グーグルの渋谷移転で変わる「IT企業勢力図」

グーグルの渋谷移転で変わる「IT企業勢力図」

2017.11.18

米Alphabet、米Google CFO Ruth Porat氏

Googleの日本法人が2019年5月、「渋谷ストリーム」に移転する。米Alphabetと米GoogleでCFO(最高財務責任者)を務めるRuth Porat氏が11月17日、渋谷のセルリアンタワーホテルで明らかにした。

現在拠点がある六本木ヒルズでは、7フロアにおよそ1300名の社員が在籍しているが、渋谷ストリームでは14~35階のオフィスエリアを丸ごと借り上げ、将来的に2倍の人員(2600名程度)が収容できる見込みだ。現時点で具体的な増員計画はないとしているが、最新のICT設備と自由な働き方にあわせたオフィスレイアウトの検討などを行う予定だ。

渋谷の大規模再開発が契機に

建設中の渋谷ストリーム

会見を行ったセルリアンタワーは、Google日本法人が2001年に設立されてから、2010年に六本木ヒルズへ移転するまで10年弱いた「思い出の地」。日本企業ではミクシィやサイバーエージェント、米企業でもGoogle以外にAmazon.comなどがオフィスを構え、かつては「ビットバレー」と呼ばれていた。

しかしその後、GoogleとAmazon.comが渋谷を離れる。特にGoogleが現在入居する六本木ヒルズには、AppleやGREE、メルカリ、ポケモンなど、IT関連企業が集積。その周辺にもITベンチャーが多く集まり、さながら「第2ビットバレー」とも言える状況だ。もちろん、渋谷には現在もサイバーエージェントやDeNAなどがあるものの、LINEが新宿ミライナタワーへ移転するなど、必ずしも活気があるとは言い難い状況にあった。

そうした状況ながら、今回Googleが渋谷へ移転を決めた背景には、大規模再開発があるとみられる。Porat氏が「渋谷には都市再生プロジェクトがある」と触れたように、2027年までに「駅街区」や「南街区」「道玄坂街区」「桜丘口街区」など、広域では10以上の再開発プロジェクトが並ぶ。大規模ビルが少ないことで成長したIT企業の流出が続いていた渋谷にとって、今後も同様の移転は続く可能性がある。

今回、渋谷ストリームを手がける東京急行電鉄は、JR東日本などと共同で渋谷駅ビルを再開発しているほか、竣工済みの渋谷ヒカリエも運営する。渋谷ヒカリエは、今年4月にLINEという大口顧客を失っただけに、渋谷ストリームへのGoogleの"帰還"は東急にとっても大きな意味を持つだろう。

渋谷駅周辺の再開発は2027年まで続く

ITの「六本木離れ」続く

一方で空洞化が懸念されるのは六本木地区。2016年10月にヤフーが東京ミッドタウンから、東京ガーデンテラス 紀尾井町 紀尾井タワーへ移転。Googleも流出となれば、「辞めGoogle」などのエンジニアが集積していたベンチャー企業の移転も続く可能性がある。

幸い、事業が大きく拡大し、さまざまな方面から人材の流入が続いているメルカリや、依然として国内市場で圧倒的なスマートフォンのシェアを持つAppleが六本木ヒルズにいるため、運営する森ビルとしても当面はそれら企業へのオフィス供給で場をしのげるはずだ。

ただ、前述の「ヤフー跡地」には割り勘アプリ「paymo」を提供するAnyPayが入居者として目立つ程度であり、大型の入居者が依然として現れていない。また直近では、トヨタが六本木ヒルズに通うITエンジニアを狙い撃ちした広告を掲載するなど、「脱六本木」に流れが傾き始めている。

さらに、都心は2020年の東京五輪、そして2027年のリニア開業に向けて大規模再開発が続々と進む。リニア始発駅の品川駅に近い「品川・田町地区」や、日本一の390mビルを含む再開発が続く、東京駅周辺の「丸の内・八重洲・日本橋地区」など、当面はITを問わず本社移転などの流れは続くだろう。

IT企業においても、三菱地所が大手町ビルで「FINOLAB」と呼ぶフィンテック向けコワーキングスペースを開設しているほか、Googleが入居する渋谷ストリームも4階にクリエイター向けインキュベーションオフィスを設置。IT企業の争奪戦は今後も続くとみられる。

