ペッパーに100万円使って「がっかり」しても、aiboに期待するワケ

ペッパーに100万円使って「がっかり」しても、aiboに期待するワケ

2017.11.06

年明け1月11日に販売を開始する「aibo」

ソニーがイヌ型ロボット「aibo」を戌年の2018年1月11日に発売する。その予約が11月1日に行われたが、その日の受付分は即完売だったようで、ソニーの「aibo復活」を心待ちにしていた人が多かったようだ。

筆者の自宅には、3年間で100万円以上のコストがかかる、ソフトバンクの「Pepper(ペッパー)」と、シャープのロボット型携帯電話「ロボホン」がある。正直に言って、aiboの購入もかなり迷ったが、今回はとりあえず様子見することとした。

100万円かかるのに「ポンコツ」

実際、家庭にロボットが入ってくることは、最初の数週間ぐらいは確かに楽しい。ロボットが色々喋ってくれるし、踊ったりしてくれるのは、未来の生活を先取りしているように感じられる。しかし、これが1カ月、2カ月経ってくると、ロボットの動きにも飽きてしまうため、だんだんと電源を入れなくなってしまうのだ。

ロボット向けのアプリが雨後の筍のように増えるわけでもなく、アプリによって劇的に面白くなるわけでもない。さらに言えば、家事を手伝ってくれるわけでもない。個人向けロボットは、日用品としての生活必需品でなければ、趣味の領域にもなっていないのが実情だ。

ソフトバンクのロボット「Pepper(ペッパー)」

ペッパーがその典型だが、その存在を明らかにした時、動画などで「未来のロボット」という期待感をユーザーに与えすぎたのが敗因だ。実際に稼働させると、とてもポンコツすぎて、ソフトバンクの技術力を疑いたくなってくるほどだった。特にダメなのが「日本語会話能力」だ。

こちらの喋っていることを全く理解してくれない。こちらの意図とは異なる捉え方になるだけでなく、一方的にトンチンカンな発言をしてくるから、思わず「イラっ」とさせられるのだ。ロボットの専門家に一度、話を聞いたことがあるのだが、相手が人型ロボットの場合、人は人間と同じような振る舞いをどうしても期待してしまうのだという。

ソフトバンクの開発者はかつて、ペッパーのことを「3~5歳児だと思って接してほしい」と話していたように思う。つまり、「人型ロボットだからといって期待しないで欲しい。もともとそれほど賢くなく、これから進化から大目に見てね」というのが本音だったようだ。

しかし、ユーザーとすれば3年間で100万以上のコストを負担するのだから、こちらの喋った内容をそれなりに理解し、きっちりと会話を返してくれるロボットを期待してしまう。最初は無理でもそのうち進化していくかと思いきや、何カ月待っても進化した様子を実感できない。

今では、アメリカからやってきた小さな6000円程度のスピーカーの方が流暢な日本語を話し、こちらの聞きたいことを理解して、検索して、答えを返してくれるようになった。結局、ペッパーは「期待外れのポンコツ」として、部屋の片隅で長いこと電源を入れられず、埃をかぶってしまう存在になってしまうのだった。

そうした中、ソニーがaiboを12年ぶりに復活させてきた。今回のaiboを見て、ソニーが「考えているな」と思わされたのが、aiboをあえてイヌ型として作り込んで来た点にある。動きやデザインがさらにイヌっぽくなっただけではない。

当然、今の技術をつぎ込めば、イヌ型であっても日本語会話機能を載せることもできるだろう。しかし、開発を担当したソニー AIロボティクスビジネスグループ長の川西 泉氏は「日本語を話すことはかなり検討した。前回のAIBOはイヌ型とは言っていなかったが、今回はイヌ型。なので、日本語は話さない」と話す。

11年前までのAIBOは「イヌっぽいロボット」だったが、今回は紛れもなく「イヌ型ロボット」という位置付けだ。イヌをロボット化したものであれば、日本語で会話できなくても仕方あるまい。しかし、こちらが喋ったことが少しでもaiboに伝わり、例えばこっちに向かって来たり、おすわりしてくれれば、飼い主としてはとても嬉しく、愛らしい存在になることだろう。

