モバイクはシェアサイクルで日本をどう変えるか

モバイクはシェアサイクルで日本をどう変えるか

2017.11.08

ここ最近シェアサイクル事業への注目が急速高まっている。とりわけ世界的にシェアサイクルを広めた実績のあるモバイクに参入し事業を始めたことで、一気に注目度を高めた。モバイクは日本人の生活をどう変えうるのか。モバイク・ジャパン Acting GMの木嵜基博氏に話を伺った。

モバイク・ジャパン Acting GMの木嵜基博氏

モバイクが描く新たな日常生活

モバイクは中国の北京に本社を置く自転車シェアサイクル事業を営む企業だ。2016年4月に中国上海でサービスを開始、わずか1年で世界180都市、700万台以上の自転車で事業を展開。一日に2500万回以上利用されているという。数多くの人がモバイクの自転車を使い、新たな移動手段として活用している。かつ、事業の将来性の高さから、中国のIT大手のテンセントや米ベンチャーキャピタルから多額の出資も受けている。

北海道札幌市で今年8月に事業開始した(画像:Mobike提供)

そんなモバイクは2017年6月に福岡県に日本法人となるモバイク・ジャパンを設立、8月に北海道の札幌市で事業を開始しており、日本の日常における移動手段を大きく変えうるプレイヤーとして注目されているのだ。

では、どういった世界が待っているのだろうか。少し具体的にしよう。たとえば徒歩15分程度の場所まで移動したいとする。歩くのは面倒だが、自転車が使えるならば別だ。この"使えるならば"を実現するのがモバイクというわけだ。

街中のいたるところにモバイクの駐輪ポートがあり、わずかな利用料金を支払うだけで、ちょっと遠くまで行けるようになる。電車通勤をする人ならば、オフィスに行ってからの移動手段は、電車もしくはタクシーとなるが、そこに自転車も加わるようになる。

木嵜氏は提供するサービスについて、「移動手段の新しいオプション」と表現、これによって、人の行動範囲を広げ、コミュニケーションや新たな経済活動を生みだしていくと見ている。

モバイク3つのキーワード

では、シェアサイクルをどのような考えで展開していこうというのか。同社には「スマート」「デュラブル」「レスポンシブル」というブランディングワードがあるという。これを知ることで、モバイクの特徴が大体わかるだろう。

スマート

スマートとは、最先端の技術を組み合わせ、最適なサービスを提供していくことだ。モバイクでは、駐輪ポート位置の確認、自転車の解錠、料金支払いをスマートフォンのアプリを介して行う仕組みを採用している。優れているのは、アプリを使って違法駐輪対策ができることだ。違法駐輪を発見した人はアプリからモバイクの車体IDを報告する。違法駐輪が報告されたユーザーは、予め付与された信用(点数)が減点される。信用がなくなればモバイクが使えなくなる仕組みだ。

アプリを介して現在地から駐輪ポートを検索可能
目的地までの距離とおよその利用料金の目安なども表示してくれる(最低利用料は30分50円から)

デュラブル

デュラブルは耐久性の高い自転車を意味する。モバイクでは、自社設計の自転車を採用。利用体験を損なわないように、また重大事故を未然に防ぐために、4年間のメンテナンスフリーの自転車を使っている。パンクすることなく、安心・安全に乗ってもらえる自転車作りに取り組んでいこうという考えだ。

メンテナンスフリーに近づけるべく、タイヤはパンクレスタイヤ。チェーンもなく内部はシャフトで後輪に動力を伝える機構となっている

デュラブルからは少し逸れるが、モバイクが自社規格での自転車を生産していることも興味深い。ハードウェアとしての自転車を常にアップデートし、世界の各地の都市の要望に応えられる自転車をスピーディーに製造できる。9月末公表の第4世代自転車は、大幅な軽量化が行われるとともに自動変速機能も備えたものとなった。起伏の多い都市にも適した自転車を提供できるようになるわけだ。

