電気自動車は普通のクルマになったか、新型「リーフ」試乗で検証する

電気自動車は普通のクルマになったか、新型「リーフ」試乗で検証する

2017.11.21

10月12日に掲載したレポート「新型リーフは使いやすい電気自動車になった? 日産担当者に聞く」で、日産自動車・日本EV事業部の寺西章マネージャーは、「ガソリンエンジン車などと同じ条件で勝負できるようになったと思います」と語っている。10月2日の発売以来、これまでに約9,500台の受注と出足は好調な新型「リーフ」だが、その進化はどれほどのものなのか。試乗して確かめた。

新型「リーフ」に試乗

普通のクルマとしてのEVに

結論を言えば新型「リーフ」は、これまで走行距離に不安を持つとされてきた電気自動車(EV)であったことを忘れさせる普通のクルマであった。また、寺西マネージャーも「電気代の安さという経済性の側面だけでなく、それ以上の魅力がEVにはあることを伝えていきたいと考えています」というように、先進技術の「プロパイロット・パーキング」などの機能によって、それだけでも手に入れたいと思う魅力を備えていた。

まず、EVとしての性能を簡単におさらいしておきたい。初代「リーフ」は発売当初、充電1回あたりの走行距離がJC08モードで200キロだったのが、マイナーチェンジを受けるごとに228キロ、280キロと距離を伸ばしてきた。そして、新型「リーフ」では400キロへと大幅に進歩している。初期の2倍となる走行距離だ。

充電1回あたりの走行距離は、初代「リーフ」の発売当初に比べ2倍となる400キロに延びた

それに伴い、充電時間も長くなり、充電ゼロの状況から満充電までの時間は、200V(ボルト)・15A(アンペア)の普通充電で、当初は約8時間であったのが、新型では16時間に延びている。ただし、新たに用意された200V・30Aでの充電設備を設置することにより、8時間で済むようにもできる。

「エクストレイル」に続きプロパイロットを採用

日産は現在、電動化と自動運転を新商品の柱としている。自動運転に関しては、運転支援としてレベル2水準の「プロパイロット」をミニバンの「セレナ」でまず採用し、続いてSUVの「エクストレイル」に搭載してきた。これに今回、新型リーフが加わった。プロパイロットによりリーフは、高速道路などでの同一車線内の走行において、前を走るクルマとの車間距離を自動調節しながら一定速度で走り、カーブではハンドルも自動で切ることが可能になっている。

ただし、現行のレベル2の段階では、運転者が走行の全責任を負うのが条件だ。手放しでの運転や、ペダル操作からの全くの離脱は禁止されている。簡単に言えば、従来通りの運転をすることになるが、車線逸脱を起こさなかったり、前を走るクルマに追突しそうになったりせずに、一定速度で高速道路を楽に走り続けることができる(ただし、割り込みのクルマには要注意)。また、渋滞の際には、前車に追突することなく自動停止し、自動発進もする。

プロパイロット搭載で高速道路の走行が楽に

ワンペダルで味わうEVならではの走り心地

次に、小型車の「ノート e-POWER」で初登場した「e-Pedal」も新型リーフに採用されている。モーター走行であることをいかし、アクセルペダルのみで加速と減速、そして停止までをできるようにした機能だ。加速の際にはアクセルペダルを踏むと電気が流れ、モーターを駆動する。減速する際は、モーターを発電機として働かせ、発電する際に生じる抵抗力を使って減速させる。これを、回生ブレーキという。モーターと発電機の原理が同じであることから可能になる機能だ。

e-Pedalではモーター走行ならではの感覚を味わえる

そして、新型リーフで初採用となったのが「プロパイロット・パーキング」である。使い方としては、プロパイロット・パーキングのスイッチを押して、駐車したい枠をカーナビゲーションの画面上で定め、作動開始をタッチ操作したあと、プロパイロット・パーキングのスイッチを指で押し続ける。すると、ハンドル操作や前後への移動を含め、すべてを自動でクルマが行い、駐車する。終了後は、自動的にシフトが「P」(パーキング)に入り、駐車ブレーキも掛かる。並列と縦列の双方で自動駐車が可能だ。

