「コミットメント経営」の終焉か、日産自動車が迎えた転換期

「コミットメント経営」の終焉か、日産自動車が迎えた転換期

2017.11.27

カルロス・ゴーン氏による日産V字回復の代名詞「コミットメント経営」は、終焉の時を迎えているのかもしれない。数値目標を掲げ、それを必ず達成することで日産を再び輝かせた経営手法だが、無資格検査問題で詳細発表が延び延びとなっている新たな中期経営計画は、少しカラーの違うものとなりそうだ。

日産の新たな中期経営計画は、ゴーン体制の代名詞だった「コミットメント経営」とは一線を画す内容になりそうだ(画像は横浜にある日産のグローバル本社)

検査不正で2カ月に3度の会見

国内工場での完成検査における不正問題で、日産自動車は信頼性の低下およびブランドの毀損に揺れている。日産の西川廣人社長は11月17日、国内工場での完成検査員による無資格検査の報告書を国土交通省に提出するとともに、横浜の本社で記者会見を行った。

この検査不正問題が明るみに出た後、西川社長の会見は10月2日、11月8日(中間決算発表後)、同17日と2カ月で3度に及び、いずれも冒頭に陳謝するものだった。11月17日の会見は、ことのあらましと今後の対策を説明して質疑に応じ、2時間半にわたる長丁場となったが、17年間の日産長期政権を担ったカルロス・ゴーン氏から、この4月に社長を譲られた西川社長にしては、いつにない歯切れの悪さが目立った。

特に、ゴーン会長を含めた経営責任については再三問われたが、この日産国内工場における完成検査不正が、ゴーン経営以前から長年にわたって常態化していたことから、ゴーン流経営は関係ないとして「私を含む現経営陣の責任は、この状態から挽回させることが一番の責務だ」とし、経営責任をとるよりも挽回に注力していくことを強調した。

日産の西川社長(2017年11月8日の決算説明会で撮影)

必達目標が一人歩き?

一方で、ゴーン流経営の真骨頂であったコミットメント(必達目標)経営については、「上位のマネジメントの目標だけが一人歩きする歪みがあったのか」と発言。この方針からの転換を示唆したのである。

すでに日産は、前中期経営計画である「日産パワー88」でのグローバルシェア8%、営業利益率8%が未達に終わっており、本年度からはルノー・日産・三菱自動車アライアンスの中期経営計画と連動し、新たな6カ年経営計画を始動させるが、今回の不祥事により、計画内容の中味についても発表が後倒しとなっている。

西川体制は、ゴーン会長が取締役会議長を務めてはいるが執行責任は西川社長にあり、改めて日産新6カ年中期経営計画を進めるにあたっては、信頼回復を第一にした日産全体の立て直しが主体となる。すなわち、ゴーン流コミットメント経営の終焉を意味することになる。

「リーフ」がカー・オブ・ザ・イヤーを辞退

日産にとって、今回の無資格検査不正問題が明るみに出たことにより、その対応のまずさが信頼性失墜の傷口を広げる結果となった。

この問題が表面化した時、9月27日の国土交通省における謝罪会見に出たのは西川社長でも役員クラスでもなく、部長クラスであった。週末を挟んだ翌月曜日の10月2日には、西川社長が国交省で会見しようとしたところ、国交省から断られて横浜本社に場所を変更。再発防止策を説明したが、その後も複数工場で無資格者が検査し続けていたことで、リコールの追加という事態にもなる悪循環に至ったのである。

これにより、日産は新型電気自動車(EV)「リーフ」でカー・オブ・ザ・イヤーの選考を辞退したり、東京モーターショーを主催する日本自動車工業会で会長を務める西川社長の自粛により、豊田章男トヨタ自動車社長に代行を依頼したりといったように、大きな犠牲を払うこととなった。

初代「リーフ」は日本のカー・オブ・ザ・イヤーを総なめにし、「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー2011」も受賞していただけに、2017年に登場した2代目(画像)に対する期待も大きかったに違いない

検査問題はいつから常態化していたのか

西川社長も3度目となった11月17日の会見で、「初動対応のまずさや、事態を十分把握せず現場で起こっていることの認識が甘かったことで、事態が大きくなった」と反省する言葉を繰り返した。

日産にとって今回の問題は、「工場の仕組みや目標が、現実とギャップのある形で長年放置されていた。分かる限りでは1989年に追浜工場で(始まったとの認識だが)、さらに10年前頃にさかのぼる長い年月で常態化していたようだ」(西川社長)というように、旧・日産時代から常態化していたのである。