レスポンシブル

レスポンシブルはサービスを行う上での責任のことだ。乗車時のトラブル、放置自転車など様々な問題が起こりうる。このため、責任ある運営が必要であるという認識を強く持ち、事業運営に当たっているという。

こうしたキーワードを持ちながら、さらにベース部分を成す考えもある。それが「永続的な利便性の提供」だ。シェアサイクルを通じて都市を永続的に繁栄させることを目指しているのだ。

木嵜氏は「世界には自治体と結びつかずサービスインした他社もあるが、将来、自治体と目指す方向に食い違いが生じたとき、放置自転車問題につながってしまったり、街の景観を損ねてしまったりしかねない」とし、そのために都市交通において大きな責任を果たす自治体とのコミュニケーションが不可欠になるとしている。シェアサイクル事業は、パートナーの存在が重要となるが、モバイクは自治体と連携をしながら事業展開を図っていく考えだ。

モバイクが札幌の次に目指すエリア

モバイクの基本的な考え方は理解できたが、気になるのは、札幌市の次にどこでサービス展開を図っていくかだ。この点に関してはノーコメントとするものの、都心部に対して優先的に取り組んでいくとする。

都心部を選ぶのはビジネス的な側⾯を考えてのことだ。一般的な見解として、シェアバイク事業は、1台あたりの利用料が安く、より多くの自転車が1日に何度も利用されることで成り立つビジネスだ。都市部であるほど成立しやすい。逆に農村地域では成立しづらい。

都市部で成立しやすいとはいえ、多くの都市でコミュニティサイクルと称される事業は行われている。少し検索してみれば、意外なまでに様々な場所でサービス提供されていることがわかるはずだ。モバイクがエリア展開を図っていくなかで、ライバルがいないわけではない。既存の事業者がいる場所に割って入るような展開も考えられるのだ。

その点について木嵜氏は「サービスが1社しかないのは、競争がなく利便性が上がらない」と参入の余地があると見る。しかし「1都市に多数の事業者がいるような状況は線引きが必要になる。適切に管理運用できる事業者が複数社いるのは健全な状態だと思う」とする。

モバイクとしては、世界各国で事業を運営してきた経験、ハードとしての自転車、ソフトとしてのアプリ、行動指針としてのブランディングワードは大きな強みであり、多くの日本の都市に参入していける自信を持っているようだ。

とりわけ、ハード面では従来型シェアサイクル、いわゆるコミュニティサイクルの普及を妨げてきた課題を解消できる機構を持つことに強みがある。木嵜氏は、駐輪ポートへの投資が嵩んだことを従来型の問題だったと指摘する。自転車の貸し出し、ロック機構を駐輪ポートに備えなければならず、駐輪ポートに予算がかかり、自転車の台数、駐輪ポートが思うように増やせずにいたとする。

これを解消したのがモバイクだ。自転車側に貸し出しとロック機構を備えており、駐輪ポートの場所さえ確保できれば、従来比で低予算で利便性を向上させることが可能となっている。スマートフォンがあれば借りられるというメリットが利用者側にもあるわけだ。

実際問題としては、パートナーあって成り立つ事業であり、そう簡単に事は運ばない。自治体がどういった街づくりを望むのかが重要だ。その際に、モバイクが最適なのか否かといったことが判断が行われることになる。

新しい日常の形

さて、ここまでシェアサイクルの話を中心にしてきたが、興味深いのは、モバイクは単なるシェアサイクルの企業ではなく、テクノロジー企業であることだ。

テクノロジーによって、社会的課題の解決が行えるという考えを持つ会社だ。そしてシェアサイクルが日常に溶け込むことで、経済活動も変わりうる。モバイクが将来的に狙うのもその部分だ。具体的な仕組みまでは言及しないものの、木嵜氏は「(移動データに基づく)広告配信の最適化や民間企業や自治体向けに有用なデータを提供できる可能性がある」とする。

さらに誰もが利用する世の中になれば不動産の見方も変わる。駅徒歩15分の物件は、シェアサイクルで5分という表記になるかもしれない。それによって、不動産の価値も変わる。移動手段が変われば、人の行動が変わり、人通りが変われば、その道に並ぶ店舗も変わっていく。新たな生活インフラが新たな経済をつくり出していくことになるだろう。

