JALとSBIがフィンテックでタッグ、まずはプリカから

JALとSBIがフィンテックでタッグ、まずはプリカから

2017.10.05

日本航空(JAL)とSBIホールディングス(SBI)は10月3日、SBIグループやフィンテック企業との協業を通じて、最先端の金融テクノロジーを活用した新たなサービス提供を行うと発表した。共同持株会社「JAL SBIフィンテック」を設立するとともに、第一弾の取り組みとして「JALペイメント・ポート」を設立。2018年度に国際ブランド・プリペイドカード事業に参入するという。

事業提携を記念し手を結ぶ日本航空 代表取締役社長の植木 義晴氏(右から3人目)、SBIホールディングス 代表取締役 執行役員社長の北尾 吉孝氏(左から3人目)ら

JALは、2017年から2020年にかけてのJALグループ中期経営計画において、「フルサービスキャリア以外の事業を創造し、育成していく」ことを表明しており、今回発表した共同事業もそれに沿うものとなる。ただ、同社 代表取締役社長 植木 義晴氏は「これまで取り組んで来たフルサービスキャリア以外に強みを活かせる場を広げることは大きなチャレンジ」とした上で、「自分たちだけで成し遂げることは容易ではない」という認識を示す。

これがSBIとの協業に至った経緯になるが、その第一弾となる国際ブランド・プリペイドカードについて植木氏は、「これまでJALには無かった新しい商品だが、お客様にとって最も便利なプリペイドカードとなるよう、品質にはこだわりを持って追求したい」と説明する。

プリペイドカードは旅行との親和性が高い?

今回のJALとSBIの共同事業は、JALの強みに加えてSBIグループが持つフィンテックのさまざまなテクノロジーやノウハウを活用することで、旅行や地上サービスにおける利便性の向上といった新たな価値を提供する。

国際ブランド・プリペイドカードは、事前に現金を入金しておくことで、国際ブランド加盟店で利用できる与信不要のカード。スマートフォンを利用してどこでも簡単に入金したり、外貨両替が行えるという。さらに、両替した外貨を使ってプリペイドカードで決済したり、海外ATMで現金を引き出すことも可能という。独自性としては、利用額に応じてJALマイレージバンクのマイルも貯まることになるという。

JAL執行役員 商品サービス企画本部長の佐藤 靖之氏は、このサービスで「海外でのビジネスや旅行の際、窓口で両替する手間が省け、旅行前や海外での時間を有効に使えるようになる」と説明。現金を持参せずに、海外でも安全安心に過ごせる環境をJALとして用意した意図も明かした。

また、AIを利用して最適な資産運用のアドバイスを行う"ロボアドバイザー運用サービス"を提供している「お金のデザイン」との提携も検討しており、その他フィンテック企業などを含め、JALの顧客に向けたサービス性の向上を目指す予定だ。

JALペイメント・ポートが提供するプリペイドカードは、フィンテック技術を活用し、スマートフォンを利用した入金や海外通貨への両替、海外での買い物、海外ATMでの現金引き出しなどに活用できる
今後も、SBIグループが出資・提携するフィンテック企業と連携し、新サービスを創出していきたいという

会見には、SBIホールディングス 代表取締役 執行役員社長の北尾 吉孝氏も登壇。北尾氏はJALにとってこの共同事業が収益の一つの柱になるという期待感に加え、「双方の本業の顧客拡大に繋がれば一番良い」と話した。

北尾氏が強調するのは、共同事業の先進性だ。「日本を代表する先進的なフィンテックのメッカにしたい」(北尾氏)と、これまでにないような実業と金融のコラボレーションを進めていく期待感が見え隠れする。

もちろん、JALが持つ約3170万人の顧客基盤、そしてSBIがもつ約2200万人という広範な顧客基盤と収益力があるからこそ、実現できるサービスもあるだろう。ただ、これらの規模の企業が本格的に協業ベースで取り組むとなれば、他業種でもこれを模範する形で追随する例が見られるかもしれない。

提携によって、新たな金融サービスや航空関連サービスを簡便に利用できるようにし、JALグループ、SBIグループ双方の顧客基盤を長期的かつ飛躍的に拡大する狙い
SBIグループが持つ革新的な技術を共同持株会社に移出し、新たな価値を提供するという

今回のプロジェクトは当初、JALマイレージ事業部の20~30代の若手・中堅社員が企画し、さながら新入社員の突撃営業のようにSBIグループに協議を持ちかけ、1年ほどの準備期間を経て実現したという。社名の"JALペイメント・ポート"には、カードの使用シーンとなるエアポートやパスポート、出発地といった意味合いを込めるとともに「新しい決済サービスを提供する起点になる」という意志を込めて名付けられたという。

なお国際ブランド・プリペイドカードの発行規模については、現在のJALマイレージバンク会員のうち、頻繁に利用している会員が1000万人、最終的な目標がその内の10%である100万人としつつ、初年度だけでもその内10%、10万人程度のカード発行を見込むようだ。

これまでセブン銀行やイオン銀行といった小売業の銀行業務、通信会社であるKDDI系のじぶん銀行など、重厚長大な金融サービスは多数見られてきたが、一部協業とする形での金融サービスがフィンテックの潮流に乗り、他産業のリファレンスモデルとなれるのか、期待したいところだ。

第一弾となる国際ブランド・プリペイドカード事業に続き、今後もフィンテック企業とJALとの協業をサポートしていくという
NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

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掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

○安東弘樹のクルマ向上委員会!
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○森口将之のカーデザイン解体新書
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○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
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○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
https://news.mynavi.jp/series/shiwakenin

○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
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○モノのデザイン
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○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
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○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu