JALとSBIがフィンテックでタッグ、まずはプリカから

JALとSBIがフィンテックでタッグ、まずはプリカから

2017.10.05

日本航空(JAL)とSBIホールディングス(SBI)は10月3日、SBIグループやフィンテック企業との協業を通じて、最先端の金融テクノロジーを活用した新たなサービス提供を行うと発表した。共同持株会社「JAL SBIフィンテック」を設立するとともに、第一弾の取り組みとして「JALペイメント・ポート」を設立。2018年度に国際ブランド・プリペイドカード事業に参入するという。

事業提携を記念し手を結ぶ日本航空 代表取締役社長の植木 義晴氏(右から3人目)、SBIホールディングス 代表取締役 執行役員社長の北尾 吉孝氏(左から3人目)ら

JALは、2017年から2020年にかけてのJALグループ中期経営計画において、「フルサービスキャリア以外の事業を創造し、育成していく」ことを表明しており、今回発表した共同事業もそれに沿うものとなる。ただ、同社 代表取締役社長 植木 義晴氏は「これまで取り組んで来たフルサービスキャリア以外に強みを活かせる場を広げることは大きなチャレンジ」とした上で、「自分たちだけで成し遂げることは容易ではない」という認識を示す。

これがSBIとの協業に至った経緯になるが、その第一弾となる国際ブランド・プリペイドカードについて植木氏は、「これまでJALには無かった新しい商品だが、お客様にとって最も便利なプリペイドカードとなるよう、品質にはこだわりを持って追求したい」と説明する。

プリペイドカードは旅行との親和性が高い?

今回のJALとSBIの共同事業は、JALの強みに加えてSBIグループが持つフィンテックのさまざまなテクノロジーやノウハウを活用することで、旅行や地上サービスにおける利便性の向上といった新たな価値を提供する。

国際ブランド・プリペイドカードは、事前に現金を入金しておくことで、国際ブランド加盟店で利用できる与信不要のカード。スマートフォンを利用してどこでも簡単に入金したり、外貨両替が行えるという。さらに、両替した外貨を使ってプリペイドカードで決済したり、海外ATMで現金を引き出すことも可能という。独自性としては、利用額に応じてJALマイレージバンクのマイルも貯まることになるという。

JAL執行役員 商品サービス企画本部長の佐藤 靖之氏は、このサービスで「海外でのビジネスや旅行の際、窓口で両替する手間が省け、旅行前や海外での時間を有効に使えるようになる」と説明。現金を持参せずに、海外でも安全安心に過ごせる環境をJALとして用意した意図も明かした。

また、AIを利用して最適な資産運用のアドバイスを行う"ロボアドバイザー運用サービス"を提供している「お金のデザイン」との提携も検討しており、その他フィンテック企業などを含め、JALの顧客に向けたサービス性の向上を目指す予定だ。

JALペイメント・ポートが提供するプリペイドカードは、フィンテック技術を活用し、スマートフォンを利用した入金や海外通貨への両替、海外での買い物、海外ATMでの現金引き出しなどに活用できる
今後も、SBIグループが出資・提携するフィンテック企業と連携し、新サービスを創出していきたいという

会見には、SBIホールディングス 代表取締役 執行役員社長の北尾 吉孝氏も登壇。北尾氏はJALにとってこの共同事業が収益の一つの柱になるという期待感に加え、「双方の本業の顧客拡大に繋がれば一番良い」と話した。

北尾氏が強調するのは、共同事業の先進性だ。「日本を代表する先進的なフィンテックのメッカにしたい」(北尾氏)と、これまでにないような実業と金融のコラボレーションを進めていく期待感が見え隠れする。

もちろん、JALが持つ約3170万人の顧客基盤、そしてSBIがもつ約2200万人という広範な顧客基盤と収益力があるからこそ、実現できるサービスもあるだろう。ただ、これらの規模の企業が本格的に協業ベースで取り組むとなれば、他業種でもこれを模範する形で追随する例が見られるかもしれない。