こうした新しい世界が実現するには、大量のデータが必要となり、数多くのシェアサイクルが使われていることが前提となる。モバイクはまだ札幌市でのサービス展開しかしていないが、思い描く世界の実現に向け、どの都市でどのくらいの規模でサービスが始まるのか、次の一手が注目されるところだ。

ポルシェの次に買うクルマ? 安東弘樹、ルノー「メガーヌ R.S.」に乗る!

安東弘樹のクルマ向上委員会! 第18回

ポルシェの次に買うクルマ? 安東弘樹、ルノー「メガーヌ R.S.」に乗る!

2019.03.27

ルノーの5ドアハッチバック「メガーヌ R.S.」に試乗

やっぱりMT車が好き! 高性能モデルの登場に高まる期待

もしも(好きなように)クルマが買えたなら…安東さんの人生設計

安東弘樹さんに同行した日本自動車輸入組合(JAIA)試乗会も、いよいよ最後の1台となった。残すはルノーの「メガーヌ R.S.」だ。愛車のポルシェ「911 カレラ 4S」から乗り換える候補の1台として、「ある程度は本気で」購入を検討しているというこのクルマを、安東さんはどう評価するのか。

MT車の日本導入を待って購入を検討?

「メガーヌ R.S.」は5ドアハッチバック「メガーヌ」の高性能モデル。「R.S.」はルノーのモータースポーツ活動を担う「ルノー・スポール」の頭文字だ。このクルマについては以前、モータージャーナリストの塩見智さんに試乗してもらったので、詳しくはこちらの記事をご覧いただきたい。

「メガーヌ R.S.」に乗り込んだ安東さん

安東さん(以下、安):(乗り込んですぐ)ドアヒンジは多くの日本車と同じでプレスですね、開ける時に軽い感じがします()。(しばらく走って、高速道路に入りつつ)さすがはFF(前輪駆動車)、急加速すると暴れますね(笑)。

【編集部注】ドアヒンジとはドアとクルマをくっつけている部品のこと。ここの作りによってドア開閉時の重厚感、ひいてはクルマの上質感に差が出ると安東さんは語る。細かいポイントのようだが、ドアヒンジについてはマツダミニの取材でも話題になった。

編集部(以下、編):今回、メガーヌ R.S.に試乗してみたいと思ったのはなぜですか?

:すごく気になっていたクルマなのですが、まだ乗ったことがなかったので、どうしても今回、運転してみたかったんです。今回のクルマはDCT(デュアルクラッチトランスミッション)ですが、MT(マニュアルトランスミッション)車を今、待っている状態です。ただ、急加速した時の“暴れん坊感”を体験してみて、いくら電子的に制御しても、FFには限界があるなとも感じました。じゃじゃ馬を乗りこなす、というところにカタルシスを感じる人もいるとは思いますけど。

「メガーヌ R.S.」のボディサイズは全長4,410mm、全幅1,875mm、全高1,435mm。価格は440万円だ

:MTだったら欲しいクルマですか?

:はい。もうすぐ、MTが日本に導入されるらしいのですが、欲をいえば、「メガーヌ R.S. トロフィー」というグレードを待ちたいです。R.S.は279馬力ですが、トロフィーは300馬力なんで。

:「待ちたい」っていうのは、真剣に購入を検討していて、待ち構えているという感じですか?

:うーん、ある程度は本気で考えているっていう感じでしょうか(笑)。次もポルシェ「911 カレラ 4S」に乗るのが理想ではあるんですけど、それこそ、私の稼ぎ次第というか、買えない可能性もあるので……。今の911は、乗り始めてから10年になりますし、乗り換えたいタイミングではあります。

:その乗り換え候補の1つが、「メガーヌ R.S. トロフィー」だというわけですね。ただ、素人なので分からないんですけど、最近の安東さんの露出ぶりを見ている限り、次もポルシェで大丈夫なんじゃないですか?

