「三菱自動車グループ国内取引状況」調査

「三菱自動車グループ国内取引状況」調査

2016.05.12

「三菱自動車グループ国内取引状況」調査
「三菱自動車グループ国内取引状況」調査

 4月20日、三菱自動車工業(株)(TSR企業コード:290569729、法人番号:7010401029044、本社・東京都港区、東証1部上場)が、軽自動車の型式認証取得で国土交通省に提出した燃費試験データに不正な操作があったことを公表した。同社は2000年と2004年にもリコール隠しの問題が発覚しており、三菱グループ各社の支援で再建中だった。そのさなかの不正発覚で、同社の企業体質が厳しく問われているが、今回の影響がどこまで広がるか不透明だ。

そこで今回の事態を背景に、東京商工リサーチでは三菱自動車及び同グループ各社の取引状況を調査した。同グループ各社と取引があるとみられる1次仕入先は1,356社、総従業員数は41万2,876人だった。同社と直接取引のある1,356社のうち、資本金5,000万円未満の中小企業は913社(構成比67.3%)、従業員数が50人未満は808社(同59.5%)と、大半を中小企業が占めていることがわかった。

※三菱自動車と同社グループの仕入先、販売先を1次(直接取引)、2次(間接取引)に分けて、  企業情報サービスtsr-van2の企業相関図を活用し、業種や地区、規模などを集計、分析した。 ※1次取引先は直接取引のある取引先。2次取引先は、1次取引先と直接取引がある間接取引を示す。 ※三菱自動車グループ:三菱自動車工業本体と有価証券報告書に記載の国内連結子会社9社。


産業別
1次仕入先は製造業、1次販売先は小売業が約4割を占める

 三菱自動車グループの1次仕入先は1,356社だった。産業別では、部品メーカーなど製造業が605社(構成比44.6%)で最多。次いで、卸売業が294社(同21.6%)、サービス業他が232社(同17.1%)、運輸業が73社(同5.3%)の順だった。

 一方、1次販売先は1,605社で、ディーラーや車両販売店などの小売業が604社(同37.6%)と最も多く、次いで、車両リースや整備業などサービス業他が566社(同35.2%)だった。

業種別 1次仕入先は自動車部分品・附属品製造業が最多

 三菱自動車グループの1次仕入先(1,356社)の業種別では、自動車部分品・附属品製造業が142社で最多。以下、自動車部分品・附属品卸売業(65社)、その他の産業機械器具卸売業(46社)、その他の自動車整備業(43社)、一般貨物自動車運送業(40社)と続く。
 
 産業別で最も多かった製造業(605社)を業種別でみると、自動車部分品・附属品製造業のほか、金属用金型・部分品・附属品製造業(32社)、アルミ・同合金プレス製品製造業、金属プレス製品製造業(各18社)、機械工具製造業(17社)、金属工作機械製造業(13社)など。

資本金別 1次仕入先は5千万円未満が約7

 三菱自動車工業と同グループ各社の1次仕入先(1,356社)を資本金別でみると、「1千万円以上5千万円未満」が744社(構成比54.8%)と最も多かった。次いで、「1億円以上」が276社(同20.3%)、「5千万円以上1億円未満」が167社(同12.3%)と続く。

 一方、1次販売先(1,605社)では、最多が「1千万円以上5千万円未満」で779社(構成比48.5%)だった。次いで、「1百万円以上5百万円未満」が348社(同21.6%)、「5百万円以上1千万円未満」が172社(同10.7%)の順。

 資本金5千万円未満(その他含む)の1次仕入先は全体の67.3%、1次販売先では同88.4%を占め、三菱自動車工業と同グループ各社の直接取引企業の多くは中小企業で、三菱自動車工業と同グループ企業の今後の動向は注意深く見守ることが必要だ。

従業員数別 1次仕入先は50人未満が約6

 三菱自動車工業と同グループ各社の1次仕入先(1,356社)の総従業員数は41万2,876人、2次仕入先(4,766社)の総従業員数は303万1,398人だった。

 1次仕入先の従業員数別では、「20人以上50人未満」が249社(構成比18.3%)で最多。次いで、「5人未満」が190社(同14.0%)、「10人以上20人未満」が185社(同13.6%)、「5人以上10人未満」が184社(同13.5%)、「50人以上100人未満」が148社(同10.9%)と続く。