提携によって、新たな金融サービスや航空関連サービスを簡便に利用できるようにし、JALグループ、SBIグループ双方の顧客基盤を長期的かつ飛躍的に拡大する狙い
SBIグループが持つ革新的な技術を共同持株会社に移出し、新たな価値を提供するという

今回のプロジェクトは当初、JALマイレージ事業部の20~30代の若手・中堅社員が企画し、さながら新入社員の突撃営業のようにSBIグループに協議を持ちかけ、1年ほどの準備期間を経て実現したという。社名の"JALペイメント・ポート"には、カードの使用シーンとなるエアポートやパスポート、出発地といった意味合いを込めるとともに「新しい決済サービスを提供する起点になる」という意志を込めて名付けられたという。

なお国際ブランド・プリペイドカードの発行規模については、現在のJALマイレージバンク会員のうち、頻繁に利用している会員が1000万人、最終的な目標がその内の10%である100万人としつつ、初年度だけでもその内10%、10万人程度のカード発行を見込むようだ。

これまでセブン銀行やイオン銀行といった小売業の銀行業務、通信会社であるKDDI系のじぶん銀行など、重厚長大な金融サービスは多数見られてきたが、一部協業とする形での金融サービスがフィンテックの潮流に乗り、他産業のリファレンスモデルとなれるのか、期待したいところだ。

第一弾となる国際ブランド・プリペイドカード事業に続き、今後もフィンテック企業とJALとの協業をサポートしていくという
日清が「完全栄養食」パスタ発売、多忙な現代人の「救世主」となるか

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2019.03.27

日清がパスタに1食分の栄養素を詰め込んだ新商品を発売

働き盛りの「栄養不足」にフォーカス

販路はネット限定、どこまで市場は広がるか

食事からバランス良く栄養を摂りたい…と考えていても、共働き世帯が増加し、働き方改革が叫ばれる労働環境の中で、それを実現するのは至難の業だ。

そんな社会情勢にあわせ、主食や飲料など手軽な形態で、1日に必要な栄養素を確保できるように作られた「完全栄養食」なるカテゴリが、にわかに注目を集めている。

これまではベンチャー企業の戦場だった「完全栄養食」に、即席麺の巨人・日清食品が参入。完全栄養食「All-in シリーズ」第1弾として、本日3月26日より「All-in PASTA」を発売した。

「All-in PASTA」のパッケージはかなりシンプル。メインターゲットの30代以上の働き盛り世代を狙ったと思われるカジュアルな仕上がりだ

チキンラーメンの正統進化? 21世紀型「簡便食」

日清食品の創業者・安藤百福が戦後の食糧難をきっかけに開発した「チキンラーメン」。もうすぐ最終回を迎えるNHK朝の連続テレビ小説「まんぷく」で広く知られることになった開発エピソードの21世紀版と言えるのが、この「All-in」シリーズ。1日に必要な栄養素の3分の1の量を、1食分の麺に配合しているのが特徴だ。

連続テレビ小説「まんぷく」にあやかったプレゼンテーション。チキンラーメンから60年を経て、変化した時代に合った「簡便栄養食」を提供するというコンセプトだ
「All-in PASTA」の試食販売は、チキンラーメン発売当時に初めて試食販売を実施した阪急うめだ本店(大阪府)で行う(3月27日~31日まで)

チキンラーメン開発当時と比べれば、現代は「空腹を満たすには困らない」時代と言える。その一方で、個々人が「必要な栄養を万全に摂取する」という意味では、困っている人の割合が多いと言えるだろう。

厚労省の調査によれば、栄養素の摂取が推奨量に届いていると考えられる年代は少なく、またビタミン・ミネラル含有量の多さから健康的な食事に欠かせない野菜類の摂取は、国民全体で不足傾向にある上、40代以下では慢性的に不足していることが分かっている。