以上が新型リーフの概要である。では、次に試乗の報告をしよう。

小さくなった充電計が意味するもの

運転席に座り、メーターを見てまず気付かされるのは、充電計がすごく小さな表示になったことだ。初代リーフでは、メーター右側に大きく目立つ充電計が配置されていた。変更の理由としては、充電1回あたりの走行距離が初代の発売当初に比べ2倍の400キロに延びたことが大きい。運転中、頻繁に電力消費を確認しなくても、大方の目的地へは途中の補充電なしに到着できることを意味している。

走行中のEVならではの静かさや振動の少なさ、加速の滑らかさといった特徴が、充電の心配なしに味わえる。しかも、距離への心配がなくなったことで、ドライブを楽しめる普通のクルマになっていることに気づかされる。そして、たまに充電計に目を向けてみるが、まだ6~7割も電気がある様子に安心するのである。同時に、走行可能距離も示されるので、もし充電が必要な場合も余裕をもって充電器の場所を探すことができる。

ちなみに、試乗した「G」グレードのカーナビ画面には、充電器施設の場所が表示され、なおかつ充電しているEVの有無も確認できた。

試乗では横浜の日産本社から南下し、横浜横須賀道路などを使って横須賀美術館(観音崎公園内)の方まで足を伸ばした。満充電で出発し、途中で試験的に数分間の急速充電を行ったが、日産本社にクルマを返す頃になっても、バッテリー残量は60%台の数値を示していた

慣れれば快適な先進技術

e-Pedalは、慣れないうちはアクセルペダルを素早く戻しすぎて、強いエンジンブレーキがかかったようにガクッと車速を落とすことになるが、慣れてくるうち、クルマの流れにアクセルペダルだけでのせていける快適さを感じられるようになる。

ただし高速道路では車速が高くなるので、わずかな速度調節をする際にはe-Pedalのスイッチを解除し、通常のモードでアクセル操作をした方が一定速度を保ちやすい。市街地か高速道路かで、使い分けるといいだろう。

e-Pedalは慣れれば楽だが、市街地と高速道路で使い分けるのがオススメだ

新登場のプロパイロット・パーキングも、試乗先の駐車場で試してみた。最初は、隣のクルマに万が一にも接触してはいけないと、空いた駐車枠で試してみた。だが、その心配はまったくの杞憂であった。駐車枠をはみ出すことなく、なおかつ駐車枠の真ん中に見事にクルマが収まったのである。

やってみると操作は簡単で、作動開始に手間取ることはない。駐車する際の移動速度も自分で運転したときと変わらず、手早く駐車を終えるのであった。場所が狭く、一発で駐車枠に収まりきらない時には、何度もハンドルを切り返し、前後へ移動することもすべて自動で行う。

プロパイロット・パーキングの操作は簡単。ハンドル操作は自動で、切り返しまで行う

今回は暗い地下駐車場でも試した。照明の明かりの下でも何ら問題なく安全に駐車を終えた。これは、便利だ。

プロパイロット・パーキングの作動中は、カーナビ画面に車両の後方や真上からクルマを見下ろした周囲の様子を知らせる画像が映るので、周辺の確認もしやすい。このプロパイロット・パーキングがあるだけでも、欲しくなるクルマだというのが正直な感想である。

日本で充実しつつあるEVの選択肢

現在、国内で購入できるEVには、日産リーフの他に、三菱自動車工業「i-MiEV」、BMW「i3」、テスラ「モデルS」および「モデルX」といった選択肢がある。そして間もなく、フォルクスワーゲン「ゴルフ」のEVも加わる。「e-ゴルフ」は2017年末から限定車種が納車開始となり、2018年には通常の受注が始まる。

このうち、軽自動車のi-MiEVは約227万円からという価格設定だ。次に新型リーフが約315万円からという値段となっている。そして、i3やe-ゴルフは500万円前後である。テスラは同社初の量販車となる「モデル3」が導入されるまでは、モデルSやモデルXは約1,000万円からの価格となる。