:どうでしょうねー、想像もできません(笑)。今回の確定申告で、どのくらいの税金を払わなきゃいけないのかにもよりますし。フリーになって初めての確定申告なので、正直、怖いです。

:この間の「バラいろダンディ」(TOKYO MXで放送中のテレビ番組、安東さんは火曜レギュラー)で、「これから、税理士さんと話をする」っておっしゃってましたもんね(笑)

:いくらくらいの税金になるのか、それによっても変わってきます。ただ、フリーランスになってもうすぐ1年経ちますが、この収入では、新しい911には手が届きません(笑)

:本当ですか?

:今の911と同じように長期ローンを組めば、あるいは……。とは思いたいですが、新しい「911 カレラ 4S」を自分が乗りたい仕様で買うと、税金なども含めた乗り出し価格が2,200万円弱になってしまいます。日々忙しいのですが、薄利多売でやっているので、くどいようですが、本当に現状、購入は難しいです(苦笑)

1台はスポーツカーを所有しておきたいという安東さんだが、次に何を買うのかは将来の収入次第だそう。「メガーヌ R.S.」もMT車が気に入れば候補に入るようだ

:(メガーヌの走行モードを変更して)「レースモード」に設定すると、ESC(横滑り防止装置)がカットになるんだ……。自動ブレーキもオフになりますが、それは当然ですよね。サーキットを走っていて、前走車に近付くたびにブレーキが掛かったら、たまったものではないですから(笑)。このモードに入れても、そんなに乗り心地が硬くならないというか、不快感はないです。

法定速度で走っている限り、レースモードにする意味はあまりないでしょうけど、腕と環境が許せば、滑らせながら走ってみたいですね! MTだったら楽しいだろうなー。あと、パドルシフトは下まで伸びていて欲しいです。乗り始めてから、5~6回は空振りしてますから。

パドルシフトとは、指による操作でクルマのギアを上げ下げできる装置のこと。画像では分かりにくいかもしれないが、ステアリングの後ろに付いている
一般的にパドルシフトの操作部分は縦に長いが、「メガーヌ R.S.」のパドル(赤い十字マークが付いているところ)は上方向に長く、下方向に短い造形になっている。そのため、パドルの下の方を指で操作しようとして、何度か空振りしてしまったと安東さんは話しているのだ

:パドルシフトがステアリング連動式なので、コーナーを曲がっているときの操作も、少しやりにくいですね()。

【編集部注】パドルシフトには、ステアリングに連動して動くものと、ステアリングコラムに固定されているものがある。

:ステアリングと一緒にパドルシフトが動くのと、固定してあるのだと、どちらがいいんですか?

:メルセデスもそうですけど、ドイツ車はステアリングに連動して動く方が主流ですよね。ただ、ステアリングを切って(左右が)逆さまになっている時、パドルシフトの位置も逆になるので、どちらがプラス(ギアを上げる方)だか分からなくなることがあるんですよ。そこが難しいところで、だから「GT-R」(日産自動車)とかも固定式ですし、基本的にラリー用のクルマもコラム固定式ですね。

:ステアリングを切りまくるからですか?

:そうです。だけど、F1などのフォーミュラカーだと、ステアリングにシフトパドルが付いていて連動しますね。なぜなら、ステアリングを切っても最大で半回転ですから、左右の手を持ち替えないので、当然、その方が好都合です。

だから、このクルマ(試乗中のメガーヌ)は、ステアリングを大きく切っている時でも、シフト操作に迷わない事を優先させたんでしょうね。

:山道でヘアピンを抜ける時とかですか?

:そうですね。これ、好みは分かれると思います。

「メガーヌ R.S.」は1.8L直列4気筒16バルブ直噴ターボエンジンに電子制御6速ATのトランスミッションを組み合わせる

:このクルマ、小さいように見えて、幅が1,875mmもあるんですね。

:そう、結構あるんですよ。「Eクラス」(メルセデス・ベンツ)より幅が広い。

:メガーヌって、前のモデルまで3ドア(ハッチバック)が中心だったみたいですね。5ドアになって、見た目とかどうでしょう?