つまり、ゴーン体制に移行してからではなく、それ以前から現場の最終完成検査がずさんだったということである。それでは、ゴーン体制が長く続く中で、ゴーン経営陣は生産現場をチェックできなかったのか、ということでもある。

1999年に日産がルノーと資本提携してルノー傘下に入り、ルノーからゴーン氏が送り込まれ、当初は最高執行責任者(COO)として旧・日産時代のしがらみを断ち切り、コミットメント経営でV字回復させた。これがゴーン体制下の日産である。

労働組合と経営サイドの確執や主導権争いが、旧・日産破滅の大きな要因ともいわれたが、生産や販売現場のしがらみを断ち切ったはずのゴーン経営が、今回の問題を見逃していたことでの失態も指摘されるのである。

3社アライアンスで野心的な数値目標、大黒柱の日産は

2016年度で終了した直近の中期経営計画(中計)である日産の「パワー88」。「88」というように、世界販売シェア8%と売上高営業利益率8%とを目標に置いた、ゴーン流のわかりやすい中計だった。

しかし、このパワー88は未達に終わる。その中で、4月にゴーン氏は日産社長の座を西川氏に譲り、自らは会長になるとともに、三菱自動車の会長、ルノーのトップ、ルノー・日産・三菱自アライアンスの会長の計4役を兼ねることで、3社連合を率いる立場を明確にした。

これに基づきゴーン氏は、3社連合の2022年までの中期経営計画「アライアンス2022」をパリで発表し、連合でグローバル1,400万台(2016年比40%増)、売上高2,400億ドル(約26兆4,000億円、同30%増)という世界覇権への野望ともいえる目標数字をぶちあげている。

しかし、昨年の三菱自動車の不祥事に続き今回、日産の生産現場における検査不正が明るみに出たことで、日産は3社連合の計画と連動する新たな中期経営計画の中身を詳しく発表することを引き延ばさざるを得ない状況となった。

前の中間決算発表でも西川社長は、冒頭に「信頼を取り戻す」と陳謝するとともに、「新中計の中味の発表は年内にでも改めて行いたい」と述べている。

詳細説明が待たれる新しい中期経営計画

2017年度からスタートしている日産の新たな中計は、2020年度までの6カ年計画となる「日産M.O.V.E to 2022」が概括的に発表されている。「M」はモビリティ、「O」はオペレーション・エクセレンス、「V」は顧客への価値提供、「E」は電動化を意味する。健全な収益性と安定したフリーキャッシュフローを確保しながら、「持続可能な成長」を実現するというものだ。

新しい中期経営計画は今のところ、概要が示されただけだ

西川社長は、この中計を進めるにあたって「我々が狙っているのは、着実な成長だ。スコアカードは、将来を見据えて健全なポジションをとるための妥当な数字であり、世界シェア8%を目標にすべきではなく、ポテンシャルを持つということだ」とする。

つまり西川体制は、現状の混乱をまず打開し、信頼を回復させていくことが第一義だとして、これまで必達目標としていたコミットメントから、「着実な成長」へと方向転換を図ることになったのである。

SNSでバズを起こせ! メルカリ流 “違和感”マーケティング

SNSでバズを起こせ! メルカリ流 “違和感”マーケティング

2019.01.24

フリマアプリを運営するメルカリが新聞折り込みチラシを配布

なぜリアル店舗のようなチラシ広告を出したのか

理由を聞いていくなかで同社のマーケティング戦略が見えてきた

問:次のアイテムのなかから、フリマアプリ「メルカリ」で販売されたことのあるものを選びなさい。

・ダウンジャケット
・ヒト型ロボット
・トイレットペーパーの芯
・クルマ
・イヤホンの左側

おわかりいただけただろうか。答えは「すべて」である。現時点では売り切れかもしれないが、上記はすべてメルカリで販売された実績のあるアイテムだ。

さまざまな商品が売買されているメルカリとはいえ、まさか「トイレットペーパーの芯」が売られているとは、よほどのヘビーユーザーでなければ知らないのではないだろうか。

もちろん筆者も知らなかったが、2018年12月12日に配布された1枚の新聞折り込みチラシが、その事実を教えてくれた。それは、メルカリが北海道と愛知県で計192万部配布した広告チラシだ。

紙面上では、トイレットペーパーの芯やクルマがメルカリで売られていたことを紹介していたのだが、東京在住の筆者は配られたチラシを直接見たわけではない。「メルカリが新聞折り込みチラシを配布している」という意外性がSNSで話題を呼び、仕事中Twitterをいじくりまわして遊んでいた筆者の元にも情報が届いたのである。