野菜不足は若年層においてより深刻になっている

そして、日清の独自調査だが、働き盛りの年代で健康に気を配る人は9割にのぼる一方、それが実現できていると感じているのは調査数のうち半数を切る。健康意識の高さと裏腹に、忙しさからか栄養バランスの良い食生活を送れていないようだ。

同社はビジネスパーソンの代表として三菱商事、伊藤忠商事、LOHACOなどの協力を得て調査を実施。働く人の意識として、「健康な食生活を送りたいが実践できていない」という大意が読み取れたという

栄養豊富だけど「ふつう」に食べられる味を追求

そうしたニーズを汲んだことで広がりつつある「完全栄養食」。だが、栄養食品やサプリメントを心底「おいしい」と感じたことがある人は、あまりいないのではないだろうか? 筆者も、飲み込み損ねたサプリメントが舌の上に残ってしまい、何とも不快なえぐみと臭いに閉口した経験がある。

開発担当者である同社 ダイレクトマーケティング課 ブランドマネージャーの佐藤真有美氏によれば、栄養そのものの味は苦み、えぐみ、酸味、さらにざらついた舌触りなど、およそおいしさとはかけ離れた特徴を持っているという。

それを一般的な食材と遜色なく食べられるようにするため、同社はビタミン・ミネラルを麺の内側に封じ込める独自製法「栄養ホールドプレス製法」を編み出した。また、その上で麺の持つ雑味をマスキングするような味付けを開発。この製法により、加熱調理による栄養価の減衰を軽減することにもつながったとしている。

製法図。開発には約1年半を費やし、試作は300回を超えた。既存商品と比べても困難の多い道のりだった、と佐藤氏
コクのある「ボロネーゼ」、香りの良い「ジェノベーゼ」、酸味と旨みを併せ持った「スパイシーアラビアータ」の3種を、湯切り調理のカップ麺形式、麺とソースを別売する一般的なパスタの形式で展開する

会見の途中で「ボロネーゼ」と「ジェノベーゼ」2種類の味の試食が配られたが、いずれも「良薬口に苦し」といったような、栄養素独特の風味は無かった。一般的なパスタと比べると小麦の含有量が少ないためか、ポロポロと切れやすいコシの少なさは気になった。

ボロネーゼ(左)とジェノベーゼ(右)を試食

とはいえ、黙って出されたら栄養食品のたぐいとはわからない仕上がりだ。個人的にはジェノベーゼソースの風味が気に入ったが、麺の食感をカバーするにはボロネーゼソースくらいの粘度や粒感があった方が、より「ふつうのパスタ」らしくなると思われる。

発売前の「All-in PASTA」を試食したビジネスパーソンからは、ランチ時の利用や社内購買への導入など、ビジネスのオンタイムにこそ使いやすいのでは、という意見が複数見られたという。インスタント麺として調理可能なことが、既存商品と比較した際の目立ったアドバンテージと言えそうだ。

ラーメンでなくパスタから出した理由

「All-in PASTA」の販路はオンラインに限定。日清食品グループのオンラインストア、および「アラビアータ」味の開発アイデア協力も行ったLOHACOで販売を行う。公式サイト上では、パスタソース以外の味付けを紹介するアレンジレシピを掲載。ちなみに、調理の方向性としては、酸味や醤油の風味が麺の雑味をマスキングするのに適しているとのことだった。

調理前後の栄養比較表。麺の中心に栄養素を入れ込むことで流出を抑え、スペックと実態の乖離を極力抑えた

ニーズの高まりがあると言っても、一般的なカテゴリになっているとは言いがたい「完全栄養食」。まずは流通コストが低いネット通販にて提供する。

また、今夏にはラーメン(汁なしそば)タイプの新商品も発売予定。トムヤムクン風、坦々麺風の開発中の試食が会見場で振る舞われた。いずれも発売時期にあわせたスパイシーさが共通で、酸味の効いたトムヤムクン、ゴマのコクが強い担々麺と性格が異なるフレーバーだ。