リーフも、プロパイロットが標準装備されるのは最上級車種の「G」グレードで、価格も400万円近くにはなるが、エコカー減税、自動車税減税、クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金を合わせると、最大で約55万1,000円の優遇措置を得られる。先進技術はともかく、EVを安く手に入れたいというのであれば、廉価版の「S」グレードなら実質的に260万円弱で手に入れられることになる。

廉価版の「S」グレードであれば新型「リーフ」は260万円弱で手に入る

日産が活用する先行者としてのノウハウ

新型リーフは、特別なクルマではなく普通のクルマとしてEVを選んでほしいと開発された2世代目だ。その目的は、性能的にも価格的にも果たされていると試乗で実感することができた。

さらにプロパイロット・パーキングは、これまでに経験した他社も含めた駐車支援機能に比べ、明らかに簡単・便利で実用的に仕上がっており、技術の日産を誇れるだけの先進性を備えていた。

日産は性能的にも価格的にもEVを普通のクルマにしたと言える

EVを2010年に導入し、通信機を搭載して充電場所の検索をしやすくしたり、スマートフォンとの連携により、充電中のリーフに自宅から空調のオン/オフを指示できるようにしたりと、EVならではの特徴をいかした商品性をいち早く実現してきた日産は、先駆者としてのノウハウをリーフの2世代目に活用している。

EVは、もはや特別なクルマではなく、EVであること以外の装備や機能によって選ばれるべきクルマに前進しているのを新型リーフで実感した。まずは、このクルマを自分の手で運転してみることを大いに薦める。

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ここ最近、若者に嫌われがちな慣習に「飲みニケーション」がある。

これはいうまでもなく、仕事を終えた後、同僚たちと居酒屋などに集結し、アルコールの力を借りて互いの胸襟を開き、親睦を深めるコミュニケーション手法のこと。しかし、終身雇用や年功序列が崩壊した今や「会社の人とプライベートの時間まで削って仲良くなろう」というモチベーションは薄れた。「“飲みニケーション”って、いらなくね?」というムードが蔓延。令和時代に廃れてしまいそうな慣習ともいえる。

会社に勤める日本人の若者には、風当たりの強い飲みニケーション。それを新たなカタチとしてビジネスにつなげているのが、アシノオトの木村壮介さんだ。では、どんなビジネスなのか、木村さんに聞いた。

アシノオト代表の木村壮介さん。高校卒業後、兄が起こしたグループウェアメーカーにジョインして、エンジニアとして活躍。ウェブマーケティングの会社へ転職し、ウェブコミュニティの開発運営などを経て独立。訪日外国人とローカル日本人をつなぐQ&Aサイト「Hub Japan」を起ち上げ。2017年、同サイト内で「MEET&EAT」をスタートさせた

サービス名はHub Japan「MEET&EAT」。ネット上のプラットフォームを介して知らない者同士がマッチングし、文字どおり、食べて、飲む。”飲みニケーション”で親睦を深める、というわけだ。

もっとも「MEET&EAT」がマッチングするのは上司と部下でも、出会い系的な若い男女でもない。木村さんが飲みニケーションのターゲットにしているのが訪日外国人と日本人。日本を訪れた海外からの旅行者と、日本にいる人たちを居酒屋でつなぎ、親睦を深めさせる。いわば“異文化飲みニケーション”を提供しているのだ。

旅行者の「美味しい」は、アテにならない

きっかけになったのは、木村さんの経験だった。

「新婚旅行のときに覚えた違和感。そこからはじまったんです」(木村さん)

木村さんがイタリアへ行ったのは2015年。奥さんと2人で楽しみにしていたのが本場のイタリア料理だった。旅行に関する大手口コミサイトでみつけた店を、まず巡った。待ちに待った本場の味。それが実にいまいちだった。

