auショップが新しい制服に、そこにあるちょっとした意味

auショップが新しい制服に、そこにあるちょっとした意味

2017.10.01

auショップの制服が10月から新しくなった(沖縄セルラー電話では11月1日から)。ユーザーにはあまり関係のなさそうな話だが、実はユニフォームの変更にはちょっとした意味があるようだ。

新ユニフォームは男女合計42パターン

auショップの新制服はビームスの制服向けブランド「Uniform Circus BEAMS」監修のもと、そごう・西武が製作している。男女ともに大きく分けて2パターンのトップスとシャツ、ボトムス、小物類の組み合わせがあり、男性用が14パターン、女性用は28パターンのスタイルが選べるという。画一化された制服ではなく、スタッフが各自の個性を生かしてコーディネートを楽しめるというわけだ。

男性用はトップスがジャケット、カーディガン、シャンブレーシャツ、ポロシャツに、ボトムスがグレーか紺のパンツ。女性用はトップスがジャケット、ベスト、カットソー、ボトムスがスカートか、グレーか紺のパンツという組み合わせだ。ちなみに左端がKDDIの木村部長、右端が開発を担当したビームスの矢崎裕課長

トップスのベースとなる色は紺色だが、そこにauのブランドカラーであるオレンジがワンポイントで入っている。あえてオレンジを控えたのは、オレンジ中心の店内で映える色合いを考慮した結果だという(紺はオレンジの補色)。

全体としてはビジネスカジュアルスタイルなのだが、ボトムスも紺色の場合は落ち着いてシックな装いを、グレーの場合は若々しく活動的な印象を与えてくれる。発表会に出席したKDDIの木村奈津子コンシューマエクスペリエンス推進部長によれば、制服に付属するポーチなどの小物は、木村部長がショップ勤めの最中にスタッフ間で工夫しながら導入したものを参考にして採用されているとのことだ。

新制服のテーマは「『機能性』と『親しみやすさ』を併せ持ったビジカジユニフォーム」とのこと。KDDIとしてはauショップに親しみやすさをもたらし、もっと消費者にショップに来店する機会を増やしていきたいということだろう。

ちなみにNTTドコモも昨年10月に制服を一新しており、こちらは紺色をベースに赤と白のラインが印象的なデザインとなっている。ただしドコモの場合制服は女性のみで、男性まで制服を採用するのは、携帯ショップに関わらず、かなり珍しいと言える。ソフトバンクは2013年に制服を変えているので、サイクル的にはあと1、2年は現状のままだろう。

どうして制服を変えるのか

制服がない業種の人間からすると、制服が変わった程度で何が変わるのだろうか、という疑問が湧くところだ。

企業の制服などの研究・振興を行なっている公益財団法人日本ユニフォームセンターによると、制服の効用は「1.働く意識が生じ、プライベートと区別がつく」「2.職業を象徴する結果、職業に対しプライドが抱ける」「3.自前の衣服が汚れたり傷んだりしないため、働きやすい」「4.顧客との区別がつく」「5.アイデンティティー、仲間意識、連帯感が持てる」に分けられるという。対外的には企業PR、イメージの統一・転換、対内的にはモラルの高揚、帰属意識対策などが挙げられる。

今回のKDDIに関しては、制服の更新サイクルという事情もあるだろうが、おそらく「2」と「5」がメインの目的だろうと推測される。つまり、KDDIという企業への帰属意識を再確認し、モラルの向上を図る、ということだ。

制服を変える真の目的

現在、KDDIは保険や金融、コンテンツ、コマース、決済、エネルギーといった、通信以外の分野にも参入し、KDDI経済圏を構築する「ライフデザイン企業」への脱皮を図っている最中だ。ショップのスタッフには、これまでとは違ったジャンルの事業にも関与していかねばならないというチャレンジがある。これには相応のモチベーションが必要だろう。

そこで制服を刷新することで、スタッフのモチベーションアップを図ったわけだ(うまくすれば接客にも変化が期待できる)。消費者としても、店舗スタッフが男性スタッフに到るまでカジュアルな制服に身を包んでいれば、これまでとは違った何かを意識することになる。対外的なアピールにも有効なわけだ。

KDDIがライフデザイン企業として消費者に周知されるには、各事業の成功はもちろん、ショップ全体の変更や、スタッフの配置など、まだまだ大掛かりな変更が必要だ。極端なことを言えば、ロゴ、あるいはいっそ社名変更クラスの大掛かりな変化がなければ、正しく認知されないかもしれない。なかなか一朝一夕にとはいかない問題ではあるが、今回の新制服の導入は、まさにその一歩というところだろう。イメージチェンジということでは、三太郎CMでは高い評価を得ているKDDIだが、店舗についてはどのように企業イメージを変えて消費者へ浸透していくのか、お手並みを拝見したい。

「音声」巡り覇権争うアマゾンとグーグル、立ち止まるアップル

「音声」巡り覇権争うアマゾンとグーグル、立ち止まるアップル

2019.01.21

CESで存在感を放つアマゾンとグーグル、各社の最新動向は?