Googleは発表に合わせ、NPO「みんなのコード」と協力し、プログラミング指導教員養成講座の支援を行うと表明した。2020年から始まるプログラミング教育の必修化にあわせ、2000名以上の教員のプログラミングスキルの向上によって、200万人以上の小学生を間接的にサポートする狙いだ。

2001年に設立されたGoogleの日本法人は、同社にとって初めての海外拠点だった。世界数十カ国にあるオフィスの中でエンジニアが多数在籍する場所は少なく、2011年の東日本大震災で安否確認を目的に開発された「パーソンファインダー」やGoogleマップのモバイル版など、日本法人のエンジニアが貢献しているプロダクトは少なくない。

将来的に、現在の倍の社員を抱えられるオフィスへの移転は、優秀なエンジニアの獲得・育成、ひいては本社へのピックアップに繋げる狙いも見える。そんな渋谷への移転メリットを、Porat氏は「シリコンバレーのような、日本におけるイノベーションの中心だから」と挙げて喜んだ。

Googleという「王の帰還」によって、渋谷が再びITの中心地へと返り咲けるのか。世界を一変させる「イノベーション」を起こすGoogleのような企業が渋谷に誕生した時にこそ、Googleが渋谷へ移転した意義が見えるのかもしれない。

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コスパ高いミッドレンジ端末でシェア拡大を目指す

20日、NTTドコモが特定の端末の購入を条件に通信料金を割り引く「docomo with」、購入する端末に応じて通信料金を割り引く「月々サポート」を終了する方針を固めたという報道が話題となっている。

国内のモバイル業界では携帯電話料金見直しが進んでおり、3月5日には総務省が中心に進めてきた端末代金と通信料金の分離が閣議決定された。NTTドコモは分離プランを軸とした新料金プランを4月に発表する見込みだ。

日本のモバイル市場を大きく変えるこの動きを「歴史的チャンス」と見ているのがファーウェイだ。2018年末から米中対立が加速する中、ファーウェイが打ち出すメッセージも語気を強めている。果たして日本市場でシェアを拡大できるのだろうか。

逆風吹けども、依然として業績は好調

今年に入り、ファーウェイの周辺が騒がしい。3月7日には、ファーウェイは米国政府を相手取って訴訟を起こした

さらにその内容をFacebookでライブ配信するなど、米国以外の世界市場に向けたメッセージにもしており、そのメッセージをまとめたウェブサイト「Huawei Facts」は、わざわざ日本語版も用意している。

2018年末から続く米中対立を巡る報道は、ファーウェイの業績にどのような影響を与えたのか。MWC19でインタビューに応じたファーウェイ・ジャパンの呉波氏は、「一部の消費者は影響を受けたが、2019年に入ってから売上は大幅に伸びている」と語った。

ファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波(ゴ・ハ)氏

話題の「折りたたみスマホ」でもファーウェイは先行する。

ファーウェイに先立って折り畳みスマホを発表したサムスンだが、こちらはMWCではガラスケース内での「展示」のみにとどまったのに対し、ファーウェイは「Mate X」の実機を用いて報道関係者に折り曲げを試させるなど、製品化で一歩先を行っていることをアピールした。

ファーウェイの折りたたみスマホ「Mate X」。報道陣には手に取って折り曲げてみる機会も用意された

Mate Xは次世代移動通信の「5G」にも対応しており、日本では5Gサービスの開始を待って投入時期を見極める方針だという。

ちなみに3月26日に発表予定のフラグシップ機「HUAWEI P30」シリーズは、例年通りのタイミングで日本市場に投入するようだ。SIMフリーでの発売だけでなく、ドコモが採用した「HUAWEI P20 Pro」のように大手キャリアによる採用があるかどうかも注目したい。

分離プランを「歴史的チャンス」と捉えるワケ

一方、2019年の国内モバイル市場で話題となっているのが携帯料金における「分離プラン」の導入だ。KDDIとソフトバンクはすでに導入済みだが、NTTドコモは4月に発表する新料金プランから本格導入するとみられている。

分離プランの特徴は、NTTドコモの「月々サポート」のように回線契約と紐付けた端末の割引が禁止される点だ。端末の割引自体が禁止されるわけではないというものの、大幅な割引は難しくなる。その結果、10万円を超えるようなハイエンド機ではなく、3〜4万円で一括購入しやすいミッドレンジ機の需要が高まるとの見方が有力だ。