21世紀の「チキンラーメン」を彷彿とさせる売り出し方の同シリーズだが、スープありの麺は試作されなかったのだろうか? そう現場で佐藤氏に尋ねたところ、スープに麺の苦味が出てしまうため、まずは汁なしで成立するパスタから開発したということだった。今後、麺の改良、あるいは雑味をマスキング可能なスープの開発など方策の目処が立てば、汁ありタイプの商品化も可能性はあるという。

会見でプレゼンテーションを行った、日清食品 マーケティング部 藤野誠 部長(左)、同 ダイレクトマーケティング課 ブランドマネージャー 佐藤真有美

発展途上のカテゴリである「完全栄養食」だが、「All-in」シリーズの販売目標は2019年通して累計100万食を目標に掲げるなど、かなり強気の姿勢を見せた。それだけ、同社は簡便な栄養摂取に対するニーズの高まりを感じているのだろう。

働き盛りの人々を悩ます栄養不足。理想は当然ながら食材からの摂取ではあるものの、その理想と現実のギャップをうめるのには取り入れやすい新商品となっている。

その一方で、自社のネット販路主体でどこまで購入に結びつけられるか、また個人差の大きい食生活の中で、同商品による栄養の充足を実感する購入者がどの程度現れるか、というのは課題といえるだろう。

昨今はSNS経由の口コミが購買を大きく左右する。試食と口コミ、その相乗効果で受け入れられれば、より一層市場が拡大が加速するのではないだろうか。

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もしも(好きなように)クルマが買えたなら…安東さんの人生設計

安東弘樹さんに同行した日本自動車輸入組合(JAIA)試乗会も、いよいよ最後の1台となった。残すはルノーの「メガーヌ R.S.」だ。愛車のポルシェ「911 カレラ 4S」から乗り換える候補の1台として、「ある程度は本気で」購入を検討しているというこのクルマを、安東さんはどう評価するのか。

MT車の日本導入を待って購入を検討?

「メガーヌ R.S.」は5ドアハッチバック「メガーヌ」の高性能モデル。「R.S.」はルノーのモータースポーツ活動を担う「ルノー・スポール」の頭文字だ。このクルマについては以前、モータージャーナリストの塩見智さんに試乗してもらったので、詳しくはこちらの記事をご覧いただきたい。

「メガーヌ R.S.」に乗り込んだ安東さん

安東さん(以下、安):(乗り込んですぐ)ドアヒンジは多くの日本車と同じでプレスですね、開ける時に軽い感じがします()。(しばらく走って、高速道路に入りつつ)さすがはFF(前輪駆動車)、急加速すると暴れますね(笑)。

【編集部注】ドアヒンジとはドアとクルマをくっつけている部品のこと。ここの作りによってドア開閉時の重厚感、ひいてはクルマの上質感に差が出ると安東さんは語る。細かいポイントのようだが、ドアヒンジについてはマツダミニの取材でも話題になった。

編集部(以下、編):今回、メガーヌ R.S.に試乗してみたいと思ったのはなぜですか?

:すごく気になっていたクルマなのですが、まだ乗ったことがなかったので、どうしても今回、運転してみたかったんです。今回のクルマはDCT(デュアルクラッチトランスミッション)ですが、MT(マニュアルトランスミッション)車を今、待っている状態です。ただ、急加速した時の“暴れん坊感”を体験してみて、いくら電子的に制御しても、FFには限界があるなとも感じました。じゃじゃ馬を乗りこなす、というところにカタルシスを感じる人もいるとは思いますけど。

「メガーヌ R.S.」のボディサイズは全長4,410mm、全幅1,875mm、全高1,435mm。価格は440万円だ

:MTだったら欲しいクルマですか?

:はい。もうすぐ、MTが日本に導入されるらしいのですが、欲をいえば、「メガーヌ R.S. トロフィー」というグレードを待ちたいです。R.S.は279馬力ですが、トロフィーは300馬力なんで。

:「待ちたい」っていうのは、真剣に購入を検討していて、待ち構えているという感じですか?