 一方、1次販売先(1,605社)は、「5人未満」が445社(構成比27.7%)と最多だった。以下、「5人以上10人未満」が411社(同25.6%)、「10人以上20人未満」が291社(同18.1%)、「20人以上50人未満」が203社(同12.6%)、「50人以上100人未満」が89社(同5.5%)の順。

 従業員数が50人未満(不明除く)の1次仕入先は808社(構成比59.5%)、1次販売先は1,350社(同84.1%)と、三菱自動車工業と同グループ各社の直接取引は、中小企業が大半を占めており、今後の動向次第では地域の雇用問題にも大きな影響が出る可能性がある。

地区別 大都市圏と製造拠点の地域に集中

 三菱自動車グループの1次仕入先(1,356社)を地区別でみると、最多は関東の475社(構成比35.0%)。次いで中部372社(同27.4%)で、この2地区で6割(同62.4%)を占めた。

 1次仕入先では、生産拠点のある愛知県が278社、岡山県が156社、京都府が69社。また、関連会社のパジェロ製造がある岐阜県が46社ある。

 三菱自動車グループの取引企業には中小企業が多い。今回の燃費偽装問題が拡大し、三菱自動車工業の業績悪化につながった場合、取引先のある地元では取引縮小などで地域の景気や雇用にも大きな影響が出ることが懸念される。

 企業規模に問わず、現在は常にコンプライアンス(法令順守)意識が求められている。今回の三菱自動車工業の偽装問題は、過去の重大な不正行為への反省どころかコンプライアンス意識の欠如を改めて浮き彫りにしたもので、同社の企業体質への疑念は大きい。

三菱自動車及び同グループ各社と取引のある企業の多くは中小企業が占めている。主力生産拠点の名古屋製作所(愛知県岡崎市)、水島製作所(岡山県倉敷市)、関連会社が所在する岐阜県では取引先を含めて多くの雇用を創出しており、同社の動向次第では地域経済や雇用などに大きな影響を与える可能性も危惧される。


2016年4月26日東京商工リサーチ「データを読む」より

東京商工リサーチについて 世界最大2億件を超える国内・海外の企業情報を提供し、与信管理を支援する東京商工 リサーチ(TSR)。長年の蓄積した企業情報データベースを活用し与信管理、 マーケティング、調達先管理、海外企業情報に同社の情報を活用する企業は多い。

東京商工リサーチ:http://www.tsr-net.co.jp/

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

2018.11.16

シャープが新スマホ「AQUOS R2 compact」を発表

大画面化の波に逆らい、「片手ポケット族」が増加傾向に

iPhone不在の「小型スマホ」市場を狙う

11月15日、シャープがAndroidスマートフォンの新製品「AQUOS R2 compact」を発表した。名前に「compact」と付いている通り、最近のスマホ市場では選択肢が減っている小型モデルであることが特徴だ。

小型スマホの需要を取り込む「AQUOS R2 compact」

コンパクトな見た目とは裏腹に、中身にはハイエンドである「AQUOS R」シリーズのスペックを詰め込んでいる。世界的にスマホの大画面化がトレンドとなっている中で、あえて時代に逆行するシャープの狙いはどこにあるのだろうか。

スマホを片手で持ち、ポケットに入れて使う人が増加

世界のスマホ市場では、6.5インチの「iPhone XS Max」に代表される大画面モデルが人気を博している。だが、日本では通勤電車などの利用シーンにおいて、片手で使う人が多いといわれている。シャープによれば、スマホを片手で持つ人は64% 、服のポケットに入れて持ち運ぶ人は49% に達しており、その割合は上昇傾向にあるという。

片手で持ち、ポケットに入れて持ち歩く「片手ポケット族」が多いという

その背景として、シャープはスマホの「インフラ化」を指摘する。SNSやコンテンツを楽しむだけでなく、サービスの利用やモバイル決済にスマホは欠かせない存在になっており、日常生活でスマホを取り出す場面が増えている。

AQUOS R2 compactは、日本人の手のサイズを念頭に置いた「横幅64mm」のボディに、できるだけ高性能な部品を詰め込んだハイエンドコンパクト機になっている。プロセッサは最新のSnapdragon 845、メモリは4GBを搭載しているが、これは大画面モデルのAQUOS R2と同等だ。

ポケットに入れやすいサイズに高性能を詰め込んだ

スマホ本体を小型化する一方、画面は前モデルの「AQUOS R compact」より大型化した。このためにシャープは画面の上下に切り欠き(ノッチ)を持つIGZOディスプレイを開発。インカメラと指紋センサを搭載しつつ、表示領域を上下に広げてきた。