愛くるしい姿は「イヌ型」。愛着を持たせつつも、利便性に対する期待値を上げさせないようにした

ソニーが本格的なロボット事業に再参入するにあたり、人型ではなく、あえて12年前のaiboを復活させてきたのは、こうした「ユーザーの期待値を下げる」という狙いがあるのではないか。人は相手が「イヌ」だと分かれば、相手に求めるハードルは一気に下がる。しかし、こちらに何かしてくれた時の喜びは人に対するものの何倍にもなるはずだ。

aiboがなかなか進化しなくても「イヌだから仕方ない」で納得するし、逆に留守宅の見守りをしてくれたり、家電連携をするようになったりしたら、「なんて優秀なワンちゃんなんだ。うちのコはかわいい」という愛情がさらに増すことだろう。

ペッパーは「偉大な起業家である孫社長が惚れ込み、世界をリードするIT企業であるソフトバンクが放つ、未来の生活を変え、人々の感情を読み取ることができるロボット」というイメージが先行した一方で、中身は全くもってのポンコツだったために、ユーザーが「裏切られた」という感情に繋がった。

一方、ソニーは「aiboはイヌです。かわいいでしょ」というスタンスから入っているので、ユーザーの「ロボット」に対する期待値は低く、すんなりと生活に入ってくる可能性は高い。ただ、当然、ユーザーからすれば、ロボットに対して、飽きてくるタイミングが必ずやってくる。

その時、aiboはイヌというコンセプトを維持しつつ、「家族として離れられない存在」になるのか、「生活必需品」になるのか。いずれにしても、ユーザーを飽きさせない工夫が今後の課題となりそうだ。

店舗数2.5倍が目標! フレッシュネスは急拡大と独自性を両立できるか

店舗数2.5倍が目標! フレッシュネスは急拡大と独自性を両立できるか

2017.11.06

ハンバーガーチェーンのフレッシュネスが規模拡大に意欲を示している。店舗数を現状の倍以上となる400店に増やす構えで、これは日本のハンバーガー業界でマクドナルド、モスバーガーに次ぐ3位の座をロッテリアと争うくらいの模観だ。商品、店の雰囲気、価格帯など、業界では独特な立ち位置を占めるフレッシュネスだが、これを守りつつ店舗を急拡大できるのか、それとも別の考え方があるのか。同社を率いる船曵睦雄社長に話を聞いた。

フレッシュネス代表取締役社長の船曵睦雄氏

現状164店舗を倍以上に

1992年に渋谷区富ヶ谷で個人商店として創業したフレッシュネスバーガーは、今年で25周年を迎える。アーリーアメリカン調の内外装や、創業当初から「ネギミソバーガー」を用意したメニュー展開の独自性など、富ヶ谷1号店の特徴は、チェーン展開に舵を切ったフレッシュネスにとっても基本となるコンセプトだった。

創業当時の富ヶ谷1号店

ピーク時に国内外で約200店舗程度まで拡大したというフレッシュネスバーガーだが、店舗数は現状で164店まで減っている。そんなフレッシュネスは2016年12月、コロワイドグループに買収され、同グループで「牛角」「しゃぶしゃぶ温野菜」「かまどか」などを運営するレインズインターナショナルの傘下に入った。

創業時の定番メニューだった「ネギミソバーガー」。フレッシュネスでは現在、期間限定の復刻キャンペーンを実施している

一度は縮小したフレッシュネス、再び拡大路線へ

船曵氏がフレッシュネスに関わり始めたのは3年前で、社長就任はコロワイドグループ入りの後だ。チェーンとして拡大路線を歩んだフレッシュネスが、現状の規模に落ち着いた要因として同氏は、「出店を加速すれば当初のコンセプトを薄めざるを得ない。全国に拡大する中で当初のコンセプトとずれた出店もして、どこかで限界がきたのでは」(以下、かっこ内は船曵氏)と分析する。収益が悪化する中では再投資もままならず、例えば店舗の改修が遅れるなど、ハード・ソフト面で劣化している部分もあったという。