:このデザイン、僕は好きですね。先代よりも好きです。絶妙な“カタマリ感”があって、色もいい。シンプルなのに存在感があるという嬉しいデザインです。

:歴代のメガーヌ R.S.は、ニュルブルクリンクで素晴らしいタイムをたたき出してきたそうですが、そのあたりには惹かれますか?

:そこは、そんなに重視しません。ただ、メーカー同士が競い合ってくれる分にはいいんですけどね。ましてやFFですし、ちゃんと手なずけて走って、技術の革新というか、そういうところでメーカー同士が競い合ってくれているのは悪いことではないと思います。

:ただ、安東さんとしては、走りについては自分で確かめたい?

:そうですね。だから、こっちの方が数字が上だから買う、という感覚はありません。

:安東さんの頭の中にはクルマのスペックがたくさん入っていますけど、数字で比べて買おうというのではなく、ただ、好きだから頭に入っているだけなんですか?

:覚えようとしているんじゃなくて、スペック(諸元)表を見てると、自然に覚えちゃうんですよ。これ(試乗中のメガーヌ)だと、最大出力が279馬力ですよね?

:合ってます。

:それで、205kWじゃなかったでしたっけ?

:ごめんなさい、手元の資料にキロワットまでは書いてきてないです。

:206kWだと、280馬力になるんですけどね。

:……。

「メガーヌ R.S.」の最大出力は279ps(205kW)、最大トルクは390Nmだ。車両重量は1,480キロ

:数字的には見劣りしても、自分がいいと思えば買うというのが、安東さんのクルマ選びということですね。もし、次の911が何らかの理由で買えなかった場合は、メガーヌもアリだと思いましたか?

:MT車に乗ってみないと、何とも言えませんねー。急加速した時の暴れぶりを体験して、FFの限界は感じましたけど、MTなら、もう少し自分で制御できるかもしません。ただ、やっぱり楽しいクルマだなとは思いましたね!

:今回、たくさんの輸入車に乗っていただきましたけど、総評として、心に残ったのは?

:やっぱり、あの加速感も含め、テスラですね。何でも電気で動くので、後席のファルコンドアなんかが壊れたら目も当てられないとは思うんですけど、ただ、インパクトとしては「モデルX」になりますね。

もしも収入が激増したらどんなクルマに乗りたい?

購入を決めたメルセデス・ベンツ「E220d 4MATIC オールテレイン」には、何年乗る予定ですか?

:今の「F-PACE」よりも早いペースで走行距離が伸びる可能性があるので、2年で7万キロあたりが見えてくると、乗り換えを考えるかもしれません(※)。まあ、2年後に私の収入がどのくらいになっているかにもよりますけど……。

【編集部注】ジャガーのSUV「F-PACE」とポルシェ「911 カレラ 4S」の2台を所有している安東さんだが、通勤に使っているF-PACEは走行距離が伸びてきている上、大柄なサイズの問題で駐車場を見つけるのが大変なので、これをメルセデス・ベンツ「E220d 4MATIC オールテレイン」に乗り換える。サイズ的に駐車場が見つけやすい分、オールテレインの稼働率はF-PACEよりも高くなることが予想されるので、代替サイクルは早まるかもしれない。オールテレインが納車されるのは2019年5月の予定。その時点で、F-PACEには2年8カ月乗ったことになる。

:もし、収入がものすごく増えたら、所有するクルマの構成はどうしたいんですか?