はたして、アプリ上でサービスを展開するメルカリが、なぜリアル店舗のような折り込みチラシを配布したのだろうか。

メルカリが配布した新聞折り込みチラシの例。まるでアパレル広告のようだ
裏面には、初心者でも使えるようにアプリのマニュアルが紹介されている

「スタンダードからいかに離れるか」が、おもしろさを生む

「端的に言えば“お茶の間の会話”を増やしたいと考えたためですね」

株式会社メルカリ 執行役員 CMOの村田雅行氏は、新聞折り込みチラシを配布した理由について、そう話す。

株式会社メルカリ 執行役員 CMOの村田雅行氏

2013年7月にサービスを開始したメルカリのアプリダウンロード数は、世界合計で1億超。また、累計流通額は1兆円を超えており、全国レベルでその名を轟かせている。

「ただ、月間のユニークユーザー数は1100万程度。ダウンロード数を考えるとまだまだ伸びしろがあるはずなのです。そのため、まだ取り切れていない、シニアを中心とするユーザーを取り込むためのアプローチを実施することに決めました」

アプリの存在は知っているが、普段からメルカリを使っているわけではない。そんな、シニアをはじめとする“お茶の間ユーザー”を取り込むべく企画されたのが「新聞折り込みチラシ」だった。さまざまなマーケティングを行っている同社ではあるが、新聞折り込みチラシの配布は今回が初めて。そのため、まずはテストマーケティングとして、限られたエリアでの配布が行われた。

だが、シニアへのアプローチは何も折り込みチラシに限らない。テレビCMはもちろん、街頭配布やポスティングなど、ほかにも宣伝手法はあったはずだ。なぜ折り込みチラシにこだわったのだろうか。

「1つのコンテンツとして完結しているところがポイントでした。新聞は、自ら購読して情報を取得する非常にポジティブな媒体。毎日目にするそのコンテンツにメルカリの折り込みチラシを入れることで、“違和感”を生み出したかったのです」

また村田氏は、チラシだからこそ違和感を生み出せたのだと話す。

「今の時代、いかにSNSで話題にしてもらえるかが大事です。そのためには普通とは違うことをやらなければなりません。違和感は、多くの人が認識する“スタンダード”がなければ作れないと考えています。いかに基準から大きな振れ幅があるか。それが驚きやおもしろさにつながるのではないでしょうか。そういう意味で、折り込みチラシには基準があります。『医薬品系だったらこんなチラシ』『スーパーのチラシはこんなもの』というイメージが、多くの人のなかで醸成されているからこそ、イメージからかけ離れたクリエイティブは一層際立つはずだと、新聞の折り込みチラシを実施したのです」

例えば街頭配布であれば、コスプレをしたり、奇抜な宣伝車で商品サンプルを配ったり、アメニティを同封したりと、工夫されているものが多く、普遍的な基準のようなものが思い浮かびにくい。あえて一般的な街頭配布の例を挙げるとすれば、ポケットティッシュと答える人が多いだろうか。だが、ポケットティッシュ以外のものを配っていたら、それだけで大きな話題を呼ぶかと言えば、おそらく難しいはずだ。

つまり、スタンダードがあるからこそ、違和感を与えて記憶に残るような手法を実施できると、数あるアプローチのなかから村田氏は折り込みチラシを選んだというわけだ。

そもそも、実店舗を持たないメルカリが折り込みチラシを配布するというだけで、1つの違和感を与えられるだろう。そして「徒歩0分! スマホの中でオープン!」といった目を引く謳い文句が、違和感をますます際立たせる。

「違和感を与えるために、コピーや商品ラインアップは工夫しましたね。今回、3タイプのチラシを作成したのですが、“メルカリだからこそできるラインアップ”をあえて出すようにしました。例えば、意外性のあるものでは、トイレットペーパーの芯やクルマ。実際にメルカリで売られていたことがあるんです」

今回作成されたチラシは「ファッション」「家電」「スーパー」の3タイプ。意外性のある商品ラインアップに加えて、北海道では日本ハムファイターズのユニフォーム、愛知県では中日ドラゴンズのユニフォームなど、地域に根付いた商品も掲載しており、そのような遊び心も、SNSで話題になるために必要なのかもしれない。

