ドコモが2画面スマホを復活させた理由

ドコモが2画面スマホを復活させた理由

2017.10.19

NTTドコモが18日に都内で開催した2017―2018冬春新商品発表会で、一際目を引いたのは、2018年1月以降に発売予定の2画面スマホ「M Z-01K」だった。姿形はかつてドコモが販売していた「MEDIAS W」と瓜二つ。色物スマホとして扱われてきた感が強い端末だ。なぜ今になって、そうしたスマホが復活するのだろうか。そこにはワケがある。

2018年1月以降に発売予定の2画面スマホ「M」

2画面スマホとは何か

ドコモが売り出す「M」は、約5.2インチサイズのディスプレイを2つ備えたのが特徴のスマートフォン。1つの画面で動画を見ながら、もう1つの画面でウェブ閲覧を楽しむといったマルチタスク機能を備える。2画面を1画面表示にし、6.8インチサイズのスマホとして利用することもでき、大画面で動画鑑賞が行えたり、雑誌コンテンツでも見開き表示にして、リアルに近い形での読書が楽しめたりする。

かなり特徴的な2画面スマホだが、こうした形状のスマホは過去にもあった。思い出されるのが、2013年に発売された「MEDIAS W」(NECカシオモバイルコミュニケーションズ製)だ。「M」も基本的には「MEDIAS W」のコンセプトを受け継いだものとなる。しかし、「MEDIAS W」自体、売れたスマホとは認識されておらず、初代で姿を消した端末だ。

にもかかわらず、同様のスマホをドコモが企画し、ZTEに製造委託する形で新たに販売することになった。ここからは「なぜ売れなかった端末が今になって復活したのか」であるが、ドコモの説明を聞けば合点がいくのだ。

2つの復活の理由

復活の理由その1は、「MEDIAS W」の利用者満足度が非常に高かったことだ。説明員によれば、後継機が出なかったために3-4年使う人が多くいたという。根強い人気がありながらも、販売数量がそれほど伸びず、発売同年に製造メーカーのNECカシオモバイルコミュニケーションズがスマホ事業から撤退したこともあって、後継機が出ずに姿を消した。残ったのは色物というイメージだけだった。

実は、販売数量が伸びなかったのはドコモの販売施策にも原因がある。2013年5月、ドコモは2013年夏モデルとして、Xperia AとGalaxy S4の2機種を一押し端末として販売していく「ツートップ戦略」を発表した。この影響をモロに受けたのが、MEDIAS Wだった。

MEDIAS Wは2013春モデルとして2013年の4月18日に発売。ツートップ戦略の2商品はいずれも2013年5月17日、23日に発売されている。つまり、MEDIAS Wの"旬"は1カ月しかなかったわけだ。結果として、販売数量は大きく伸びることがなかったようだ。こうした隠れニーズがあるものを復活させようというのは自然な考えだろう。

復活の理由その2は、2画面スマホの能力を生かせるようになったことだ。MEDIAS Wでは、2画面スマホの特徴を活かしきる能力に乏しかった。マルチタスク機能は当時のOSではサポートされておらず、2画面で別々のアプリを動かせたのは予め決められた少数のアプリのみ。サードパーティー製アプリは動かず、利用上の大きな制約があった。CPU自体もOSに対して非力であったという。

対して「M」では利用上の制約はほとんどなくなる(YouTubeアプリを2画面別々に起動するなどは不可)。サードパーティー製のアプリも動作する。OSがマルチタスク機能をサポートし、CPUの性能も向上したため、今になってMEDIAS Wのコンセプトが制約少なく実現できるというわけである。

悲運のスマホ

MEDIAS Wを簡単に評価すれば、登場した時期が悪かったことに尽きる。まさに"悲運のスマホ"である。コンセプトを叶えるにはスペックが足りず、販売面でも逆風だった。

対して「M」にはハードルが見当たらない。個性が強すぎるだけに、万人ウケするスマホになりにくそうだが、MEDIAS Wの長期利用者ならびに新規に特定層のニーズを掴めれば、2代、3代とモデルチェンジをしていける、そんなスマホになれる可能性は十分にありそうだ。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu