マックで今日からコーヒー無料! 1.3億杯の大盤振る舞いは何が目的?

マックで今日からコーヒー無料! 1.3億杯の大盤振る舞いは何が目的?

2017.10.16

マクドナルドでは今日の午後3時からプレミアムローストコーヒー(Sサイズ)を無料配布する。5日間の期間限定キャンペーンだが、配るコーヒーの量はなんと1億3,000万杯だ。普通に売れば130億円のものをタダにする大盤振る舞いで、マックは何を目指すのか。

カフェタイム限定でコーヒーがタダに

今年の春に日本マクドナルドが新たな戦略として発表した「おいしさ向上宣言」。既存の定番商品も含めた品質向上路線だが、10月11日に新しいキャンペーン「HOT JAPAN」が発表となった。内容は2つだ。

ひとつは冬季限定スイーツ「シナモンメルツ」の7年ぶりの復活。そして、もうひとつがプレミアムローストコーヒーの無料お試しキャンペーンだ。コーヒーの無料お試しは16日から5日間の期間限定。キャンペーンの時間設定は15時から19時までのカフェタイムとしている。お試し目標杯数は1億3,000万杯と発表された。

「HOT JAPAN」キャンペーンで7年ぶりに復活させた「シナモンメルツ」とコーヒー

同キャンペーンの発表会に登壇した、日本マクドナルド・マーケティング部の小室武史上席部長は、「日本全国、津々浦々の方に、マック史上最高リッチな味と香りのプレミアムローストコーヒーを試していただきたい」と語り、1億3,000万杯という数字が、日本の人口を意識して決めたものだということを説明してくれた。

マックがカフェタイムを狙ってコーヒー無料キャンペーンを仕掛けるのにはワケがありそう。それを探るため、まずはマックの時間帯別販売戦略を見てみたい。

昼マック後の強化が課題

現在、マックでは10時までを朝マック、平日10時30分から14時までを昼マックとして展開している。

一日のスタートとして朝のコーヒー需要は多く、ブームではなく日本人の朝食文化としても定着してきている。一方、午後のティータイムはどうだろうか。英国などではアフタヌーンティーという文化が定着しているが、日本で午後のひと時をお茶とスナックで優雅に過ごすという文化は、残念ながら定着していないのが現状ではないだろうか。

実際に店舗に足を運んでみると、カフェタイムにかつて見慣れたママさんたちの集団や親子連れの姿は決して多くない。代わりに多く目立つのが、高齢者の方々や子供たち(単独)だ。子供たちはゲームに興じている姿が多く目につく。トレイを見回しても単品が多く、単価は決して高くなさそうである。

今回のコーヒー無料キャンペーンについて言えば、昼食後の集客が狙いのひとつであり、来店の動機付けが「スイーツ」ということになりそうだ。コンビニなどでは、いつでもどこでもというキーワードで商品設定を行っているチェーンが多く、特に午後にフォーカスした商品設定はしていない。どの時間帯に来店しても、同じ商品が購入できることがコンビニの強みであり弱みでもある。

それゆえ、午後の時間を充実させるために仕掛けられたアツアツのスイーツ「シナモンメルツ」は、コンビニにはない魅力を持っている。

「HOT JAPAN」キャンペーン発表会では、ゲストの石田ひかりさんが大野拓朗さんに「シナモンメルツ」を食べさせてあげていた

アルバイト確保も理由に?

マックが午後の時間帯で来店客を増やす努力を続ける裏には、実はもうひとつの狙いが隠されているのではないか、と推定される。

主婦層や女子学生はマックにとって顧客でもあり、一方でアルバイトとして重要な戦力でもある。15時台の来店促進は、来店客の増加を見込めるだけではなく、アルバイトの確保につなげる狙いもあるのではないだろうか。

ファストフードチェーンの多くは、時間帯による来店客数に基づいてアルバイトのシフト管理を行っている。客が来なければバイトシフトの開始時間を遅くするか、シフト人員を少なくする仕組みだ。一方で、学生や主婦は少しでも長い時間働きたい。このギャップを埋めるためには、集客面で穴となっている時間帯を強化し、アイドルタイムを少なくする工夫が求められる。カフェタイムの強化により、マックは来店客数の増加と労働力の確保の両面を狙っているのかもしれない。

