LINK-J発足から約1年半! オープンイノベーションが進む東京・日本橋

LINK-J発足から約1年半! オープンイノベーションが進む東京・日本橋

2017.10.04

2020年の東京五輪の開催に向け、東京都内の再開発が活発化している。大規模なものでは、品川・田町駅周辺、渋谷駅周辺などが挙げられる。だが、巨大なビルディングや商業施設の建設だけが再開発ではない。産業を活性化させることも重要な再開発だ。

LINK-Jの拠点のひとつ「日本橋ライフサイエンスビルディング」

2016年3月、一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(以下、LINK-J)が発足した。この社団法人の目的は、“ライフサイエンス”領域の“イノベーション”を推し進め、参加者の“ネットワーク”を通じ人的交流・技術交流を促進し、“日本(ジャパン)”のライフサイエンスをグローバルに広げようというものだ。まさに、法人名そのものに目的が入れ込んであるといえよう。

ライフサイエンスのシリコンバレーを目指す

ユニークなのは活動拠点を東京・日本橋に絞っていること。“グローバル”などというと、全国各地、あるいは世界各国に拠点を持つようなイメージがあるが、それでは人的交流・技術交流といった物理的な連携は散漫になる。かえって拠点を絞ったほうが、物理的な交流は活発化し、イノベーションが起きやすい。事実、米・スタンフォード大学の敷地から始まったといわれる半導体企業の集積地は、並み居るICT企業が集まり、シリコンバレーとまで呼ばれるようになった。

LINK-Jがシリコンバレーを意識しているのかどうか、いや、必ず意識していると思うが、日本橋をライフサイエンスという領域での一大拠点に、というわけだ。

そのLINK-Jの発足から約1年半が経過した。これまでに、どのような足跡を残したのか、LINK-J 理事 兼 事務局長 曽山明彦氏に話を聞いた。

曽山氏は、「LINK-Jのおもな拠点は日本橋に3カ所ありますが、現在40社強のテナントが集結しています。また、会員数も150(8月27日時点)に届き、活発に交流しています」と話す。曽山氏によると、LINK-Jが主催、共催、協賛するものや特別会員などが主催するイベント・プログラムを合わせると、現在369件(2016年8月~2017年7月) にのぼったという。つまり、1日に1回以上イベントが行われている計算だ。

また、ひとくちにライフサイエンスとはいっても、多様な企業・団体が参加している点に注目したい。創薬や再生医療、医療機器といったライフサイエンスの中心ともいえる企業群のほか、大学の研究機関・学会、これからの医療に重要な役割を果たすICT・AI関連企業、ベンチャーキャピタルやコンサルティングといった直接ライフサイエンスに関わらない企業も参加する。

「LINK-Jには、“シーズ”“アーリー”段階のベンチャーも多く参加しています。そうしたベンチャーを支援する意味で、ベンチャーキャピタルなどの存在は重要です」(曽山氏)。

こうしたベンチャーを育てることが、日本橋そのものの活性化につながる。LINK-J設立の中心企業、三井不動産 ライフサイエンス・イノベーション推進グループ 清本美佳氏は、「シーズ段階では弊社のコワーキングスペースを使っていただき、事業の成長した際にも規模にあわせたスペースに移ることも可能です。 “出世魚”のようですね」と話す。とはいえLINK-Jの門戸は、三井不動産以外のテナントにも開かれており、実際そうした企業が数多く参加しているそうだ。

そして、これらの企業が有機的に連携することで、オープンイノベーションにつながる。「これまで医薬関連企業は、クローズイノベーションが当たり前でしたが、少しずつ連携が生まれています。未来の日本橋の発展、そして日本のライフサイエンスがグローバルに広がるための第1歩です」と、曽山氏は話す。

LINK-Jの約1年半を振り返る曽山氏と清本氏。右は会員が利用できるラウンジ

“未来の日本橋”という話が出たので、今後どうなるのか。日本橋を含めた東京駅周辺の青写真をチェックしてみよう。

まず日本橋。そもそもこの地は、400年前から薬種問屋が集まり、その伝統は今も色濃く残っている。アステラス製薬本社の目と鼻の先には第一三共本社がそびえ、三井タワー内には中外製薬本社が居をかまえている。地上24階の武田薬品工業の新東京本社ビルも、そろそろ竣工予定だ。まさにライフサイエンスの集積地で、LINK-Jがここを拠点にする大きな理由だと曽山氏は強調する。

