将来性バツグンもまだ未熟、スマートスピーカーの「落とし穴」

将来性バツグンもまだ未熟、スマートスピーカーの「落とし穴」

2017.11.13

Amazon Echo

スマートスピーカーの本命とも言える「Amazon Echo」がついに日本に上陸した。Amazon Echoという主役が登場したことで、日本でもスマートスピーカー市場が盛り上がりそうな気配があるが、一方で、普及する上で見逃されている「落とし穴」も存在する。

アマゾンはEcho発売に合わせるかたちで、4000万曲以上の音楽を聴ける「Music unlimited」をEchoユーザー向けに月額380円で提供すると発表。こうしたアマゾンが従来から得意としている「コンテンツの安さ」という武器で勝負を挑むが、Echoにはもう一つ「スキル」という売りがある。スマホでいえばアプリのような存在で、Echoに新しい機能・サービスを追加できる。

日本上陸に合わせて、アマゾンでは250以上のスキルを用意。ニュースサイトやradiko、占い、銀行など、幅広いラインナップとなっている。

音声コントロールの課題は「呼び出し」

一方、日本市場におけるスマートスピーカーの販売で1カ月ほど先行したグーグルは、アマゾン・Echoの上陸を相当、意識していたようで、アマゾンが発表会を開いた翌日、スキルと同様にコンテンツ提供会社などがGoogle アシススタントに機能を追加できる「Action on Google」の説明会を開催した。

直接的な比較を嫌がったのか、Action on Googleで提供されているコンテンツの数は公表されなかった。グーグルではAction on Googleに加えて、自然な日本語で発話できる点などをアピールしていた。

この「自然な日本語を話す」というのは、スマートスピーカーにとって生命線ともいえる重要なポイントだ。

実際、アマゾンも日本語の会話には、相当な時間をかけて開発してきたという。日本語には、同じ言葉でも違った意味を持ったり、イントネーションが微妙に違ったりするものが多々ある。ユーザーの指令を正しく聞き取り、最適なイントネーションで発話するのには、かなりの技術力が必要となってくる。

スキルの多さが注目されているAmazon Echoだが、これまでアメリカ版を海外で試用してきた経験からすると、スマートスピーカーならではの課題が見えてくる。Amazon Echoの場合、スキルはスマホのアプリ上から追加していくのだが、しばらくすると、そもそもスキルを追加したこと自体を忘れてしまいがちなのだ。

Amazon Echoを最初に試したタイミングでは、スキルをインストールしてどんな答えが返ってくるのかを楽しむものの、数日も経てばスキルを入れたことすら忘れてしまう。仮に覚えていたとしても、「どんな言葉で話しかければ、スキルが呼び出せるか」ということすら思い出せなかったりする。

また、スキルが思った以上に使い勝手が悪く、頼りにならないことがわかると、1回呼び出しただけで使わなくなったりもする。つまり、日々の生活で必要不可欠なスキルでないと、継続して使われない傾向があるのだ。実際、アマゾンもその「忘れ去られてしまうスキル」については課題としてとらえているようで、ユーザーに対して週に1回、新しいスキルや、どんな言葉をかければ良いかをメールで送りつけ、なんとかスキルを継続的に使ってもらおうとしている。

スマートフォンも、最初のころはアプリをたくさん入れて楽しんだものだが、いつしかアイコンが画面上に並んでいても、使わなくなっていくアプリが増えていった。アップルやグーグルはアプリストアに並ぶアプリの多さを競ったものだが、ユーザーはもはや、新しいアプリを入れようとしない。生活に必要不可欠なアプリだけを厳選して使うようになったのではないか。

特にスキルは、目で確認する機会がAmazon Alexaの設定アプリ上しかない。そのため思い出すきっかけが少なく、すぐに使われなくなるものが増えていきそうだ。

もちろん、グーグルも同じ問題を抱えている。Action on Googleで提供されているコンテンツの一覧が、まとまって掲載されていないのだ。グーグルの徳生裕人製品開発本部長は「見やすいリストを公開するように準備を進めている。理想としては、ユーザーがやりたいことに対して、自然な会話でActions on Googleの機能を呼び出せるようにしていきたい」と語る。

Actions on Googleの発表会では「ピカチュウトーク」が一つの目玉として紹介された

そもそも、ユーザーはActions on Googleによってどういった機能が追加され、「何ができるか」を知らない。「ユーザーにActions on Googleでどういった機能が提供されているか」を認知してもらう努力が必要となってきそうだ。また、スマートスピーカーのスキルで見逃されているのが、「話し言葉と書き言葉の違い」だ。今回、アマゾンのスキルのなかには、ニュースサイトの記事を読み上げるものがかなり存在する。