:うーん、ある程度は本気で考えているっていう感じでしょうか(笑)。次もポルシェ「911 カレラ 4S」に乗るのが理想ではあるんですけど、それこそ、私の稼ぎ次第というか、買えない可能性もあるので……。今の911は、乗り始めてから10年になりますし、乗り換えたいタイミングではあります。

:その乗り換え候補の1つが、「メガーヌ R.S. トロフィー」だというわけですね。ただ、素人なので分からないんですけど、最近の安東さんの露出ぶりを見ている限り、次もポルシェで大丈夫なんじゃないですか?

:どうでしょうねー、想像もできません(笑)。今回の確定申告で、どのくらいの税金を払わなきゃいけないのかにもよりますし。フリーになって初めての確定申告なので、正直、怖いです。

:この間の「バラいろダンディ」(TOKYO MXで放送中のテレビ番組、安東さんは火曜レギュラー)で、「これから、税理士さんと話をする」っておっしゃってましたもんね(笑)

:いくらくらいの税金になるのか、それによっても変わってきます。ただ、フリーランスになってもうすぐ1年経ちますが、この収入では、新しい911には手が届きません(笑)

:本当ですか?

:今の911と同じように長期ローンを組めば、あるいは……。とは思いたいですが、新しい「911 カレラ 4S」を自分が乗りたい仕様で買うと、税金なども含めた乗り出し価格が2,200万円弱になってしまいます。日々忙しいのですが、薄利多売でやっているので、くどいようですが、本当に現状、購入は難しいです(苦笑)

1台はスポーツカーを所有しておきたいという安東さんだが、次に何を買うのかは将来の収入次第だそう。「メガーヌ R.S.」もMT車が気に入れば候補に入るようだ

:(メガーヌの走行モードを変更して)「レースモード」に設定すると、ESC(横滑り防止装置)がカットになるんだ……。自動ブレーキもオフになりますが、それは当然ですよね。サーキットを走っていて、前走車に近付くたびにブレーキが掛かったら、たまったものではないですから(笑)。このモードに入れても、そんなに乗り心地が硬くならないというか、不快感はないです。

法定速度で走っている限り、レースモードにする意味はあまりないでしょうけど、腕と環境が許せば、滑らせながら走ってみたいですね! MTだったら楽しいだろうなー。あと、パドルシフトは下まで伸びていて欲しいです。乗り始めてから、5~6回は空振りしてますから。

パドルシフトとは、指による操作でクルマのギアを上げ下げできる装置のこと。画像では分かりにくいかもしれないが、ステアリングの後ろに付いている
一般的にパドルシフトの操作部分は縦に長いが、「メガーヌ R.S.」のパドル(赤い十字マークが付いているところ)は上方向に長く、下方向に短い造形になっている。そのため、パドルの下の方を指で操作しようとして、何度か空振りしてしまったと安東さんは話しているのだ

:パドルシフトがステアリング連動式なので、コーナーを曲がっているときの操作も、少しやりにくいですね()。

【編集部注】パドルシフトには、ステアリングに連動して動くものと、ステアリングコラムに固定されているものがある。

:ステアリングと一緒にパドルシフトが動くのと、固定してあるのだと、どちらがいいんですか?

:メルセデスもそうですけど、ドイツ車はステアリングに連動して動く方が主流ですよね。ただ、ステアリングを切って(左右が)逆さまになっている時、パドルシフトの位置も逆になるので、どちらがプラス(ギアを上げる方)だか分からなくなることがあるんですよ。そこが難しいところで、だから「GT-R」(日産自動車)とかも固定式ですし、基本的にラリー用のクルマもコラム固定式ですね。

:ステアリングを切りまくるからですか?