前モデル(左)と比べて新モデル(右)は表示領域が広がった

「iPhone不在」の小型スマホ市場を直撃

シャープによれば、小型スマホを求める人は全体の3割程度という。スマホ市場では残りの7割に向けた大画面モデルが幅を利かせており、最新のiPhoneでは6.5インチのXS Maxに加え、一般向けモデルの「iPhone XR」も6.1インチとなっている。

一方、小型モデルとして根強い人気のあった「iPhone SE」は、後継モデルが出ないまま販売が終了。中古市場では価格が上昇する騒ぎもあった。

日本で最大シェアを誇るiPhoneだが、小型スマホ市場では存在感が薄れつつある。ソニーモバイルはXperiaシリーズのコンパクト機を投入しているが、2018年夏モデルの「Xperia XZ2 Compact」と比較して、シャープ機は画面の大きさ、薄さ、軽さの面で圧倒している。

中国メーカーとして日本でも勢いを伸ばすファーウェイ、OPPOも世界市場において大画面化競争を繰り広げており、小型モデルに積極的な動きは見せていない。この点もシャープにとって有利に働いている状況だ。

また、AQUOS R2 compactは顔認証と指紋認証の両方に対応しているのも特徴。これは、iPhoneにもXperiaにもない機能だ。スマホをポケットから取り出し、顔の前に持ち上げるだけでロックを解除できる顔認証だが、卓上に置いている場合は使いにくい。だが指紋センサがあれば、指を置くだけで済む。

顔認証に加えて指紋認証にも対応

スマホの端末メーカーの多くはグローバル市場に目を向け、大画面化のトレンドを追いがちだ。だが、シャープは国内の需要をしっかりとらえた上で、日本のユーザーに刺さる製品作りを続けている。

依然としてiPhone人気が続いている中で、限られた市場であっても「不在」のチャンスをタイムリーに活かし、ユーザーを奪還する。国内に目配りできるシャープならではの戦い方に注目したい。

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第23回

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

2018.11.16

海外メーカーの台頭で日本にも大画面化の波が到来

大画面化と使いやすさの両立、各社の工夫の歴史

縦長スマホにとって代わるのは「折り畳み」スマホか

スマートフォンのディスプレイは年々大型化が進んでおり、かつては「大きすぎる」と言われた5インチディスプレイが、今や小さい部類に入ってしまうほどだ。一方で使いやすさを維持しながらディスプレイの大画面化を実現するため、メーカー各社はさまざまな工夫を重ねている。スマートフォンのディスプレイサイズはなぜ大きくなり、今後はどのように変化していくのだろうか。

海外メーカーの台頭で日本でも大画面化に拍車

スマートフォンにとってディスプレイは、単に情報を表示するだけでなく、タッチして操作するインタフェースも兼ねている非常に重要な存在だ。そのスマートフォンのディスプレイが、ここ10年ほどで最も大きく変化した要素が「サイズ」である。

どれくらい大きくなったのかというのは、新旧のスマートフォンのディスプレイサイズを比べてみれば一目瞭然だ。日本で最初に発売されたiPhoneである「iPhone 3G」のディスプレイサイズは3.5インチだった。一方、「iPhone X」や「iPhone XS」、「iPhone XR」といった最近のiPhoneのディスプレイサイズは6インチ級があたりまえ。1.7倍に以上に拡大しているのだ。

今やスマートフォンのディスプレイサイズは5インチ以上が一般的で、6インチも珍しくなくなった。画像の「iPhone X」のディスプレイサイズは5.85インチだ

さらに「iPhone XS Max」は6.5インチもあるし、他の大手メーカーでもサムスン電子の「Galaxy S9+」やファーウェイの「HUAWEI P20 Pro」のように、6インチを超えるディスプレイを採用した機種は増えている。なぜ、これほどまでにディスプレイサイズが大きくなったのかというと、それは大画面が欲しいというユーザーが多いため。スマートフォンの性能向上によって動画やコミック、ゲームなどのコンテンツを楽しむ人が増えていることから、ユーザーのニーズに応えるかたちで、大画面が求められるようになったといえよう。

だが日本国内の事情に目を向けてみると、公共交通機関での通勤・通学が多いのに加え、片手で文字入力ができる「フリック入力」が広く普及したこともあり、片手でスマートフォンを操作する傾向が強く、実は大画面に対するニーズはそこまで大きい訳ではない。実際日本では、4インチディスプレイの「iPhone SE」が人気を保っていたし、シャープの「AQUOS R Compact」やソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ2 Compact」などのように、4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトなスマートフォンも投入されている。

2018年の夏モデルとして販売されている「Xperia XZ2 Compact」は4.9インチと、最近では珍しくなった4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトモデルだ

にもかかわらず、日本でも大画面のスマートフォンが増えているのはなぜか。まずは国内のスマートフォンメーカーが減少したことで、市場に海外メーカー製のスマートフォンが増えているためだ。海外では移動手段の違いに加え、文字入力システムの違いからスマートフォンを両手で持って操作する機会も多く、片手操作に対するこだわりが弱いのだ。

新興国などでも、ディスプレイサイズが大きいほど人気が出る傾向が目立ち、大画面に対するニーズが強いのである。海外製スマートフォンが日本市場に入り込みやすくなったことが、日本国内においてもスマートフォンの大画面化を進めたといえる。

縦長スマホの元祖はアップルだった?

とはいえ、スマートフォンが大画面化するに従って、本体の横幅がひろがり、さすがに海外のユーザーからも「持ちづらい」という声が増えてきたようだ。そこで近年急速に増えているのが、従来の16:9比率ではなく、18:9や19:9といった縦長比率のディスプレイの採用である。

持ちづらさに影響する横幅をこれ以上広げることなく、ディスプレイを縦に伸ばすことで大画面化しようとしたのだ。この流れをけん引したのは韓国メーカーで、2017年にはLGエレクトロニクスが「LG G6」(日本未発売)、サムスン電子が「Galaxy S8/S8+」といったように、縦長比率のディスプレイを採用した機種を積極的に投入した。

2017年発売の「Galaxy S8」「Galaxy S8+」は、18.9:9と縦長比率の有機ELディスプレイ「インフィニティディスプレイ」を採用したことで大きな話題となった

この韓国の両メーカーとも、グループ内にディスプレイデバイスを開発する企業を持っている。それゆえ縦長比率のディスプレイが生み出されたのには、実は大画面化だけが目的ではない。自社のスマートフォンに新しいディスプレイをいち早く搭載し、トレンドを作り上げることで、グループ企業のディスプレイデバイス販売拡大につなげる狙いもあったといえる。

だが、縦長ディスプレイで大画面化するというアイデアを真っ先に実践したのは、実はアップルである。アップルはかつてディスプレイの大画面化に消極的で、2011年発売の「iPhone 4s」までは3.5インチのサイズにこだわっていた。だが大画面化を求めるユーザーの声を受け、2012年発売の「iPhone 5」でディスプレイサイズを4インチに拡大した際に、ディスプレイの横幅はそのままに、縦に長くするという手法をとったのである。ある意味、アップルは5年前に現在のトレンドを先取りしていた、といえるかもしれない。

スマートフォンのディスプレイを縦に伸ばして大画面化するというアイデアをいち早く実践したのは、アップルの「iPhone 5」だった

しかしながら、ディスプレイを縦に伸ばして画面サイズを大きくする工夫にも、いずれ物理的な限界が来ることは目に見えている。そこで、さらなる大画面化の追求で、いま注目されているのが折り畳み式ディスプレイだ。このアイデア自体は、NTTドコモが2013年の「MEDIAS W」(NECカシオ モバイルコミュニケーションズ製)、2018年の「M」(ZTE製)で既に実現しているものだが、いずれも2枚のディスプレイを用いていたため、どうしても画面の折り目に継ぎ目が発生してしまう弱みを抱えている。

折り畳みスマートフォンとして注目されたNTTドコモの「M」は、2枚のディスプレイを用いるスタイルであるため折り畳み部分に継ぎ目が発生してしまう

だが有機ELを用いれば、ディスプレイを折り曲げられる“真の”折り畳みスマートフォンが開発できると言われており、大手スマートフォンメーカーがその開発を進めているとの観測報道も幾度となくなされている。

これは折り畳みできるという意味の「フォルダブル」スマホなどと呼ばれ、先ごろはサムスン電子が、来年発表するというフォルダブルスマホ「Galaxy F」のプロトタイプを開発者向けに見せはじめたりしている。2019年は各社から製品が登場するのではないか? との声もあるようだが、いま確実に言えることは、真の折り畳みスマートフォンがいつ、どのメーカーが、どのような形で投入するのかが、大いに注目されているということだけである。