しかし、ネットに上がっている記事をそのまま読み上げると、ユーザーとしては違和感を抱くのではないか。こうしたネット記事は「書き言葉」で執筆されており、しかも「だ」、「である」調で終わるものも多い。記事を目で読むのと、耳で聞くのでは大きな違いがあるはずだ。

新聞記事を紹介するラジオ番組などがあるが、もちろん、新聞の記事をそのまま朗読しているわけではなく、きちんと話し言葉に直して、読み上げているところがほとんどだ。また、単に話し言葉にするだけでなく、耳で聞いて理解しやすい文章に構成し直したりもしている。

Google Homeでも、NHKラジオニュースや日経電子版NEWSは、アナウンサーがニュースを読み上げているので、とても聞きやすいが、ほかのコンテンツでは、記事をそのまま人工音声で読み上げているだけのものもあるようで、書き言葉のせいか、若干、違和感のあるものも目立つ。

アマゾンとしては、自然に日本語を話せるように開発を進め、さらにスキルの数を稼ごうと、数多くのニュースサイトなどに協力を仰いだのだろうが、肝心な原稿が話し言葉になっていないのが盲点となってきそうだ。いずれにしても、アマゾンもグーグルも日本のユーザーが使うことで鍛えられていくことだろう。そのフォードバックを生かして、すぐに製品やサービスを改善できるかが、勝負のポイントとなっていくだろう。

総務省施策が追い風に? 携帯分離の「歴史的チャンス」狙うファーウェイ

総務省施策が追い風に? 携帯分離の「歴史的チャンス」狙うファーウェイ

2019.03.20

モバイル業界を変える「携帯値下げ議論」が過熱

ファーウェイは日本を取り巻く環境を「歴史的チャンス」と発言

コスパ高いミッドレンジ端末でシェア拡大を目指す

20日、NTTドコモが特定の端末の購入を条件に通信料金を割り引く「docomo with」、購入する端末に応じて通信料金を割り引く「月々サポート」を終了する方針を固めたという報道が話題となっている。

国内のモバイル業界では携帯電話料金見直しが進んでおり、3月5日には総務省が中心に進めてきた端末代金と通信料金の分離が閣議決定された。NTTドコモは分離プランを軸とした新料金プランを4月に発表する見込みだ。

日本のモバイル市場を大きく変えるこの動きを「歴史的チャンス」と見ているのがファーウェイだ。2018年末から米中対立が加速する中、ファーウェイが打ち出すメッセージも語気を強めている。果たして日本市場でシェアを拡大できるのだろうか。

逆風吹けども、依然として業績は好調

今年に入り、ファーウェイの周辺が騒がしい。3月7日には、ファーウェイは米国政府を相手取って訴訟を起こした

さらにその内容をFacebookでライブ配信するなど、米国以外の世界市場に向けたメッセージにもしており、そのメッセージをまとめたウェブサイト「Huawei Facts」は、わざわざ日本語版も用意している。

2018年末から続く米中対立を巡る報道は、ファーウェイの業績にどのような影響を与えたのか。MWC19でインタビューに応じたファーウェイ・ジャパンの呉波氏は、「一部の消費者は影響を受けたが、2019年に入ってから売上は大幅に伸びている」と語った。

ファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波(ゴ・ハ)氏

話題の「折りたたみスマホ」でもファーウェイは先行する。

ファーウェイに先立って折り畳みスマホを発表したサムスンだが、こちらはMWCではガラスケース内での「展示」のみにとどまったのに対し、ファーウェイは「Mate X」の実機を用いて報道関係者に折り曲げを試させるなど、製品化で一歩先を行っていることをアピールした。

ファーウェイの折りたたみスマホ「Mate X」。報道陣には手に取って折り曲げてみる機会も用意された

Mate Xは次世代移動通信の「5G」にも対応しており、日本では5Gサービスの開始を待って投入時期を見極める方針だという。

ちなみに3月26日に発表予定のフラグシップ機「HUAWEI P30」シリーズは、例年通りのタイミングで日本市場に投入するようだ。SIMフリーでの発売だけでなく、ドコモが採用した「HUAWEI P20 Pro」のように大手キャリアによる採用があるかどうかも注目したい。

分離プランを「歴史的チャンス」と捉えるワケ

一方、2019年の国内モバイル市場で話題となっているのが携帯料金における「分離プラン」の導入だ。KDDIとソフトバンクはすでに導入済みだが、NTTドコモは4月に発表する新料金プランから本格導入するとみられている。