:やっぱり「911」と、あとは「ヴェラール」(レンジローバー)のディーゼルエンジン車を買って、もう1台は小さいディーゼルエンジンのクルマで、それは「デミオ」(マツダ)なのか「ミニ」なのか分からないんですけど、そんな感じですかね。それか、プジョーの「308 アリュール」か……。

「308 アリュール」って、今までは税制的に中途半端な1.6リッターのディーゼルエンジンを搭載してたんですけど、それが1.5リッターになって、しかも、パワーアップしたんですよ。それに、何が嬉しいって、パドルシフトが付いたんですよ! 今までは上級グレードにしか付いてなかったんですけど。

プジョー「308 Allure」(アリュール)

:なるほど、収入が大幅に増えたら、クルマを2台にしておく必要もないですもんね。駐車場を借りて、3台持ってもいいわけで……。

:駐車場を借りるというか、3台のクルマを入れられる車庫が付いた家に建て替えるのが夢ですね。

:その可能性も、フリーになった今だと、高まってますよね。会社員でいるより、大きく稼げるチャンスがあるわけですから。

:そうですね、可能性は“ゼロ”ではないですね(笑)

:これも「バラいろダンディ」で聞いたような気がするんですけど、ある程度の金額を稼いだら、お仕事はやめるっておっしゃってましたよね? 好きなクルマに乗り続けられて、ご家族も安泰というような金額が貯まったとしたら。

:そうですね(笑)。3億円ほど貯まったら、やめると思います。家族を養えて、子供たちを学校に行かせられて、あとはクルマも、「ヴェイロン」とか「シロン」()が欲しいとは思わないので……。ポルシェのMTと、ヴェラールと、ミニか何かを所有して、スポーツ走行する時はポルシェ。長距離移動の時はヴェラール。そして、都内での仕事や移動の時は、コンパクトなディーゼルモデルか、電気自動車(EV)でもいいかもしれません。

【編集部注】どちらもブガッティのクルマ。1台で何億円もする。

:私の人生として、あと20年は責任があると思うんですよね。ただ、テレビ関係の仕事が続けられるとは思っていません。やっぱり、テレビの仕事って緊張するし、疲れますから(笑)。何より、ずっと私への需要があるとは思えません。

立て続けにクルマに乗った今回の取材も、かなりお疲れになったはずだと思っていたのだが……

他媒体が用意したクルマも含め、計11台の輸入車に立て続けに乗り、JAIA試乗会の取材を終えた安東さん。「仕事は疲れる」と言いつつも、メガーヌから降りるとすぐ、「ばらいろダンディ」の生放送に出演するため、試乗会の拠点となった大磯プリンスホテル(神奈川県)を愛車「F-PACE」で飛び出していった。

安東さんのコラムによれば、今回の取材はさすがにくたびれたものの、愛車を運転して帰ったおかげ(?)で、半蔵門(正確には東京都千代田区麹町)にあるTOKYO MXに到着する頃には、すっかり疲労感がなくなっていたというから驚きだ。

とにかく、多くのクルマに限られた時間で乗ってもらったので、時間配分がうまくいかず、弊紙では紹介しきれなかったクルマもある。具体的にはポルシェ「パナメーラ 4 E ハイブリッド」とBMW「X3 M40d」の2台なのだが、これらも安東さんが試乗を希望したクルマだったことに変わりはない。特に「X3 M40d」については、短時間の試乗ではあったものの、「もっと乗ってみたくなるいいクルマだった」とのコメントがあったことは、ここでお伝えしておきたい。

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メルセデス・ベンツの電動化戦略、「EQC」で本格化

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加速はスポーツカー並み! 航続距離は450キロ

メルセデス・ベンツ初の市販電気自動車(EV)「EQC」が今年、いよいよ登場する。2019年半ば頃の日本導入が噂されているが、一体、どんなクルマに仕上がっているのか。モータージャーナリストの清水和夫さんは以下のように解説する。

メルセデス・ベンツのEV「EQC」

メルセデスの電動化を包括する「EQ」ブランド

メルセデス・ベンツは2018年9月、スウェーデンのストックホルムにおいて、バッテリーだけで走る電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)「EQC」を正式に発表した。それまでも、各国の国際的なイベントでは、同社の電動モビリティを包括する「EQ」(イーキュー)というサブ・ブランドを発信してはいたが、いよいよ、本格的なメルセデスの電動車両がEQCから始まるのだ。