「『こんなものかな…』とも思ったけれど、2日目に偶然仲良くなった地元のおばちゃんが『昨日はどこで食べた? 駅前の店? ダメダメ。行くならあっちの店よ』と教えてくれたんです。すると今度はめちゃくちゃ美味しかった。それが衝撃でした」(木村さん)

美味しさに対する衝撃だけじゃない。圧倒的な集合知を誇るネットの口コミサイトが、地元のおばちゃんのアナログな知見に勝てないことにこそ、木村さんは感銘を受けた。

「考えてみたら当たり前なんですけどね(笑)。世界中の質の高いユーザーが口コミを書き込めたとしても、書き手が旅行者である以上、底はしれている。地域にずっといる人の知識には敵いませんから」(木村さん)

そこに着想の芽があった。

ならば「地元の人と海外からの旅行者をQ&Aでつなぐローカルコミュニティサイトがあったら喜ばれるのでは?」と考えた。ヤフー知恵袋のような巨大なQ&Aサイトや、SNSで直接つながったコミュニティサイトはあるが、越境してローカルの人と旅行者をつなぐQ&Aサイトは意外と見つからない。

それまでグループウェアの制作運営や、企業向けのコミュニティサイトの開発運営を手がけるITエンジニア・ディレクターだったが、独立起業の潮目を感じた。個人的に「社会課題の解決につながるような事業で独立したい」と考えていたことも後押しになったという。

「どんな課題か? “グローバリゼーション”とそれに伴う文化の均質化“への危惧ですね。なんていうと大げさですけど、目立たないけれど素敵なスポットや、小さくても美味しいお店が、情報の均質化で目立たず消えていく。盛りあげないともったいないなって、感じていたのです」(木村さん)

そして2016年に独立。自らプログラムを書けること、奥さんもWebデザイナーだったこともあいまって、すぐさまシンプルなQ&Aサイトを立ち上げた。名前は「Hub Japan(ハブ・ジャパン)」。訪日予定、あるいは訪日中の外国人ユーザーが英語でクエスチョンを書き込むと、日本のローカルユーザーがアンサーを書き込んでくれるシンプルな仕組みだ。

たとえば「東京でオススメの穴場の寿司屋は?」「サクラを見に大阪へ行くが、気温は? 上着は持参したほうがいいか?」といった具合に欧米を中心に訪日予定の人たちから英語で書き込む。すると、サイトに埋め込んだGoogle翻訳エンジンが日本語に変換してくれるので、日本人も気兼ねなく「現地の声」を書き込める。その日本語は、書き込んだユーザーが読めるように、英語に変換されるわけだ。

「ただオンラインだけだとつまらないのでリアルでも何かやりたいと考えた。そこで『体験の仲介サービス』をやろうとしたんです。訪日外国人が興味のありそうな、着物の着付けとか、お茶の体験とか、いろいろ試しにやってみたら……」(木村さん)

そうしたなか、圧倒的に参加者の好評を得た体験イベントがあった。「居酒屋探訪」ツアーがそれだ。

日本人には当たり前の居酒屋に価値があった

赤提灯や縄のれんが目印の大衆居酒屋から、高級割烹ぜんとした高級店まで、バラエティに富む居酒屋レストランは、日本全国に23万店以上あるといわれる。日本独自の酒とつまみが効率よく味わえるうえ、日本の生活文化や日本人とふれあう機会もあるため、今や訪日外国人にも人気のスポットだ。

ただ興味はあれど、観光客が海外の夜の街に繰り出して、初めての居酒屋に入るのはハードルが高い。ボッタクリ店などにあたるリスクもある。しかし、勝手知ったるローカルの日本人が薦める店に、しかも一緒に入って楽しめるとあれば、安心感が高まる。

「一方で居酒屋などの飲食店も、訪日外国人のお客様を呼び込みたいけれど、お店を知ってもらえていないというのが、多少の機会損失になっていた。なので、飲食店の販促の仕組みとして活用してもらえると考えたんです」(木村さん)