そして東京駅の北側にある常盤橋には、三菱地所が地上390mの超高層ビルを2027年に開業するとリリースした。このビルが開業すれば、伝統とライフサイエンスの街・日本橋と、多くの上場企業が本社を置く経済の中心地・大手町のあいだに巨大なランドマークが現れ、ふたつの街がより密接につながるだろう。そして、何かしらのイノベーションが生まれるのは間違いない。

首都高の地下化の構想が浮上

日本橋に戻ろう。今夏、大きな動きがあった。国土交通省と東京都が、日本橋付近の首都高地下化を表明した。これまでも“地下化”の話はあったが、何回か立ち消えとなった。

神田川に架かる日本橋は、東海道や日光街道といった五街道の出発点。地方でよくみる「東京まで300km」というような表示は、この橋を起点にしたものだ。その橋の上を首都高の高架橋が覆い被さり、しばしば「景観を乱している」という意見が聞かれた。地下化により、その景観がひらけるというワケだ。

日本橋の上に架かる首都高。日本橋は祭りも頻繁に行われる
地下化の質問に答える首都高の宮田社長

首都高速道路 代表取締役社長 宮田年耕氏は、「国土交通省や都、中央区、周辺のデベロッパーなど、多くの方々と協議しなくてはなりません。また、その時期についても今のところ決まっていません」と、まだ緒に就いたばかりで具体的なことには触れられない様子をみせた。ただ、「地下化により景観がよくなることは、多くの住民の方々によろこんでもらえると確信しています」と、筆者に笑みをみせた。

何年先、いや何十年先になるのかわからないが、“未来の日本橋”の姿が楽しみだ。

大津の園児死亡事故で炎上した「マスコミ」批判

カレー沢薫の時流漂流 第43回

大津の園児死亡事故で炎上した「マスコミ」批判

2019.05.20

漫画家・コラムニスト カレー沢薫さんの社会派連載!

第43回は、大津の痛ましい事故で炎上した「マスコミ」問題について

滋賀県・大津市で散歩中の園児の列に軽乗用車が突っ込み、園児二名死亡、多くの負傷者を出す、という事故が起った。

池袋のプリウス事故の衝撃が冷めやらぬまま、また痛ましい事故が起ってしまった。池袋の事故では「高齢者の自動車運転問題」「上級国民疑惑」が大きく注目されたが、今回の事故では全く別のものが炎上した。

マスコミ問題である。

マスコミが保育園を追求したのは視聴者のため?

事件が起こった当日夕方、被害者の園児が通っていた「レイモンド淡海保育園」が記者会見を行ったのだが、そこで質問をした記者の血が青とか紫とかほとんど寒色系じゃないかと、大きく批判された。

記者会見が、どのような内容だったかというと「危険な場所という認識はあったのか?」「保育士が道路側にいたのか?」という、何としてでも保育園側に批があったようにしたくてたまらない質問、「園児たちの様子は普段と変わらなかったのか?」という意図のわからない質問、 「散歩したのは園に庭がないからか?」という「園に庭さえあればこんなことには…」という「ニ兆円さえあれば」に匹敵する、壮大なたられば論などが挙げられ、質問を受けた園長は号泣、それを記者がバッシャバッシャ撮影するという地獄絵図だったそうだ。

記者会見を見た多くの人が「何を食ったらそんな質問ができるんだ」と思っただろうが、この記者会見は、たまたまその場にプラスチックを食って育った選りすぐりのサイコパッシャーが大集結してしまったという、悪い意味でのアベンジャーズだったワケではないと思う。

記者が何故あのような質問をしたかというと、決して趣味ではなく、おそらく「視聴者の見たい画」「聞きたい言葉」を引き出そうとした結果なのではないか。もちろん「あんなもの見たくなかった」という人が大半だと思う。

しかし、池袋プリウス事故で加害者が即逮捕されないことが大きく批判されたことからも、現在の我々視聴者に「悪が一刻も早く、俺たちの目に見える形で処されるところが見たい」という「ニーズ」が少なからずあることが分かっているのだ。

つまり「お客様に一秒でも早く悪が吊るされる様をお届けします!」というニーズに応えようとする企業努力が、「悪くもない保育園をとりあえず悪にして即斬る」という、完全に間違った「悪・即・斬」になってしまったのではないだろうか。

「マスゴミ」問題は視聴者の問題?