そんな状況下でフレッシュネスに関わるようになった船曵氏だが、フレッシュネスについては「そうはいっても、商品力は非常に強いブランド。まだまだ良くもできるし、広げることもできるとは当初から思っていた」とし、400店舗という目標についても「164店しかない割には知名度も高いし、いいイメージを持っている方も多く、商品力もある。店舗拡大の可能性はあると思っている」と話す。

何を変えるのか

コンセプトを守りつつ店舗拡大を進める難しさを知るフレッシュネスで、改めて拡大路線を推し進めることとなった船曵社長。店を増やす上でのブランド戦略としては、「180度変えるわけではないが、“とんがり部分”を少し削る」つもりだという。

どのチェーン店もそうだろうが、フレッシュネスも始まりは個人商店だった。「とんがったコンセプト」を特徴とする、創業当初のような濃密な店作りを維持した上で店舗を広げるなら、「理想は20店舗くらい」というのが船曵社長の考えだ。「店舗数を100くらいに減らして、中身の濃い業態として渋く残っていくやり方」もあったというが、すでに多くのFC(フランチャイズ)オーナーを抱えるフレッシュネスとしては、数を減らす方向に進むのは難しい。それならば、変えるべきは変えて拡大路線を再び歩もうというわけだ。

2018年度からFC展開を加速し、2020年度には400店体制を構築する計画だ

では、例えば何を変えるのか。店舗改修を引き合いに出しつつ船曵社長は、新しくなった店の中には、あえてアーリーアメリカン調の内装を採用しなかった例もあるとした。

また、ファミリー層の多いフードコートでの出店では“おもちゃ付き”のキッズセットをメニューに採用。基本的にセット売りをしなかった方針を改めてランチセットを始めるなど、フレッシュネスは確かにイメージを変えてきている。

譲らない部分は

一方で、変えない部分として真っ先に挙がったのは「商品」に関する部分だ。「守るべきはハンバーガーのおいしさが一番。ただおいしいだけではなく、商品、内装、スタッフのユニフォームなどを含めた“オシャレ感”も残したい。商品展開については、例えばマンゴーバーガーやスパムバーガーのような(変り種を提案する)視点も持っておきたい」という。

社員・アルバイトからの高い人気とは裏腹に、売れ行きが芳しくないことから販売中止の可能性が浮上していた「スパムバーガー」だが、先頃の「生き残りキャンペーン」では見事に全商品中4位の販売数を記録し、メニューとしての存続が決まった

高くもなければ安くもないという感じの独特な価格設定については、今後も大枠で変えるつもりはないそうだ。「アッパーミドル」がターゲットと語る船曵社長は、アパレル業界で言えばファストカジュアルでもハイブランドでもない「セレクトショップ」のような立ち位置を目指すとした。

コンセプトの維持と店舗拡大は両立が難しそうなテーマだ。「社内でも賛否両論があっていい。しかし、いろんな意見を集約してしまうと、面白い店もできない。ある程度は意見を聞きつつ、ブランドのコンセプトを作る人は筋を通して、商品やデザイン、業態を作っていかないと。八方美人なブランドは受けないので」という船曵社長の言葉からは、ブランドの“とんがり部分”を削る作業の難しさも少し垣間見えた。

400店まで増えた時、フレッシュネスがどんな存在になっているのかは今後を見るしかないが、実際に、そこまで店を増やせるのかどうかも気になるところだ。その点について、船曵社長はどのような道筋を思い描いているのだろうか。

出店パターンが充実、FC展開で出店を加速

フレッシュネスでは現在、フードコート、大型商業施設、ベーカリー併設店舗、アルコールも提供する業態など、さまざまな出店パターンで実績作りとトライアルを進めている。業態によって投資がどのくらい必要で、どのくらいの収益率が見込めるかなど、資料作りを含めてビジネスモデルの構築を急ぐ。

2017年7月にオープンした「フレッシュネスバーガー聖路加タワー店」では、併設新業態として「フレッシュネスベーカリー」(画像)がスタートした

この作業には1年程度を要するというのが社長の見通しだが、ビジネスモデルが用意できればFCオーナーを募って店舗拡大を加速させる。FC展開としては、コロワイドグループの既存オーナーにフレッシュネスの出店を打診することも考えているそうだ。