ここでは混乱を避けるため、電動車両の定義とメルセデスが採用する「EQ」というサブ・ブランドについて説明しておく。

「EQ」とは「電動化」にフォーカスしたメルセデスのサブ・ブランドであり、バッテリーだけで走るBEVを「EQ」、バッテリーとエンジンを組み合わせるプラグイン・ハイブリッドを「EQ Power」、48Vのサブ電源を使うシステムを「EQ Boost」と呼ぶ。

このように、電動車両といっても、バッテリーとモーターだけで走るBEV、エンジン/バッテリー/モーターを組み合わせるプラグイン・ハイブリッド(PHVあるいはPHEVと略す)、あるいは、48Vを使う車両に見られるマイルド・ハイブリッドなど、クルマの在り方は多様化している。「〇〇社は20XX年までに全てのクルマを電動化する」というヘッドラインのニュースが世界中を駆け巡っているが、電動化の中身をきちっと理解する必要があるだろう。メルセデスの場合は「EQ」「EQ Power」「EQ Boost」の名前で整理している。

「EQ」ブランドのクルマたち

EQCは「GLC」相当のSUVをベースとするクルマだ。「Aクラス」相当のセグメントでBEVが登場すれば、「EQA」と呼ぶことになるだろう。

内燃機関はベンツの代名詞、EVはどう作る?

EQCの日本初公開となったイベントは、桜が咲く前の3月初め、メルセデス・ベンツのブランド発信拠点「Mercedes me」(東京・六本木)にて開催された。注目すべきは、メルセデス・ベンツ日本(MBJ)がEQCと家の電気をつなげる「EQハウス」という斬新なコンセプトで同車を発表したこと。EQCは自宅でも充電できるので、家との相性がよい。そこでMBJは、竹中工務店と組んで「EQハウス」という新しいアイディアを提案したのだ。クルマと家が電気でつながることを「V2H」(Vehicle to Home)と呼ぶ。日本では以前から取り組んできたシステムだ。

MBJと竹中工務店は、モビリティとリビングの未来の姿を具現化すべく、六本木の「Mercedes me」に体験施設「EQハウス」を設置した。ちなみに、「EQC」の展示はすでに終了している

ところで、EQCのカットモデルを見た時、面白いことに気がついた。EQCは「Cクラス」ベースのSUV「GLC」をベースとするが、BEVなのでエンジンとギアボックスが存在しない。そのスペースには、パイプ製のケージが設置されているのだ。パイプの内側にはフロントモーターとデフ(デファレンシャルギア)が置かれ、上部にはインバーターが配置されている。リアも同様にモーターとデフでリアアクスルが構成される。

エンジンがなくなる代わりに、「EQC」にはモーターとデフを納めたパイプ製のケージが入っている

バッテリーは床下のフロア内に格納することで重心を低く設定できる。と、ここまでは常識的なパッケージなのだが、衝突安全の剛体として、このパイプ製ケージにはエンジンと同じ強度を持たせてある。つまり、エンジン車と同じく、モジュールでデザインできるモデルベース開発(MBD)を取り入れているのだ。自動車業界で流行の手法は、EQCにも採用されていた。

EQCのボディサイズは全長4,761mm、全幅1,884mm、全高1,624mm、ホイールベース2,873mmとGLCに近いから、シミュレーションしやすい。性能を見ると、前後2つのモーターは合計で最大出力408PS、最大トルク765Nmを発生する。加速性能はV8ターボのエンジン車並みで、停止状態から時速100キロまでの加速は5.1秒と俊足だ。リチウムイオン・バッテリーの容量は80kWh。気になる航続距離は450キロとのアナウンスがあった。

「EQC」のボディサイズは「GLC」に近い。加速はV8ターボエンジン並みだ

EQCの試乗会は2019年5月に開催されるので、それまでは詳細なインプレッションをお届けできないが、スポーツカー並みの加速性能を誇るEQCは単なるBEVではなさそうだ。何か、もっとすごい仕掛けがありそうに思える。試乗会が楽しみになってきた。

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