再び脚光を浴びるようになったのはなぜだろうか。

世界初のワイヤレス充電対応スマホは日本製

スマートフォンを充電する際、多くの人は充電用の電源ケーブルに接続して充電していることだろう。だがここ最近、スマートフォンをケーブルに接続することなく、専用の充電台に置くだけで充電ができる「ワイヤレス充電」に対応したスマートフォンが増えているのだ。

例えばアップルのiPhoneシリーズであれば、2017年発売の「iPhone 8」シリーズ以降からワイヤレス充電に対応している。他にもグーグルの「Pixel 3」やサムスン電子の「Galaxy Note 9」、そしてファーウェイの「HUAWEI Mate20 Pro」など、海外製のハイエンドスマートフォンを中心として、ワイヤレス充電に対応したスマートフォンは着実に増えている。対応スマートフォンの広まりとともに、ワイヤレス充電をするための充電器も数が増え、家電量販店などで目にする機会も増えている。

ワイヤレス充電対応機種は急増しており、「iPhone XS」など最新のiPhoneもワイヤレス充電に対応している

充電をするためにケーブルに接続するというのは手間がかかるし、何よりケーブルは絡まりやすく取り回しが面倒なもの。それだけに、スマートフォンを置くだけで充電できるワイヤレス充電は消費者にとって非常に便利だ。したがってスマートフォンに搭載するという動きも比較的古くから進められていたのだが、現在のように広く普及するまでにはかなりの時間を要している。

実は、スマートフォン単体でワイヤレス充電ができる機種が最初に投入されたのは日本で、開発したのも日本企業である。2011年にNTTドコモから発売された、シャープ製の「AQUOS PHONE f SH-13C」がそれに当たり、Wireless Power Consortium(WCP)が策定したワイヤレス給電規格の1つ「Qi」に対応。Qi対応の充電器に置くだけで、スマートフォンを充電できる仕組みを備えていたのである。

世界初のワイヤレス充電対応スマートフォン「AQUOS PHONE f SH-13C」は、2011年にNTTドコモが提供。専用の充電器も提供していた

しかも当時、NTTドコモはQi対応のワイヤレス充電ができるスマートフォンの開発に力を入れており、「おくだけ充電」という名称まで付けて積極的なアピールを進めていた。さらにシャープだけでなく、NTTドコモと関係の深い他の国内スマートフォンメーカーともQi対応のスマートフォン開発を進め、市場に多くのワイヤレス充電対応スマートフォンが存在した時期があったのだ。

規格や充電性能の問題が解決し採用機種が増加

だが2013年を境に、NTTドコモのラインアップからワイヤレス充電対応のスマートフォンが一時期姿を消し、ワイヤレス充電は急速に存在感を失うこととなる。当時ワイヤレス充電に力を入れていたパナソニックモバイルコミュニケーションズやNECカシオモバイルコミュニケーションズなどが、iPhoneなどに押されてスマートフォン市場から撤退した影響も大きいが、より本質的な要因は2つあると考えられる。

1つは、急速充電に対する消費者のニーズが高まっていたためだ。当時はバッテリーの性能が現在より低かったため、スマートフォンを使っているとあっという間にバッテリーを消費してしまい、不満の声が多かったため、何よりも素早く充電できることが強く求められていたのだ。しかしながら当時のQiは電力の出力が弱く、充電速度が遅かったことから、消費者のニーズとマッチせず姿を消してしまったのである。

そしてもう1つの理由は、ワイヤレス給電規格が複数存在し、業界全体で、どの方式を採用するか方向性が定まっていなかったため、後続するスマートフォンがなかなか出てこなかったことだ。実際、2015年に日本でも発売されたサムスン電子の「Galaxy S6」「Galaxy S6 edge」はQi規格だけでなく、Power Matters Alliance(PMA、現在はAirFuel Alliance)が策定したワイヤレス給電規格も採用することで、ワイヤレス充電に対応させている。

2015年発売の「Galaxy S6 edge」は、当時まだ事実上の標準規格が定まっていなかったこともあり、複数のワイヤレス給電規格に対応していた

そして最近になってワイヤレス充電が再び日の目を見ることができたのは、それらの課題が解決したことが大きく影響している。急速充電に関しては、当初Qiのモバイル機器に向けた「Volume I」という規格では、送信できる電力が5W以下とされていたため充電速度が遅かったのだが、その後10W、15Wといったより大容量の送信ができる規格の策定が進んだことで、より速く充電できるようになったのである。

また規格の統一に関しては、アップルなど影響力の大きな主要スマートフォンメーカーがQiの採用に傾いたことで、Qiがスマートフォン向けの事実上標準規格となった。そのため多くのスマートフォンメーカーがQiを採用しやすくなり、急速に数が増えたといえる。

さらにもう1つ、高いデザイン性や防水性能など、スマートフォンに求められる要素が年々増えていることも、ワイヤレス充電が復活した大きな要因として挙げられるだろう。一方で、かつて必要だったPCへの接続など、スマートフォンに何らかのケーブルを接続する必要性は年々薄くなっている。将来的にはスマートフォンのワイヤレス充電対応が当たり前となり、充電用のUSB端子やLightning端子がなくなることも十分あり得るだろう。