家電パターンのチラシ。「徒歩0分! ~」のコピーが目立つ
「トイレットペーパーの芯」を掲載したパターンのチラシ。2つのチラシをよく見比べると、ユニフォームで使われている写真が違う。なお、北海道と愛知県を選んだ理由は、「地場新聞の影響力が強いエリア」だからだという

結果として、違和感を覚えた消費者は、Twitterにチラシの画像を投稿。狙い通り、SNSでバズらせることに成功した。

しかし、SNSで話題になっても、ターゲットにしているシニア層にはあまり関係がないのではないだろうか。

「シニアや中高年の方々でSNSをやっている人は意外と多いんですよ。積極的に発信をしている人はあまり多くないですが、情報収集として活用している人は少なくないですね」

ちなみに、肝心の折り込みチラシの効果は、「すべての数字の集計が終わっているわけではありませんが、チラシを投下したエリアでは、いい成果が出ています」とのこと。データとしても、チラシの影響を確認できたという様子だった。

攻める姿勢が生み出したもう1つの広告

今回のようなアプローチは、SNSが普及した今だからこそ可能な新しいマーケティングだ。そして、メルカリではSNSでのバズを狙った取り組みがもう1つ。2019年1月1日からスタートした『#はじメル』だ。

はじメルは、「三日坊主でもいいから、とにかく新しいことをはじめる人を応援する」というコンセプトで展開しているキャンペーン。特設サイトを開設し、1月3日には新聞の一面広告を、1月5日からはテレビCMを放送開始した。

そのなかで、一体なにがSNSで話題になったのかというと、これまたアナログな「新聞広告」である。

「一般的に1つのクリエイティブで進める新聞広告を、あえて3タイプ制作し、首都圏・東日本・西日本で分けて配布しました。3枚の新聞広告をつなげるとメルカリの『m』が浮かび上がるというデザインなのですが、1枚だけ見ても、“つなげたら何か起きそう”なデザインにすることで、それを発見した人がTwitterに思わず投稿したくなるような仕組みを作っています」

新聞広告を3枚並べると「m」の文字が浮かび上がる

思わせぶりなデザインにするという“ヒント”を提供しておき、あとは何も言わずにユーザーの反応を待つ。離れたエリアの新聞を手に入れるのは難しいので、ほかのデザインが気になった場合は、自然とオンライン上での情報収集が開始されるだろう。そうして、SNSで活発なやり取りが発生するというわけだ。

「最初はもっと控えめのデザインだったのですが、それじゃダメだと言いましたね」

穏やかな口調ではあったが、村田氏の言葉からはクリエイティブに対してのこだわりを強く感じた。

「折り込みチラシのときもそうですが、守りに入ったら企業は終わると考えているので、常に攻め続けたいと考えています」

クリエイティブに対して攻めの姿勢を崩さない村田氏。それを象徴するエピソードとして、折り込みチラシのプロジェクトのキックオフ時には、「私をクビにする覚悟で仕事をしてほしい」とメンバーに伝えたのだという。

「もちろん、ほんとうにヤバいときは止めますよ。ただ、メンバーがリスクを考えてしまうと、どうしても“置きにいく”ようなアイデアになりがちです。責任なら私が取るので、どんどん攻めてほしいというメッセージですね」

置きにいくクリエイティブでは、SNSでバズらない。メンバーが自由にアイデアを出せる環境整備こそ、尖ったクリエイティブを生み出すのに必要なことなのだろう。

2019年はメルカリの内面を伝える年に

今回、折り込みチラシと新聞一面広告で、SNSでバズらせるマーケティングを実施したメルカリ。折り込みチラシに関していえば、まだテストマーケティングが終わった段階である。今後は全国的に折り込みチラシの配布を行うのだろうか。

「明確な方針はまだ決まっていませんが、折り込みチラシについては、読み物としてお客さまから期待されるコンテンツにしていきたいと考えています」

ただし、「今日は○○が特売」「○○が新発売」といったように、新聞チラシは日々情報が更新されるから読み物として成立する。タイムリーな情報をチラシで打ち出せないメルカリは、どのようなコンテンツにしていくのだろうか。

「今回折り込みチラシで意識したことの1つに、商品をたくさん入れるという点がありました。実際にメルカリで何が売られているかまでは知らない人が意外と多いんですね。そのような人からすると、トイレットペーパーの芯が売れることは1つの発見になるでしょうし、自分の家にある家電がいくらで売れるかということも新しい発見です。そのように、ほかにも、まだまだ知られていない情報があるので、継続的にチラシをやると決まったら、もっとメルカリの内側を知ってもらう情報を提供していきたいですね」