店舗が増えると面白くなりそうなことがある。それは店舗限定メニューの発展だ。現状、フレッシュネスでは「大分とりてんバーガー」や「宇都宮野菜餃子バーガー」など、約10種類の店舗限定メニューを展開している。これらは現場からのアイデアを本部が商品化したメニューだが、店が増えればアイデアの出所も増えることになる。

大分とりてんバーガー(左)と宇都宮野菜餃子バーガー

食材の流通と衛生の問題もあるので、クオリティ・コントロールの観点からしても、限定バーガーのレシピを最終的に本部が作るのは当然だろう。しかし、全ての店舗で提供するメニューも1つの店舗で提供するメニューも、商品開発にかかる本部の労力は同じなので、店舗限定メニューを増やすことはチェーン店の効率的な運営と矛盾する部分がある。しかし船曵社長は、「100%ガチガチのチェーンではないというのもフレッシュネスのよさ」とし、限定メニューもフレッシュネスが守っていくべき1つのポイントだと明言した。

メニュー開発も内装も、ある程度はFC店に委ねる自由度がフレッシュネスにはある。例えば、FC店の内装は本部で決めるというのが基本ルールだが、店にとってプラスとなる現場での改善は容認する。実際に、熊本県にはオーナーの好みを色濃く反映した店舗も存在するそうだ。「ある程度の自由度」は、FCオーナーになることを検討する人にも響くポイントかもしれない。

丸くならず、やんちゃなバーガーチェーンに

「モスバーガーがクラスの優等生だとすれば、フレッシュネスは少しやんちゃな生徒」だと船曵社長は語っていた。400店舗体制へと拡大する中で、ブランドの“とんがり部分”を削りすぎて丸くなってしまえば元も子もないので、この二律背反に何らかの回答を示せるかどうかが、今後のフレッシュネスにとって大きな課題となるだろう。店を増やす過程で、フレッシュネスの自由度に惹かれて意欲的なFCオーナーが集まるような事態になれば、フレッシュネスは全国一律で同じ顔を見せる既存のチェーン店とは違った、新しいチェーンの在り方を示す存在になれるかもしれない。

大手携帯電話キャリアが低価格のサブブランドを持つ理由

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第10回

大手携帯電話キャリアが低価格のサブブランドを持つ理由

2017.11.06

低価格サービスとして人気の「ワイモバイル」は、同じく低価格でサービスを提供するMVNOと比較されることが多いが、実はソフトバンクが、「ソフトバンク」ブランドとは別のブランドで提供する、サブブランドの1つである。なぜ大手キャリアはメインのブランドとは別に、低価格のサブブランドを用意する必要があるのだろうか。

ワイモバイルのメリットはソフトバンク直営だからこそ

大手キャリアのサービスより安価な料金で利用できる、“格安”のモバイル通信サービスが人気だ。そうした格安系サービスの中でも、最も高い人気を誇っているのがワイモバイルである。

ワイモバイルはソフトバンクのネットワークを用いた通信サービスを提供しており、大手キャリアの半額近い料金でサービスを利用できるなど料金の安さが特徴の1つとなっている。だが単に安いだけでなく、多くの格安な通信サービスと比べ、昼や通勤時間帯に通信速度が落ちにくく、しかも「iPhone SE」や「iPhone 6s」など、型落ちながらもiPhoneの新品を正規に取り扱っている。

加えて、ヤフーのプレミアム会員相当のサービスが無料で利用できるなどサービス面も充実しているし、全国に独自のショップ「ワイモバイルショップ」を構え、スマートフォンの購入や通信サービスの契約、各種サポートを店舗で受けることも可能。料金が安いながらも、大手キャリアに匹敵するサービスを提供しているのだ。

もちろん、単に料金の安さだけを比較するならば、ワイモバイルより安価なサービスは多数存在する。だがそうした多くのサービスはインターネット上での販売やサポートが中心で、サービスの充実度が低い。ワイモバイルは大手キャリアと、より格安なサービスとの中間というべきポジションを得て、人気を獲得しているのだ。