コーヒーだけでは、多くの客を集める動機付けとして決して強くはない。来て欲しい客層に訴求できる商品が「スイーツ」だった。

コーヒー販売はコンビニに軍配、熱いスイーツで反撃

コーヒーの販売量で圧倒的な力を持つのは、今やコンビニだ。コンビニ各社はコーヒーをてこ入れすることにより、さらなる来店客を勝ち取ることができている。しかし、少し苦戦を強いられているのがコーヒー“プラスアルファ”の商材である。

一時期はドーナツに力を入れていたが、ここ数年はスイーツに注力しているのがコンビニだ。ある大手チェーンはレシート値引き戦略により、コーヒー効果による来店促進を図っている。コンビニ各社の強みは商品力・品ぞろえにあるが、温度が高く“アツアツ”のスイーツには多少の弱みを持っている。

一方、マックはベーコンポテトパイやアップルパイ、そして今回のシナモンメルツにより、熱いスイーツをキーワードとして集客増に取り組んでいる。熱いコーヒー戦争ではコンビニに敗北を喫したマックが、熱いスイーツ戦争で挽回を期すという構図だ。

アツアツのスイーツではコンビニよりもマックに分がありそう

無料配布キャンペーンの潔さと公平性

今回発表されたマックのキャンペーンには、商品を値引きすることをよしとせず、無料お試しキャンペーンとしているところに、潔さを感じた。値引きすることにより、商品の価値を自ら下げるのではなく、「お試しキャンペーン」として価値を維持したまま、思い切ってダダで顧客に提供する仕組みを選択したわけだ。

例えばレシートに「30円割引」と記載してクーポンスタイルの割引を実施した場合、不公平感を抱く消費者も出てくるものと考えられる。今回のお試しキャンペーンはある意味、条件なしの無料提供だ。条件をつけず、多くの顧客に無料でコーヒーを飲む機会を提供するスタイルは、消費者に対して公平な手法と言えるのではないだろうか。

「HOT JAPAN」というキャンペーンによる商品展開は、あくまでもスイーツとドリンクを前提としている。今回は、その第1弾という触れ込みだ。「グラコロ」など、冬の季節商品が登場するまでのつなぎとしての役割ではなく、あくまでも「冬を温かく過ごしてほしい」という思いをもとに、キャンペーンを展開するという。

「HOT JAPAN」キャンペーンには第2弾以降の展開もあるらしい

「おいしさ向上宣言」が実際にどうなっていて、店舗環境は今どうなっているのか。久しくマックから足が遠のいていた消費者にも来店機会を創出する今回のキャンペーンだが、マックからの問いかけに、消費者はどう答えるのだろうか。

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

2019.03.22

ネットの学校「N高」の卒業式に潜入

開校時に入学したN高1期生が卒業した

世間の注目を浴び続けた生徒は、何を想う?

3月、角川ドワンゴ学園「N高等学校」の卒業式が東京・お台場にて開催された。

「ネットの高校」として、3年前に設立したN高。この日、2016年の開校時に入学した第1期生と、途中転入・編入した生徒をあわせ、計1593名が卒業した。3年前、『VR入学式』で世間を賑わせたこの学校を巣立つ卒業生たちは、N高での日々をどう捉え、今後はどのようなキャリアを描いていくのだろうか。

卒業式は2019年3月20日、お台場にて行われた

卒業式を彩る最新テクノロジー

N高は、ドワンゴとKADOKAWAの経営統合で誕生したカドカワが設立母体となり、2016年4月に開校された通信制高校だ。同校は開校後、2年次編入なども受け入れてきたため、これまでも卒業生を排出してきてはいたが、「1年生~3年生をN高で過ごした生徒」が卒業するのは、初めてのことだ。

卒業式には多くの報道陣も参加した。生徒にとって、「卒業式に記者がいる」「自分たちが卒業する様子がテレビやWebで取り上げられる」というのは不思議な感覚だろう。とはいえ、もう「VR入学式」に「ニコニコ超会議」へのブース出展(N高ではそれを「文化祭」と表現)などの経験を経て、メディアへの露出には慣れてしまっているのかもしれない。

そして、今回の卒業式も例によって独特だった。

卒業式は任意参加で、会場には袴や制服に身を包んだ生徒が集まる一方、その様子をライブ配信することで、会場に来られない生徒生徒も参加できる仕組みになっていた。会場のスクリーン上にはニコニコ生放送さながら、リアルタイムでコメントが表示されており、こうした演出は「N高らしい」といった印象を受けた。