:そうです。だけど、F1などのフォーミュラカーだと、ステアリングにシフトパドルが付いていて連動しますね。なぜなら、ステアリングを切っても最大で半回転ですから、左右の手を持ち替えないので、当然、その方が好都合です。

だから、このクルマ(試乗中のメガーヌ)は、ステアリングを大きく切っている時でも、シフト操作に迷わない事を優先させたんでしょうね。

:山道でヘアピンを抜ける時とかですか?

:そうですね。これ、好みは分かれると思います。

「メガーヌ R.S.」は1.8L直列4気筒16バルブ直噴ターボエンジンに電子制御6速ATのトランスミッションを組み合わせる

:このクルマ、小さいように見えて、幅が1,875mmもあるんですね。

:そう、結構あるんですよ。「Eクラス」(メルセデス・ベンツ)より幅が広い。

:メガーヌって、前のモデルまで3ドア(ハッチバック)が中心だったみたいですね。5ドアになって、見た目とかどうでしょう?

:このデザイン、僕は好きですね。先代よりも好きです。絶妙な“カタマリ感”があって、色もいい。シンプルなのに存在感があるという嬉しいデザインです。

:歴代のメガーヌ R.S.は、ニュルブルクリンクで素晴らしいタイムをたたき出してきたそうですが、そのあたりには惹かれますか?

:そこは、そんなに重視しません。ただ、メーカー同士が競い合ってくれる分にはいいんですけどね。ましてやFFですし、ちゃんと手なずけて走って、技術の革新というか、そういうところでメーカー同士が競い合ってくれているのは悪いことではないと思います。

:ただ、安東さんとしては、走りについては自分で確かめたい?

:そうですね。だから、こっちの方が数字が上だから買う、という感覚はありません。

:安東さんの頭の中にはクルマのスペックがたくさん入っていますけど、数字で比べて買おうというのではなく、ただ、好きだから頭に入っているだけなんですか?

:覚えようとしているんじゃなくて、スペック(諸元)表を見てると、自然に覚えちゃうんですよ。これ(試乗中のメガーヌ)だと、最大出力が279馬力ですよね?

:合ってます。

:それで、205kWじゃなかったでしたっけ?

:ごめんなさい、手元の資料にキロワットまでは書いてきてないです。

:206kWだと、280馬力になるんですけどね。

:……。

「メガーヌ R.S.」の最大出力は279ps(205kW)、最大トルクは390Nmだ。車両重量は1,480キロ

:数字的には見劣りしても、自分がいいと思えば買うというのが、安東さんのクルマ選びということですね。もし、次の911が何らかの理由で買えなかった場合は、メガーヌもアリだと思いましたか?

:MT車に乗ってみないと、何とも言えませんねー。急加速した時の暴れぶりを体験して、FFの限界は感じましたけど、MTなら、もう少し自分で制御できるかもしません。ただ、やっぱり楽しいクルマだなとは思いましたね!

:今回、たくさんの輸入車に乗っていただきましたけど、総評として、心に残ったのは?

:やっぱり、あの加速感も含め、テスラですね。何でも電気で動くので、後席のファルコンドアなんかが壊れたら目も当てられないとは思うんですけど、ただ、インパクトとしては「モデルX」になりますね。

もしも収入が激増したらどんなクルマに乗りたい?

購入を決めたメルセデス・ベンツ「E220d 4MATIC オールテレイン」には、何年乗る予定ですか?

:今の「F-PACE」よりも早いペースで走行距離が伸びる可能性があるので、2年で7万キロあたりが見えてくると、乗り換えを考えるかもしれません(※)。まあ、2年後に私の収入がどのくらいになっているかにもよりますけど……。

【編集部注】ジャガーのSUV「F-PACE」とポルシェ「911 カレラ 4S」の2台を所有している安東さんだが、通勤に使っているF-PACEは走行距離が伸びてきている上、大柄なサイズの問題で駐車場を見つけるのが大変なので、これをメルセデス・ベンツ「E220d 4MATIC オールテレイン」に乗り換える。サイズ的に駐車場が見つけやすい分、オールテレインの稼働率はF-PACEよりも高くなることが予想されるので、代替サイクルは早まるかもしれない。オールテレインが納車されるのは2019年5月の予定。その時点で、F-PACEには2年8カ月乗ったことになる。

:もし、収入がものすごく増えたら、所有するクルマの構成はどうしたいんですか?