メルカリの内側を知ってほしいと話す村田氏。実は、はじメルにも同様の意図があったという。

「メルカリを使えば『新しい趣味を始める』ことへのハードルを下げられると伝えたかったのです。例えば、ゴルフを始めようと考えたら、ゴルフクラブのセットを購入する必要がありますよね。それが仮に10万円であれば、『ちょっとやってみようかな』程度に思っている人からすると、やはりハードルは高い。しかし、メルカリを使うことで、まずゴルフクラブを5万円で買える可能性があるのです。そのうえ、5万円で売られているのであれば、それに近い金額で売却できることも意味します」

5万円でゴルフクラブを買ってみたはいいものの「あまりおもしろくないな」と感じた場合、4万5000円で売却できれば、5000円の出費でゴルフを体験できるわけだ。

「また、メルカリにはバーコード出品と呼ばれる機能があって、バーコードを読み取るだけで商品情報を自動入力してくれるんです。値段も提案してくれるので出品が楽なのですが、最近では本を買うときにまずはバーコード出品を行う人が多いようですね。ちょうど読み終わったくらいに売却できて便利なんです。期限を決めることで、読まないといけないというプレッシャーにもなりますし、2000円の本を1500円で売却できれば、500円で本が読めるわけです」

何か買うときに、メルカリでまずいくらで売れるかをチェックする。そして、使わなかったり、一度使って満足したりすると、メルカリで売却するという消費行動が増えているのだ。その結果、購入のハードルが下がるので、二次流通が一時消費を活性化させる可能性もあるだろう。

「このような使い方の訴求は、継続してやっていきたいなと。そしてゆくゆくは、メルカリをライフインフラのようにしたいですね」

村田氏は展望を語る。

「認知はすでに獲得しました。次はメルカリの内面をもっと外に出していくフェーズです」

2018年には株式を上場し、気流に乗るメルカリ。決して“置きにいかない”同社のマーケティング戦略から、次はどんなアイデアが飛び出すのだろうか。2019年も同社の尖った広告が、SNSを騒がせるかもしれない。

上場後振るわぬソフトバンク、次は「行政指導」

上場後振るわぬソフトバンク、次は「行政指導」

2019.01.24

ソフトバンクの通信障害、総務省が行政指導へ

再発防止のためのさまざまな対策立案を支持

上場前後で「運がない」ソフトバンクに求められるもの

総務省は1月23日、昨年12月に大規模な通信障害を起こしたソフトバンクに対して行政指導を行った。

通信障害は、ソフトバンクのLTEに関する交換機の不具合が原因で起こったもの。それによって同社の4G LTE網に障害が発生し、音声・データ通信ともに圏外になる、もしくはつながりにくい状態が長時間続き、大きな話題になっていた。

通信障害は12月6日の13時39分頃発生し、その後同日18時4分頃まで、4時間25分に及び、約3060万人の利用者に影響を及ぼした (ソフトバンク ニュースリリース)

総務省は今回、同社の代表取締役取締役社長執行役員兼CEOの宮内謙氏宛に「電気通信事故に関する適切な対応及び報告について」と題した文書を提出。

ソフトバンクの宮内謙代表

文書では、ソフトバンクが2018年中に同件を含めて3回の重大事故を発生させていることを挙げ、「このような事故の発生は利用者の利益を大きく阻害するもの」とし、社内外の連携体制の改善や利用者への周知内容・周知方法の改善、通信業界内での教訓の共有等の実施を勧告。さらに、それぞれの具体的措置の内容を2月末までにまとめ、報告するよう義務付けた。

携帯電話は、通話やメッセージのやり取りはもちろん、決済サービスや災害時の情報収集ツールとして、今や国民のライフラインになっている。

総務省は同文書で「事故における教訓を業界全体で共有することが重要である」ともしており、今後の再発防止策等の詳細について、ほかの携帯電話事業者に説明し、情報共有する機会を設けることも求めた。

昨年末に鳴り物入りで上場したが、なかなか株価が振るわないソフトバンク。その背景には、通信障害や「PayPay」のクレジットカードの不正利用、さらには同社が通信設備を使用している中国・ファーウェイの米中対立やCFOの逮捕などの問題などが影響していることだろう。

ソフトバンクグループは昨年11月に行われた2018年度第2四半期決算説明会で、「RPA(Robotic Process Automation)の導入により通信事業の人員を削減し、新規事業に力を入れていく」としていたが、新規事業の前に、まずは逆風吹く通信事業の早急な立て直しが求められている。