卒業式の様子。オンライン参加者のコメントがスクリーンを流れる

中でも印象深かったのは、当日来られなかった生徒を代表して、米シリコンバレーに留学中の佐々木雅斗さんが「ロボット」に自分の顔を映して卒業証書を受け取ったシーンだ。

使用したのは、ANAが“未来の移動手段”として開発する、視覚・聴覚・触覚などを備えた、ユーザーの分身となるロボット「ANA AVATAR」。同校ではこのロボットを試験的に授業にも導入しているそうで、こういった最新のテクノロジーを使うあたりもN高らしい。

遠隔操作ロボット「ANA AVATAR(Beam Pro)」を用いて卒業証書を受け取った佐々木さん

と、テクノロジーにばかり目が行きがちではあるが、そもそも「高校生がシリコンバレーに留学している」という事実も驚くべき点だ。高校に通いながらも、シリコンバレーでビジネスを学ぶ――、というキャリアを選べるのは、学校という場所の制約を受けない、ネットの高校のメリットと言えるだろう。

卒業式にはほかにも「異色のキャリア」を持つ生徒たちが集まり、特に活躍した卒業生に対する特別表彰も行われた。

表彰を受けたのは、東京から鹿児島県に移住し、農業や水産業を手伝い地域活性化に貢献する白鳥優季さん、第18回アジア競技大会ジャカルタ・パレンバン「ウイニングイレブン 2018」eスポーツ 金メダリストの相原翼さん、N高のプログラムを最大限に活用し、スタンフォード大学やオックスフォード大学のサマープログラムに参加した冨樫真凜さんなど。その活躍の幅は広い。

さまざまな分野で活躍したN高生に対しては、特別表彰が行われ、記念品としてクリスタルトロフィーが贈呈された

メディア露出が多いがゆえに高まる期待値

N高を卒業した個性豊かな面々は、今後は大学進学、就職とさまざまなキャリアを歩む。

日本初で唯一N高にのみ実在するという「起業部」に所属し、かつ起業第一号として「Easy Go」という会社を創業している、鈴木颯人さんと山田陽大さんから「N高で過ごした時間」についてコメントをもらった。

「元々は地元の進学校に通っていたのですが、『自分が好きなことをしたい』『起業したい』という想いがあり、N高に入学しました。年齢や場所に縛られず、多くの人とコミュニケーションを取れ、充実した3年を過ごせました」(鈴木さん)

「以前通っていた学校が自分と合わず、ネットで見つけたN高で『ここだったら新しいことができるかも』と入学を決意しました。今振り返ってみて、やはり『この学校に来てよかった』と思います」(山田さん)

Easy Go代表取締役の鈴木颯人さん(左)と取締役の山田陽大さん(右)

2人に限らず、卒業生のコメントを聞いていくと「この場所で挑戦してみたい」という想いの元、N高を選んでいる生徒が多い印象だ。

普通の高校とは違い、メディアに露出する機会の多いN高での生活は、良くも悪くも、世間からの注目を浴びる。まだ高校生の彼らにとっては、その視線が時に辛く感じることもあっただろう。ただ、その一方で鈴木さんは「初めて会う方とお話しする際、『N高出身です』と言うだけで、会話が広がることがよくあります」とその知名度を好意的に捉えている。

若くして、覚悟を持ってN高という環境に飛び込んだ生徒たちは、周囲の視線を浴びつつ、たくましく成長してきたことだろう。「N高出身」というキャリアは、彼らにとって1つの大きな武器になりそうだ。

カドカワは新たに2019年4月から、「N中等部」も開校する予定だ。「ネットの学校」という、世間の注目が集まる新しいコンセプトの学校だからこそ、在校生・卒業生の動向は、今後もしばらくは注目され続けそうだ。

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スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

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2019.03.22

中国スマホメーカーのOPPOが独自のカメラ技術を説明

開発競争が続くスマホカメラ、トレンドは「望遠」へ

高倍率ズームスマホの登場で、デジカメの優位性に危機?