試しに「ハブ・ジャパン」をとおして「日本の居酒屋で日本人と語り合おう」というツアーを告知すると、すぐに外国人観光客から応募があった。木村さんが試験的にアテンドをする。奥さんや友達とともに外国人複数×日本人複数で、オススメの居酒屋にむかい「カンパイ!」からはじめると、異様な盛り上がりをみせた。

英語もできず、そもそもコミュニケーションも苦手だった木村さんだが、酒が入り、気持ちが大きくなると「身振り手振りで必死に会話をしている自分」に気づいた。飲みニケーションあなどれじ、だ。

「また、もちろん海外の方々に『日本に来た目的は?』『何を楽しんだ?』などと聞くことも楽しいのですが、実のところ彼らから日本について意表をつく質問をされることにこそおもしろさ、価値を感じました」(木村さん)

「日本で最もポピュラーな宗教は?」とか、「無宗教? ではなぜあれほど神社があり、誰しもお参りしているんだ?」とか、「あなたにとって蕎麦とはなんですか?」とか――。

「蕎麦については、おもしろかった。自分にとって蕎麦とは何か、なんて考えたことなくて(笑)。日本人同士だったら絶対に聞いてこないような質問をどんどん向けられる。結果、むしろ日本のこと、日本文化のことを深掘りせざるを得なくなったんです。また海外の人たちが、日本の何に興味があるのかも肌感覚でわかる。これって観光施策や訪日外国人向けビジネスのヒントが得られる貴重な場になるなって」(木村さん)

だから、日本文化を深掘りしたい「訪日外国人」、質の高いインバウンド客を集客したい「居酒屋」、そして外国人とフランクに交流することで刺激やアイデアを得たい「ローカルの日本人」。この三者を“三方良し”でつなぐプラットフォームとして、2017年末に作った。

仕組みはやはりシンプルだ。ローカルの日本人ならFacebook認証をとおして「ハブ・ジャパン」にまず登録。そこから「MEET&EAT」のサイトに行く。同じようにログインして日本滞在中の「居酒屋で交流したい」と書き込んでいる訪日予定の外国人アカウントをチェック。都合のいい場所や日時、気の合いそうなプロフィールの団体がいたら「マッチング希望」をクリック。返信を待つ。マッチングとなれば、メールでのやりとりができるようになり、「MEET&EAT」内で指定する居酒屋店をチェックして予約。当日、最寄りの駅前で待ち合わせて、予約時間に店にいき「カンパイ!」となるわけだ。

外国Hub Japanの利用者たち。未成年かどうかの判断はFacebook認証で行われる。トラブルが起きないように、基本2~3人ずつしかマッチング登録できない

今はサイト経由で飲食店への予約が発生したときに、紹介料を得る仕組みで運営中。都内数十店舗の居酒屋と契約を結び、月30人程度の訪日外国人からのリクエストに応えている。

「ビジネスの規模はもう本当に小さい。受託の仕事を続けながら、まだまだ手探りの段階です。ただ小さいながら手応えも感じています」(木村さん)

「またぜひ居酒屋で飲みたい」と訪日外国人のリピーターが増えている。「生きた英語を学びたい」「楽しい飲み会を開きたい」というローカル日本人も増加中だ。とくに「企業のインバウンド担当をしているが、本当のニーズがつかめない。ヒントを得たい」「飲食店を経営しているが外国人向けにメニューやサービスを充実させたい。直接リサーチできるのでは」とマーケティング・リサーチの場として価値を見出している人も現れ始めているという。

飲みニケーション、やはりあなどれじなのだ。

「まあ、まだまだ小さい事業で、どこまでできるかわからないけど(笑)」(木村さん)と、取材終盤、木村さんは繰り返した。ただ、目立たないけど素敵なビジネス。盛り上げないともったいない、と……。

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2019.05.21

2018年度のM&A件数は830件、取引総額は12兆7,069億円

「武田薬品のシャイアー買収」は日本企業最高金額に

日本企業が積極的に海外での地盤固めに動いた様子が見られた

平成最後の年度となる2018年度(2018年4月-2019年3月)は、日本の上場企業によるM&A(企業の合併・買収)が活発だった。

国内の高齢化が進み、中小企業の後継者不在の問題はますます深刻になっている。大手企業でも国際競争が激しくなる中で、規模を拡大したり、「選択と集中」で経営を効率化したりする動きが活発だ。こうした経済環境の中で、多くの企業はM&Aに注目し、自社の成長の手段の1つとして積極的に活用し始めている。