しかし、「被害者側への無配慮な取材はいらん」というのも、今回の件だけではなく、視聴者側が何度も言い続けている「ニーズ」である。

何故それが無視されてこのような会見が行われるかというと、被害者の声まではいらなくても、やはり我々が平素「センセーショナル」な物を求めてしまっているからではないだろうか。よって記者たちは「とにかく刺激的なものを撮ってこい」と言われ続け、感覚がマヒし、本来配慮が必要なはずの取材にすら「センセーショナルさ第一」で臨んでしまい、まるで不倫記者会見のようなノリの質問が飛ぶことになってしまったのではないだろうか。

やはり報道というのは「視聴者が何を見たがっているか」が反映されるものだ、需要がなければ供給はなくなる。このような記者会見が行われなくするためには、何度でも我々が「こういうのはいらんのや、見んし、お前らの雑誌買わんわ」と言い続けるしかないだろう。

ところで、「質問をした記者を特定して処してやろう」という動きも当然のように起こったらしい。やはり我々の「悪を処したい」「処されるのを見たい」という気持ちは根深い物があるのだ。

ちなみに、今回の事故では当初、車を運転していた52歳と62歳の2人が逮捕された。「また高齢者か」という声も上がったが、この年齢で高齢者と呼べるかは微妙なところだ。結局「車を運転する以上誰でも事故を起こす可能性がある」ということである。

車を運転しない人は「歩道を歩いていて車が突っ込んでくるなんてどうしようもない」という被害者観点から絶望したと思うが、車を運転する人は加害者観点でも恐怖したと思う。

もちろん安全運転に越したことはないが、人間には「限界」と「不測の事態」があることでおなじみである。持病もないのに運転中に突然何らかの発作が起こる可能性だってあるのだ。「どうしようもないこと」で被害者になることもあるが、加害者になることもあるのである。

つまり、車がないと生活できない土地で、私が週一ぐらいしか外出せず、引きこもり続けているのは、近隣住民の命を守る草の根活動でもあるのだ。しかし、それは無職だからできる事業なので、多くの人が、少なからずリスクを負って車を運転しなければいけない。

そのリスクを減らすには、運転者が気をつけることはもちろんだが、何せ限界がある。つまり、人間がこれ以上、進化することなく、むしろ高齢化で退化する一方だとしたら、無機物の方を整備していくしかない。

事故が起りにくい道路作り、そして車だ。

現に、車の事故防止機能はどんどん進化しており、自動運転化の開発も進んでいるという。自動運転が本当に安全なのか不安もあるが、少なくとも老が運転するよりは確実に安全になるだろう。

しかし、今のところそういった事故防止機能がついた車を買うか否かは、任意である。そして、そのような機能がついた車は高くなる。よって私の車は金銭的問題で、タイヤとハンドルがついているぐらいであり、運転手がミスったら、そのミス通り事故を起こしてくれる、素直な仕様である。

現在でも事故防止機能のある車を購入した場合、補助がもらえることもあるようだが、導入が任意な以上、つけない人はつけないだろう。これからの車には、タイヤ、ハンドル、事故防止機能を、もう屋根ぐらい忘れても良いから義務付けるべきではないだろうか。

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トヨタが5世代目となる新型「スープラ」を発売

直列6気筒のFRで伝統を踏襲、最上級グレードに予約集中

BMWとの共同開発について気になる点を友山副社長に聞く

トヨタ自動車は新型「スープラ」(GR Supra)を発売した。先代スープラの生産終了から17年ぶりの復活だ。価格は3リッターの直列6気筒(直6)ターボエンジンを搭載する「RZ」が690万円、2リッターの直列4気筒ターボエンジンを積む「SZ-R」が590万円、同「SZ」が490万円。直6+FR(フロントエンジン・リアドライブ)という歴代モデルの伝統を踏襲した5世代目は、トヨタとBMWの共同開発で誕生した。