分離プランの特徴は、NTTドコモの「月々サポート」のように回線契約と紐付けた端末の割引が禁止される点だ。端末の割引自体が禁止されるわけではないというものの、大幅な割引は難しくなる。その結果、10万円を超えるようなハイエンド機ではなく、3〜4万円で一括購入しやすいミッドレンジ機の需要が高まるとの見方が有力だ。

この動きをファーウェイはどう見ているのか。

呉氏は「非常に重要視している。スマホが登場したときや、SIMフリー市場が始まったときのインパクトに引けを取らない、歴史的な瞬間になる」と興奮気味に語る。

日本のSIMフリー市場でベストセラーとなった「HUAWEI P20 lite」を始め、ファーウェイのミッドレンジ機のラインアップは厚い。モデルによってはフラグシップと同じCPUでミッドハイの価格を実現するなど、コスパの高さも特徴だ。大手キャリア向けにさまざまな提案ができる体制といえる。

フラグシップと同じ「Kirin 980」搭載でミッドハイ価格の「HONOR View 20」

また、5G対応も順調だ。

モバイルWi-Fiルーターに強みを持つファーウェイは、MWC19でも5G対応ルーターを多く出展していた。日本ではまだ周波数の割り当てが終わっていないものの、国内大手キャリアは2019年内にもプレサービスを始める動きがある。5Gスマホが普及するまでの間、5Gルーターの需要は高まる可能性がある。

5G対応のモバイルWi-Fiルーターも出展していた

ミッドレンジ市場の拡大を狙って、今年はシャープやサムスン以外にも、ソニーモバイルの参入も予想されている。

この価格帯が激戦区になることは間違いないが、ファーウェイはその中で高コスパの製品ラインアップや、国内での地道な販促活動やブランドメッセージの打ち出しによって対抗していく構えだ。

ヨドバシカメラ梅田店での販促イベントの様子
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2019.03.20

Googleが新しいゲームプラットフォームを発表

配信方式でゲーム機不要、「ゲーム機」の時代の終焉?

2019年内にローンチ、性能はプレステやXbox以上か

3月19日、米国で開催中のゲーム開発者会議「GDC 2019」の会場で、Googleがクラウドベースのゲーミングプラットフォーム「STADIA」を発表した。特定のゲーム機に縛られず、ネットに接続したスマホやパソコン、テレビを通してストリーミング(配信)形式でゲームをプレイできる。

この事業を担当するバイスプレジデントとして、STADIAを発表するフィル・ハリソン(Phil Harrison)氏。そもそも彼からして、元はソニーのプレイステーション立ち上げの主要メンバーで、その後Microsoftに移りXboxを担当したという経歴の持ち主

かねてより、MicrosoftのXbox事業のトップマネージャーを引き抜いた、ソニーでPlayStationのハード開発にかかわったエンジニアが転職したといった噂が頻繁に流れており、「Googleがゲーム市場に本格参入する」という憶測は強まっていた。実際に2018年には、Googleは「Project Stream」と呼ばれるストリーミング形式のゲーム基盤の計画を発表し、米国内でベータテスターを募って技術テストを行っていた。

STADIAは、Project Streamの延長線上にあるサービスと見られる。ユーザーは特定のゲーム機を持っている必要がなく、従来のゲーム機の役割をするのはGoogleの設置するデータセンターだ。簡単に言えばクラウドサービスのように、実際にゲームタイトルが動作しているのはデータセンター側で、ユーザーはインターネットを介してゲームを遠隔でプレイする。

STADIAのデータセンターから配信されたゲームをパソコンでプレイしている様子
パソコンで遊んでいたのと同じゲームを、タブレットやテレビでも同じように遊ぶことができる

このプラットフォームの特徴によって、例えばYouTubeで新作ゲームのトレーラー動画を見ていて気に入ったときには、そのページ内の「プレイする」ボタンを押すだけで、インストールすら不要で、動画を再生するかのようにそのゲームをプレイできるようになる。

そして、STADIAのデータセンターが持つゲーム機としてスペックは、サービス開始時のものとして、GPUの演算性能は10.7テラFlopsに達するといい、これはPlayStation 4 Proの4.2テラFlopsや、Xbox One Xの6.0テラFlopsを大きく上回る。映像品質も4K/60fpsのストリーミングに対応し、将来は8K/120fps対応も予定しているという。

STADIA用の「STADIAコントローラー」も販売する。SNSアップ用のボタンや、Googleアシスタントボタンが備わっている

Googleは2019年中にSTADIAをローンチする予定で、まずは米国、カナダ、欧州でサービスを開始すると説明している。発表を受けた翌20日の東京株式市場では、任天堂とソニーの株価が揃って大きく下落した。投資家たちが、GoogleのSTADIAによって、Nintendo SwitchやPlayStationのビジネスが脅かされると考えたからだ。

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