レノボはGoogleアシスタント、Alexaに対応した新製品を発表

アップルは各社にプライバシー問題を警告、独自路線を貫くか

米ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES 2019」で、別格の存在感を放っていたのがアマゾンやグーグルだ。2018年はグーグルがCESに初めて本格出展したことで話題となったが、2019年も大がかりなブースを設置して来場者の注目を浴びた。

ラスベガスのCES会場前に設置されたグーグルのブース

アマゾンやグーグルは音声アシスタントで競争しており、家電製品への組み込みを進めている。2019年のCESではどうだったのか、両社の最新動向をレポートする。

グーグル対アマゾンの音声争いが加速

グーグルは今年もCES会場に「Googleアシスタント」を目玉にした大型ブースを設置。巨大な壁面広告やモノレールのラッピング広告で存在を示し、家電メーカーのブースには白い帽子のスタッフを派遣するなど、CESを乗っ取る勢いだった。

「Googleアシスタント」に対応した家電製品が並ぶグーグルブース

一方、Alexaで先行するアマゾンも展示エリアを拡大。業界やメーカーの枠を越えた「Alexa対応製品」を一挙展示することで、エコシステムの強大さを示した。家庭向けのスマートホーム用途だけでなく、オフィスで使う事例も示すなど、応用範囲を広げている。

アマゾンは「Amazon Alexa」対応製品をブースに集めた

具体的な対応製品として、音声で操作できるスマートスピーカーやスマート電球はもちろんだが、これまでにないジャンルの製品も増えている。たとえばレノボは「目覚まし時計」と「タブレット」の2機種を発表した。

レノボの目覚まし時計「Smart Clock」(左)とタブレット「Smart Tab」(右)

Googleアシスタントに対応した「Smart Clock」は、目覚まし時計の置き換えを狙った製品だ。音声だけでなく画面のタッチ操作にも対応しており、カレンダーの予定や寝覚めのいい音楽、室内の照明と連動した目覚まし機能を提供する。

一方、Amazon Alexaに対応した「Smart Tab」は、一般的なAndroidタブレットとして使えるほか、ドックに置くと音声とタッチで操作するスマートディスプレイに早変わりする。自宅でも外出先でも1台2役で使えるお得さが特徴だ。

アップルが投げかける「プライバシー」問題

CESに両社が注力する背景には、音声アシスタント市場におけるシェア争いがある。「Amazon Echo」や「Google Home」といったスマートスピーカーの売上ではグーグルがアマゾンを猛追しており、2018年第1四半期には逆転劇を果たした(英Canalys調べ)。しかし第3四半期にはアマゾンが再び首位に立つなど、接戦が続いている。

その勢力はスマートスピーカーを越えて、家電全体に広がりつつある。家電の操作といえばスイッチやリモコン、タッチ操作が一般的だが、音声に対応する製品は増えている。これまで独自の音声アシスタント「Bixby」を展開してきたサムスンも2019年にはグーグルとアマゾンとの連携を発表した。

サムスンはスマートTVでグーグル、アマゾンと連携

このまま音声が普及していけば、世界中の人々がインターネットのサービスやコンテンツにアクセスする手段になる可能性がある。音声アシスタントのシェア争いは、スマホOSのシェア争いと同じくらい重要というわけだ。

ただ、音声操作はプライバシーに関する懸念もある。音声操作を受け付けるには、マイクが常時オンになっている必要があるからだ。マイクをオフにする機能はあるとはいえ、家庭内のプライベートな会話を常にマイクに拾われるのは心地よいものではない。

この問題に一石を投じたのがアップルだ。CES会場からよく見えるホテルの壁に意見広告を掲載。ラスベガスの有名なコピーをもじって「iPhoneで起きることはiPhoneの中にとどまる」と訴え、サードパーティと広く連携するアマゾンやグーグルを牽制した。

アップルはCESでプライバシー重視をアピール。元々の言葉は、「What happens in Vegas stays in Vegas.(ラスベガスで起きたことはラスベガスに残る)」というもの

アップルも独自の「Siri」をiPhoneに搭載し、スマートスピーカー「HomePod」も販売している。だがサードパーティとは積極的に連携していないため、音声のシェア争いでは不利な立場に追い込まれている。アップルがこのまま「プライバシー重視」路線を貫くかどうかも、音声アシスタント市場の行方を左右しそうだ。

一度は姿を消したワイヤレス充電が再びメジャーになった理由

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第30回

一度は姿を消したワイヤレス充電が再びメジャーになった理由

2019.01.21

いまや当たり前の「ワイヤレス充電」スマホ

開発も販売も、実は日本が世界初だった

過去にナゼ廃れたのか、今はナゼ流行っているのか

最近、ケーブルに接続する必要なく充電ができる、ワイヤレス充電に対応したスマートフォンが増えてきている。一時は姿を消していたワイヤレス充電が、ここにきて再び脚光を浴びるようになったのはなぜだろうか。