中国のスマホメーカーとしてシェアを急拡大するOPPOが独自に新開発したカメラ技術、「10倍ハイブリッドズーム」が面白い。実際に2019年の新機種からスマホへの搭載を進め、日本市場へも製品を投入するという。

OPPOが「10倍ハイブリッドズーム」技術を紹介

メーカー間の開発競争が続くスマホカメラだが、「望遠」が次のトレンドになりつつある。デジタルカメラに匹敵する10倍もの高倍率ズームを、OPPOはどのように実現したのだろうか。

1年で7機種を投入、気付いた「日本市場の難しさ」

OPPOは世界のスマホ市場で熾烈な4位争いを繰り広げている。サムスン、アップル、ファーウェイのトップ3社に続く集団の中で、2018年は中国Xiaomiに僅差で迫る5位になった(IDC調べ)。

OPPOは2018年、日本市場で7機種のスマホを発売した。OPPO日本法人の鄧宇辰社長は、これまでに国内販売チャネルを12に拡大し、あわせて認定修理店を全国に展開したことを挙げ、「日本のSIMフリー市場でいち早く成長するブランドになった」と振り返る。

オッポジャパン 代表取締役社長の鄧宇辰氏
2018年の1年間にスマホを7機種投入

2019年は国内展開をさらに加速する。日本の消費者に向けたコミットメントとして、件の「10倍ハイブリッドズーム」機能を備えたスマホや、FeliCa・防水対応のスマホ、新たに立ち上げたブランド「Reno」シリーズの市場投入を約束する。

また、話題の「5Gスマホ」の市場投入も急ぐ。日本では5Gの周波数がまだキャリアに割り当てられていないものの、ドコモ、KDDI、ソフトバンクを含む世界の事業者と標準化に向けて連携しており、準備を整えていることを強調する。

MWC19のQualcommブースではOPPOが5Gスマホを実演

一方で鄧社長は、日本市場の難しさについて、「1年の経験を通して、日本市場は他の国と違うことに気付いた。消費の習慣や求めるレベルも高い。グローバルのやり方を日本に持ってきても通用しない」とも述べている。日本市場における品質やサービスの要求水準の高さは、多くのメーカーが直面してきた課題だが、OPPOも同じ壁にぶつかったといえそうだ。

スマホカメラ、次のトレンドは「望遠」に

そのOPPOが市場攻略にあたり、特に注力をしはじめたのが「カメラ」だ。その中でも、業界では次の進化ポイントとして「望遠」技術に注目が集まっている。

そもそもスマホはデジカメと違い本体が薄いため、搭載できるレンズに物理的な制約がある。このレンズの制約から、スマホのカメラはどうしても焦点距離の狭さが弱点になってしまっていた。そこで最近はスマホに複数のカメラを内蔵し、それぞれで広角や望遠を使い分けることで、この弱点を克服しようと進化している。

OPPOの「10倍ハイブリッドズーム」技術は、この弱点に対し異なるアプローチで挑む。プリズムを使って光を屈曲させるペリスコープ(屈曲光学)構造をカメラモジュールに採用することで、レンズを従来の垂直方向ではなく水平に配置できるようにした。これにより、薄型のスマホであっても、光学レンズでは従来不可能だった高倍率ズームが搭載できる。

光を曲げるペリスコープ構造を採用

ただ、35mm換算での焦点距離は16~160mmの10倍となっており、一般的なコンデジの感覚では5倍ズーム程度の性能だ。8.1倍以上はデジタル処理を組み合わせた「ハイブリッドズーム」としているなど、いくつか注意点はある。とは言え、これまでにない望遠レンズをスマホで扱えるのは面白い。

10倍ハイブリッドズームによる画角の違い

OPPOは既に報道陣に向けて、この10倍ハイブリッドズーム技術を搭載するスマホの開発デモ機を公開している。2019年の第2四半期には製品化する計画で、日本市場へも2019年中に投入する見込みだ。

10倍ハイブリッドズームのデモ機。5Gにも対応できるという

特にカジュアルなカメラ需要の受け皿としてスマホに押されがちなデジタルカメラだが、高倍率ズームはスマホには無い、デジカメに残された得意分野のひとつだった。だが望遠もスマホで十分撮れるとなれば、いよいよその優位性も危うくなる。今回のズーム技術は、デジカメ市場をもう一段縮小させてしまう可能性を秘めているのだ。

最大のライバルであるファーウェイも「HUAWEI P30」シリーズで望遠カメラを搭載するとみられており、今後は各メーカーが高倍率ズームで競い合うことは間違いなさそうだ。

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