この動きをファーウェイはどう見ているのか。

呉氏は「非常に重要視している。スマホが登場したときや、SIMフリー市場が始まったときのインパクトに引けを取らない、歴史的な瞬間になる」と興奮気味に語る。

日本のSIMフリー市場でベストセラーとなった「HUAWEI P20 lite」を始め、ファーウェイのミッドレンジ機のラインアップは厚い。モデルによってはフラグシップと同じCPUでミッドハイの価格を実現するなど、コスパの高さも特徴だ。大手キャリア向けにさまざまな提案ができる体制といえる。

フラグシップと同じ「Kirin 980」搭載でミッドハイ価格の「HONOR View 20」

また、5G対応も順調だ。

モバイルWi-Fiルーターに強みを持つファーウェイは、MWC19でも5G対応ルーターを多く出展していた。日本ではまだ周波数の割り当てが終わっていないものの、国内大手キャリアは2019年内にもプレサービスを始める動きがある。5Gスマホが普及するまでの間、5Gルーターの需要は高まる可能性がある。

5G対応のモバイルWi-Fiルーターも出展していた

ミッドレンジ市場の拡大を狙って、今年はシャープやサムスン以外にも、ソニーモバイルの参入も予想されている。

この価格帯が激戦区になることは間違いないが、ファーウェイはその中で高コスパの製品ラインアップや、国内での地道な販促活動やブランドメッセージの打ち出しによって対抗していく構えだ。

ヨドバシカメラ梅田店での販促イベントの様子
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3月19日、米国で開催中のゲーム開発者会議「GDC 2019」の会場で、Googleがクラウドベースのゲーミングプラットフォーム「STADIA」を発表した。特定のゲーム機に縛られず、ネットに接続したスマホやパソコン、テレビを通してストリーミング(配信)形式でゲームをプレイできる。

この事業を担当するバイスプレジデントとして、STADIAを発表するフィル・ハリソン(Phil Harrison)氏。そもそも彼からして、元はソニーのプレイステーション立ち上げの主要メンバーで、その後Microsoftに移りXboxを担当したという経歴の持ち主

かねてより、MicrosoftのXbox事業のトップマネージャーを引き抜いた、ソニーでPlayStationのハード開発にかかわったエンジニアが転職したといった噂が頻繁に流れており、「Googleがゲーム市場に本格参入する」という憶測は強まっていた。実際に2018年には、Googleは「Project Stream」と呼ばれるストリーミング形式のゲーム基盤の計画を発表し、米国内でベータテスターを募って技術テストを行っていた。

STADIAは、Project Streamの延長線上にあるサービスと見られる。ユーザーは特定のゲーム機を持っている必要がなく、従来のゲーム機の役割をするのはGoogleの設置するデータセンターだ。簡単に言えばクラウドサービスのように、実際にゲームタイトルが動作しているのはデータセンター側で、ユーザーはインターネットを介してゲームを遠隔でプレイする。

STADIAのデータセンターから配信されたゲームをパソコンでプレイしている様子
パソコンで遊んでいたのと同じゲームを、タブレットやテレビでも同じように遊ぶことができる

このプラットフォームの特徴によって、例えばYouTubeで新作ゲームのトレーラー動画を見ていて気に入ったときには、そのページ内の「プレイする」ボタンを押すだけで、インストールすら不要で、動画を再生するかのようにそのゲームをプレイできるようになる。

そして、STADIAのデータセンターが持つゲーム機としてスペックは、サービス開始時のものとして、GPUの演算性能は10.7テラFlopsに達するといい、これはPlayStation 4 Proの4.2テラFlopsや、Xbox One Xの6.0テラFlopsを大きく上回る。映像品質も4K/60fpsのストリーミングに対応し、将来は8K/120fps対応も予定しているという。

STADIA用の「STADIAコントローラー」も販売する。SNSアップ用のボタンや、Googleアシスタントボタンが備わっている

Googleは2019年中にSTADIAをローンチする予定で、まずは米国、カナダ、欧州でサービスを開始すると説明している。発表を受けた翌20日の東京株式市場では、任天堂とソニーの株価が揃って大きく下落した。投資家たちが、GoogleのSTADIAによって、Nintendo SwitchやPlayStationのビジネスが脅かされると考えたからだ。

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