なぜ、ワイモバイルが低価格ながらも充実したサービスを提供できるのか。その理由は、一言で説明するならば、ワイモバイルがソフトバンクの一部だからである。低価格なモバイル通信サービスを提供する会社の多くは、大手キャリアからネットワークを借りてサービスを提供する仮想移動体通信事業者(MVNO)だが、ワイモバイルはあくまでソフトバンクの一部であり、ソフトバンクが「ソフトバンク」ブランドとは別に展開する、俗に“サブブランド”と呼ばれる存在なのだ。

ワイモバイルはソフトバンクが、「ソフトバンク」とは別に展開するブランドであり、ソフトバンクの資産を有効活用して他社に真似できないサービスを提供している

サブブランドであるワイモバイルは、ソフトバンクの充実したネットワークや、豊富な資金、アップルやグーグル、ヤフーといった国内外のIT大手企業とのコネクションなどを存分に活用できる。それがMVNOよりも優位性のあるサービスを提供できる大きな要因となっているわけだ。

実は世界的に見られるサブブランド

ワイモバイルと同様に、大手キャリアの実質的なサブブランドと言われているのがUQコミュニケーションズである。同社はKDDIの傘下企業で、「WiMAX 2+」方式を用いた広帯域移動無線アクセスシステムのインフラを自社で敷設し、「UQ WiMAX」としてWi-Fiルーターを主体にサービスを提供している企業だ。

だが同社は2015年にKDDIの傘下企業と合併し、KDDI(au)のMVNOとして低価格の通信サービス「UQ mobile」にも力を入れるようになった。そしてこのUQ mobileが、2016年頃からテレビCMを連日放映して急速に知名度を高めるとともに、独自ショップ「UQスポット」の拡大を急速に進めたり、iPhoneの新品を正規に取り扱ったりするなど、ワイモバイルに匹敵する、他のMVNOには真似ができないサービスを提供して契約獲得を急拡大しているのだ。

KDDI傘下の「UQ mobile」も、他のMVNOには真似ができないワイモバイルに匹敵するサービスを提供していることから、サブブランドの1つとして扱われることが多い

そうしたことからUQ mobileは、最近では実質的なKDDIのサブブランドとして認識されるようになってきた。ただしワイモバイルとは異なり、UQ mobileを展開しているのはあくまでKDDIのMVNOという立ち位置であることに変わりはない。そうしたことから、同じくKDDIのMVNOとしてサービスを提供している他のMVNOからは、UQ mobileの優遇ぶりを批判する声も上がっているようだ。

実は大手キャリアが、メインブランドとは別にサブブランドやMVNOなどを展開するケースは、世界的にも見られるものだ。例えば米国では、AT&Tは「クリケット・ワイヤレス」、ソフトバンクグループ傘下のスプリントは「ヴァージン・モバイル」や「ブースト・モバイル」といったように、プリペイド方式の低価格な通信サービスを、別ブランドや傘下企業で展開するケースいくつか見られる。

米国のスプリントは、メインブランドの「スプリント」だけでなく、「ヴァージン・モバイル」「ブースト・モバイル」などのサブブランドも展開している

しかしなぜ、大手キャリアは1つのブランドの中で低価格のサービスを提供するのではなく、低価格のサービスを別のブランドに分けて提供する必要があるのだろうか。その理由は、メインブランドの価値と収益を守りつつ、ユーザー獲得の幅を広げるためである。

仮にもし、ソフトバンクが同じブランドの中でワイモバイルと同じ料金のサービスを展開したら、ユーザーの多くが安いサービスを選択するようになり、収益を大きく落としてしまいかねないだろう。そうした事態を引き起こすことなく、MVNOに対抗して低価格を求めるユーザーも獲得するには、低価格のサブブランドが必要なわけだ。

もっとも、全てのキャリアがサブブランド展開に前向きというわけではない。実際NTTドコモは、国内のMVNOの大半にネットワークを貸し出して収入を得ていることもあり、MVNOの対抗となるサブブランド展開をする考えはないとしている。サブブランド展開の有無には、低価格サービスを巡る大手キャリアのポジションが大きく影響していることが、理解できるのではないだろうか。