M&A仲介サービス大手のストライクが東京証券取引所の適時開示情報を基に構築したデータベースによると、2018年度のM&A件数は830件、金額(株式取得費用と一部アドバイザリー費用を合わせた取引総額)は計12兆7,069億円となり、いずれも2009年度以降の10年間で最高に達した。

2009年度から2018年度にかけてのM&A件数の推移。ストライクが東京証券取引所の適時開示情報を基に構築したデータベースで集計したもの。※経営権が移動するものを対象とし、グループ内再編は対象に含まない。金額などの情報はいずれも発表時点の情報
2009年度から2018年度にかけてのM&A金額の推移。 ※同上

日本企業最高金額となった「武田薬品のシャイアー買収」

2018年度に注目されたのが取引金額の拡大だ。

武田薬品工業がアイルランドの製薬会社シャイアーの買収に投じた6兆7,900億円は、日本企業が実施したM&Aとしては過去最高額となった。さらに同年は、1,000億円を超える案件がこの10年で最高であった2017年度と並ぶ18件に達するなど、国際競争が激しくなる中で、日本企業がクロスボーダー(国際間案件)のM&Aを活発化させた様子が見てとれる。

武田薬品のシャイアー買収は2018年5月8日に発表され、2019年1月8日に成立した。巨額の買収金額が経営に与える影響を懸念して、創業家一族ら一部の株主が買収に反対したことも話題になったが、臨時株主総会での武田薬品株主の賛成率は9割近くに達した。

武田薬品に次ぐ大型の案件は、ルネサスエレクトロニクスによる米半導体メーカー・インテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(IDT)の買収であった。買収金額は日本の半導体メーカーとして過去最高となる7,330億円に達した。自動運転やEV(電気自動車)などの進化に伴い、車載向け半導体の需要拡大が見込まれており、ルネサスエレクトロニクスはIDTの買収によってこの分野の開発力強化や製品の相互補完を目指す考えだ。

それに次ぐ大型の案件は、日立製作所によるスイスABBの送配電事業の買収であり、その金額は7,140億円に達する。日立製作所はABBから2020年前半をめどに分社される送配電事業会社の株式の約8割を取得して子会社化したあと、4年目以降に100%を取得し、完全子会社化する予定だ。再生可能エネルギー市場の拡大や新興国での電力網の整備に伴い、送配電設備に対する需要は一層高まると予想されており、日立製作所は買収により送配電事業で世界首位を目指す。

2018年度(2018年4月1日-2019年3月31日)の取引総額上位10ケース。※金額は株式取得費用と一部アドバイザリー費用を合わせた取引総額 (ストライク調べ)

2019年度も活況続くか

先述したように、金額が1,000億円を超える大型のM&Aは18件あり、武田薬品など金額上位3社のほかに、大陽日酸、三菱UFJ信託銀行、大正製薬ホールディングス、東京海上ホールディングス、JTといった大企業が名を連ねた。

これら18件中17件はクロスボーダーであり、かつ2018年度のM&A件数中、こうしたクロスボーダーは185件(構成比22.3%)に達しており、日本企業が積極的に海外での地盤固めに動いた様子が浮かび上がった。

かつて、日本で企業の投資といえば、研究開発や設備投資が大半を占めていた。しかし、最近の状況を受けて、ストライクの荒井邦彦社長は「全体の成長率が低迷する中で、こうした投資の効果は思うように高まらず、事業戦略としてのM&Aが日本企業でも定着してきている」と分析する。

なお同氏は、2019年度のM&A市場の動向についても「日銀による金融緩和が企業の資金調達環境を改善させており、活況が続きそうだ」と予測している。

出展:M&A online データベース

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