:やっぱり「911」と、あとは「ヴェラール」(レンジローバー)のディーゼルエンジン車を買って、もう1台は小さいディーゼルエンジンのクルマで、それは「デミオ」(マツダ)なのか「ミニ」なのか分からないんですけど、そんな感じですかね。それか、プジョーの「308 アリュール」か……。

「308 アリュール」って、今までは税制的に中途半端な1.6リッターのディーゼルエンジンを搭載してたんですけど、それが1.5リッターになって、しかも、パワーアップしたんですよ。それに、何が嬉しいって、パドルシフトが付いたんですよ! 今までは上級グレードにしか付いてなかったんですけど。

プジョー「308 Allure」(アリュール)

:なるほど、収入が大幅に増えたら、クルマを2台にしておく必要もないですもんね。駐車場を借りて、3台持ってもいいわけで……。

:駐車場を借りるというか、3台のクルマを入れられる車庫が付いた家に建て替えるのが夢ですね。

:その可能性も、フリーになった今だと、高まってますよね。会社員でいるより、大きく稼げるチャンスがあるわけですから。

:そうですね、可能性は“ゼロ”ではないですね(笑)

:これも「バラいろダンディ」で聞いたような気がするんですけど、ある程度の金額を稼いだら、お仕事はやめるっておっしゃってましたよね? 好きなクルマに乗り続けられて、ご家族も安泰というような金額が貯まったとしたら。

:そうですね(笑)。3億円ほど貯まったら、やめると思います。家族を養えて、子供たちを学校に行かせられて、あとはクルマも、「ヴェイロン」とか「シロン」()が欲しいとは思わないので……。ポルシェのMTと、ヴェラールと、ミニか何かを所有して、スポーツ走行する時はポルシェ。長距離移動の時はヴェラール。そして、都内での仕事や移動の時は、コンパクトなディーゼルモデルか、電気自動車(EV)でもいいかもしれません。

【編集部注】どちらもブガッティのクルマ。1台で何億円もする。

:私の人生として、あと20年は責任があると思うんですよね。ただ、テレビ関係の仕事が続けられるとは思っていません。やっぱり、テレビの仕事って緊張するし、疲れますから(笑)。何より、ずっと私への需要があるとは思えません。

立て続けにクルマに乗った今回の取材も、かなりお疲れになったはずだと思っていたのだが……

他媒体が用意したクルマも含め、計11台の輸入車に立て続けに乗り、JAIA試乗会の取材を終えた安東さん。「仕事は疲れる」と言いつつも、メガーヌから降りるとすぐ、「ばらいろダンディ」の生放送に出演するため、試乗会の拠点となった大磯プリンスホテル(神奈川県)を愛車「F-PACE」で飛び出していった。

安東さんのコラムによれば、今回の取材はさすがにくたびれたものの、愛車を運転して帰ったおかげ(?)で、半蔵門(正確には東京都千代田区麹町)にあるTOKYO MXに到着する頃には、すっかり疲労感がなくなっていたというから驚きだ。

とにかく、多くのクルマに限られた時間で乗ってもらったので、時間配分がうまくいかず、弊紙では紹介しきれなかったクルマもある。具体的にはポルシェ「パナメーラ 4 E ハイブリッド」とBMW「X3 M40d」の2台なのだが、これらも安東さんが試乗を希望したクルマだったことに変わりはない。特に「X3 M40d」については、短時間の試乗ではあったものの、「もっと乗ってみたくなるいいクルマだった」とのコメントがあったことは、ここでお伝えしておきたい。

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