新型「スープラ」。ボディサイズは「RZ」で全長4,380mm、全幅1,865mm、全高1,290mm。こだわったのは「短いホイールベース(前輪と後輪の間の幅、2,470mm)」「幅広いトレッド(左右のタイヤの幅、RZでフロント1,595mm、リヤ1,590mm)」「低い重心高」の3つの基本要素だという

儲からなければ儲かるまで“カイゼン”

新型スープラはBMW「Z4」のプラットフォームとエンジンを使っている。企画とデザインはトヨタが、設計はBMWが担当した。

トヨタでは月間220台の販売台数を想定していたが、2019年3月に予約注文の受付を開始すると、新型スープラには予想を超える数のオーダーが殺到した。事前受注は約1,400台に達したという。予約注文のうち、約7割が最上級グレードのRZに集中したことも予想外だったようで、トヨタは一時的に、同グレードの予約受付をストップしていた。

増産やグレード変更などの生産調整により、現在、RZの受注は再開している。とはいえ、今からRZを注文しても、納車は2020年1月ごろになるそうだ。

「マットストームグレーメタリック」をまとった新型「スープラ」(画像)は限定車。2019年度分の24台については、6月14日までWeb限定で商談の申し込みを受け付ける。商談順は抽選となるそうだ

「モビリティカンパニー」になると宣言したトヨタが、スポーツカーのスープラを復活させる理由については、最近、テレビやラジオのコマーシャルでもしばしば耳にする「馬がクルマに置き換わっても、競走馬は残った」という言葉の通りだ。つまり、電動化や自動化でクルマの在り方が変わっていっても、単なる移動手段ではなく、所有したり乗ったりすることで、喜びを感じられる存在として残るクルマもあるので、そういった製品を作り続けたいというのがトヨタの思いである。

新型「スープラ」はトヨタとBMWが2013年に包括提携を結んでから初の商品となる。生産はマグナ・シュタイヤーに外部委託し、オーストリアのグラーツ工場で行う

とはいえ、スポーツカーは年間何万台も売れるクルマではないし、採算が取れないおそれもある。その点については、新型スープラ発表会に登壇したトヨタの友山茂樹副社長も「スポーツカーは儲からない、売れないという冷ややかな見方があることは事実」と認めるところだ。しかし同氏は、「儲からなければ儲かるようになるまで、売れなければ買ってもらえるようになるまで、歯を食いしばってでもカイゼンを続ける」ことがトヨタ本来の姿であるとし、「クルマは五感で感じるものだというDNAを次の世代に継承しなければならない」との考えを示した。

新型「スープラ」は歴代モデルと違って2シーターだ

「BMW製では?」の声に友山副社長の回答は

気になるのは、スープラがBMWとの共同開発であり、エンジンとプラットフォームというクルマの中心部分がBMW製であるという点だ。「トヨタの思いは分かるけど、結局、BMWのクルマなのでは……」という見方があるのは、おそらく間違いないだろう。

こちらがBMW「Z4」。大きな違いはスープラがクーペでZ4がオープンカーであるところだ。「Z4」の価格を見ると、3L直6エンジンを積む「M40i」が835万円、2L直4エンジンを積むエントリーモデル「sDrive20i」が566万円となっている

そのあたりについて、友山副社長が語ったところをまとめると、まず、「スポーツカーは数(販売台数)が限られる割に、開発には莫大なコストがかかるので、単独で作るのは難しい」とのこと。今回のスープラは企画とデザインがトヨタ、設計がBMWと説明しているが、クルマの開発は「そんなに簡単なものではないし、(明確に役割を)区切れるものでも」なく、企画の段階で、トヨタとしてどんなクルマを作りたいか、どんな味を出したいかといった点については徹底的に詰めたという。それに、これは多少、冗談めかした発言ではあったものの、「BMWが作ったクルマだから」という理由でスープラを購入する顧客もいるそうだ。

トヨタの友山副社長。自身は先代「スープラ」を改造して乗っていて、トヨタの役員駐車場で警備員に止められたこともあるという

スープラを「BMW製」だと見る人たちに対して友山副社長は、「どこ製ということではなく、これは『スープラ』なんです。両社のいいところを組み合わせた最高の合作、それがスープラです。乗ると分かりますが、Z4とは全然違います」とのメッセージを伝えたいそうだ。

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