世界初のワイヤレス充電対応スマホは日本製

スマートフォンを充電する際、多くの人は充電用の電源ケーブルに接続して充電していることだろう。だがここ最近、スマートフォンをケーブルに接続することなく、専用の充電台に置くだけで充電ができる「ワイヤレス充電」に対応したスマートフォンが増えているのだ。

例えばアップルのiPhoneシリーズであれば、2017年発売の「iPhone 8」シリーズ以降からワイヤレス充電に対応している。他にもグーグルの「Pixel 3」やサムスン電子の「Galaxy Note 9」、そしてファーウェイの「HUAWEI Mate20 Pro」など、海外製のハイエンドスマートフォンを中心として、ワイヤレス充電に対応したスマートフォンは着実に増えている。対応スマートフォンの広まりとともに、ワイヤレス充電をするための充電器も数が増え、家電量販店などで目にする機会も増えている。

ワイヤレス充電対応機種は急増しており、「iPhone XS」など最新のiPhoneもワイヤレス充電に対応している

充電をするためにケーブルに接続するというのは手間がかかるし、何よりケーブルは絡まりやすく取り回しが面倒なもの。それだけに、スマートフォンを置くだけで充電できるワイヤレス充電は消費者にとって非常に便利だ。したがってスマートフォンに搭載するという動きも比較的古くから進められていたのだが、現在のように広く普及するまでにはかなりの時間を要している。

実は、スマートフォン単体でワイヤレス充電ができる機種が最初に投入されたのは日本で、開発したのも日本企業である。2011年にNTTドコモから発売された、シャープ製の「AQUOS PHONE f SH-13C」がそれに当たり、Wireless Power Consortium(WCP)が策定したワイヤレス給電規格の1つ「Qi」に対応。Qi対応の充電器に置くだけで、スマートフォンを充電できる仕組みを備えていたのである。

世界初のワイヤレス充電対応スマートフォン「AQUOS PHONE f SH-13C」は、2011年にNTTドコモが提供。専用の充電器も提供していた

しかも当時、NTTドコモはQi対応のワイヤレス充電ができるスマートフォンの開発に力を入れており、「おくだけ充電」という名称まで付けて積極的なアピールを進めていた。さらにシャープだけでなく、NTTドコモと関係の深い他の国内スマートフォンメーカーともQi対応のスマートフォン開発を進め、市場に多くのワイヤレス充電対応スマートフォンが存在した時期があったのだ。

規格や充電性能の問題が解決し採用機種が増加

だが2013年を境に、NTTドコモのラインアップからワイヤレス充電対応のスマートフォンが一時期姿を消し、ワイヤレス充電は急速に存在感を失うこととなる。当時ワイヤレス充電に力を入れていたパナソニックモバイルコミュニケーションズやNECカシオモバイルコミュニケーションズなどが、iPhoneなどに押されてスマートフォン市場から撤退した影響も大きいが、より本質的な要因は2つあると考えられる。

1つは、急速充電に対する消費者のニーズが高まっていたためだ。当時はバッテリーの性能が現在より低かったため、スマートフォンを使っているとあっという間にバッテリーを消費してしまい、不満の声が多かったため、何よりも素早く充電できることが強く求められていたのだ。しかしながら当時のQiは電力の出力が弱く、充電速度が遅かったことから、消費者のニーズとマッチせず姿を消してしまったのである。

そしてもう1つの理由は、ワイヤレス給電規格が複数存在し、業界全体で、どの方式を採用するか方向性が定まっていなかったため、後続するスマートフォンがなかなか出てこなかったことだ。実際、2015年に日本でも発売されたサムスン電子の「Galaxy S6」「Galaxy S6 edge」はQi規格だけでなく、Power Matters Alliance(PMA、現在はAirFuel Alliance)が策定したワイヤレス給電規格も採用することで、ワイヤレス充電に対応させている。

2015年発売の「Galaxy S6 edge」は、当時まだ事実上の標準規格が定まっていなかったこともあり、複数のワイヤレス給電規格に対応していた

そして最近になってワイヤレス充電が再び日の目を見ることができたのは、それらの課題が解決したことが大きく影響している。急速充電に関しては、当初Qiのモバイル機器に向けた「Volume I」という規格では、送信できる電力が5W以下とされていたため充電速度が遅かったのだが、その後10W、15Wといったより大容量の送信ができる規格の策定が進んだことで、より速く充電できるようになったのである。

また規格の統一に関しては、アップルなど影響力の大きな主要スマートフォンメーカーがQiの採用に傾いたことで、Qiがスマートフォン向けの事実上標準規格となった。そのため多くのスマートフォンメーカーがQiを採用しやすくなり、急速に数が増えたといえる。

さらにもう1つ、高いデザイン性や防水性能など、スマートフォンに求められる要素が年々増えていることも、ワイヤレス充電が復活した大きな要因として挙げられるだろう。一方で、かつて必要だったPCへの接続など、スマートフォンに何らかのケーブルを接続する必要性は年々薄くなっている。将来的にはスマートフォンのワイヤレス充電対応が当たり前となり、充電用のUSB端子やLightning端子がなくなることも十分あり得るだろう。